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「お世話になっています」よりずっと効果的…「センスのいい人」が書いているメールの挨拶文

プレジデントオンライン / 2024年7月19日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/narin_nonthamand

「センスがいい」と思われる人はどんな人か。作家の有川真由美さんは「私が46カ国を旅したり、衣料品店店長、着物着付け講師、フリー情報誌編集などさまざまな仕事をしたりするなかで、センスのある人は『その人らしさ』というスタイルが見えやすく、自分の美学、世界観が確立していると感じた」という。著書『センスいい人がしている80のこと』(扶桑社)より、4つを紹介する――。

■「お先にどうぞ」のすごい効力

スーパーマーケットのレジで、卵のパックだけを持って並んでいたら、前にいたご婦人が「私はたくさんあるから、お先にどうぞ」と譲ってくれました。そんなとき、大げさなようですが、「世の中、捨てたものではない」という気持ちになるもの。

また、先日はエレベーターで、男子高校生が「お先にどうぞ」とにっこり。その日は雨で服も濡れて、気が急いていたので、まわりを気遣う余裕のなかった自分を反省。私も「お先にどうぞ」の心を忘れずにいたいと思ったことでした。

「お先にどうぞ」は、その人の“美学”ではないかと思うのです。

さらりと譲ることで、ゴタゴタした状況が、すっきりとすることは多いのです。

少しだけ譲ることで、その人の品格はぐんとアップします。

■「すみません」より「ありがとう」がスマート

「お先にどうぞ」の対局にあるのは、「われ先に」。電車やバスで空席めがけて猛ダッシュしたり、バーゲンで商品を取り合ったりする姿は、自分のことしか考えられない気持ちが丸出しで、はたから見て恥ずかしいとさえ感じます。せっかく素敵なファッションをしていても台無しです。

電車やバスで重い荷物を持っている人、立つのがしんどそうな高齢者に席を譲ったとしても、立っているのはせいぜい数十分。「お腹を引き締めたかったから、ちょうどいい機会」と痩せ我慢をするのもいいではありませんか。

少しだけ痩せ我慢することで、心の余裕も生まれてくるものです。

ただし、痩せ我慢は「すっきり気持ちがいい」と感じるさじ加減が大事。自己犠牲になるほど我慢してしまったら、わだかまりが残り、本末転倒です。

また「お先にどうぞ」と譲ってもらったら、「すみません」ではなく、「ありがとう」と気持ちよく甘えるのも礼儀。譲ったり、譲られたりで、スマートな関係、スマートな社会になっていくのです。

■「お世話になっています」は情緒がない

「お世話になっています」というメールの書き出しをやめて、久しくなります。

なぜ書かなくなったかというと、空々しく感じるし、情緒もないから。

もちろん、「お世話になっている」という感謝の気持ちはあり、折に触れて感謝も伝えます。しかし、いつでも、どこでも、だれに対しても、まず「お世話になります」では、言葉と気持ちのズレがあり、違う気がするのです。

実際に顔を合わせて「こんにちは」と言う挨拶と違って、メールの定型文では感情が伝わらず、なおさら冷たく感じてしまう。「お世話になっています」のあとの文は「書類を添付します。よろしくお願いします」となり、まるでAIが書いているよう。それぞれの関係性においての挨拶の仕方があるように、冒頭の言葉はとても大事。その人に向けてのオリジナルな言葉があるはずです。

ノートパソコンを使用している女性
写真=iStock.com/oatawa
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/oatawa

■心の距離が縮まるメールの書き出し

「定型文のほうがラク」と思われるかもしれませんが、むずかしいことではありません。会話をするように「こんにちは。雨が続きますね」「風薫る季節になりました」「先日はランチをご一緒できてよかったです」など、なんだっていいのです。

それだけで、血の通った言葉になり、相手とちゃんと向き合う姿勢になります。

不思議とそのあとの文も、伝えたいことが、会話のようにするする出てきます。

仕事でやりとりをする編集者さんの書き出しに感動することがあります。

「こんにちは。やっと夜も暖かい日が増えて、外呑みが楽しい時期に突入です」「実家に帰省し、MC的な立ち振る舞いでがんばったところ、全員の話が弾みだしたのが正月のハイライトです」「今週末、開花しそうですね。冬コーデはもうじゅうぶん楽しみました」など、情景がリアルに思い浮かんで、心の距離がぐっと縮まります。

「自分の言葉を紡ぐ」習慣は、表現のボキャブラリーを増やすと同時に、人と人とのコミュニケーションを丁寧にする習慣になるのです。

■「分厚い書類=仕事ができる」ではない

編集部の管理職の方が、こう嘆いていたことがありました。

「新人編集者に、本のタイトルを考えてくるように言ったら、『30個考えました!』って、分厚い書類を自信満々で持ってきたんだけど、使えるものが1個もない。分厚い書類=がんばっている自分、と子供みたいにアピールしたいのよね」

