「結局マイペースな人のほうが、いい仕事ができる」禅僧が指摘する"周囲に流されない人"の驚異的な強さ
プレジデントオンライン / 2024年7月27日 15時15分
※本稿は、枡野俊明『迷ったら、ゆずってみるとうまくいく』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
■快適な朝を迎えるための就寝前の過ごし方
皆さんは毎朝、気持ちよく目覚めていますか?
私は毎朝4時半に起床し、朝のおつとめ前に執筆や庭園デザインの構想を練ったり、庭仕事をしています。
快適な朝を迎えるためには、就寝前の過ごし方がすべてです。
私は、就寝前にその日一日に区切りをつけることを心がけています。それは仏さまへの報告です。
「ミスをした弟子にきつく言い過ぎたかもしれません。明日から愛語で接するように心がけます」
「クライアントへの説明が足りませんでした。この次は、もっと丁寧に伝わるように話します」
もちろん、よかったできごとも報告します。
「クライアントに庭のできばえを感謝されました」
「今日はテーマに沿ったいい講演ができました」
今日一日を振り返り、仏さまにお話しするのです。本堂ではなく、住まいにある仏壇の前で、手を合わせ、時間にするとほんの2、3分です。就寝前に頭の中を整理することで気持ちがスッキリしてよく眠れます。
寝る前に今日の残念なことを思い出すと、かえってモヤモヤした気持ちを引きずって眠れなくなるのではと感じるかもしれませんが、そうではありません。思い出すだけでなく、「明日からはこうします」と反省すべき点に結着をつけるのです。一日を清算するのです。
一日を振り返る効果は快眠だけではありません。同じ失敗を繰り返さなくなり、成功体験はしっかり記憶に残ります。
■朝イチに一日を見通す
できるビジネスパーソンはもちろん、毎日生き生きと暮らしている人は皆、スケジュール管理をしっかりしています。作業や活動の予定時間を見積り、「ToDoリスト」を作成している人も多いことでしょう。
スケジュールどおりに仕事をこなしていければよいのですが、なかなかそうはいかないのが現実です。予定どおり進まなければ間に合わせようと焦ってしまい、ミスも起こりがちになります。
私は毎朝、「一日を見通す」作業をしています。
朝目覚めるとすぐに、香り高いお茶とお線香を仏壇にお供えし、無事に朝を迎えられたことに感謝して合掌をします。そして、今日一日のスケジュールを仏さまにお伝えします。
それは、詳細な行動予定ではなく、「午前はどこそこで何をし、午後に来客があり、そのあとは執筆があります」という程度の一日の大まかなビジョンを仏さまにお伝えすることで、自分の頭の中で今日の過ごし方が整理されていきます。
それによって、やらなければならないことが多い忙しい一日でも心の余裕が生まれ、多少予定どおり進まなくても、慌てることが少なくなりました。
■自分のペースを守りながらも、周囲の状況に合わせる
「キミはマイペースだね」
上司や同僚から言われたら、あなたはどう感じますか。
ほめ言葉と受け取る人は少ないでしょう。
「マイペース」という言葉に対しては、「自分の都合を優先して協調性がない」、「時間を守れない」、「融通が利かない」、「こだわりが強く頑固」、「メールやLINEのレスポンスが遅い」――などなど、ネガティブなイメージを持つのではないでしょうか。
たしかに、周囲の状況を考えずに自分勝手にものごとを進めていくなど、順応性がないとマイペースはネガティブです。
しかし、「マイペース」をネガティブなことと決めつけるのはいかがなものでしょうか。自分のペースをしっかり守りながらも、周囲の状況に合わせることができれば、ウェルビーイング(最高善)です。
そうした「いいマイペース」な人のセールスポイントを挙げてみましょう。
「周囲の意見を気にしない」、「決断力に優れている」、「いつも冷静でいられる」、「自分のペースでものごとを進めていける」、「楽観的でいつも前向きでいられる」、「一人でいても力を発揮できる」――。
焦らずにマイペースで過ごすことができれば、人生はもっと楽しくなるはずです。
■「マイペース」を長所にする方法
秀でた活躍ができる人は皆さん、マイペースです。
「人間は自分のペースでしか能力を発揮できないものだ」と前に述べましたが、いい意味でマイペースな人のほうが、いい仕事ができると私は思います。
マイペースをプラスにはたらかせるコツを考えてみましょう。
まず、マイペースな人は「早く、早く」と急かされることが苦手であるいっぽう、時間にある程度の裁量を与えられるとパフォーマンスが上がります。
自分がどんなやり方をすれば力を発揮できるか知っていますから、まさに“水を得た魚”です。
上司から「この報告書を3日後までにまとめて」と言われたら、思い切って「1週間時間をください」とお願いしてみたらいかがでしょうか。焦らずにマイペースで仕事をすれば、きっと素晴らしい報告書を仕上げられるはずです。
そんなことを繰り返していくうちに、皆にあなたのほんとうの仕事力を知ってもらえます。
また、マイペースの人は空気が読めずに皆の和を乱しやすいと思われがちですが、裏返せば、おおらかで楽観的であるというプラス面があります。
不測の事態が職場内に起こり、緊張が走ったときでも右往左往せず、その場の雰囲気に流されず、冷静に判断できます。肝心なときに頼りになる存在なのです。
「自灯明(じとうみょう)、法灯明(ほうとうみょう)」というお釈迦さまの言葉があります。自分自身を信じ、永遠不滅の仏の教えをよりどころとして生きなさい、という意味です。
つまり、「自らの意志によって生きなさい」とお釈迦さまは教えています。
それが幸せに生きる道です。
----------
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー
1953年、神奈川県生まれ。多摩美術大学環境デザイン学科教授。玉川大学農学部卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行ない、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。また、2006年『ニューズウィーク』誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出される。
----------
(曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー 枡野 俊明)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「同期のアイツが自分より先に主任に…」焦りとモヤモヤを募らせる人に禅僧がかける"目の覚める言葉"
プレジデントオンライン / 2024年7月26日 15時15分
-
なぜ日本人は曖昧な表現をするのか…禅僧「グローバル社会」で日本人だけが持つ意外にも素晴らしき能力
プレジデントオンライン / 2024年7月25日 15時15分
-
イライラがすっと消える…雑巾5600枚以上奉納で横柄な態度を取られた老夫婦が怒りを鎮めた"7文字の言葉"
プレジデントオンライン / 2024年7月24日 15時15分
-
だから圧倒的パワーで数々の成功をおさめた…稲盛和夫が新たな仕事を生み出すときに何度も自問自答した言葉
プレジデントオンライン / 2024年7月23日 15時15分
-
【ベストセラー著者の最新刊】禅僧であり世界的庭園デザイナーの著者が贈る「ぎすぎすしない生き方」46のヒント。新刊『迷ったら、ゆずってみるとうまくいく』本日発売!
PR TIMES / 2024年6月29日 12時40分
ランキング
-
1「子どもが野菜を食べてくれない」悩みへの回答 科学的に正しい「野菜嫌いをなくす5つの方法」
東洋経済オンライン / 2024年7月27日 15時0分
-
2G20、「デジタル課税」早期実現への決意示す…3会合ぶりに共同声明採択し閉幕
読売新聞 / 2024年7月27日 15時0分
-
3スズキ、コンパクトSUV「フロンクス」の最新情報を公開
財経新聞 / 2024年7月27日 16時36分
-
4〈最低賃金1054円に〉過去最大増なのにパート、アルバイトから大ブーイングのワケ「扶養控除ライン据え置きはオフサイドトラップ」「政治家の報酬だけは世界トップクラスだけど、賃金はオーストラリアの半分」
集英社オンライン / 2024年7月26日 18時56分
-
5「半端な対策では命にかかわる」 山善の”プレミアム水冷服”がたちまち完売、現場のニーズとどう合致した?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月27日 6時20分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください