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「何のために生きているかわからない」天涯孤独の40代相談者にカウンセラーが勧めた「意外な日課」

プレジデントオンライン / 2024年7月27日 7時15分

家でダラダラしていると「セロトニン不足」に陥る(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/kuppa_rock

ひどく憂鬱な気分がいつまでも続くときはどうすればいいのか。日本メンタルアップ支援機構代表理事の大野萌子さんの書籍『ネガティブな自分のゆるし方』(クロスメディア・パブリッシング)より、気持ちを明るく前向きにする方法を紹介する――。

■家でダラダラしていると「セロトニン不足」に陥る

仕事は充実していて収入にも満足しているが、特に趣味がなく、休日の過ごし方に悩む。家にいてもやることがなく、ただ虚しい気持ちになってしまう。

心と体を回復させるために休みを取ることは大切ですが、やることがなさすぎるのもネガティブになる原因になります。

脳の興奮を抑えて心身をリラックスさせる「セロトニン」というホルモンがあります。

別名「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンを生成するには、ある程度の活動が必要になります。例えば、適度な運動や食事、日の光を浴びるなど、何かしらのアクションが必要です。

その反対に、何もせずに家でダラダラしている、ボーッとして時間が過ぎてしまうといった週末を繰り返していると、セロトニン不足に陥り、幸せを感じにくくなってしまうのです。

■「動」の休みが人生の満足度につながる

休むことはもちろん大切ですが、身体を休める「静」の休養だけでなく、どこかに出かけてみたり、今までやったことのない新しい体験をしてみたりなど、積極的な「動」の休みが人生の満足度につながります。

家の中でじっと待っていても、新しい交友関係は生まれません。まずは勇気を出して自分から動き、人と関わりを持っていくことを意識しましょう。

ほかにも、SNSで知り合いに「いいね」やコメントをしてみる、学生時代の友人に久しぶりに連絡をしてみるなど、最初は人に対して何かしらの小さなアクションを起こすだけでもかまいません。

人との関係性を築くには、一定の時間と、多少の努力は必要になります。

誰かとつながりを感じられることで、今感じているネガティブ感情は少しずつ小さくなっていくでしょう。

■環境だけ変えてもうまくいかない

どの仕事をしても失敗続き。居心地が悪くなり、転職を繰り返すが結果は同じ。何をやってもうまくいかなくて、落ち込んでしまう。

環境を変えれば何かが変わると思って転職を繰り返す人がいますが、環境だけ変えても、自分自身が変わらなければうまくいきません。

どこかで「他力本願」から抜け出さないと、ネガティブな感情は消すことはできないのです。

苦手な人が1人もおらず、人間関係が100点満点の職場に出会うのはほぼ不可能ですし、人間関係は良好でも、給与や労働時間、ポジションなど、他の条件に不満がある場合もあります。

その上、自分が好きな仕事ができる環境となると、さらに限られてしまいます。

誰でも、すべてが満足いくような環境を見つけるのは難しいのです。

■小さな満足に目を向けてみる

今は、「仕事の失敗」や「成果が出ないこと」に意識が向いているかもしれませんが、まずは今の仕事や職場の中で「得られる幸せ」を探してみることです。

・「上司は嫌だけど、同僚には恵まれている」
・「残業は多いけど、直行・直帰できるのはいい」

こうした小さな満足に目を向けてみると、「何もかも嫌な気持ち」から少しでも目をそらすきっかけになるはずです。

自分に対する無力感から一歩抜け出すには、例えば次のように、ちょっとした行動を変えることが効果的です。

青い空の下でジャンプする2人のビジネスパーソン
写真=iStock.com/chachamal
ちょっとした行動を変えることが効果的(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/chachamal

■「これまでと違うこと」をやってみる

・時間を変える 朝起きる時間を変える。昼食を取る時間を変えるなど。
・行動を変える 仕事帰りに10分だけ書店に立ち寄る。駅までの通勤でいつもとは別の道を通るなど。
・場所を変える いつもと違う座席に座る。職場から離れてカフェで仕事をするなど。
・やり方を変える いつもより営業先への訪問数を増やしてみる。メールで済ませていた内容を電話でもフォローするなど。

このように、どんなことでもいいので「これまでと違うこと」を何か1つやってみてください。

自分に対する無力感はすぐには消えないかもしれませんが、ほんの少しでも自分が変わることで、ネガティブ感情の捉え方や見え方が変わります。

そして、「今までの自分とちょっと違うかも」と思い始めたとき、ただ闇雲に環境を変えていた頃では感じられなかった、自分を変えるチャンスなのです。

■「死んだ方がマシ」と思ったら今すぐ受診が必要

40代中盤、天涯孤独の人生を送ってきた。自分の未来に希望を持てないので、他人に迷惑をかけず、死んだ方がマシではないかと考えてしまうように。何のために生きているのかわからず、「死」について調べたりする時間が増えた。

死を考えたり、想像したりすることを「希死念慮(きしねんりょ)」、実際に死ぬ方法を探したり、自殺のやり方を調べたりすることを「自殺念慮」と言います。

後者の死ぬ方法を調べる段階になると、自殺を実行する確率が高まってしまう、精神的に非常に危険な状態です。自分では気づいていないかもしれませんが、今すぐ精神科や心療内科などでの受診が必要なレベルともいえます。

精神科医または専門の心理学者
写真=iStock.com/pcess609
今すぐ精神科や心療内科などでの受診が必要(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/pcess609

■人との小さな接点を持つことが大事

「死にたい」という気持ちは、多くの場合、精神的な孤独から起こっているとされています。

「天涯孤独」で誰とのつながりも感じられないことで、寂しさや虚しさ、悲しさなどのネガティブな感情に心を支配されているわけです。

希死念慮の根底にある孤独感を消すには、何よりも人との小さな接点を持つことが大事です。

これは「誰かを食事に誘う」「人に連絡を取る」といったハードルの高いコミュニケーションではありません。

・コンビニで買い物した際、レジの人に「ありがとう」とお礼を伝える。
・近所の人に会ったら「おはようございます」と言う。

例えば、このくらいの挨拶でもコミュニケーション効果があります。無言で生活するのをやめて、1日1回でも人と接点を持つことを始めてほしいのです。

たとえ相手が見知らぬ他人であっても、会話を交わす接点があると気持ちが和らぐものです。

日常の中で少しでも人と触れ合う瞬間があるだけでも、孤独感が薄れ、心がほんの少し温かくなるはずです。

■「料理」は脳を活性化する

また、希死念慮に至る手前の「抑うつ状態」の回復に有効なのが「料理」です。

料理は、五感をフル稼働させることで脳が活性化され、心の元気を取り戻すにはおすすめの方法です。

大野萌子『ネガティブな自分のゆるし方』(クロスメディア・パブリッシング)
大野萌子『ネガティブな自分のゆるし方』(クロスメディア・パブリッシング)

例えば、「何を作ろう」という思考に始まり、買い物に行って選ぶときに「視覚」、材料を切るときに「触覚」、炒める・焼く・揚げる・煮るなどの火を使う工程は「聴覚」や「嗅覚」、食べるときは「味覚」など各工程でフルに五感を使います。

五感のすべてを総動員することで、気持ちを活性化させることができ、落ち込んでいた気持ちを明るく、前向きにしやすくなります。

とはいえ、気持ちが落ち込んでいるときは、「料理なんてできない」「作りたいものなんてない」という思いが強いでしょう。

そのような時は動画配信サイトでレシピ動画を見たり、サイトでレシピを眺めたりするだけでも十分です。

まずは「美味しそう」「食べてみたい」と思うだけでも良いでしょう。

そして、レシピ動画の検索すら難しい、もう体が動かない、日常生活がままならないという人は、精神科や心療内科など専門の機関にかかることをおすすめします。

そうはいっても、病院を受診すること自体迷っている、病院を選んだり考えたりするのが難しい場合などもあると思います。

そんな時は、全国どこからでも共通の電話番号から相談機関に接続される「こころの健康相談統一ダイヤル」などの利用をまずは検討してみてください。

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大野 萌子(おおの・もえこ)
日本メンタルアップ支援機構代表理事、公認心理師
企業内カウンセラーをはじめとする相談業務において2万人以上のカウンセリングを担当。また長年の現場経験を生かし、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメント教育を得意とする。官公庁・企業・大学などで講演・研修を6万人以上に実施。著書にシリーズ51万部を突破した『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)ほか、『世界一受けたい授業』などメディア出演多数。

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(日本メンタルアップ支援機構代表理事、公認心理師 大野 萌子)

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