1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「最近調子はどうですか?」に三流は「まあまあです」と答える…その質問に一流がしている"最高の返し"

プレジデントオンライン / 2024年7月23日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/imtmphoto

初対面の人とうまく会話をするにはどうすればいいのか。スタンフォード大学経営大学院で講師を務めるマット・エイブラハムズさんは「会話には『型』がある。それを活用すれば雑談力を高めることができる」という――。(第1回)

※本稿は、マット・エイブラハムズ『Think Fast, Talk Smart』(翔泳社)の一部を再編集したものです。

■会話の「型」を生かせば、雑談力は高まる

人脈作りや社交の場では、会話力がとことん試されるため、尻込みする人も少なくないでしょう。次から次へと相手を変えての世間話にまったく気乗りしない時もあります。会話の最中でも、ほとんどの人は何をどう言うべきか考えあぐねています。

賢くておもしろい人間だと印象付けたくても――立食パーティーであれ、社内の集まりであれ、仕事関連の交流会であれ、子どもの学校行事であれ――相手とのやり取りがテニスボールの果てしない打ち合いに思えてしまうかもしれません。

そのような感覚は変えられます。認知の仕方を変化させ、便利な型を活用し、いくつかのコツを頭に入れておけば、何気ない雑談にうまく対処できるだけでなく、会話を心から楽しめるようになります。

雑談なんて取るに足らないことのように思われるかもしれませんが、時に重大なインパクトをもたらします。

第一に、思いがけず共通の関心ごとが見つかるきっかけとなり、相手との関係を新たに築いたり、深めたりできます。

第二に、相手との関係をもっと先に進めていきたいか見極める機会となります。

第三に、親切な態度で思いやりを示すことで、友人や同僚から好感を集めたり、自分に対する評価を上げたりできる可能性があります。

最後に、あなたが仕事やプライベートで心に抱いている目標を分かち合える仲間を見つけ出すのに役立ちます。これだけ理由があれば、気後れしている場合ではなく、雑談力を高めるしかありません。話の構成を意識することが第一歩です。

■「何――それが何――それで何」の型で会話が生まれる

堅苦しくない会話で私がよく使う構成は、本書(第5章)で紹介した「何――それが何――それで何」の型です。

まず、意見や重要ポイントを明らかにします(何)。次に、その情報の重要性を説明し(それが何)、新たな知識に基づく行動を相手に提案します(それで何)。

応用範囲が広く、融通を利かせやすいため、雑談にうってつけの形式です。しかも、最後の部分を使って相手に問いかけると、その人に対する共感や関心を示せます。この型自体については第5章で説明済みですので、雑談への応用方法をさっそく見ていきましょう。

「何――それが何――それで何」の使い方は2つあります。まず第一に、会話を始めたり、続けたりしたい時に、3つの質問を相手に投げかけられます。

例えば、「今日の基調講演についてどう思いましたか」(何)と尋ねます。相手から答えが返ってきたら、「講演の内容がすぐにどう役立つと思いますか」(それが何)と問いを重ねます。

会話が思いがけず興味深い方向へと脱線したら、「何――それが何――それで何」の形式を離れて構いません。ただ、会話の勢いが失われてきたら、「この後予定されている講演者との交流会に参加しますか」(それで何)と、3つ目の質問に立ち返ることができます。

■雑談の達人は「自分が話す番」を最大限生かす

この型は、相手から持ち出された話題を発展させたい時にも有効です。ハイキングなどのアウトドアスポーツ好きを対象とした見本市で、参加者同士の交流イベントが開かれたとしましょう。「どうしてここにいらっしゃったのですか」と話しかけられたら、こう答えられるはずです。

「もう何年もハイキングを趣味にしています(何)。けがをせずに長くハイキングを続けたいので、ここで最新の装備やツールを探せると聞いて楽しみにしていました(それが何)。あなたもアウトドアによくお出かけですか(それで何)?」

疑問符の吹き出し
写真=iStock.com/akinbostanci
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/akinbostanci

「何――それが何――それで何」の型は会話の糸口として便利ですが、雑談力を必ずしも最大限に高められるわけではありません。

雑談の達人になるには、話し手と聞き手という両方の役割に気を配る必要があります。雑談とは、参加者たちが代わる代わる口をはさむ会話に他なりません。こうした一連の会話は、話題の変化に伴って話し手が交代するタイミングによって細分化できます。

雑談を盛り上げていくには、自分が話す順番を最大限に生かす必要があります。達人への近道として、私が「雑談の第一の掟」と呼ぶ次のことを心がけてください。

■“主役は相手”と常に意識したほうがいい

「賢くておもしろい人間だと思ってもらわなければ」
「この場を取り仕切らなければ」

そう思い込む人はたくさんいます。すると、会話を支配しようと張り切るあまり、自分のことばかりしゃべってしまいます。たいていの相手はこちらの話を聞きたいと思ってくれているかもしれませんが、それ以上に話を聞いてもらいたいという思いを強く抱えている可能性があります。

こちらが自分語りに没頭すると、うぬぼれ屋で、思いやりがなく、傲慢で、思慮分別に欠けるという印象を与えかねません。「そう思われて結構」と開き直れる人はめったにいないでしょう。

話す順番が回ってくるたびに、自分ではなく、相手を主役に据えましょう。受け答えは学問上、「相手をサポートする返答」と「自分の話題へとシフトする返答」の2種類に分けられます。

上の階の住人がうるさいと友人がこぼした時、「それなら、うちの近所のひどさはもっと信じられないと思うよ。昨晩のパーティーは午前3時過ぎまで続いた」と答えたりするかもしれません。

あなたはこの時、相手にもっと話してもらう機会を作らずに、会話のボールを奪い返しています。相手をサポートするなら、共感の言葉をかけたうえで、具体的にどのような迷惑を被り、どう対処したのかを質問しましょう。

■相手のエピソードを深掘りしてみる

話題を自分にシフトする返答をときどき使うのは構いません。相手だってこちらのことを知りたいでしょうし、あなたも「質問をいつもはぐらかす引っ込み思案な秘密主義者」というレッテルを貼られたくないでしょう。

とはいえ、あまりに頻繁に会話のボールを奪う過ちを犯している人が数多く存在します。

雑談をうまく運べるようになりたければ、相手をサポートする受け答えにもっと力を入れてみましょう。結婚支援事業を展開するコミュニケーション・コンサルタントのレイチェル・グリーンウォルドによると、そのための方法はいくつもあります。

相手がコメントやエピソードを話したら、こちらから「何が楽しかったですか?」「え、その後どうなりましたか?」「その時どう思いましたか?」と問いかけます。こうした声がけが、相手が話をさらに広げたり、深めたりしても構わないという合図になります。

自分の同じような経験に話題を引き込もうとせず、相手の話をサポートする姿勢を身につけるほど、無理なく自然に合いの手を入れられるようになります。

話をする人たちのイラスト
画像=iStock.com/Color_life
※画像はイメージです - 画像=iStock.com/Color_life

■「最近どうですか?」「お仕事は?」はNG

私の義母は雑談が黒帯級の腕前で、ちょっとした会話を弾ませて楽しむのがとても上手でした。「もっと話して」を口癖にしていたのが強く印象に残っています。

他の家族はだいたい、会話の順番を譲って聞き役に回るのが苦手で、互いの話を聞かずに全員でいっぺんに話すという有様でした。声の一番大きい人が勝ち、それ以外の意見は通りません。

会話のボールを喜んで譲り、相手に「もっと話して」と言う義母が、どれだけ特異な存在だったかわかってもらえるでしょうか。「もっと話して」という言葉を聞いただけで関係がとても近くなったように思え、彼女が他の人の話から多くを学んでいることにも気付きました。そして、私も見習いたいと考え始めました。

相手を主役に据えることは、会話の始まりと終わりのきっかけ作りにも役立ちます。誰かと話し始める時に「最近どうですか?」や「お仕事は?」という退屈な常套句を使うのは避けましょう。会話の出だしを、相手の人柄や考え方に対する関心を示すチャンスと捉え直してください。

その場の様子について質問してみるのは良案です。「青シャツの人がこんなに集まっている光景を見たことがありますか?」とか、「この建物の窓の数をどう思いますか?」という具合に。早々に打ち解けられるよう、相手の人柄や、相手と共通する経験に興味があることを伝えるのです。

雑談の機会があるイベントへの参加予定があれば、会話のきっかけに使える質問をいくつか前もって用意し、相手への思いやりと関心を示せるようにしておくと便利でしょう。

■「調子はどうですか?」と聞かれた時のベストアンサー

会話のとっかかりとしてお決まりの質問を向けられる側となったら、あわててヒューリスティックで反応しないように気をつけてください(「いかがお過ごしですか」と聞かれて、「まあまあです。そちらは?」と答える会話に醍醐味はありません)。

代わりに、次の質問を引き出すような意外性ある答えを返してみましょう。コツは、自分自身や、自分の関心事についての情報を若干盛り込むことにあります。

「調子はどうですか?」と聞かれたら、「最高です。ちょうど今朝、ジムで自己ベストを更新しました」などと答えてみてください。それについて相手が質問を重ねてきたら、答えてからすぐに相手のことを尋ね、サポートとなる合いの手を入れていきます。

会話を終わらせる時は、相手に感謝の気持ちを伝えると気まずい思いをせずに済みます。たいていの人は「すみません、飲み物を取りに行かないと」、あるいは「お手洗いに行くので失礼します」と、ただ自分の用事にかこつけて話を終わらせようとします。

グリーンウォルドは、その場を離れる理由を説明しつつ、会話を楽しんだサインとして最後にまた一つ質問し、相手への関心をあらためて表明するようアドバイスします。

オフィスでコーヒーを飲みながら話をする2人
写真=iStock.com/Mariia Vitkovska
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Mariia Vitkovska

■会話の締めくくりで“相手への感謝”を伝える

例えば、次のような問いかけが考えられます。「そろそろビュッフェ会場に行こうと思いますが、お話できてとても楽しかったです。最後に、話題に出たマラケシュ旅行について一つ質問させてください。いつか行く機会があるかもしれないので、良いレストランを教えていただけませんか?」

グリーンウォルドはこれを「白旗アプローチ」と呼びます。自動車レースでラスト一周になると、係員が白旗を振って合図します。私たちも会話を終える時、同じようにできるはずです。話を聞いてもらいたいという相手の欲求を満たし、話を聞かせてくれたことに感謝すれば、スムーズに締めくくれます。

マット・エイブラハムズ『Think Fast, Talk Smart』(翔泳社)
マット・エイブラハムズ『Think Fast, Talk Smart』(翔泳社)

私の義母は「今まで知らなかったことを教えてくれてありがとう。とても勉強になったわ。もう行かなきゃいけないけど、最後に一つだけ質問させてちょうだい」というふうに、感じ良く伝えてくれたものです。

あなたが出席した仕事関係の集まりで、引っ越しの話題が出たとしましょう。「そこを引っ越し先に選んだ理由をもう少し聞かせてください」とあなたから質問し、相手が答えたら、こう締めくくれるのではないでしょうか。

「それは納得の理由ですね。私はそろそろ向こうにいる同僚のところに戻らなければなりません。参考になるお話をありがとうございました。お話できて楽しかったです」

----------

マット・エイブラハムズ(まっと・えいぶらはむず)
コミュニケーション専門家
スタンフォード大学経営大学院で組織行動学の講師として、戦略的コミュニケーションやバーチャル・プレゼンテーションなどの人気講義を担当し、アラムナイ・ティーチング・アワードを受賞。スタンフォード継続学習プログラムでも、即興で会話するためのメソッドを教えている。また、コンサルタントやコーチ、講演者としても活躍し、IPOロードショーやノーベル賞受賞スピーチ、TEDトーク、世界経済フォーラムといった重要な場に向けて準備する数々の発表者を支援してきた。自身のオンライン講演は数百万ビューを獲得し、受賞歴のある人気ポッドキャスト「Think Fast, Talk Smart: The Podcast」を司会している。前著『Speaking Up without Freaking Out』は、不安を克服し、自信を持って自分らしく会話するために多くの読者に役立てられている。リラックスしてリフレッシュする手段は、妻とのハイキング、子供との会話やスポーツ観戦、友人と会うこと、空手など。

----------

(コミュニケーション専門家 マット・エイブラハムズ)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください