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「英語はAI翻訳に任せればいい」は大間違い…ChatGPTを使いこなす堀江貴文が「英語だけは自分で学べ」と言う理由

プレジデントオンライン / 2024年7月25日 9時15分

堀江貴文さん - 写真提供=Gakken

AIの進化によって言語の壁が低くなりつつある。実業家の堀江貴文さんは「AI翻訳は便利だが、必ずタイムラグが発生するためリアルタイムの会話や会議ではストレスになる。人間が自分で喋るほうが圧倒的に早いのは変わらない」という――。

※本稿は、堀江貴文『いつまで英語から逃げてるの? 英語の多動力New Version』(Gakken)の一部を再編集したものです。

■ChatGPTは凄まじいスピードで進化している

海外と取引がある企業では、数年前から、基本的な英会話はできて当然という空気が強くなっていると頻繁に耳にする。英語を使う部署でなくても、英語教材の購入に会社から補助が出たり、英語ができる社員が高く評価されたりするようになってきたそうだ。

国内勤務者であっても、以前に増して業務で英語を使う機会が増えているのだろう。

しかし普通に考えて、仕事を持つビジネスパーソンが日本にいながら英語力を伸ばすのは並大抵のことではない。そこで役に立つのがChatGPTだ。

ChatGPTの進化速度と能力には凄まじいものがある。

これまでは人間がやっていたことをChatGPTが代わりにやったとしても、ほとんどの人にバレないケースが今後増えてくるだろう。

例えば洋書の内容を要約して、人に紹介するといったとき。

長い小説やノンフィクションについて「要点を箇条書きで5つ書き出し、それを読むメリットを300語以内で提案してください」とChatGPTに頼めば、その通りの英文を出してくる。

分厚い洋書を読んだはいいけど、その良さを人に伝えるのは難しい。レビューのために、また読み返すのも時間がかかるし、そのときの読み手の興味や教養レベルによって、印象に残っている内容に個人差がもろに出てしまうからだ。

でもAIはそれを命令通りの文字数で代わりに紹介してくれる。

■他人から教えてもらっているようでは遅い

ChatGPTを使いこなしているのは、今はまだ一部のアーリーアダプターが中心かもしれない。iPhoneは2007年に登場し、その5年後に世界中で爆発的に普及した。AIツールが普及するのもそれくらいの時間はかかるだろう。

だからこそ、今から使いこなせるようになっておくことが大事なのだ。

使い方を他人から教えてもらっていては、もう遅い。

自分で試す。

他の人より早く動く。

そうやって先駆者たちは頭一つ抜け出す成果をつかみ取り、それを他人に指南することで、さらに利益を得ているのだ。語学においても先駆者になろう。

POINT
他人にやり方を教わる前に自分で試す。英語だってそうやって実践で学ぶ人が、早く上達している。

■AIはあくまで人類の「サポート役」

ディープラーニングとあわせて「シンギュラリティ」というバズワードがかつて世界的に広まった。

シンギュラリティとは、未来学者のレイ・カーツワイル氏が提唱したもので、「AIの知性(性能)が地球上の全人類の知性を超える時点」を指す言葉である。

映画『マトリックス』や『ターミネーター』の世界が約20年で現実のものになるというのだが、本来のシンギュラリティの定義は若干異なる。

本来の定義は「人間の生物的進化はあまり進まないが、そこをテクノロジーの進歩で超えよう」というものであり、むしろ進化したAIをどのように人類のサポート役として役立ててゆくか、という明確な視点を持っている。

AIをベースにした自動運転技術や医療技術の進歩は来たる高齢化社会において、より安全な移動や治療を享受できるようにしてくれるだろう。

そして英語についてはメガネに瞬時に相手の言葉が翻訳表示されるなど、まったくコストをかけず、高度な翻訳サービスが受けられるようになるはずだ。

AIは僕らを手助けしてくれるだろう。でも、それで全ての意思疎通をAIが代わりにやってくれるのかと考えると、それには時間がかかる。

まず、コンピュータによる翻訳にはタイムラグがつきものだ。

(日本語) 私は毎日英語を勉強します。
(英語) I study English every day.

日本語の文末にある「勉強します」というテキスト(または音声)をコンピュータが認識するまでは、「study」という英語に翻訳された動詞を導き出せない。つまり、コンピュータは日本語を全部聞き終わってから、英語で訳し始めるのだ。

例えば文書やEメールなど非リアルタイムの翻訳であれば、こうしたタイムラグがあっても使えるだろう。でも、リアルタイムの会話や会議ではタイムラグはストレスになる。

■人間同士なら「ご飯」だけで通じ合える

また、正しく機械翻訳させるには、こちらの言葉選びが重要になる。例えば「今日ご飯いかない?」と英訳させても、こちらの意図通りに訳してくれるとは限らない。例えば、「ご飯」を「rice(お米)」と認識するといったことも、起こりうるのだ。ディープラーニングが進めば、日本人がよく使う「ご飯」は「食事」のことだと、機械のほうが学習していく。

でも、朝ご飯なのか夕ご飯なのかという区別の課題がまだ残る。

「今日ご飯いかない?」

人間同士であれば、これがたいてい夕食のことを意味することを瞬時に判別できる。

先に書いたディープラーニングでの機械翻訳が進化すると、こうした翻訳の精度は高まっていく。でも、このくらいのことを相手に伝えるのに、あなたはわざわざ翻訳機を取り出すだろうか。

英語を学ぶ意義はまさにそこにある。

POINT
AIは手助けしてくれるが、自分で喋るほうが圧倒的に早いのは変わらない。

■「日本にいるから英語ができない」はおかしい

僕も対談したことのある、お笑いタレントの厚切りジェイソンさん。日本の漢字や文化、ことわざなどを外国人視点で皮肉るネタは、あなたも見覚えがあるだろう。

IT企業の役員でもある彼は、AI翻訳が発展したとしても、日本人は英語を身につけるべきだと主張する一人だ。

彼もアメリカにいながら日本語を勉強した。だから日本にいるから英語ができないと言い訳している人のことが理解できないと言う。アメリカ人にとっての日本語と、日本人にとっての英語。そこには習得における負担の差がいくらかあるだろう。日本語には、漢字、平仮名、カタカナと、同じ意味でも表示の仕方が異なる層がある、世界でもまれな言語だ。

ひょっとすると英語圏の外国人が日本語を学ぶほうが、日本人が英語を学ぶよりもよほど難しいかもしれない。でも、ジェイソンさんはそれをやり遂げ、今も学び続けている。

なぜなら、やらないことは、できるようにはならないからだ。

■AI翻訳を英語を学ばなくていい言い訳にするな

英語ができるようになりたいなら、英語をやるしかない。本を読むとき、ゲームをやるとき、映画を見るとき、友達と話すとき。できるだけ英語を使う環境を自分で用意する。ダイエットと同じなのだ。

痩せたければ、食べるのをやめて、運動するしかない。これほど分かりやすく、簡単で、成果の出る方法はない。つまり、英語を喋れるようになりたければ、英語で生活しろとジェイソンさんは言う。

ただ、ダイエットと同じく、語学力も2カ月後には前と同じレベルにすぐ戻る。だから、どうキープするかが大切なのだ。ジェイソンさんが言う唯一の語学習得のコツは、little by little、「楽しく」「少しずつ」「永遠にやる」こと。楽しくなければ続かない。

彼は、日本のお笑い番組を見ながら日本語を学んだ。でもそのとき、分からない日本語をいちいち辞書で調べるなんて面倒はやらなかったと言う。「だって、それをやると、楽しくなくなっちゃうんだもん」と。

英語ができたらいいのに、と言いながら勉強しない人、サボる人。そういう人に多いのは、英語を頑張る人に嫉妬して、自分が頑張らない言い訳を欲しがる。

最近ではAI翻訳の進化がその言い訳の一つになり始めた。

スマホの音声認識機能を使用する女性
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/metamorworks

海外と接したければ、グローバルに活躍したければ、英語は絶対に必要。英語ができるとコネクションの数と情報量が何十倍にもなる。

英語ができない人は、それができる人と競争していることを自覚しなければならない。

土俵に上がる前から不利なのだ。

POINT
little by little。少しずつでいい。
勉強を「楽しい」ものに変えて続ける。

■「自分で伝えたい」が人間の普遍的な欲求

AI翻訳が劇的に普及した今、僕らが英語学習に手をこまねいている余裕はない。むしろ翻訳するための基(もと)の言語である日本語の助詞や文節の並びを押さえておくほうが大切になってくる。そうすれば翻訳機がワンタッチできれいな英語にしてくれるからだ。

そんな時代に英語を勉強する必要とはなんだろう?

堀江貴文『いつまで英語から逃げてるの? 英語の多動力New Version』(Gakken)
堀江貴文『いつまで英語から逃げてるの? 英語の多動力New Version』(Gakken)

それは直(じか)に生身の人間同士でコミュニケーションを取りたいという本質的な人間の欲求があるからだ。翻訳機などのツールはツールとして活用すればいい。でも、やはりそれらに頼りっぱなしではなく、自分の口から英語を発したい。それは人間の普遍的な欲求だ。

大学で学問を教え、アーティストとしても活躍し、経営者でもある落合陽一さんも言っている。これから確実に重要になるのは百姓的な生き方(=多動力)。ひもを縒(よ)っているときもあれば、わらじをつくっているときもあり、稲を刈っているときもある。百の生業を成すことで、それぞれが相乗効果的に絡み合い、いまだ見ぬ「価値」を創れる人材になれる。

そんなふうに生きるためには、国内だけでなく、世界をもっと見る必要があるだろう。そして、世界を見るには英語が必須なのだ。

■訛っていても、下手でもまったく問題ない

“英語”というと、ペラペラに喋れるようになることを目指す人が多い。でも、何もわざわざネイティブと同じレベルを目指す必要なんて日本人にはないと僕は思う。

世界を知らなすぎる日本人が多い。やたら訛(なまり)があったり、大して英語がうまくない英語スピーカーも、英語圏の国で堂々と暮らしている。本来はそういう英語圏でのリアルを学んでから、英語習得に意識を向けるべきなのだ。

だからブロークンな英語でもいい。小学生レベルの英語でもいい。世界を旅しよう。自動翻訳が普及していくこれからは、英語が話せないより、話そうとしないほうが問題なのだから。

POINT
ペラペラを目指さなくてもいい。
でも話そうとしないのは大きな間違いだ。

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堀江 貴文(ほりえ・たかふみ)
実業家
1972年、福岡県生まれ。ロケットエンジンの開発や、スマホアプリのプロデュース、また予防医療普及協会理事として予防医療を啓蒙するなど、幅広い分野で活動中。また、会員制サロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」では、1500名近い会員とともに多彩なプロジェクトを展開。『ゼロ』『本音で生きる』『多動力』『東京改造計画』『将来の夢なんか、いま叶えろ。』など著書多数。

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(実業家 堀江 貴文)

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