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貧乏ゆすりと脚組みはどんどんやっていい…だらしなくて行儀が悪い姿勢が、じつは体にいいといえるワケ

プレジデントオンライン / 2024年7月28日 7時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/XiXinXing

なぜ人は貧乏ゆすりをしたり、脚を組んだりひじをついたりしてしまうのか。整体師の片山洋次郎さんは「こうした『行儀が悪い』『姿勢がよくない』ことは、人が無意識に固まった部分をゆるめ、疲れを軽減させようとする動き。状況さえゆるせば時々やった方が、身体にストレスがかからない」という――。(第2回/全3回)

※本稿は、片山洋次郎『姿勢をゆるめる 疲れない身体と心の整え方』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。 

■行儀が悪い姿勢には、メリットがある

人の身体はよくできていて、無意識のうちに固まった部分をゆるめ、疲れを軽減させようとする動きをとっています。

たとえば、緊張が続く時に「貧乏ゆすり」をする人がいますね。貧乏ゆすりはその人が無意識にやっていることですが、実は、股関節を動かして体幹の底から姿勢をほぐす効果があるのです。

それ以外にも私たちは、自分では意識せずに姿勢をほぐし固まらないようにしています。たとえば脚を組んだりひじをついたり、背もたれや壁に寄りかかったり……。そういった姿勢は、たいてい「行儀が悪い」「姿勢がよくない」と言われます。

しかし、身体がゆるもうとして本能的にやっていることですから、状況さえ許せば時々やっておいた方が身体にストレスはかかりません。

その他にも、たとえばデスクワークをしていて、ふとトイレに行きたくなったり、席を立ってお茶を飲みに行きたくなったりするのも、身体が緊張を解いて休みたいと欲している証拠です。また椅子に座ってあぐらをかいたり、椅子の上に片脚だけ立てたりする人がいますが、これも無意識で自分の楽な姿勢、身体がゆるむ姿勢を選んでいます。

どんな動きが本人にとって心地いいのかは、一人ひとり違います。しかし、普段自然にとっている姿勢や行動がリセットになっていたり、自分の中でリズムを作っていたりすることに変わりはありません。

言い換えれば、自分自身の日頃の動きを見れば、自分の身体を調整していくすべを再発見できるのです。

では、私たちが無意識でリラックスするためにやっている、ゆるむ姿勢にはどんなバリエーションがあるでしょうか。

■身心の集中をオフにする

①頰杖

A 両手のひじをついて、頭の重みを完全に預けている頰杖

机にひじをついて、両手のひらに頭の重みを完全に預けて頰杖をついている時、首はフリーになって力が抜けています。頭や目が疲れると、首も必ず疲れて硬くなるので、頰杖をついて首をゆるめ、頭を空っぽにしてリラックスしようとしている姿勢です。

B 片方の手に寄りかかるような頰杖

片ひじをついて、左右どちらかの手に寄りかかる頰杖もあります。

たとえば、本や手紙を読みながらゆっくり思いをめぐらせたり、ゆったりと物思いにふけったりする時によくとる姿勢です。

左右どちらかに重心を傾けることは、リラックスの基本姿勢と言っていいでしょう。首を少し横に傾げるだけでも緊張がゆるみます。

集中している時や精神が覚醒状態にある時は、あごを引いて首を立て、緊張を生む姿勢になります。首を完全にゆるめる頰杖は、そういったオンの状態から離脱し、身心の集中をオフにするのにとても有効な姿勢です。

前後左右どの方向でも、何かに寄りかかる行為はリラックスそのもの。その中でも、Aのように大きく前に寄りかかるのは、より深いリラックスになります。一方、Bのように左右に寄りかかるのが一番手軽で、よく見かけるリラックス姿勢です。 

頰杖をつきながら口をぽかんとして上を見るのも、首をゆるめて頭を空っぽにする姿勢になります。放心状態の時や、あまりにびっくりした時も口をぽかんとしますが、これは無意識に首をゆるませているのです。

②机の上に足をのせて背もたれに寄りかかる

机の上に足をのせる行為はかなり行儀が悪いですが、背もたれに思い切り寄りかかれるので、リラックスします。椅子よりも少し足を高くするだけでも、首がゆるみやすくなります。

自分以外のものに完全に寄りかかって身を任せるのは、二本足で立つ姿勢そのものをオフにするということでもあります。姿勢をいったんリセットし、リフレッシュして、良い姿勢を再生するための最高の姿勢と言えます。

