すぐに動けないのは「意思が弱いから」ではない…仕事がサクサク進む人がメモに書いている「6つのこと」
プレジデントオンライン / 2024年7月17日 7時15分
※本稿は、山田智恵『最高の未来に変える 振り返りノート習慣』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
■「具体化」できれば、行動力は格段に高まる
ノートに日々の出来事や感じたこと、気付いたことを書き留め、それを振り返って内省する「振り返りノート習慣」をつけることで、人生の質は各段にアップします。
その振り返りの過程で活用するスキルのひとつが「具体化」です。
振り返りにおける具体化スキルとは、行動できるように落とし込むことです。
もしあなたがなかなか行動へ移せないとしたら、それは意志が弱いからではなく、ただ具体化するスキルが弱いだけかもしれません。具体化できたら、とたんにスッと動けるようになる人はたくさんいます。
振り返りで具体化スキルを鍛えていくと、行動に移すスピードが格段に上がっていきます。
具体化できていない例を見てみましょう。
ある年に私は、「綺麗な場所でワーケーションをしてみたい!」とノートに書いたことがありました。
しかし、2年経っても、実現できませんでした。
これだと、いつ行くのか? 綺麗な場所ってどこなのか? 何泊するのか? 予算はいくらなのか? 何も具体化されていないため、とても動きにくいのです。
■「本当にやりたいことか」が明確になる
そこで、こんな風に具体化してみました。
「3月の最初の週末に、箱根の温泉旅館で、予算5万円で3泊のワーケーションをしてみよう」
かなり具体的になりましたね。ここまで具体的になるとスケジュールに入れることができますし、宿泊先も探しやすくなって、行動しはじめることができます。
もし、自分のことを「行動力がないな」「最近、変化がないな」と思っていたら、やりたいことを今すぐ動けるまで、細かく具体化してみてください。
具体化する良さは、もうひとつあります。
それは、本当にやりたいことかを確かめることができる、ということです。
抽象的なままだと、本当にやりたいのか、そうじゃないのかを確かめられません。そうすると、いつまでも「やりたいこと」だと頭で思い描きながらも、実際には行動するまでには至らず、「私は実現できない」と自分を責めてしまうこともあります。
具体化したときに、「あれ? そんなにやりたくないかも?」と気づくこともあります。それを発見することで、自分が本当にやりたいことを見つけ出すきっかけになります。
■大学時代からの憧れ「パリに住む」体験ができた
ちなみに、先程のワーケーションの例ですが、私は具体化してみたところ、「温泉に行って、ワーケーションか。老後でいいかなぁ」と思ってしまいました。そこで、もっとワクワクする具体化案を考えてみました。
「8月の3週間、友達の住んでいるヨーロッパに行って、ワーケーションをしてみよう」
こう具体化したときに、私ははじめてワクワクできました。いや、ワクワクを通り越して、考えただけでドキドキしはじめたのです。何しよう! どこに行こう! どんな毎日を過ごそう! と、具体化したいことが一気に花が開いた瞬間でした。それと同時に、じゃあいくら必要なのか? 仕事の調整はどうするのか? ということも考えるなど、実現に向けて行動しはじめました。
結局、私が決めたのは、「パリで、2カ月の長期滞在ワーケーション」でした。これが最もワクワクしたのです。具体化することで大学生のときからの憧れだった、「パリに住む」体験ができました。
振り返りでは、抽象化スキルで見つけ出した関心や望みをどんどん具体化して、行動していきます。抽象化スキルと具体化スキルをいったりきたりすることで、その効果はより大きくなっていくのです。
■具体化するための6要素「4W1H+予算」
具体化とは、行動に落とし込むことです。
ノートに書いた具体的な記録を見て、行動してみたいことを思いつく場合もあるでしょう。もしくは、抽象化したことから、何か行動してみたいことを思いつく場合もあると思います。どちらでも構いません。
具体化の大切なポイントは、「今すぐに動けるまで落とし込む」ことです。
行動が早い人は、この具体化が得意です。具体的になっていると、動きやすくなるからです。
やりたいことがあるのに全然行動できていない方、いつまでも夢が実現されない方は、根性論にまどわされずに、ぜひこの具体化スキルを鍛えてみてください。
具体化するには、5W1Hならぬ「4W1H+予算」に落とし込んでみましょう。
Where(どこで?)
Who(誰と?)
What(何を?)
How(どうやって?)
How much(いくらかかる?)
この4W1Hをクリアにすることで、具体的になり、動きやすくなります。
「いつ?」は日付まで決めてみましょう。
「どこで?」は、エリアをできるだけ細かくしてみましょう。
「誰と?」は、固有名詞を入れてみてください。
「何を?」と「どうやって?」は、自分がどう動けばいいのかが、はっきりとイメージできるまで落とし込んでください。
■必要な予算が決まれば、「次のステップ」に進める
例えば、「英語を勉強する」だけだと、教科書を読むのか、ヒアリングをするのか、英会話スクールに通うのか、選択肢が多すぎて、実際にどう動いていいかがわかりません。誰が聞いても同じ動きができるまで具体化してみましょう。「◯◯の教科書の56ページから64ページまで読んで、わからなかったところにチェックを入れる」まで具体化したら、誰が聞いても、同じ行動をとれます。
最後に、予算が必要な場合は、いくら必要なのかを決めてください。
実際に費用を調べてみると、「たったこれだけ?」と思った以上に少ない場合もあります。また、思った以上に予算が必要な場合は、どうやってその費用を工面するのかを考える次のステップへいけます。
自分の頭で考えなくてもできる、最も簡単な具体化の方法があります。
それは、検索してみること。
こんな当たり前で、簡単なことをやっていない人は意外と多く、「うーん、うーん、何からやればいいのか」と頭を悩ませてしまう人も多いんです。
■最も簡単な具体化の方法は「検索」
インターネットとSNSの登場によって、ありとあらゆる情報にアクセスできるようになりました。
どうやって?(How)に関しては、もう追いきれないほど情報はあふれています。もはや自分で考える必要はゼロなのです。
例えば、「いつかエジプトに行ってみたい」と思っていた方がいました。ふんわりとした憧れでとどまっていたので、エジプトに旅行に行くためにいったいいくら費用がかかるのかも知りませんでした。でも、ネットで検索したら、一発で出てきます。いくら必要なのか、何月に行くのがおすすめなのかわかったら、あとは、いつ実現するのか決めるだけ。
インターネットがない時代は、わざわざ詳しい人を見つけて聞きに行ったり、旅行会社まで出向いて窓口で聞いたりする必要がありました。そういう時代に、具体化するのは大変だったと思います。でも、今はスマホを取り出せば、たった数秒で調べることができます。
もちろん、どの選択肢が自分に合うかは、実際に試してみないとわかりません。でも少なくとも、選択肢を見つけ出すことは簡単です。具体化に迷った場合は、まずは検索してみましょう。
■「やりたいこと」と「やらないといけないこと」を分ける
ひとつ注意点があります。義務でやらないといけないToDoリストはスケジュール帳に書いて、この振り返り用のノートには書かないでください。
振り返りノートに書くのは、純度100%の「やりたいこと」だけです。
なぜなら、純度100%の、内側から湧き出るモチベーションの源泉を見つけ出すためには、本当にやりたいことだけに絞って書くことが大切だからです。
大人は日々やることがたくさんあるので、「やりたいこと」と「やらないといけないこと」が、ごちゃごちゃに絡まりがちです。そうすると、どれが本当にやりたいことなのかが、わからなくなってしまいます。
「どうしたいの?」「何かしたいことある?」と聞かれたときに、ふと、「あれ、わからない」となってしまう方は、「やりたいこと」と「やらなきゃいけないこと」が、ごちゃごちゃに絡まっている可能性が大きいので要注意です。
■ノートの中は純度100%の「やりたいこと」で埋める
私は最近、人生ではじめて本気の断捨離をしました。テーブルも、椅子も、ベッドも、照明器具も、クローゼットからあふれる服も、あらゆるものを捨てました。そこで気がついたことがあります。それは、大切なものと、そうじゃないものが、同じ場所に混在していると、何が大切かわからなくなってしまう、ということです。
断捨離前の私の部屋にも、大切なものはありました。例えば、親が買ってくれた鏡台、奮発して買ったクッション、旅先で買った思い出のマグカップ……。でも、これらの大切なものと、たいして気に入ってもいないものが、ごちゃ混ぜに一緒に置いてあると、大切なものまで、色あせてしまうのです。
気に入っていないもの、使っていないものをすべて捨てたら、大切なものが光り輝きはじめました。
頭の中も同じです。やらなきゃいけないToDoと、本当にやりたいことは明確に区別することで、本当にやりたいことが光って見えてきます。
ToDoリストは、スケジュール帳に任せて、ノートの中は純度100%の「やりたいこと」で埋め尽くしていきましょう。
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ダイジョーブ代表取締役
1977年東京生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。父親が経営する会社に入社するも、2009年にリーマンショックの煽りを受けて、民事再生を申請。創業者である父と家族全員が会社を去ることとなり、一家全員無職になる。2010年からノートを使った振り返りをはじめ、人生が好転。転職した一部上場企業ではソーシャルメディア事業部部長として活躍し、外資系ベンチャー企業の役員を同時に務める。2016年にダイジョーブを起業。自身が実践していた、自己理解を深める内省手法を「ミーニング・ノート」というメソッドにまとめ、講演やワークショップを実施している。著書に『ミーニング・ノート 1日3つ、チャンスを書くと進む道が見えてくる』(金風舎)、『できる100の新法則 Instagramマーケティング』(インプレス)(共著)などがある。
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(ダイジョーブ代表取締役 山田 智恵)
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