1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

なぜ生涯で5000万円もの差が出るのか…同じ性別・身長体重・勤務先・死亡年齢で、唯一違った試算のある条件

プレジデントオンライン / 2024年7月23日 6時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AtlasStudio

■40歳独身のAさんのケース

心身が健康であれば、医療費や介護費用はかかりませんし、働ける期間が延びることで収入も増えるため、健康はある意味で資産といえます。では、健康にはどれだけの経済的価値があるのか、試算してみましょう。

40歳独身、35年ローンで4000万円のマンションを購入したばかりのAさんのケースを例に考えてみましょう。この時点での貯金額は500万円です。

まず、Aさんが日頃から食生活や体調管理に気を付け、70歳までスポーツジムで定期的に運動をしていた場合のパターン①から。

このケースのAさんは健康を維持できていたため、60歳で定年し、2000万円の退職一時金を得たあとも継続雇用で65歳まで働きました。65歳からは年金受給を機にリタイア。70歳以降は徐々に老化現象が出始めたため在宅の介護サービスを受け、加齢とともに要介護の区分は上がっていったものの、大病はなし。経済的負担はそこまで大きなものにはなりませんでした。

85歳で他界した際には850万円の預貯金が残り、生涯を通じてのトータルは黒字だったことになります。

次に、40代から高血圧症を抱えていたパターン②では、40代から通院していたものの、55歳で脳卒中を発症してしまいます。手術で一命はとりとめましたが、後遺症によって配置転換となったことで収入は減少。その後も順調に働けたとはいえず、57歳で早期退職を余儀なくされたことで退職一時金は1400万円にとどまりました。また、早期退職して収入がなくなったことから年金を60歳で繰り上げ受給したため支給額は24%減少。

現役時代から持病があったことや運動不足だったためか、55歳のときに発症した脳卒中に続き、75歳で脳血管性認知症を発症し、85歳で亡くなりました。脳血管性認知症は薬物療法や在宅介護の費用が高額になり、75歳から1000万円以上の支出を余儀なくされています。収入の低下と医療費が大きく響いたことで、他界した際の預貯金はマイナス4002万円と、大幅な赤字となってしまいました。

2つのケースでは、預貯金に5000万円近い差が生まれています。「健康の価値は5000万円」というのは言いすぎかもしれませんが、健康も立派な資産だということがわかります。

【図表】「健康」の価値は5000万円⁉

ですが、健康の大切さはわかっていても、行動に移すのは難しいもの。

私がFPとして健康を重視したい人に選択肢のひとつとして提案するのが、保険会社各社が注力している「健康増進型保険」というジャンルの保険です。

■「健康増進型保険」の3つのタイプ

健康増進型保険は、保険加入によって健康増進や生活習慣改善につなげられることをコンセプトにした保険のことで、おおまかに分けて

①「喫煙の有無や健康状態で保険料が割引される」
②「健康診断の結果で保険料が割引・還付金が受け取れる」
③「運動習慣など健康への活動で保険料が割引・還付金が受け取れる」

という3つのタイプがあります。

たとえば、SOMPOひまわり生命の「じぶんと家族のお守り」という保険は加入者が亡くなった場合や高度障害状態になった場合に年金が受け取れる収入保障保険ですが、「健康☆チャレンジ!制度」というプログラムが付帯しており、契約から2〜5年目に会社の定めるBMIや血圧などの健康状態をクリアすると、保険料の割引と、契約日にさかのぼって計算した保険料差額相当額が祝い金として受け取れます。

また、住友生命の「Vitality」は、同社の対象商品に付加するオプションのような制度です。年間で行ったウオーキングの歩数や健康診断の数値、生活習慣状況に応じて会員ステータスが決まり、翌年の保険料が増減するというもの。割引を毎年積み重ねていくと、最大で保険料は3割引きになります。

このVitalityの面白い点は、生活を改善できずに既定のポイントが貯められなかった場合、3年目からは保険料が2%ずつ上がっていく点です。

「健康を維持できないと、保険料が値上がりする」という点は大きなデメリットといえますが、自らの努力が保険料の割引やキャッシュバックという形で見える化される仕組みのため、行動心理学の観点から見てもモチベーションを維持し、努力を続けやすい仕組みだといえます。

目先のおトク感だけではなく、Vitality加入者は死亡率が非加入者より約43%低く、入院率も18%低いという数字が出ています。さらに、会員ステータスが最上位のゴールド会員は最下位のブルー会員より死亡率が約77%低く、入院率は50%低いというデータもあります。

「健康はお金で買えない」とはよく言ったものですが、健康に寄与する習慣や環境をお金で整えることはできるかもしれません。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年7月19日号)の一部を再編集したものです。

----------

黒田 尚子(くろだ・なおこ)
ファイナンシャルプランナー
CFP認定者、1級FP技能士。一般社団法人「患者家計サポート協会」顧問、城西国際大学・経営情報学部非常勤講師もつとめる。日本総合研究所に勤務後、1998年にFPとして独立。著書に『親の介護は9割逃げよ 「親の老後」の悩みを解決する50代からのお金のはなし』など多数。

----------

(ファイナンシャルプランナー 黒田 尚子 構成=本誌編集部)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください