「1人暮らし=寂しい」という考えがそもそも間違っている…カウンセラーが説く「鋼のメンタルを持つ唯一の方法」
プレジデントオンライン / 2024年7月23日 7時15分
※本稿は、大野萌子『ネガティブな自分のゆるし方』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
■外見に劣等感を持つ人が増えている
SNSやインターネットの発達により、私たちは芸能人やインフルエンサーなど、自分が理想とするビジュアルを簡単に見つけられるようになりました。
そのためか、美しい女優の方やモデルと自分を比較して、劣等感を持つ方が増えてきたと感じます。
自分の見た目に過剰にこだわり、それを欠陥と思い込んでしまうことを「醜形(しゅうけい)恐怖」と言います。
■美容整形を繰り返してしまう
例えば、
・「自分が嫌われているのはこの顔のせいだ」
・「目が大きくないから暗い人と思われているに違いない」
などと、人は気にしていないような外見の一部を欠陥と捉えて苦しくなります。
その結果、美容整形を繰り返してしまう人も少なくありません。
なかには「人と話せない」「目を合わせられない」など、対人恐怖症につながるケースもあります。
■人生がうまくいかない原因は「顔立ち」ではない
美容整形にできるのは、目を二重にする、鼻を高くするといった「顔立ち」を変えることです。
もちろん、外見が今より美しくなれば、人に好印象を与えられるのも事実なのかもしれません。
しかし、生きるのがつらい、人生がうまくいかない原因は、本当に「顔立ち」のせいでしょうか。どれだけお金をかけて「顔立ち」を変えても、自分自身の内面がそのままでは何も変わらないのです。
人生を好転させたいなら、「顔立ち」よりも内面から表情ににじみ出てくる「顔つき」を変えることに意識を向けましょう。
■「内面」の方が伸びしろは大きい
「外見に自信がない」という気持ちの裏には、
・「人から良く思われたい」
・「明るい人に見られたい」
・「もっとうまくコミュニケーションを取りたい」
といった思いも隠れているはずです。それを実践するために必要なのは、顔つきを変えて、自分の内面やコミュニケーションと向き合うこと。その方が伸びしろは大きいのです。
「顔つき」はお金をかけずに自分で変えられる、数少ないセルフプロデュースです。優しい口調で話してみる、相手の目を見て話してみる、口角を上げてみる。たったこれだけで、表情が明るくなり、別人のように見られるのではないでしょうか。
![笑顔の女性](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/f/b/1200wm/img_fba39925515d86014ec1cd8fc40020e6326090.jpg)
そして、「顔つき」が変われば、コンプレックスと思っていた部分も気にならないどころか、チャーミングポイントになるかもしれません。
■「過去の捉え方」は変えられる
よく「他人と過去は変えられない」と言われますが、「今」が変われば「過去」は変えることができます。
「学生時代にいじめられた」という過去は変わりませんが、「過去の捉え方」は自分次第で変えられます。それによって、過去のトラウマを自分で克服できるのです。
例えば、過去に大失敗があったとしても、失敗をバネにしてその後に成功を手に入れたなら、「あのときの失敗があったおかげ」「失敗したから気づけたことがある」などとポジティブに捉えられます。その際、自分の都合で捉えても問題ありません。
失敗が一度もなければ、成功もありません。つらかったことも含めて、「過去の経験すべてが今の自分につながっている」と捉え直してみましょう。
![髪をかきむしる女性](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/8/2/1200wm/img_82a8dae237cc6b95aeb92609c9963867423344.jpg)
■「他責」ではネガティブ思考から抜け出せない
自分次第で過去の捉え方は変えられますが、中にはいつまでも他人に責任を委ねてしまう人がいます。
こうした「他責」の気持ちが強いと、「あの人のせいで自分の人生はおかしくなった」「自分のコンプレックスはいじめのせい」という思考からずっと抜け出せません。
いじめられた経験、過去に受けた嫌な体験は、その本人にしか知る由はありません。
しかし、過去にいじめられた経験があるからこそ、人に優しくできたり、弱い立場の人の気持ちがわかったりすることもあります。それだけでも「価値がある」経験と言えるのではないでしょうか。
過去の事実は変えられませんが、それをバネにして跳ね返す行動力があれば、誰でもコンプレックスを良い方向に切り替えられることを忘れないでください。
