ヤメNHK3人の明暗クッキリ…「態度はXL」青井実 「関口宏の後釜」膳場貴子の新番組が若い世代に刺さった訳
プレジデントオンライン / 2024年7月10日 10時15分
春クールが終わった。今期は新たにMCに就任した元NHKアナウンサー3人が注目された。
今年初めにNHKを退職し、4月からフジ「LiveNewsイット!」(月~金曜午後3時45分~、以下イット!)のメインキャスターとなった青井実アナ(43歳)。
TBS「サンデーモーニング」(日曜午前8時~、以下サンモニ)、の総合司会となった膳場貴子アナ(49歳)。
そして日テレで「with MUSIC」(土曜午後7時56分~、以下MUSIC)の司会となった有働由美子アナだ(55歳)。
概要を先に言えば、青井アナの場合、個人視聴率(世帯内の4歳以上の家族全員の中で、だれがどのくらいテレビを視聴したかを示す割合)こそ改善につながらなかったもののコア層(13~49歳までの個人視聴率)が少し上がった。膳場アナは高齢者に逃げられたが、Z世代を改善させた。善戦した2人に対して、有働アナは同局同枠の番組と比べ全世代で数字を失ってしまった。
“ヤメNHK”3人の3カ月を、24年度第1四半期「番組決算報告」として詳しくチェックしていこう。
■3人の明暗
3人の明暗ははっきり分かれた。
青井アナと膳場アナが起用された番組は、個人視聴率こそ前任のMC時代と横ばいだった。
ところが青井アナの「イット!」は、75歳以上で7%下落したものの、コア層を5%上昇させた。視聴者層を若返らせたという意味では健闘したと言えそうだ。
膳場アナの「サンモニ」も視聴者層が大きく動いた。75歳以上が23%下落したのは痛いが、逆にZ世代は21%上昇した。プラスマイナスで個人視聴率はほぼ横ばいだった。MCが関口宏(80歳)から30歳以上若返ったことで、広告主のニーズが高い若年層を大幅に取り戻し、司会交代は成功だったと言えよう。
2人に比べ有働アナは大きく躓いた。
18年秋にメインキャスターに就任した「news zero」(日テレ系、平日11時以降)は順調だった。今春「MUSIC」の司会となったが、同局同枠の前番組「世界一受けたい授業」と比べると、Z世代15%減、コア層17%減、75歳以上60%減と、全世代で数字を大きく落とした。個人全体も3分の2に減ってしまった。
■“態度はXL”でも青井アナは及第点⁉
定時ニュースの視聴率は、視聴習慣が大きく左右する。
その中で、青井アナの「イット!」は個人全体が微増し、視聴者層が少し若返ったのはまずまずと言えよう。男女年層別の視聴率を詳しくみると、F1(女性20~34歳)とF3(女性50~64歳)で上昇した。評価する声も聞こえていた。
「なんか雰囲気が良い」
「意外にフジに馴染んでいる」
男性の視聴率も、T層(13~19歳)や2層(35~49歳)で1.2倍に膨らんだ。
NHK「ニュースウオッチ9」降板や退局に際しては、“体はLL、態度はXL”と揶揄されることもあったが、同世代を中心に評価する人も少なくない。
3カ月の成績にも、少し光明が見える。
就任初週は注目度のせいで視聴率も高かった。ただし2週目以降の1カ月間は落ち着いてしまった。それでも5月中旬頃からほんの少しずつ上昇している。“良い雰囲気”や“馴染んだ感じ”がゆっくり視聴習慣を作り出しているようだ。
夕方の裏の民放3ニュースと比較してみよう。
65歳以上で大きく後れをとっているため個人視聴率は最下位だ。ところが、F1(女性20~34歳)ではテレ朝「スーパーJチャンネル」やTBS「Nスタ」と互角、F2(女性35~49歳)・M1(男性20~34歳)ではテレ朝の上、さらにMT(男性13~19歳)・M2(男性35~49歳)ではテレ朝もTBSも抜き、トップを行く日テレ「news every.」に迫っている。
スポンサーの評価はさほど悪くないはずだ。
当初3カ月の「決算報告」として、及第点と言えよう。
■老若で膳場アナの評価は真逆
「サンモニ」も大きく若返った。明らかに関口宏から膳場アナに交代したことが影響している。
75歳以上の視聴率は、10%弱から7%台半ばまで下がった。
ところがZ世代では、1.2倍に急伸した。1層(男女20~34歳)の上昇が要因だ。
高齢者の膳場評は芳しくない。
関口時代は「なんかよくわかんないなぁ」などと、一見ボケたような反応に親しみを感じる人が多かった。ところが膳場アナはニュース項目への反応が乏しい。まるでNHKニュースのようで、人間味のなさが“退屈”“つまらない”と映り、最初の1カ月で脱落者が続出した。
「抑揚がなくつまらない原稿の読み方」
「表情のない鉄仮面」
「無難な進行は退屈」
しかし、若年層は評価が高かった。
「本当に知的で、とてもお綺麗な女性」
「49に全然見えない」
“自分事”と感じやすくなったこともあり、徐々に増えた若年視聴者がボリューム層となる高齢者の穴を埋めたようだ。やはりスポンサーの評価は悪くないはずで、当初3カ月の「決算報告」としてはまずまずだろう。
■有働アナは路線変更が裏目!?
まずまずの船出をした2人に対して、「MUSIC」の有働アナは苦戦中だ。前番組「世界一受けたい授業」と比べ、全世代で視聴率を大きく落とした。
75歳以上の視聴率では、6%を超えていたが半減以下に落ちた。
頼みのZ世代もコア層も、8掛けに減った。結果として個人全体も3分の2に収縮してしまった。しかも75歳以上は、右肩下がりが続いた。Z世代も微減傾向だ。当初3カ月の「決算報告」としては、黄色信号点灯と言わざるを得ない。
では音楽番組として先行する他局の2番組と比較してみよう。
まもなく放送開始40年という長寿番組「ミュージックステーション」(金曜夜9時~、以下Mステ)と、2020年春に始まり今クールから2時間に拡大した「CDTVライブ!ライブ!」(月曜夜6時半~、TBS系)だ。
タモリ司会の「Mステ」にはC層(男女4~12歳)を除く全世代で負けている。
また「CDTV」に対しては、個人全体や50歳以上で上回っているが、コア層やZ世代で後塵を拝した。C層やT層で敗れ、特にFT(女性13~19歳)で1.6倍の差をつけられたのが大きい。
日テレの音楽番組は、G帯(ゴールデンタイム・夜7~10時)では34年ぶりだ。狙いは「若者の獲得」だったはずだ。しかもヒット番組「世界一受けたい授業」を終了させてまで臨んだ大勝負だった。
ところが若年層で数字を落としてしまった。
55歳の有働アナは、出演者とも30~40歳ほどのギャップがある。「紅白歌合戦」の司会を7回務めたとはいえ、かなり前の話だ。2018年10月以降は「news zero」のキャスターを担当したため、若者には報道というイメージが強いのかもしれない。
ヤメNHK3人の明暗。
青井アナと膳場アナは、同じ報道路線で無難なスタートを切った。ところが報道から音楽番組へと大きく舵を切った有働アナは、前番組や他局の同種番組と比べると苦戦を強いられている。
番組の成否はキャスター1人の責任ではないものの、番組の狙いと存在感が合っていないという問題はある。
キャスターのあり方を、3カ月の「決算報告」は炙り出していると言えそうだ。
----------
次世代メディア研究所代表 メディアアナリスト
愛知県西尾市出身。1982年、東京大学文学部卒業後にNHK入局。番組制作現場にてドキュメンタリーの制作に従事した後、放送文化研究所、解説委員室、編成、Nスペ事務局を経て2014年より現職。デジタル化が進む中、業務は大別して3つ。1つはコンサル業務:テレビ局・ネット企業・調査会社等への助言や情報提供など。2つ目はセミナー業務:次世代のメディア状況に関し、テレビ局・代理店・ネット企業・政治家・官僚・調査会社などのキーマンによるプレゼンと議論の場を提供。3つ目は執筆と講演:業界紙・ネット記事などへの寄稿と、各種講演業務。
----------
(次世代メディア研究所代表 メディアアナリスト 鈴木 祐司)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
あれっ?落合博満のヒゲがない! バッサリで激変...伸ばしていた仙人ヒゲの理由も判明
J-CASTニュース / 2025年1月19日 18時11分
-
落合博満氏、伸ばしていたヒゲをそっていた…「サンモニ」膳場貴子アナに「すっきりされましたね」
スポーツ報知 / 2025年1月19日 9時25分
-
TBS「サンモニ」中居正広のトラブルを報道、膳場アナ「取材を続け…報じるべき事実があればお伝え」
スポニチアネックス / 2025年1月12日 9時10分
-
張本勲さん、大谷翔平に「盗塁そんなにいらない」 「大あっぱれ」にも注文「バッティングに専念して」
J-CASTニュース / 2025年1月7日 11時15分
-
バケツの底が抜け始めたNHK受信料収入は1年で429億円減…全世界に売れば生き残れる"巨大鉱脈"の4つの番組
プレジデントオンライン / 2024年12月29日 10時15分
ランキング
-
1共通テストで不正4件 机上に数学の公式書き込み、試験終了後に解答
毎日新聞 / 2025年1月19日 22時41分
-
2「認知症」は治るの? 予防法や初期症状など気になるギモンを医師が解説
マイナビニュース / 2025年1月19日 10時30分
-
3iPhoneで「見られたくないアプリ」を隠せるって本当? アプリを非表示にする方法とは
オールアバウト / 2025年1月19日 21時25分
-
4たこ焼き屋を営んでいた50代男性の後悔。「タコの代わりに入れたもの」がバレて店が潰れるまで
日刊SPA! / 2025年1月19日 8時53分
-
538万円で“運転免許不要”な「“軽”自動車!?」がスゴかった! 400kgの“超軽量ボディ”&MT採用の「斬新モデル」! “RR”採用の全長2.7m級“2人乗りマシン”「フライングフェザー」とは
くるまのニュース / 2025年1月19日 16時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください