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上司から「100個のアイデアを出して」と言われたらどうするか…仕事が異常に早い人が無茶ぶりに応えられるワケ

プレジデントオンライン / 2024年7月18日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

どうすれば効率よく働けるのか。デジタルハリウッド大学の橋本大也教授は「本当に重要な仕事に時間を割くために、AIサービスを活用すればいい。ChatGPTを使えば、調べ物や資料作成、メール作成など手間のかかる作業を一瞬で終えられる」という――。

※本稿は、橋本大也『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■人力で行うWeb検索にはいくつのステップがあるのか

ChatGPTやCopilotを活用すれば、これまで人間が1つひとつ対応していた面倒なことや時間のかかる作業が、まるで魔法のように一瞬で完了します。

本稿では、ChatGPTを想定した具体例を挙げます。

これまで、気になるキーワードや知りたいテーマをWeb検索する場合、以下のような手順を踏むのが一般的でした。

(1)GoogleやYahoo!などといった検索エンジンを立ち上げる
(2)ほしい情報が得られそうなキーワードを決める
(3)キーワードを検索窓に入力する
(4)検索結果を見て、求める情報が掲載されていそうなページを選ぶ
(5)ページの中身を熟読し、求める情報を探す
(6)求める情報が得られるまで、(2)~(5)、もしくは(4)~(5)を繰り返す

普段何気なく行っているWeb検索を分割してみると、実に6ステップに及ぶことがわかります。

特に時間がかかるのは(4)と(5)でしょう。Web検索に慣れている人や、知りたいテーマに精通している人ならば、すぐに答えにたどり着けるでしょうが、そうでないと意外と時間を取られてしまうものです。

■ChatGPTならWeb検索よりはるかにスピーディーに済む

一方、ChatGPTであれば、以下の4ステップで済みます。

(1)ChatGPTを立ち上げる
(2)質問を入力する
(3)ChatGPTの答えを読み、求める情報を探す
(4)求める情報が得られるまで、(2)~(3)を繰り返す

たとえば、部下との1on1のコツを知りたいとしたら、次のようにそのまま「部下との1on1のコツの要点を短く5つほどにまとめて教えてください」と、ChatGPTに質問すればいいのです。図版1のようにシンプルに答えてくれます。

プロンプト1
図版1 『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

明確で具体的な質問であればあるほど、すぐに明快な答えが得られるため、Web検索に比べて格段にスピーディーです。

さらにChatGPTの場合、キーワードを与えて指示すると、そこからどんどん作業を進めてくれます。キーワードをもとにリストを作り、そのリストをもとに表を作る。その後、各表の中に記載する内容を生成する……といった作業も簡単にできます。これは従来のWeb検索では実現できなかったことです。

■お礼メールはChatGPTに書かせて時間を節約

〈文章作成〉

ビジネスパーソンの仕事の大半は、メールや報告書、企画書など、「考えをまとめて文章を作ること」だと言えるでしょう。

ChatGPTに原案を作ってもらえば、時間を節約しつつクオリティの高い文章を作成できます。たとえば、「初めて商談をした相手に対するお礼メールを500字程度で書いてください」とお願いしてみます。すると、以下のように返してくれます。

プロンプト2
『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

「職場の50周年記念のパーティーの告知メールを作成してください」とプロンプトに入れると、以下のようなメール文をすぐに用意してくれます。

プロンプト3
『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

さらに、「私の職場はかんき出版です。開催日は7月1日 会場はかんき出版セミナールーム カジュアルな文体で」とお願いすれば、以下のように、カジュアルな文体にアレンジしてくれました。

プロンプト4
『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

その他、謝罪文をChatGPTに書いてもらって精神的な負担を軽減する、自分がざっくり書いた文章をChatGPTにチェックしてもらって、ブラッシュアップするといった活用法もあります。

■知識や経験がない人でもデータ分析がこなせる

〈データ分析〉

ChatGPTなら、データ分析も簡単です。

「このデータの中から、顧客の購買動向など? について興味深い事実を7個発見してください」「1つ目の指摘を円グラフにしてください」

このように、データのアップロードと作業指示のみを人力で行えば、残りはChatGPTに任せればいいのです。

本来なら経験や知識が必要だったり、経験や知識を有している人でも面倒に感じてしまったりするようなデータ分析も、ChatGPTなら難なくこなすため、気軽に有益なヒントが得られます。

またChatGPTは人間ではないので、納得がいくアウトプットが得られるまで、何度もやり直しを指示できるのもメリットです。

〈資料作成〉

思考をビジュアライズして資料に落とし込むのも、意外と時間と手間がかかるもの。そんな作業もChatGPTならあっという間にクオリティの高いものを作ってくれます。

■人間なら疲れてしまう「アイデア出し」が瞬時に完了

〈ブレーンストーミング〉

ChatGPTはブレーンストーミングの壁打ち相手としても非常に優秀です。

橋本大也『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)
橋本大也『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)

たとえば、「挨拶の重要性をアピールする20字以内のキャッチコピーを100個出してください」「札幌市の魅力を50個挙げてください」「札幌市の魅力をPRするマスコットキャラクターを10種類挙げて、それを絵にしてください」などにも応えてくれます。

人間であれば、どんなに得意な人であっても、キャッチコピーを100案出したり、対象物の魅力を50個挙げたりするのは辛いもの。一方、ChatGPTであれば、瞬時に多くの情報を調べて、大量のアイデアを出してくれます。

人間の場合、ここまでタフで優秀なアシスタントを見つけ出すのは至難の業でしょう。

私たちは、ChatGPTが挙げてくれた大量の案のうち、特にクオリティの高いものをピックアップしたり、それらをアレンジして完成度を高めたりするだけでよいのです。

〈要約やコメント、添削など〉

文章を読んでそれを要約したり、添削したり、適切なコメントをつけたりするのは、得意・不得意が分かれる作業です。とはいえ、特に管理職クラスになると、部下の作成した文章にコメントする機会は多くあります。

そんなときは、対象となる文章をChatGPTにコピー&ペーストして、自動で作業してもらいましょう。

あなたがすべきは「この文章のよい点を3つ、改善点を3つ見つけて、それぞれ150字以内で教えてください」「この文章を300字程度に要約してください」と指示することだけです。

以上のように、ChatGPTを使えば、時間がかかる作業や気の重い作業もあっという間に完了できます。

作業の部分はChatGPTに任せて、自分は本当に重要な業務や頭を使う仕事に時間を割く。

――これこそ、ChatGPT時代の「頭のいい人」の働き方なのです。

■豆腐の作り方も発泡スチロールの作り方も知っている

何か(What)だけでなくどうやるか(How)を調べるのも得意です。

図表1は【○○を作る手順を図にして】で出力した表です(GPTsのDiagrams:Show Meを使用)。

【図表1】○○を作る手順を図にして】で出力した表
『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

ChatGPTはさまざまな手続きと手順を学習していることがわかります。豆腐、半導体、カレー、テレビ、発泡スチロール、ガンプラ(ガンダムのプラモデル)、豆腐、真空管、国家、ChatGPT、iPhone、南部せんべい……あらゆるものの作り方を知っています。豆腐作りにはにがりが必要なことや、南部せんべいは米粉ではなく小麦粉から作ることも知っているのです。

■手順を分解させた上でひとつひとつの作業を任せる

中には手順をChatGPTに作業させることができるケースもあります。たとえば、iPhoneの作り方のフローには「設計と仕様の決定」という大きなプロセスが含まれていました。そこで「設計と仕様の決定の手順を図にして」と依頼すると、さらに次のフローに細分化されました。

【図表2】設計と仕様の決定の手順を図表化
『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

手順を調べたうえで、その実行までできることもChatGPTの強みです。たとえば、「iPhoneの市場調査をして」と指示すると、iPhoneの市場に関する情報を集めてきます。

その後に続く「ターゲットユーザーの特定」や「競合分析」といった項目もChatGPTに任せればOKです。作業手順を小さく分け、ChatGPTにできそうなタスクにすることで、ホワイトカラーの仕事を劇的に効率化できます。

■データファイルをアップロードして分析を依頼

ChatGPTは収集した情報をデータサイエンティストのように分析することができます。

人間の作業は、データのファイルをアップロードして分析を依頼するだけです。

たとえば、先日、統計局が2023年度家計調査の最新版を発表しました。このデータは、2020年度のデータと比較すればパンデミック前後の消費の変化が見えてくるという興味深いものでした。このExcelのファイルをChatGPTにアップロードして「2020年と比較して変動が大きな10項目を抽出して」と命じると、こんな回答がありました。

プロンプト5
『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

これらの項目から、特に旅行とエンターテインメント関連の費用が顕著に増加していることがわかります。消費者のレジャー活動への支出意欲の増加や、旅行業界の価格動向など、複数の要因がこのような変動に寄与している可能性があります。

■きれいなグラフの作成もお手のもの

さらに「これらの10項目の経年変化を読みやすいグラフにしてください」と指示すると、きれいなグラフが出力されました(日本語でグラフを作成してもらうために、事前にフォントのデータをアップロードしておきました)。

【図表4】「10項目の経年変化を読みやすいグラフに」で出力された表
『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

この分析結果を受け取るまで、グラフ作成後に、“念のための確認”としてデータにあたりはしましたが、私は一度もデータそのものを見ていません。

データの概要がわかっていれば、「こんな分析をしてほしい」と言葉で指示するだけでいいのです。

ChatGPTはデータ分析でありがちな欠損値や異常値にも柔軟に修正できますし、多彩なグラフを作ってもくれます。データサイエンティストをあなた専用に雇ったようなものなのです。

■ややこしい情報の整理・分類はAIの得意分野

生成AIには複雑な情報を分類・整理する能力があります。

ありがちなパターンを生成するAIなので、ありがちな分類ができます。すなわち完璧ではありませんが、厳密さを要求されない日常の仕事では十分に活用できます。

たとえば、ChatGPTに2023年度のベストセラーの10冊のタイトルと出版社名を与えました。次のプロンプトを与えると本をジャンルに分類しました。『この世にたやすい仕事はない』はタイトルだけ見るとノンフィクションのようですが、中身はフィクションなのでChatGPTの分類は正しいです。

〈プロンプト〉
この10冊をジャンルに分類してください。図書館分類も教えてください
プロンプト6
『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

音楽作品や映画作品のジャンルでも分類ができますし、動物種、車の車種、企業の業種などでもかなり高い精度で分類することが可能です。

分類精度が悪いと感じたら、

〈プロンプト〉
Webを調べながら分類して

と指示すると、時間はかかりますが精度が上がることがあります。

■「ネガティブ/ポジティブ」のような概念でも分類できる

アンケート調査で得られたさまざまな意見を、それがポジティブ(肯定的)なものなのか、ネガティブ(否定的)なものなのかを、ChatGPTに分類してもらうといったこともできます。

ここでは、映画『ハリー・ポッター』に対する意見を、ポジティブかネガティブか分類してもらった例をご紹介します。

ポジティブな意見として分類されたのは、「J.K.ローリングの才能により生み出されたハリーポッターシリーズは、想像力を刺激し、魔法の存在を信じさせてくれます」「ハリーポッターシリーズは素晴らしいファンタジーの世界を作り上げており、魔法と冒険の魅力に満ちています」などでした。

ネガティブな意見として分類されたのは、「ハリーポッターシリーズには暗い要素や不気味な場面が多く、苦手な人にとっては不十分な体験になるかもしれません」「一部のキャラクターの描写やストーリーラインには、ステレオタイプや偏見が含まれていると感じる人もいます」などでした。

以下の意見をポジティブとネガティブに分類してください
J.K.ローリングの才能により生み出されたハリーポッターシリーズは、想像力を刺激し、魔法の存在を信じさせてくれます。
ハリーポッターシリーズには暗い要素や不気味な場面が多く、苦手な人にとっては不快な体験になるかもしれません。
ハリーポッターシリーズは素晴らしいファンタジーの世界を作り上げており、魔法と冒険の魅力に満ちています。
一部のキャラクターの描写やストーリーラインには、ステレオタイプや偏見が含まれていると感じる人もいます。
ハリーポッターシリーズは、キャラクターたちの成長や友情、勇気についての素晴らしいメッセージを伝えています。
プロンプト7
『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

■分類して得点評価し、集計グラフも作れる

既存のカテゴリーへの分類や、アンケートをポジティブとネガティブに分類の他に、得点評価を与えることも可能です。

ここでは説明事例のために架空の本『頭がいい人のChatGPT活用術』に対してポジティブな評価を7つ、ネガティブな評価を3つ生成して、架空の属性(性別、年代)も付与したダミーデータを10件作りました。

プロンプト8
『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

■アンケート調査の結果分析をどう指示するか

このユーザーの評価を分類してみます。

分類結果は以下のようになりました。

ポジティブとネガティブの判定は完璧です。ポジティブ度数の判定は、どうやらたくさんの要素を使って褒めていると高くなるようですね。

微妙なところもありますが、なんとか使えるレベルだと思います。

プロンプト9
『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

次に性別による評価の違いをまとめてもらいました。

〈プロンプト〉
次に性別ごとの要約をお願いします
プロンプト10
『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

よくできたまとめと言えるでしょう。

ここではサンプルが10例ですが、もっと多くのデータがある場合でも、GPTの記憶能力を超えない限りはちゃんと分類をさせることができます。フリーワードでアンケートを集めた後の処理がラクになります。

さらに集計グラフを作成することもできます。次のプロンプトと一緒に日本語フォントをアップロードしました。

〈プロンプト〉
ポジティブとネガティブの比率のグラフ、回答者の男女比のグラフ、回答者の年代別のグラフを作成してください
【図表5】ChatGPTが作成したグラフ
『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

みなさんもぜひ、レポート作成などで活用してみてください。

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橋本 大也(はしもと・だいや)
デジタルハリウッド大学教授兼メディアライブラリー館長
1970年生まれ。ITビジネスのコンサルティング業を経て、ビッグデータ分析と人工知能のベンチャー「データセクション」を創業。同社を上場させ、現職。2024年1月デジタルハリウッドで生成AI教育プログラムを開発するブンシン合同会社CEOに就任し、生成AIの活用を教える「プロンプト・エンジニアリング・マスターコース」を創設。著書に『データサイエンティスト データ分析で会社を動かす知的仕事人』(SBクリエイティブ)ほか多数。

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(デジタルハリウッド大学教授兼メディアライブラリー館長 橋本 大也)

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