■孤独を感じやすい人の思考
「自分は社会の一員として活躍している」という感覚を、心理社会的同一性と言います。この感覚があると、たとえ1人暮らしで同居人がいなくても、心の孤独感を感じにくくなります。
その反対に、
・「人の役に立てていないと感じてしまう」
・「社会に適応していないのではないか」
といった「心理社会的同一性」が満たされないと、孤独を感じやすくなります。
![暗い背景に座っている男](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/1/c/1200wm/img_1ceaf469daad0c90f3e13b979d147806372518.jpg)
つまり、「家に帰ってひとりぼっち」であることが、必ずしも孤独の根本原因ではない可能性が考えられるということです。
人と話したり、一緒に過ごしたりする時間も大切ですが、人が生きていくためには、1人の時間を持つのも同じくらい大事なことです。
心を穏やかに保つには、その両方の時間が欠かせないのです。
■自分の活躍を認めてあげる
「人の役に立っている」「社会に適応して活躍している」という感覚を取り戻すには、小さなことでも良いので、自分の活躍を認めてあげることが大事です。
仕事をしていれば、たとえ小さなことでも、必ず誰かの役には立っているはずです。そうでなければ、仕事を通して対価を得ることはできないからです。
社員全員が大きな成果を上げるのは難しく、これまでにない成果を上げることが望まれているわけではありません。
1人ひとり、活躍の場所や役に立てるフィールドは違います。
自分なりの定義で社会の役に立てていると思えれば、それでOKです。
自分を認めて「社会の一員である」という感覚を持つことができれば、徐々に孤独から解放されていきます。
■「自分が何者なのか」がわからないまま成長してしまう人たち
アメリカの心理学者として有名なエリクソンによると、多感な時期は13歳〜18歳と言われます。また、厚労省では15歳〜25歳と、厳密な期間が定められていないのが青少年期です。
![大野萌子『ネガティブな自分のゆるし方』(クロスメディア・パブリッシング)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/a/0/1200wm/img_a0109e3078631f01148cae0c338ce4fa239814.jpg)
この頃は、「自分とはどんな存在なのか」を自問自答する大事な時期です。
自分が自分であることを他者や社会から認められることを「自己同一性」と呼び、いわゆる「アイデンティティ」が確立されていきます。
この時期に親との関係性が悪いと、残念ながら「自分の存在」というものに向き合えず、混乱や不安を感じやすくなる傾向にあります。
「自分が何者なのか」がわからないまま成長してしまうと、大人になっても自分の役割がわからずに苦しめられるのです。
■「親子関係の解決」は難しい
また、子どもの頃に感じた「愛情飢餓」は、大人になっても自分の中に残ってしまうものです。親への恨みがあっても、「親が病気になった」と聞けば、反抗的な態度を取る自分に罪悪感が湧いてくる、という複雑な心理状況になります。
青少年期から続く親との不仲は、自分の努力だけではどうにもできないことです。こうした親子関係を根本から解決するのは難しく、方法としては親と程よく付き合っていくくらいでしょう。
過去の家族関係が悪かった場合、たとえ親に病気や介護の必要などがあったとしても、今さら深く関わりを持つ必要はないと思います。それでは、青少年期に健全な成長が促されなかった環境に、自ら戻ってしまうだけです。
ネガティブな思い出を掘り起こすことを、自ら行う必要はないのです。
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日本メンタルアップ支援機構代表理事、公認心理師
企業内カウンセラーをはじめとする相談業務において2万人以上のカウンセリングを担当。また長年の現場経験を生かし、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント教育を得意とする。官公庁・企業・大学などで講演・研修を6万人以上に実施。著書にシリーズ51万部を突破した『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)ほか、『世界一受けたい授業』などメディア出演多数。
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(日本メンタルアップ支援機構代表理事、公認心理師 大野 萌子)
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