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チャットGPTは「質問の仕方」で大化けする…大学教授が教える「AIを自分だけのコンサルにする」方法

プレジデントオンライン / 2024年7月23日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/hapabapa

ChatGPTを仕事にどう生かせばいいか。デジタルハリウッド大学の橋本大也教授は「企業分析をしたいときにはChatGPTに指示すれば、高精度のレポートを出してくれる。さまざまなビジネスモデルの分析手法を用いることも可能だ」という――。

※本稿は、橋本大也『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■ChatGPTに企業分析をさせる方法

ChatGPTはさまざまなビジネスの分析手法を知っています。

有名コンサルティング会社のコンサルタントと並ぶ知識があると考えていいでしょう。分析させたいデータがあるときには、「○○○のデータを○○○分析して」と指示すれば、博学なコンサルタントのように分析を披露してくれます。知名度のある会社については特に何も追加データを与えなくても、かなりの精度の分析ができます。IR資料や会社案内、プレスリリース、報道記事などを与えれば、さらに突っ込んだ内容のレポートを出してくれます。

ここでは、私が教員をしているデジタルハリウッド大学の教育サービスの分析を例にして、有名なビジネスモデル手法を用いてChatGPTが分析した事例をご紹介していきましょう。

一口にビジネスモデルの分析といっても、たくさんの切り口があります。切り口を探すところからChatGPTに任せてみます。

■まずは分析手法からリストアップさせる

まずChatGPTに

〈プロンプト〉
ビジネスモデルのフレームワーク30個

とリクエストして、どのような分析手法があるのか、リストアップしてもらいました。

すると、「ビジネスモデルのフレームワークは、企業やスタートアップがビジネス構造や戦略を考える際の参考になるものです。代表的なフレームワーク30個をリストアップします」という説明とともに、ビジネスモデルキャンバスやSWOT分析、ポーターの5つの競争力、ブルーオーシャン戦略、レッドオーシャン戦略、バリューチェーン分析、PEST分析、4P分析、7Sフレームワーク、アンソフの成長マトリックス、ポジショニングマップ、カスタマージャーニーマップなど30個の分析手法をリストアップしてくれました。

プロンプト1
図版1 『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

ChatGPTを使えばあらゆる分析が簡単にできます。

次からはそのうちいくつかを試してみましょう。

■新規プロジェクトのビジネスモデルを可視化

橋本大也『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)
橋本大也『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)
ビジネスモデルキャンバスを作成させる

ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスモデルを可視化するためのフレームワークです。

新しいビジネスモデルの開発、既存ビジネスモデルの評価、戦略的計画の策定に用いられます。特に、スタートアップや新規プロジェクトにおいて、ビジネスモデルを可視化し、理解しやすくするのに役立ちます。

ChatGPTにビジネスモデルキャンバスとは? と聞いたら、このような解説がありました。

〈ビジネスモデルキャンバスの9要素〉
1.顧客セグメント(CS:Customer Segments)
事業がターゲットとする特定の顧客群
2.価値提案(VP:Value Propositions)
顧客に提供する独特な価値や解決策
3.チャネル(CH:Channels)
価値提案を顧客に届けるための方法や手段
4.顧客関係(CR:Customer Relationships)
顧客との関係をどのように築き、維持するか
5.収益の流れ(RS:Revenue Streams)
事業からの収益源や収入の流れ
6.キーリソース(KR:Key Resources)
事業を成功させるために必要な主要な資源
7.キーアクティビティ(KA:Key Activities)
事業の価値提案を実現するために必要な主要な活動
8.キーパートナー(KP:Key Partners)
事業を運営する上で重要なパートナーシップや協力関係
9.コスト構造(CS:Cost Structure)
事業運営に必要なコストや支出

そこで

〈プロンプト〉
デジタルハリウッド大学の教育サービスのビジネスモデルキャンバスを作成してください

とリクエストしたところ、図版2のような回答が得られました。

プロンプト2
図版2 『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

ChatGPTの9項目の回答をWeb上で配布されているビジネスモデルキャンバスのテンプレート上にレイアウトしてみました。とてもよくできています。

【図表1】ビジネスモデルキャンバスのテンプレートにレイアウトしたChatGPTの回答
『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

■「この会社の強みと弱みはどこか」分析ツールを取り入れる

SWOT分析をさせる

SWOT分析は、Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威)の頭文字を取ったもので、企業や組織の内部環境と外部環境を分析するためのツールとして広く用いられています。

ChatGPTにSWOTとは何かと聞くと以下のような回答がありました。

〈SWOT分析の目的〉
1.企業や組織の現状を把握する
2.戦略の方向性を決める
3.目標を達成するための具体的な計画を立てる
4.リスクを評価する
〈SWOT分析の4要素〉
1.強み(Strengths)
2.弱み(Weaknesses)
3.機会(Opportunities)
4.脅威(Threats)

そして

〈プロンプト〉
デジタルハリウッド大学の教育サービスをSWOT分析して表にしてください

とリクエストしたところ、以下のような回答が得られました。

プロンプト3
図版3 『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より
ポーターの5つの競争力で分析させる

次に試すのは「ポーターの5つの競争力(Porter's Five Forces)」です。特定の業界の競争環境を分析するモデルです。ChatGPTに説明させると、以下の5つの力に基づいています。

〈ポーターの5つの競争力の分析要素〉
1.新規参入者の脅威(Threat of New Entrants)
2.代替品の脅威(Threat of Substitutes)
3.買い手の交渉力(Bargaining Power of Buyers)
4.供給者の交渉力(Bargaining Power of Suppliers)
5.競合他社との競争(Intensity of Competitive Rivalry)

そして

〈プロンプト〉
デジタルハリウッド大学の教育サービスをポーターの5つの競争力モデルの観点から分析して表にしてください

とリクエストしたところ、以下のような回答が得られました。

プロンプト4
図版4 『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

■カスタマージャーニーマップを作成させる

企業とユーザーの接点を時系列で図解するカスタマージャーニーマップのような複雑な図もChatGPTで作成できます。

ここではShow Me Diagrams GPTsを使用します。最初に「カスタマージャーニーマップとは?」と聞くと下記のような回答が返ってきました。

カスタマージャーニーマップでは、ユーザーが商品を認知してから優良顧客になるまでの各段階の重要性やユーザーと企業の間の距離をグラフで表現するオプションがありますが、このGPTsはその複雑な表現も実現しています。

〈5Aカスタマージャーニーマップの要素〉
1.認知(Aware):顧客が商品やサービスを知る段階
2.訴求・考慮(Appeal):顧客が商品やサービスに魅了され比較検討する段階
3.調査・決定(Ask):顧客が商品やサービスを比較検討し購入決定する段階
4.行動(Act):顧客が購入した商品やサービスを体験する段階
5.拡散(Advocate):顧客が購入した商品やサービスを推奨・拡散する段階
〈5Aカスタマージャーニーマップの検討事項〉
1.顧客のペルソナ(Persona):目標の顧客の詳細なプロフィール
2.接触点(Touchpoints):顧客が製品やサービスと接触するすべての点
3.顧客の感情(Emotion):各接触点での顧客の感情や反応
4.顧客の行動(Action):顧客が各段階で取る行動や意思決定
5.痛点(Pain Points)と機会(Opportunity):顧客体験の問題点や改善の機会

そして

〈プロンプト〉
デジタルハリウッド大学の教育サービスのカスタマージャーニーマップを作成してください

とリクエストしたところ、図版5のような回答が得られました。

プロンプト5
図版5 『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

次に作成されたカスタマージャーニーマップを3分割して掲載するので、参考になさってください。

【図表2】ChatGPTが作成したカスタマージャーニーマップ
『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)より

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橋本 大也(はしもと・だいや)
デジタルハリウッド大学教授兼メディアライブラリー館長
1970年生まれ。ITビジネスのコンサルティング業を経て、ビッグデータ分析と人工知能のベンチャー「データセクション」を創業。同社を上場させ、現職。2024年1月デジタルハリウッドで生成AI教育プログラムを開発するブンシン合同会社CEOに就任し、生成AIの活用を教える「プロンプト・エンジニアリング・マスターコース」を創設。著書に『データサイエンティスト データ分析で会社を動かす知的仕事人』(SBクリエイティブ)ほか多数。

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(デジタルハリウッド大学教授兼メディアライブラリー館長 橋本 大也)

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