上司からすると、書類を読むのも、選ぶのもたいへん。「これはいい!」と感じるタイトルが2、3個あればじゅうぶんで、書類は数行で済むことなのです。

役所や企業、学校などの会議に参加することがありますが、一見、ちゃんとした組織ほど、会議の書類が膨大で、それを説明するスピーチも長い。専門用語で長々としゃべられてもこちらの理解が追いつかず、「この会議は一体、なんのためにやっているのか」とわからなくなることさえあります。

なにより、省エネの観点からも非効率。紙は意外に重く、持って帰るのも、保管するのもかさばるわけです。

紙文書
写真=iStock.com/piyaphun
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/piyaphun

■「A4用紙1枚」にすべてを詰め込む

書類の枚数が多い、話が長いというのは、センスのなさの象徴でしょう。「自分が伝えたいこと」をあれもこれもと盛り込むから話は膨らみ、脱線していくのです。

できる人の書類は、大抵「A4用紙1枚」。企画書、報告書、資料など「1枚」という制約があるがゆえに、まず「だれのため、なんのための1枚か」を考えます。「相手が知りたいこと」だけを伝えようと、資料もスピーチも構成します。

受け取る側は「できれば簡単に私の知りたいことを教えて!」と望んでいるのです。

とにかく「A4用紙1枚にまとめる」を繰り返していると、ほかの仕事も「だれのため、なんのため」から考えるようになり、時間をかけるべきことと、捨ててもいいことがわかるようになります。自分の時間だけでなく、仕事相手の時間も労力も節約することになります。

センスというのは「なんでも自由に」ではなく、なにかの制約や目的があるからこそ方向が明確になり、研ぎ澄まされていくのです。

■大ピンチの時に心を落ち着かせる方法

ピンチのときに人は劇的に成長し、感覚が研ぎ澄まされる……。そう痛感します。

週刊誌のライターをしていたとき、「数日かかって書いたパソコンのデータがぜんぶ消失。締め切りが数時間後に迫っている」という大ピンチが起こりました。

一瞬、「終わった……」と天を仰いだものの、嘆いている暇はなく、ものすごい集中力で書き直し、ギリギリセーフ。ほかにも講演のときに、話すことを書いたメモを忘れてきたピンチもありました。

そんなピンチとの向き合い方は、「深刻にならないこと」に尽きます。「もう最悪!」「嫌になってきた」「どうしよう〜」などと言っていると、焦りが増してきます。極端な話、「あー、命まで取られなくてよかった」などと“もっと最悪の事態”を考えると、心は落ち着いてくるはずです。

■「なるほど、そうきましたか」と面白がる

まず大きく深呼吸。そして、「はいはい、なるほどねぇ。そうきましたか」と努めて他人事のように飄々とつぶやきます。すると、自分でもびっくりするような神通力が降りてきて、目の前のことに集中できます。ここまでくると、まるでコメディ映画のように面白おかしく感じられて、笑いがこみあげてくることもあります。

有川真由美『センスいい人がしている80のこと』(扶桑社)
有川真由美『センスいい人がしている80のこと』(扶桑社)

じつは「面白い」という言葉、天照大神が弟の悪業に怒って、天岩戸に隠れた神話が起源とか。太陽神が隠れて、国中は真っ暗になり世が乱れてしまいました。残された神様たちは思案した結果、岩戸の前で笑いながら舞いを踊ります。

そのあまりにも楽しそうな姿に、天照大神が岩戸の扉を開けて外に出てきたとき、世界は再び明るさを取り戻し、神々の顔(面)が白く照らされたことを意味しているのです。

ピンチで光が見えないとき、どうすれば光を取り戻すことができるか、1300年以上前の神話が教えてくれています。そう、ピンチのときは笑い、踊りましょう。

困難を楽しみ、面白がったときに、最大の結果がもたらされるのです。

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有川 真由美(ありかわ・まゆみ)
作家
鹿児島県姶良市出身、台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程修了。化粧品会社事務、塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性へのアドバイスをまとめた書籍を刊行。内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推進室「暮らしの質」向上検討会委員(2014-2015)。著書に『感情の整理ができる女(ひと)は、うまくいく』(PHP研究所)、『30歳から伸びる女(ひと)、30歳で止まる女(ひと)』(PHP文庫)、『好かれる女性リーダーになるための五十条』(集英社)、『遠回りがいちばん遠くまで行ける』(幻冬舎)などがある。

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(作家 有川 真由美)

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