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「布団におしっこで何度も買い替えた」子猫と引き裂かれた母猫が鬱病の男性の脳に大量分泌させた"奇跡の成分"

プレジデントオンライン / 2024年7月23日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/supermatros

■仕事にも人生にも好循環をもたらす

あなたはこれまでの人生で、動物と一緒に暮らしたことがありますか? 犬や猫、モルモットやハムスター、最近では兎など、様々な動物がペットとして愛されています。動物との生活は、人生を間違いなく好転させる。私自身の実例も交えながら、ビジネスパーソンこそ動物と暮らしたほうがいいことをお伝えしたいと思います。

動物に対して愛情を持ち、守れば守るほど、自分が守られている感覚が得られます。癒やそうとすれば癒やされ、優しくすれば優しくされているように感じる。動物への愛情は、すべて自分に返ってきます。

単なる精神論と思うかもしれません。しかし、ペットの世話をすることで自分も幸せになれることは、脳科学でも明らかにされています。

脳の視床下部や下垂体から分泌されるオキシトシンは別名「愛情ホルモン」とも呼ばれ、人間が社会性を育むために発達したホルモンだと言われています。オキシトシンの働きで、人間は人と接触したり、相手に親切な行為をすることで満足感や喜びを感じられるようにできているのです。

ここで重要なのは、オキシトシンは動物との接触によっても分泌されること。ペットと触れ合うことでオキシトシンが分泌され、ストレスホルモンのコルチゾールが低下し、リラックスできるのです。

近年では、脳科学の研究成果をもとにつくられた、動物と過ごすことで精神的なリハビリを行うアニマルセラピーにも注目が集まっています。うつ病をはじめとする心の病が増加をする中で、人間の心の健康に与える動物の役割も大きくなってきていると言えます。

実際、うつ病を発症していた私の人生を変えてくれたのは、後にテコと名付けた保護猫でした。

船ヶ山 哲(ふながやま・てつ)REMSLILA代表 1976年神奈川県生まれ。マーケティングコンサルタント。サラリーマン生活の中でうつ病を発症、休職を余儀なくされたが、愛猫・テコとの出会いをきっかけにうつ病から立ち直る。その後2013年に現在の会社を設立
船ヶ山 哲(ふながやま・てつ)REMSLILA代表
1976年神奈川県生まれ。マーケティングコンサルタント。サラリーマン生活の中でうつ病を発症、休職を余儀なくされたが、愛猫・テコとの出会いをきっかけにうつ病から立ち直る。その後2013年に現在の会社を設立

テコと出会う直前の頃の私は会社勤務で、電話がかかってくれば24時間365日対応しなければならないクレーム対応の部署に所属していました。緊張が切れない毎日を過ごす中で、家族とのトラブルや飼っていた猫との別れが重なり、うつ病を発症してしまったのです。何とか自分を立ち直らせようと、別れた猫と似た猫を探すうちに出会ったのが、保護動物施設の隅で震えていたテコでした。

うつ病を発症して弱くなった自分よりもさらに弱いテコと出会ったとき、強い責任を感じたのを覚えています。この子が死ぬ最期のときまで、一生守ってあげたい。弱り切っていた当時の自分は、走るどころかちょっとした散歩すら難しく、通勤などとても無理、という状態でした。まるで沼を歩いているような感覚で、一つ行動するとさらに深く沈んでしまい、前に進めなくなっていくような日々を送っていました。しかし、テコを家に引き取り一緒に暮らし始めたことで、沼が乾いて足場ができるように、人生を前に進められるようになったのです。

一人だった暮らしにテコが加わり、「今日はこんなことがあった、あんなことがあった」と話すようになりました。もちろん、テコは猫ですから、何か言葉を返してくれるわけではありませんし、ニャーと鳴き声を出すこともありません。しかし、テコに自分の一日を話すだけで、「自分は一人じゃないんだ」と思えるようになったのです。うつ病を発症し、人と相互にコミュニケーションをとるのを負担に感じていた自分は、相槌を打つでもなく何か意見を返すでもなく、ただ自分が話をしている間そばにいてくれるテコの存在に救われたのです。

テコと過ごすうちに、いつしか自分のメンタルは復調に向かいました。仕事に復帰し、後に起業してからも、テコと過ごす時間は自分をリセットして、エネルギーをチャージするための欠かせない時間になっていました。

船ヶ山氏の愛猫・テコ。いつも静かに船ヶ山氏のことを見守っていた。
船ヶ山氏の愛猫・テコ。いつも静かに船ヶ山氏のことを見守っていた。

車にガソリンを入れるときは、エンジンを切ってからガソリンを入れますよね。仕事のことを考えたまま毎日を過ごすのは、エンジンを切らずに走り続けながらガソリンを入れているようなもの。すぐに壊れてしまいます。

人間も同じ。売り上げを追いかけたり、困難な課題を解決しなければならない仕事でエネルギーを発揮するには、定期的にエンジンを切ってリセットし、エネルギーを蓄える時間が必要です。集中力や注意力を高めるアドレナリンはビジネスパーソンに不可欠なホルモンですが、分泌され続けると心身に負担をかけてしまいます。うつ病を発症したときの私は、まさに四六時中アドレナリンが出続けている状態でした。

だからこそ動物と過ごす時間が重要なのです。動物との触れ合いはオキシトシンを分泌させ、逆にアドレナリンの分泌を抑えるため、自分の心と体をリセットするのに最適。私がうつ病から回復し、起業後もエネルギッシュに働き続けられたのは、テコと過ごす時間でメリハリがつけられたからです。

■ありのままの自分のそばにいてくれる存在

また、動物を相手にしているときは、ありのままの自分をさらけ出せます。

多くのビジネスパーソンは仕事や家族と向き合うとき、どこかで「格好をつけなければ」と感じています。実際、仕事のパートナーの前では自分の弱みを少しでも隠して、頼もしい存在として認められなければと思いますよね。また、子どもの前であれば、親として恥ずかしくない振る舞いをしようと考えたりもするでしょう。

船ヶ山 哲 著『捨てられた僕と母猫と奇跡』(プレジデント社)1400円+税うつ病を発症した「僕」が、子猫と引き裂かれた母猫テコと出会い救われた感動の実話。
船ヶ山哲著『捨てられた僕と母猫と奇跡』(プレジデント社)1400円+税うつ病を発症した「僕」が、子猫と引き裂かれた母猫テコと出会い救われた感動の実話。

しかし、動物には飼い主の体面は関係ありません。動物は愛情をもって接する限り、言葉を話すことなく、ただそばにいてくれます。動物は私たち自身に、愛情を返し続けてくれるのです。

お金を稼ぐだけなら、動物と過ごす時間を仕事に使ったほうがいいと思うかもしれません。確かに動物の面倒を見るのはお金も時間もかかります。テコもそうでした。テコは膀胱炎を患っていたので、何度も布団におしっこをかけられ、そのたびに布団を買い替えていました。布団を汚したからといって、テコが布団を買うお金を稼いでくれるわけではありません(笑)。

しかし、愛情を与えれば与えるほどさらに愛おしくなり、仕事にも人生にも好循環をもたらしてくれるのが動物です。3年前に亡くなったテコが、そのことを僕に教えてくれました。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年7月19日号)の一部を再編集したものです。

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船ヶ山 哲(ふながやま・てつ)
マーケティングコンサルタント
心理を活用したマーケティングを得意とし、人脈なし、コネなし、実績なしの状態から、起業後、これまで世界に1000社以上のクライアントを獲得。プライベートでは、子供の教育を最優先に考え、カナダに在住。その卓越したマーケティング手法は、数々の雑誌やメディアに取り上げられる。テレビ神奈川、FMヨコハマのメインパーソナリティーをつとめるほか、フォーブス、ニューズウィークなど経済誌に掲載。著書多数。

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(マーケティングコンサルタント 船ヶ山 哲)

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