■胸や肩をゆるませる

③腕組みをする

腕組みをすると、胸や肩がゆるんで呼吸が落ち着きます。

人と話している時にやると相手を見下しているように見えてしまう場合もありますが、お互いの関係が対等であれば、人と人の間の緊張感をゆるめる効果もあります。

浅く腕を組むと、みぞおちを含めて胸の下がゆるみ、深く腕を組むと胸の真ん中がゆるみやすくなります。また腕を組んで、さらに首を軽く傾げると、ひと息つきながら頭を休める効果があります。

④ひじをつく

テーブルや机にひじをつく姿勢も、片ひじの場合はみぞおちのまわりと胸の下が、両ひじの場合は胸の真ん中がゆるみやすくなります。ひじに身体が寄りかかるほど、行儀は悪く見えますが深くリラックスします。

机の上に手をのせるだけでも、肩や胸が軽くゆるみます。さらに両手を組むと胸がさらにゆるみやすくなります。

テレビのニュース番組などでは、キャスターや解説者が机の上に腕を置くのがスタンダードな姿勢になっています。出演者自身の緊張をゆるめると同時に、視聴者に語りかけるような親しみやすい雰囲気が生まれます。

⑤脚を組む

脚を組むと骨盤がねじれるので悪い姿勢と言われやすいのですが、脚を上にのせている側は骨盤の緊張がほぐれます。

ただし、ずっと同じ組み方を続けていると姿勢が固まってしまいます。適度に組み方を変えたり、時々、脚を組まない時間を作ったりすれば問題ありません。

長時間座っていると疲れて骨盤が後ろに傾き、そのまま姿勢が固まってしまいますが、足を組むことで、骨盤が後傾して固まるのを少しやわらげることができます。

⑥ポケットに手を入れる

ポケットに手を入れるのも、肩と胸を軽くゆるめる姿勢になります。

ポケットに手を突っ込むことで、腕の重みがわずかに下から支えられます。それだけで肩のまわりの力が抜けるのです。

■「良くない」姿勢はリラックスのための姿勢

このように、一般的に「良くない」と言われる姿勢を見てくると、大体において身心をリラックスさせるための姿勢だということがわかります。良いと言われる姿勢でも、ずっと続けていれば疲れます。姿勢の一部が固まり、自然とゆるめたくなるのです。

日常で私たちがついやってしまうこのような姿勢は、「持続可能」な自分自身でいるための工夫でもあります。

もちろんTPOはわきまえなければなりませんが、一人でいる時や気のおけない相手といる時は「だらしない」「行儀悪い」といった意識を脇において、自分のとりたい姿勢をとるのが、身体にとっては得策と言えるでしょう。

伸びやあくびも、身体をゆるめるためにはとても効果的です。

■基本姿勢チェック:床の上に寝て、背中の感触を確かめる

今の自分の姿勢が自在に動けるリラックスした状態なのか。それとも、ゆるむ必要があるこわばった状態なのか。ちょっとチェックしてみましょう。

片山洋次郎『姿勢をゆるめる 疲れない身体と心の整え方』(河出書房新社)
片山洋次郎『姿勢をゆるめる 疲れない身体と心の整え方』(河出書房新社)

姿勢の状態を知るために一番わかりやすいのが、寝た時の背中の感触です。

床の上に、仰向けに寝てみましょう。

ヨーガのシャバーサナ(死体のポーズ)と同じで、全身が脱力し切った状態です。

この時、背中全体が床に気持ちよく触れている体感、つまり、床にクターッと身をゆだねている体感があれば、良い姿勢。身心の安定そのものの姿勢です。

逆に、床と腰の間に手のひらが入るような隙間ができるのであれば、身体のどこかが疲れていたり緊張したりしている証拠です。

仰向けに寝て全身の力を抜く

仰向けに寝て全身の力を抜く
片山洋次郎『姿勢をゆるめる 疲れない身体と心の整え方』(河出書房新社)より

床に腰がピッタリつくのがリラックスした“良い姿勢”(腰と床の間に手を入れてみるとわかりやすい)。「良い姿勢」に見えても、腰が床から浮いていれば姿勢にこわばりがあり、良くリラックスできていない。

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片山 洋次郎(かたやま・ようじろう)
整体師
1950年神奈川県生まれ。東京大学教養学部中退。現在、身がまま整体 気響会を主宰。20歳代半ば、自身の腰痛をきっかけに整体に出会う。その後、野口晴哉の思想に触発されながら独自の整体法の技術を創り上げる。著書に『骨盤にきく』『身体にきく』『整体かれんだー』『女と骨盤』(以上文春文庫)、『自分にやさしくする整体』(ちくま文庫)、『生き抜くための整体』(河出文庫)、『呼吸をふわっと整える』(河出書房新社)などがある。

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(整体師 片山 洋次郎)

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