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お金のプロが半年前に勧めた銘柄の勝敗を自ら検証…「最も上昇した銘柄&いまから間に合う銘柄」大公開

プレジデントオンライン / 2024年7月19日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yusuke Ide

新NISAのスタートを機に投資本が数多く出版された。お勧め銘柄を挙げた著者も少なくないが、結果はどうなったのか。ファイナンシャル・プランナーの藤原久敏さんは「昨年末に出版した『新しいNISA超入門』で紹介した12銘柄の成績を自ら検証してみると、安定した成果が得られている。いまから投資しても遅くない銘柄も多いので参考にしてほしい」という――。

■半年前の「お勧め銘柄」結果はいかに⁉

新NISAがスタートして、約半年が経過しました。

一般には、低コストで、世界中の資産に分散投資する投資信託をコツコツ積み立てるのが、新NISA投資の王道とされています。

しかし、直接、個々の企業に投資をする個別銘柄こそ、投資の醍醐味だと私は思っています。ただ、個別銘柄はリスクが大きいがゆえに、その銘柄選びには慎重になる必要があります。

そこで私は、昨年末に出版した著書『新しいNISA超入門』にて、高配当株・優待株・割安/成長株の3ジャンルに分けて、それぞれ4銘柄、合計12銘柄を厳選しました。

いずれも新NISAでの超長期保有を前提に、渾身の力を込めて、おススメしております。

それから半年経った今、おススメした責任を持って、それらすべての銘柄の株価動向*を包み隠さず検証し、あらためて、紹介させていただきます。

*紹介時(2023年11月22日)⇒現時点(2024年6月21日)の約半年間の株価変動。

■いまから新NISAで長期保有したい銘柄も「高配当株4銘柄」

★三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)

メガバンクの一角で、国内最大の民間金融グループです。

愛知県名古屋市にある三菱UFJ銀行の店舗
写真=iStock.com/winhorse
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/winhorse

配当金、純利益ともに順調に増加しており、メガバンクの中でも、総合力で頭ひとつ抜けている存在です。

銀行にとって金利上昇は大きな追い風であり、また、海外比率が高いので円安の恩恵にあずかりやすいのも、大きなおススメ要因です。

【株価】1264円⇒1547円(+22.4%)

金利上昇が現実となりつつある中、また、円安がますます進む中で、株価はこの半年で2割以上、上昇しています。

しかし大幅な増配のおかげで、配当利回りは今でも3%をゆうに超え、まだまだ十分に高配当株と言えるでしょう。また、株価は上昇傾向とはいえ、現時点でもPERは10倍強、PBRは1倍弱と、指標面での割安さは魅力的です。

★ソフトバンク(9434)

通信会社(携帯キャリア)大手の一角です。

おおむね安定した業績のもと、配当金も安定して出し続けています。また、通信事業以外にも、ヤフー、ZOZO、ペイペイなどの非通信も強化しており、事業の多角化を図っています。

この将来を見据えた戦略は、新NISAでの超長期保有に向いていると言えるでしょう。

【株価】1756.5円⇒1942.5円(+10.6%)

株価はこの半年間で1割強上昇するも、配当金額が非常に高いため、その配当利回りは今なお4%台半ばと、非常に高水準です。

なお、配当性向は8割超とかなり高いものの、これは株主への「利益還元」に積極的な姿勢の結果として評価したいところです。

*利益のうち、どれだけを配当金に回したのかの割合

★武田薬品工業(4502)

国内製薬首位です。

巨額買収により、世界規模の製薬会社へと成長し、今後、世界市場でのさらなる成長が期待できます。生活に欠かせない医薬品は、ディフェンシブ銘柄(景気動向に業績が左右されにくい銘柄)としても手堅く、新NISAでの超長期保有に向いています。

【株価】4185円⇒4,028円(▲3.8%)

株価は若干の下落となっていますが、その分、配当利回りは上昇し、現在、5%に迫る圧倒的な水準を誇ります。利益に多少の振れ幅があり、配当性向は非常に高いものの、30年間減配はされていません。

これは、新NISAでの超長期保有においては、大きな安心材料と言えるでしょう。

★三菱HCキャピタル(8593)

三菱UFJグループ系の大手総合リースです。

高い収益力と長期の成長力で、安定配当を続けており、M&Aで海外展開加速、今後ますます、グローバル規模での高い成長力が見込まれます。現在、25年連続増配中と、連続増配銘柄の中でも指折りの存在で、ぜひとも、新NISAで超長期保有したい銘柄です。

【株価】958.8円⇒1018.5円(+6.2%)

株価はじわじわ上昇を続けるも、増配効果もあり、現在の配当利回りは4%弱と高水準です。また、最低投資額は10万円程度と比較的買いやすい水準であり、PER10倍強、PBR1倍弱と、指標面での割安さも魅力的です。

■これから買っても総合利回り7%台が狙える銘柄も「優待株4銘柄」

★クリエイト・レストランツ・ホールディングス(3387)

全国にレストランやカフェを展開する外食企業です。

和食レストラン「かごの屋」、居酒屋「磯丸水産」、カフェ「あずさ珈琲」など、幅広い形態の飲食店を展開しています。優待食事券の対象店舗は日本全国に200超ブランド、900超の店舗があるので、使い勝手は抜群です。

【株価】1061円⇒1110円(+3.7%)

浮き沈みの激しい外食企業ながら、比較的、株価は安定しています。

また、長期的には株価は右肩上がりとなっており、株主優待を受取りながらも、新NISAでの長期的な資産形成にも向いています。現在、10万円程度の投資額で、年間4000円分の優待食事券は、優待銘柄として十分魅力的な水準です。

★エディオン(2730)

中部・西日本地盤の大手家電量販店です。

家電販売だけでなく、リフォーム事業にも注力しており、住宅関連分野での事業拡大にも期待できます。

エディオングループ全店舗で利用できる優待ギフトカードは年間3000円分ですが、1年以上保有で1000円分、2年以上保有で2000円分、3年以上保有で3000円分加算されます。

【株価】1464円⇒1598円(+9.2%)

株価はこの半年間で1割額弱値上がりするも、3年以上保有時(年間6000円分のギフトカード)の優待利回りは3%台後半と、今なお、高水準です。

また、安定した配当金も魅力で、配当利回りは現在2%台後半と、十分満足な水準と言えるでしょう。

株価は長期的には右肩上がりながら、PBRはまだ1倍を切る水準なので、今からでも十分に投資妙味はあると言えます。

★TOKAIホールディングス(3167)

東海地盤のガス供給事業会社です。

ガス供給事業以外にも、情報通信、飲料水配達、ブライダル事業など、幅広い事業を行っています。株主優待は、天然水やクオカード、グループ会員サービスポイントなど、幅広い選択肢が用意されています。

【株価】951円⇒963円(+1.3%)

株価はここ数年、横ばいが続き、非常に安定した状況と言えます。

現在、10万円程度の投資額で、年間4000円程度の優待は、十分魅力的な水準と言えるでしょう。

*天然水ペットボトル(年間24本)を選択した場合の評価額で独自試算

また、安定した業績のもと、高い配当金も安定して支払われ続けていて、現在、配当利回りは3%半ばと、高配当株としても通用する水準です。そして、優待利回りと配当利回りを合わせた総合利回りは7%台と、投資魅力は非常に高いです。

★イオン(8267)

国内首位級の大手総合スーパーです。

生活に欠かせない小売業として手堅いディフェンシブ銘柄ながらも、銀行や保険等の金融事業や不動産事業も展開しており、今後の成長も期待できます。

株主優待のキャッシュバックは年間最大6万円(年間買上金額上限200万円×3%)と、フル活用すれば、優待利回りは約18%にもなります。

【株価】3069円⇒3406円(+11.0%)

株価はこの半年間で1割強上昇、長期的にも上昇傾向にあり、PERは60倍超と相当な割高な水準となっています。

とはいえ、キャッシュバック優待の効果は凄まじく、普段からイオンを利用している人であれば、新NISAで一生涯持ち続けたい銘柄と言えます。

■新NISAで超長期保有したい銘柄も「割安株2銘柄」

書籍では割安/成長株として4銘柄を紹介しましたが、ここでは割安株2銘柄、成長株2銘柄に分けて検証してみます。まずは「割安株2銘柄」から。

★コーナン商事(7516)

ホームセンター大手です。

ホームセンターは我々の暮らしに欠かせない存在であり、安定した業績を誇ります。

大阪発祥で近畿圏にドミナント展開するも、M&Aで首都圏へ本格進出するなど、さらなる利益増にも期待が持てます。

【株価】3720円⇒4135円(+11.2%)

株価はこの半年間で1割強上昇、そして長期的にも10年間で約4倍になっています。

それでも現在、PERは約8倍、PBRは約0.8倍と、株価は割安な水準で、投資魅力は十分です。

また、安定した利益をもとに配当金も安定しており、配当利回りは2%半ばと高水準、そして優待利回りは低いながらも、株主優待(自社商品券1000円分)を実施しています。

★ENEOSホールディングス(5020)

国内シェア5割の石油元売り首位です。

水素ステーションや家庭用電力への取組みなど、世の中の変化を捉え、将来を見据えた戦略は大いに評価したいところです。

【株価】586.6円⇒800円(+36.4%)

株価上昇率はこの半年間で36.4%と、大幅な値上がりとなっています。

それゆえに、PERは7.39倍から11.38倍に、PBRは0.57倍から0.74倍にと、この半年間で割安感は薄れてはいますが、それでもなお、まだまだ割安な水準と言えます。また、10万円を大幅に下回る最低投資額は、初心者でも買いやすいところです。

脱炭素社会に向けた取組みへの評価は高く、未来社会への投資のつもりで、新NISAで超長期保有したい銘柄です。

■大化けも期待できる「成長株2銘柄」

★ウェルスナビ(7342)

ロボアドバイザーを活用した全自動の資産運用サービスを提供する会社です。

預かり資産・運用者数ともにロボアドバイザーNo.1の実績を誇り、新NISAを追い風に、とくに若い投資初心者層を取り込み、さらなる業容拡大に期待が持てます。

【株価】1599円⇒1513円(▲5.4%)

株価はこの半年間で5.4%の下落となっていますが、長期的にも低迷しており、約3年前の株価の3分の1以下の水準にまで落ち込んでいます。

とはいえ、成長著しいフィンテック分野ゆえに、今後、ITの更なる進化により、新たなサービス展開も見込めるなど、その成長性には大いに期待したいところです。新NISAでじっくり保有し、超長期的目線で、大化けを待つのも面白いところではないでしょうか。

*金融とITを結びつけた革新的な商品やサービスのことで、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語

★クリアル(2998)

不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」を運営する不動産資産運用会社です。

次世代投資とされる「不動産クラウドファンディング」を展開し、不動産投資運用プロセスのDXを大胆に推進し、新たな資産運用サービスを生み出す革新的な会社です。

【株価】3600円⇒4670円(+29.8%)

株価はこの半年間で、約3割もの大幅な上昇となっています。

なお、かつては2022年夏から2023年夏の1年間で、株価は一気に10倍近くに上昇するという、成長株ならではの爆発的な急騰劇を演じています。

現在の株価は、(この半年間で大幅上昇しているとはいえ)1年前のピークの6割程度の水準に留まっており、今後の事業展開次第では、再び、かつての株価急騰を期待できると考えています。

■成績は「10勝2敗」、大きな勝ち越しに

以上、私がおススメした新NISA個別銘柄の戦績については、現在10勝2敗。

株価が上がったか下がったかだけを見れば、大きく勝ち越し、ファイナンシャル・プランナーの面目を保ったと思っています。

なお、株価が2倍以上になるような大化け銘柄はありませんでしたが、株価が半分になるような大暴落もなく、その意味では、それなりに安定した運用成果が得られたとも自負しております。

もっとも、新NISA投資においては超長期保有を前提としているので、この半年経過時点は、あくまでも参考に過ぎません。とはいえ、いずれの銘柄も、現時点においてもおススメであることには変わらないので、皆様の新NISA投資の参考になれば幸いです。

*実際の投資においては、ご自身の判断と責任でよろしくお願い致します。

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藤原 久敏(ふじわら・ひさとし)
ファイナンシャルプランナー
1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。

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(ファイナンシャルプランナー 藤原 久敏)

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