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「一日一言」書くだけで問題解決能力がアップする…本当に頭のいい人がやっている「メモの取り方」

プレジデントオンライン / 2024年7月16日 7時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/nortonrsx

言語化のスキルを高めるにはどうすればいいのか。ノート術研究家の山田智恵さんは「日々の出来事や心情をノートに書き出し、定期的に振り返るのが有効だ。最初は『今週はちょっと疲れてたな』『よく頑張った1週間だった』くらいの振り返りでいいので、習慣にしたほうがいい」という――。

※本稿は、山田智恵『最高の未来に変える 振り返りノート習慣』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■ノートを「書くだけ」ではもったいない

人生を豊かに生きるために、私は、ノートを使った振り返りを実践し、その振り返りノート習慣を提唱しています。

ノートは、内面を映す鏡となります。

日々の出来事や心情をノートに書き出し、振り返ることで、心の内に秘めた想い、どう生きたいと思っているのか、自分の関心、思考パターンや行動のクセ、自分の根っこにある信念が見えてきます。

自分自身を振り返る内省は、自分とコミュニケーションをとる方法とも言えるでしょう。

この振り返り方法は、「書く」と「振り返る」を分けてやります。

書くだけではなく、「書いたことを振り返る」ところが大切なのです。

なぜなら、書くだけでは見えなかったものが、振り返りではじめて見えてくるからです。

そんな振り返りの際に活用できるのが、7つの振り返りスキルです。

この7つのスキルを身につけることで、思考・感情といった内なる声を言語化し、行動を加速させていくことができます。

また、出来事をどう捉えるか、自分をどう捉えるか、という認識自体を鍛えることができます。

今回は、そんなスキルのひとつである「抽象化」についてお伝えしていきましょう。

■「まとめて言うと何だろう?」と考えてみる

あなたの周りに「要するにこういうこと?」と話をわかりやすくまとめてくれる人はいないでしょうか? そういう人は抽象化が得意な方です。話の枝葉をバッサリと捨て去り、本質をわかりやすい言葉でまとめていく力が、抽象化スキルなのです。

私が最高の未来をつくるために行っている「振り返り」では、日々ノートに書き出した具体的な事象の枝葉をバッサリと落として、幹となる部分や、奥底に隠れていた根っこを見つけ出していきます。

ノートの中には、仕事のこと、家族のこと、趣味のこと、読んだ本のことなど、いろんなことがバラバラに書かれていると思います。このバラバラの情報から、着目すべきものを取り出して、まとめていきます。一見、関係ない話に見えるものも、共通点を探し出して、「まとめて言うと何だろう?」と考えてみましょう。

■毎週、振り返りを続けることで「見えてくるもの」

では、何に着目して抽象化すればいいのでしょうか?

木にたとえてみましょう。まずは、葉っぱにあたる部分(自分の状態、気になっていること、大切な人)が見えてきて、徐々に幹の部分(関心、強み、思考・行動パターン)が見えてきて、根っこの部分(パターンを生み出している信念や固定観念、望み)にたどり着きます。

【図表1】抽象化の概念図
出所=『最高の未来に変える 振り返りノート習慣』

8つの項目に分けて、それぞれ事例とともに説明しますが、毎週8つの項目すべてを書き出す必要はありません。最初の3カ月は葉っぱが見える期間だと思って①~③を振り返ってみてください。3カ月~6カ月経って振り返りに慣れてきたら④~⑥を、6カ月以上経ったら⑦~⑧を振り返ってみてください。

抽象化を深めていくには、振り返りの蓄積が必要になります。

特に、幹と根っこは、1週間の記述の中から見つかるというよりも、毎週の振り返りを続けている内に、振り返りの蓄積ができて、徐々に抽象度の高いものが見えてきます。

今回は、最初に取り組む①~③について解説していきましょう。

■自分を客観視して「言語化する習慣」を持つ

①自分の状態

今週の自分の状態はどうだったでしょうか?

頭と心と体、それぞれに着目してみましょう。言語化に慣れていない間は、「今週はちょっと疲れてたな」「よく頑張った1週間だった」くらいの振り返りでも大丈夫です。自分の状態に気づけることは、自己理解の第一歩になります。まずは自分を客観視して、言語化する習慣を持つことが大切です。

今週はいい感じで仕事がはかどった。時間管理をやめて、タスクをリスト化したタスク管理方法の方が動きやすいのかも。

家族の旅行の予定を立てたら、みんな喜んでくれて、エネルギー満タンで1週間を過ごせた。こういう楽しい予定は年に何回か入れたいな。

毎日の記録がすべて説明調で、感情表現が乏しいことに気がついた。感情が、鈍くなっているのかもしれない。もう少し敏感になってみよう。

■「心に引っかかったこと」を言葉にしてみる

②気になっていること

何か気になっていることはあるでしょうか?

