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不快なマウンティングに「頷いて相槌」は絶対ダメ…"視線"だけで相手の戦意を喪失させる効果絶大のテク

プレジデントオンライン / 2024年7月18日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AnVr

他人に対して優位に立とうとする人にはどう対処するといいか。心理セラピストの大鶴和江さんは「マウントを取る人や自己愛性の強い傲慢不遜な人物に対しては、闘うよりもスルーすることが大事だ。私も自慢話をしてくる女性経営者に対して頷いたり、相槌を打つことを控え、目線をあちこちに動かしたり遠くを見たり、何かが気になるそぶりをしたり、反応を薄くすると、彼女は私に近寄ることはなくなっていた。このスキルは『ラポール切り』と呼ばれるテクニックで、縁を切りたい人には効果大である」という――。

※本稿は、大鶴和江『「ずるい攻撃」をする人たち』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

■群れの中で力を誇示する「マウンティング」というずるい攻撃

近年「マウンティング」という言葉がよく使われるようになりました。

「マウンティング」とは、元々は動物が縄張り争いなどで、マウント(示威行為)をして群れの中で強いポジションを取り、群れの中のリーダーとしての力や立場を誇示することを指します。

プロレスや総合格闘技でも「マウント(ポジション)を取る」という言葉を使います。相手を倒して上にまたがり自由を奪うポジションに立つことを指します。

そのどちらも対立した相手よりも「優位に立つ」「上位に立つ」という意味です。

それらが転じて一般のコミュニケーションでも「マウント」という言葉が当たり前になりました。

コミュニケーション上で他人に対して、優位に立とう、上位に立とうとして、人間関係で揉め事になったり、SNSで炎上バトルが起こったり、皆さんも一度や二度は見かけたたこともあるのではないでしょうか。

このマウントも遠回しの攻撃ですから、広い意味での受動攻撃だといえます。

この他人との関係性の中で優位性を保とうとすることは、自分を守る意味でもあり、一概に悪いことと断罪するようなものではありませんが、やっている本人よりも周りが迷惑を被るケースが圧倒的に多く、非常に嫌われます。

■マウントを取られる側の人間にとっては迷惑なだけ

例えば、次のようなケースです。

あるメーカー会社員の里美さん(仮名)は、とても仕事ができる優秀な女性です。仕事ができる上に他人の面倒見もとてもよく、周りからは常に認められ、上司からも称賛され評価されている人物でした。

しかし里美さんの後輩に梨花さん(仮名)が入社してきてから状況は一変したのです。

梨花さんは仕事を覚えるのが早く、周りにたちまち一目置かれる存在となり、おまけに容姿端麗で男性社員からも大人気となりました。

梨花さんは出身大学も里美さんと同じで、もはやお局様と化した里美さんから見ると、周りからの注目や評価や称賛が一気に奪われた気持ちになってしまったのかもしれません。

里美さんは梨花さんの前でこんなことをつぶやくようになりました。

「え、それくらいも知らないの、私でも知っているのに」
「まあ私の苦労に比べたらまだまだ楽でいいわよ」
「若いっていいよね。若いってだけで失敗しても免罪符になるしね」

仕事中、イラついたようにこちらを見ている女性
写真=iStock.com/hikastock
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/hikastock

かなりイライラしています。

このように里美さんは、梨花さんに対してことあるごとにケチをつけては「マウント」を取ってきました。その理由は彼女に対する嫉妬・妬み。そして、自分の劣等感を刺激されたことに対する強い怒りです。

しかし、梨花さんには里美さんの劣等感や妬みや怒りはまったく関係がありません。

このようにして、マウントを取りたがる人はどこにでもいますが、マウントを取られる側の人間にとっては迷惑なだけです。

そしてやっている本人は自分の心の問題には気がつかないため、ますます評価や信用が下がり周りから敬遠されてしまうようになります。

■「他人を無価値化する」ことで、恐怖と不安から逃げようとする

このようなマウント癖のある支配的な人の心理について説明します。

彼らはなぜ他人に対してマウントを取りたがるのか。

それは、本当は自分に対して自信がなくて、心の奥底では自分はダメだと思っている可能性があるからです。つまり、深層心理の深いところでは自分のことが好きではない、という自己否定の感覚をどこかに隠し持っていたりするのです。

本当の自分を認めたくない、できないところや弱さやダメなところを否認して、本当の自分を隠したがり、自分は承認され評価されるに値する人物でなければならない、そうでないと恥ずかしいと、プライドが傷つくことを極端に恐れます。

また、そのような自分を誰かに見られて見下されたり、バカにされたりすることを恐れて、「他人を無価値化する」ことで、恐怖と不安から逃げようとするのです。

つまりマウントを取ること自体が不安の表れなのです。

ではマウント癖のある人の特徴を次にいくつか挙げてみます。

・本当は自分に自信がなく裏では自己否定を抱えている
・常に人よりも価値のある自分でなければならない
・頑張ることがやめられない
・他人にどう見られているのかなど、他者評価や承認に非常に敏感
・少しのミスや失敗に過剰に落ち込む
・他人と自分を常に比較する
・勝ち負けにこだわる
・人間関係は上下で判断して態度を決めている
・恥の恐怖を過剰に恐れている
・本当の自分の弱さやできないところや欠点を認められない
・間違いに気づいても謝れない

など、これらのいくつかに該当するようであれば、まずは自己否定の問題を掘り下げて、その問題に向き合うことが重要です。

■「被害者ポジション」でマウントを取る人

人が過去の身の上話をするときに、その話を遮(さえぎ)って自分の不幸話を持ち出す人に出会って困惑した経験はありませんか。

例えば、

「私はあなたよりもひどい目に遭ってきた」
「あなたなんかいいほうよ」
「あなたには家族がいるけど私は離婚してシングルよ」
「小さい頃からいつも私は虐待されてきたサバイバーなのよ」
「あなたなんてまだ旦那がいていいじゃない」

他人の話を遮り奪ってまでして、自分の不幸話をとうとうと語り始めます。

周りは困惑して黙って聞くしかありません。

「自分が世界一不幸な被害者」だと言えば、周りを圧倒できて優位に立つことができるわけですから、私のように不幸な者はいない、と訴え続けます。まさに不幸であることを過剰に強調して訴えることから「不幸マウント」と呼んでいます。

これは、

「私を一番大事に扱ってほしい」
「誰よりも私に関心を持ってほしい」

という自己中心性の表れでもあります。そして、同時に周りから承認と称賛と愛情を求めている証拠です。つまり寂しさや孤独の問題を抱えていることが考えられます。

これは幼児期に両親に愛してもらえず、欲求や甘えを受け止めてもらった経験が少ないか、無視されてきたか、役に立たなければ認めてもらえなかったという、過去の幼児期の傷つきを乗り越えられていない可能性があります。

「私は不幸だ」とことさらに強く訴える理由には、私を大事にして、愛してほしい、受け入れてほしいという幼児的な満たされない欲求や依存心が影響しているのです。

膝を抱えて悲しそうな顔をして座っている少女
写真=iStock.com/anurakpong
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/anurakpong

■自分の中の愛情欠乏感や寂しさに向き合って癒す

なぜ不幸なのに、それが自慢になるのでしょうか。

それは、誰よりも不幸でいたら周りに注目される、承認される、黙らせることができる、同情と慰めの言葉をもらえる、などの心理的な利得(メリット)がたくさんあるからです。

このような不幸マウントを取る人は、そういう自分にどこか酔いしれている部分があり、周りからの注目や承認や同情や共感を集めることで、一瞬満たされた気分になるので気持ちが楽になれるわけです。

だからこそ「私はいつも不幸/被害者」というポジションを取ろうとします。

そうすることで、「私は自分の人生に責任を取る必要はありません」ということにしたいのです。こういった依存心や敵意が根底にあることが問題です。

これを解決するには、自分の中の愛情欠乏感や寂しさ、空虚感や孤独感に徹底的に向き合って癒すしかありません。

■「他人より優位に立ちたがる人」への対処法

さて、ここまで様々な「他人に対してマウントを取り優位に立とうとする人」についてお話ししてきました。

ではこのような人に出会ったらどうしたらいいのか。

まずは相手を冷静に客観視して観察してみることが大事です。

そのためには、少し距離を置いた関係性であることが望ましいでしょう。

私がよく相談を受けるのは「自分に対してマウントを取ったり、愚痴や他人の悪口を常に自分に対して吐き捨てられたりするのが耐えられない、どうしたらいいものか」というケースです。

この場合は、嫌なことをする相手を本人が受け入れているのではないかと考えます。

そもそも、そのような人物に近寄られて不快なことをされても、断らずに受け入れてしまうとその後もずっとその人から不快な扱いを受け続けることになります。

「私はあなたの心のゴミを受け入れます」というメッセージになっているのかもしれません。

また、マウントを取る人や自己愛性の強い傲慢不遜な人物に対しては、闘うよりもスルーすることが大事です。

私も以前ある講演会で隣り合わせに座った女性経営者の自慢話をずっと聞かさせられて辟易していましたが、私はあることをしました。

それは頷いたり、相槌を打つことを控えることです。

目線もあちこちを見たり遠くを見たり、何かが気になるそぶりをしたり、反応を薄くしました。すると、彼女は私に近寄ることはなくなっていったのです。

大鶴和江『「ずるい攻撃」をする人たち』(青春出版社)
大鶴和江『「ずるい攻撃」をする人たち』(青春出版社)

このスキルは「ラポール切り」と呼ばれるテクニックで、あからさまな拒絶ではなく、その人と適切な距離を取ることができます。縁を切りたい人には効果大です。

または、このような人とどうしても関わりを切れないという方は、自分の両親のどちらかに似た要素をその人に投影しているため、心が凍結し麻痺してしまっているのかもしれません。

その場合は、その人に関わることで自分という存在を感じられているのかもしれませんので、嫌な人と関わること自体が心理的な利得(メリット)となっている場合が考えられます。

そのようなケースでは、いきなりご縁を切ると恐怖が強くなってしまうので、慎重にその恐怖の根源である、両親とのトラウマを解決することを優先させましょう。

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大鶴 和江(おおつる・かずえ)
心理セラピスト
心理分析・心理セラピー講師。大分県生まれ。児童養護施設で8年間過ごした体験から、さまざまな心理学や心理療法を学び、2005年に独立。延べ1万人以上の心の悩みを解決し、現在も福岡と東京を拠点として活動している。独自の心理療法「リトリープサイコセラピー」を考案。問題の利得にフォーカスしたセッションは、「悩みがリバウンドしなくなる」と評判。著書に『自分を縛る“禁止令”を解く方法 見えない「利得」に気づくと、すべての問題は解決する』(大和出版)などがある。

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(心理セラピスト 大鶴 和江)

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