中高年が「それな」「おk」と若作りLINEするのはアウト…若者から"イタい人"認定される人の根本的勘違い
プレジデントオンライン / 2024年7月21日 8時15分
■ビジネス・コミュニケーション手段の大変化
時代の変遷とともに、常に新しいデバイスやガジェットが登場してきます。それに伴って、必然的に仕事で使うコミュニケーションツールも大きく変化していきます。
50代以上の人にとっては、かつてビジネスでのやりとりは電話が主な手段でした。
その後ポケベルを挟み、パソコンとインターネットが職場に普及していきました。40代なら、社会人になったときからメールが主流に。
さらにスマホが普及したことで、今やどの世代でも、ビジネスシーンでメールに加えてSNSやチャットを活用するようになっています。
■仕事でLINEを使ってはいけない時代があった
2011年に登場したLINE、2006年にローンチされ2010年ごろから急成長したTwitter(現X)、2008年に日本語版が公開されたFacebook、2010年に登場したInstagramなどは、最初は仲間内でのコミュニケーションツールでしたが、すぐに企業の公式アカウントが登場するようになっていきました。
当初は、仕事でLINEを使うことに賛否両論が巻き起こったりしました。ところが今では、40代、50代、あるいはそれ以上の世代でも、仕事に使うことへの拒絶感はすっかり薄れています。
近年では、ChatworkやSlackなど、業務用のチャットツールなども使われるようになっています。
コミュニケーションの方法は、どんどん進化するのです。
■年代が下がるほど文字数が少なくなる傾向…
コミュニケーションツールの変遷を見ていると、世代が上から下へ移行するにしたがって、使用される文字数が少なくなっていくことがわかります。
メール世代は、ビジネスメールを「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」から書き始めていましたが、LINE世代は「お世話になります」「お疲れさまです」「こんにちは」というように、どんどんフランクになり、言葉が省略化されていきます。
これはビジネスシーンだけでなく、プライベートでも同じです。
一時期「おじさん構文」や「おばさん構文」が話題になりましたが、年代が上の人は何かと「!」や「絵文字」、「顔文字」、スタンプなどで文字数を埋め尽くしがちです。
しかし、今時、スタンプや顔文字などを多用するZ世代はいません。だからこそ、○○構文と揶揄(やゆ)されてしまうのです。
■隠語やスラングなど独自文化が発達
Z世代の間では、仲が良くなればなるほど、絵文字やスタンプなどは使いません。短い単語や文章のやりとりで進みます。これは、絵文字や顔文字を使わなくても、相手とのコミュニケーションを見誤ることがないからなのでしょう。
代わりに、同じ年代や少人数の決まったグループの中だけで通じる隠語、メタファー、記号などを多用しています。大学生であれば大学のゼミやサークルなど、同じ属性にしかわからない言語が発達しています。
「それな」「おk」「おけまる」「なるほほ(なるほど)」などの“Z世代言葉”がありますが、中高年世代が周囲の若者に影響されて「自分も使ってみようかな?」となると、「おじさん構文」「おばさん構文」を使うのと同じぐらい、若者から見て“イタいおじさん&おばさん”になってしまいます。
ですから、「自分のテリトリー外に出たら普通の会話をする」というのが、何はなくとも鉄則です。つまり、コミュニケーションにおいても、「味のないフランスパンを出しておけばハズレがない」というわけです。
■相手の性格によって味付けを変える
しかし、毎回フランスパンというのも味気ないものです。
そこで、ジャムやバターを添えたり、クリームチーズとサーモンをのせてカナッペのようにしたりと、料理で少しずつ味付けを変えるように、コミュニケーションにおいても一工夫を加えるのがポイントです。
とはいえ、Z世代は「これを食え」というような押しつけを嫌います。相手の性格を見極めて、「この性格なら、こういうのを求めている」「このタイプの人は、こういうふうに話しかけたほうがいいだろう」というように工夫をすることが大切です。
私は、1500万人以上の統計データを集め、「ディグラム診断」という性格診断ツールを開発し、人間を31の性格タイプに分類しています。この性格診断では、20の質問に答えるだけで、自分がどの性格タイプなのかがすぐにわかります。
詳細は拙著『「人間関係」は性格と相性が9割』にあたっていただくとして、たとえば「Aトップ型」という性格タイプは論理性が高いので数字を多めに入れる、「U型」なら大人しく、「M型」だったらノリ良く、というように、コミュニケーションの“トッピング”を相手によって変えるために活用しています。
■自分のキャラクターを明確化する
また、トッピングをするにあたって、相手の性格を知るのと同じぐらい重要なのが「自分の性格を知ること」です。
自分がジャム屋さんであれば、トッピングはおいしいジャムで勝負する、ワインバーならカナッペ風にお酒に合うトッピングで勝負する、そしてキッチンカーならフランスパンに合う具で勝負する……というように使い分けるわけです。
本当はジャム屋さんなのに、フランスパンに合うスープを作ってみようなどと、自分のテリトリーでないところでやってしまうから、“イタい人”となってしまうのです。
自分の性格は、知っているようで知らないものです。そこで自分の性格を知るために役立ててほしいのが「ディグラム診断」なのです。
■自分の守備範囲外も少しずつ増やしていく
コミュニケーションにおいて、基本的には自分のテリトリーを広げすぎないことで“イタい人”になることを避けることができます。その一方で、コミュニケーションの幅を広げるという意味では、自分の領域にないものに触れることも必要です。
たとえば、国が違えばマナーや正しいとされることが異なるように、コミュニケーションをする相手が違えば、フィロソフィーやイデオロギーも異なります。
LINEのスタンプ1つにしても、こちらが考えている記号の意図と、向こうが考えている記号の意図が異なることもあります。「そんなつもりじゃなかった」ということも多々あります。
世の中には、さまざまな考え方を持つ人がいることを学び、自分の思考をより柔軟にしていくという意味でも、ディグラム診断をぜひ活用していただきたいと思います。
■情報を整理するために日記を活用する
ところで、私は最近、アプリで日記を書くようにしています。現代は言わずもがなの情報化社会で、ヒマさえあればSNSなどを見てしまい、気がつくと1日に何時間も情報を浴び続けています。
そこで、インプットされた情報の要素を整理してアウトプットをすることで、自分の中でのロジックを確固たるものにすることができるのではないかと考えています。
日記でアウトプットをするといっても、短い文章でかまいません。自分の言葉を使って、自分の考えをまとめることが大切です。
私の周囲を見回しても、コミュニケーションスキルの高い人、後輩に尊敬され、先輩にも「すごいな」と言われるような人は、自分の頭の中で常にコミュニケーションの練習試合をしています。
自分のアタマの中を1つの社会として、多様性やさまざまな価値観を認め、自分の中で自分自身をブランディングし、自分自身のマーケティングができる人こそ世代格差を乗り越え、コミュニケーションの達人となることができるのです。
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ディグラム・ラボ代表
1979年生まれ、京都府出身。電通やミクシィでマーケティングを担当し、さまざまな企業のマーケティングコンサルティングにたずさわる。2013年、ディグラム・ラボを設立。「心理学×統計学」で人間の本音を分析し、カウンセリングするプログラム「ディグラム診断」の研究を進めながら、同時に事業展開。著書多数。「あなたはどれに当てはまる? スター★性格診断SHOW」(TBS系)、「性格ミエル研究所」(フジテレビ系)などテレビ出演も多数。
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(ディグラム・ラボ代表 木原 誠太郎)
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