心配やモヤモヤなどのネガティブな感情で気になっていることもあれば、何かに惹かれるなどポジティブな感情で気になっているものもあります。自分が気になっていることを言葉にしてみましょう。

腸活っていうキーワードが気になった。発酵食品を調べてみようかな。

「お金」について書いてあることが多い。お金のことを考えるのは、はしたないって思っていたけれど、もっとちゃんと考えてみたいのかも。

SNSでシナリオライターの講座を見つけた。ちょっとだけ気になっている。

外資系企業で働くYさんの事例です。

当時、新しいプロジェクトチームに入り、慣れないことが多く、ストレスが多い日々を送っていました。仕事量が増えて疲れていたり、上司にあたるプロジェクトマネジャーとうまくいかなかったり、体調が悪かったりと、いろんなことが重なって、何が自分のストレスになっているかが、自分でもわからなくなっていた時期でした。

パソコンの前でうつむくビジネスマン
写真=iStock.com/shironosov
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/shironosov

ところがノートを見返すと、ストレスのもとが明確に見えてきました。例えば、こんなことを書いていました。

・プロジェクトマネジャーの仕事の進め方やキャラクターに慣れない。気にしないようにしているけれど、ストレスになっている。感情的で威圧的で、それに引き込まれないようにしている。

・プロジェクトマネジャーがまた感情的になったけれど、自分は落ち着いていられた。改めて、自分自身は人として品格は大事にしようと思った。

・外部コンサルの人とのミーティング。プロジェクトマネジャーの威圧がすごすぎて、嫌な気持ちになった。このプロジェクトの引き際を考えよう。

■「上司との関係が最大のストレス」だと自覚できた

このように、ノートの記録にはYさんの上司にあたる「プロジェクトマネジャー」とのいざこざの話が圧倒的に多かったのです。1週間に何度もこの上司の名前が出てきていました。ノートで客観的に振り返ることで、この上司との関係が、最大のストレスであることが自覚できました。

山田智恵『最高の未来に変える 振り返りノート習慣』(かんき出版)
山田智恵『最高の未来に変える 振り返りノート習慣』(かんき出版)

実は、ストレスは元凶がわかると、半分くらいは解決したようなもの。Yさんは「このプロジェクトマネジャーとの関係にまずは対処しよう」と自分にできることをやる決意ができました。その後、何度も話し合いをし、自分がどんなことを嫌だと思うか、どんな関係を望んでいるかを伝えました。そのプロジェクトマネジャーも、Yさんの仕事のことを前よりも理解し、態度が大きく改善されたそうです。

ノートに書くと明らかに見えますが、実際の日常生活の中だとあれこれ考えないといけないことが多く、しかも、それぞれが複雑に絡み合い、何が気になっているのか、自分でもよくわからなくなってしまうことがあります。そんなときに、ノートが壁打ち相手となってくれて、気になっていることを特定するのに役立ってくれます。

従業員と面接する管理職の男性
写真=iStock.com/mapo
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

■振り返って大切な人や縁を見つける

③大切な人・キーパーソン

あなたにとって、大切な人・キーパーソンとなるような人はいたでしょうか?

もし見つかったら、左ページにその人の名前を改めて書き出し、その人が自分にとってどう大切なのか、どんな存在なのかを言語化してみてください。人間社会は、人の縁でできています。大切な縁を見つけ出し、その縁をより活かすことができると、一人ではできなかったことを成し遂げることができます。

前職の同僚の小川さんと渡辺さんは、いつも新しい挑戦をするときに応援の言葉をくれる。ありがたい。二人が何かはじめるときは、私も応援しよう。

美容室でお世話になっている石田さん。私にとってサードプレイスのような場所で、気取らず話せてホッとする。

転職を考えていることを先輩の鈴木さんに伝えたら、相談に乗ってくれた。前も困っているときに、スッと手を差し伸べてくれたのを思い出した。

■ノートを記録して気づいた「パートナーの大切さ」

結婚して12年、二人の子どもにも恵まれ、忙しく過ごしてきたMさんの事例です。奥さんのことは、だんだんと当たり前の存在になってしまい、感謝の気持ちを忘れていました。

ところが、ノートの記録を振り返ると、奥さんのことがたくさん書かれていることに気がつきました。

・ランチでの出来事を妻と一緒にいることで笑い飛ばせた。妻と一緒だったら、たいていのことは笑い飛ばせる気がした。

・仕事をすること、お金を稼ぐこと、家庭を守ること、どこか一人でやらなきゃいけないって思ってたけど、妻と二人でやればいいんじゃないかって思った。自分には頼もしいパートナーがいるんじゃないかって改めて気づいた。

・友人のKさんと話していて、ずっと行きたくても行けていなかったお墓参りに行くことを後押ししてくれたのは妻であることに気づいた。普段の会話から妻が自分の思いを後押ししてくれたということに気づいた。

ノートを見返していると、奥さんは、自分が思っていたよりもずっとMさんのことを支えてくれたり、自分の力になってくれていると気がつくことができたそうです。そこに気がついたあとは、奥さんが自分のためにと考えて行動していることに、前よりも意識がいくようになりました。改めてお礼を言うこともできるようになったそうです。

みなさんも、たった数分でいいので、振り返る時間を持つことを習慣化してみてください。

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山田 智恵(やまだ・ともえ)
ダイジョーブ代表取締役
1977年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。父親が経営する会社に入社するも、2009年にリーマンショックの煽りを受けて、民事再生を申請。創業者である父と家族全員が会社を去ることとなり、一家全員無職になる。2010年からノートを使った振り返りをはじめ、人生が好転。転職した一部上場企業ではソーシャルメディア事業部部長として活躍し、外資系ベンチャー企業の役員を同時に務める。2016年にダイジョーブを起業。自身が実践していた、自己理解を深める内省手法を「ミーニング・ノート」というメソッドにまとめ、講演やワークショップを実施している。著書に『ミーニング・ノート 1日3つ、チャンスを書くと進む道が見えてくる』(金風舎)、『できる100の新法則 Instagramマーケティング』(インプレス)(共著)などがある。

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(ダイジョーブ代表取締役 山田 智恵)

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