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「伝統的な街並みが残っているから」だけではない…岐阜を訪れるイスラエル人観光客がどんどん増えているワケ

プレジデントオンライン / 2024年7月28日 9時15分

河童橋と焼岳。所在地は長野県松本市の上高地。(写真=663highland/CC-BY-SA-3.0-migrated/Wikimedia Commons)

外国人観光客は日本のどこを訪れているのか。東大カルペ・ディエムによる『外国人しか知らない日本の観光名所』(星海社新書)より、第3章「中部地方の知られざる観光名所」の一部を紹介する――。(第2回)

■芥川龍之介の小説にも登場する橋

上高地は、飛騨山脈の南部、長野県側にある景勝地です。中部山岳国立公園の一部として、国の特別名勝、特別天然記念物に指定されています。その美しさはこの世のものとは思えないほどで、山奥にあるにもかかわらず毎年120万人以上の観光客が訪れることからもその人気がうかがい知れます。

この上高地のランドマーク的存在が「河童橋」です。大正池と明神池の中間ほどに位置し、梓川の両岸をつないでいるこの橋は、芥川龍之介の小説『河童』に登場することでも有名です。

橋上からは穂高連峰や焼岳を望むことができ、季節によっていろいろな色に染まる山々を一望できます。特に夏の新緑や秋の紅葉などの時期は大勢の人々が押しかけ、「上高地銀座」と呼ばれるほどです。

人気の理由

日本特有の動植物も多く見られる上高地は、世界中の自然愛好家にとって見逃せないスポットになっています。

加えて上高地の雄大な自然の原風景と、そこにかかった一本の木造建築のつり橋が調和した風景に、特に日本らしさを感じる外国人観光客が多く、自然だけでなく日本らしさに出会える景勝地として人気です。そしてこの河童橋自体がフォトスポットでもあり、美しい自然を写真に収めるためにぴったりなロケーションでもあるのです。

近くには土産物屋やレストランも位置しており、登山中に少し休憩したくなったときの場所としても活用されています。

注目ポイント

日中の絶景もさることながら、夜になると空を覆いつくすほどの満天の星を望むことができるので、これを目当てに海外からやってくる観光客の方もいらっしゃるようです。

■岐阜にイスラエル人が訪れるワケ

一般に「飛騨高山」と呼ばれる地域は、岐阜県北部(飛騨地方)の高山市にあたります。高山市には昔ながらの木造建築が立ち並び、伝統的な商家の街並みが保存されています。老舗の商店、蔵元、温泉宿など、まるで京都の一角に来たかのような趣のある建物が見られます。

これらの商家町の歴史は江戸時代にまで遡ります。当時は木材資源が豊富であり、優れた木工職人も多数いました。現在でも彼らの作品は、立ち並ぶ木造建築や、町の随所に見られる木彫りの彫刻や装飾として残っています。

人気の理由

外国でもよく知られた古くからの日本の伝統文化を味わえるとあって、飛騨高山は外国人がたくさん訪れる観光地となっています。そして、多言語で書かれた散策マップや標識が充実しているのも人気を後押ししています。

意外な点としては、近年の飛騨高山ではイスラエルからの外国人観光客が増えているそうです。これにはイスラエルの経済力が上がったことや、イスラエルから日本へのアクセスが便利になったことなど複数の要因が関わっているようですが、岐阜県があの杉原千畝ゆかりの地であるということも大きいでしょう。

高山市
写真=iStock.com/Colin13362
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Colin13362

■3年で約7.6倍に増加

杉原千畝は第二次世界大戦中にリトアニアの日本領事館領事代理を務め、ナチスの迫害から逃れてきたユダヤ人に対して独断でビザを発行し、何千人ものユダヤ人の命を救った人物です。

岐阜県八百津町には「杉原千畝記念館」があり、多くのイスラエル人がここを訪れています。そしてその際に彼らが訪れるのが、近隣の高山市や白川村なのです。

岐阜県では「杉原千畝ルート」という名称でこれらの名所を巡る観光ルートを設定し、海外に積極的に発信しています。高山市におけるイスラエル人の宿泊者数は、2013年時点では約2800人でしたが、2016年には1万人以上にまで増加しています。

杉原千畝記念館
杉原千畝記念館(写真=Monami/CC-BY-SA-3.0-migrated/Wikimedia Commons)
注目ポイント

飛騨高山は街並みを散策するだけでもワクワクする、日本人にも人気の観光地です。

今ではすっかり見なくなった木造建築の建物が、往年の雰囲気を残したまま整然と並んでいます。

朝に早起きして朝市に行けば新鮮な果物や野菜、地元の伝統工芸品などが買えますし、蔵元に行けば多種多様な日本酒が試飲できます。また山車が練り歩く高山祭も魅力の一つで、これも江戸時代にまで遡る長い歴史を持っています。疲れたら昔ながらの温泉宿でほっと一息つけます。

このような「イメージしていた日本」をそのまま享受できるのが、飛騨高山が愛される理由でしょう。

■静岡の魅力は「富士山」、「お茶」だけではない

静岡の観光資源といえば富士山、そしてお茶です。富士山を見ながらお茶を飲む――それだけでも充分に魅力的ですが、外国人観光客の静岡観光はそれだけでは終わりません。

日本観光地百選で1位に選ばれた日本平の山頂から日本平ロープウェイを経由してたどり着く「久能山東照宮」が、いま国外から人気を集めているのです。

久能山東照宮正門、静岡県
久能山東照宮正門、静岡県(写真=Zairon/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)
人気の理由

久能山東照宮は、江戸幕府を創始した徳川家康が眠っているとされる由緒ある神社ですが、国外人気の背景には観光サイト「GaijinPot」で紹介されたことがあります。また、クルーズ客船「ダイヤモンド・プリンセス号」が来航したのも要因の一つです。

ロープウェイで久能山東照宮に着くと、まず一ノ門越しに美しい駿河湾の景色に出会えます。ちなみに久能山の南側には1159段のつづら折りの石段があり、ロープウェイを使わずに歩いて頂上まで登ることもできます。大変ですが、その分だけ海や木々をじっくり味わえます。

境内を進んでいくと、重要文化財である楼門の厳かな雰囲気に圧倒されます。門の中央には「東照大権現」と書かれた額があり、これは全国の東照宮の神様として祀られている家康を表しています。

■観光いちご狩りの発祥地

その他にも、国宝に指定されている御社殿には当時の芸術と建築技術が詰まっており、全国の神社に散見される建築様式「権現造」のルーツとなっているなど、歴史的な見どころもあります。

注目ポイント
東大カルペ・ティエム『外国人しか知らない日本の観光名所』(星海社新書)
東大カルペ・ディエム『外国人しか知らない日本の観光名所』(星海社新書)

東照宮そのものに加え、周辺施設も充実しています。東照宮のある静岡県久能は観光いちご狩りの発祥地といわれており、1896年(明治29年)に松平健雄宮司より託されたいちごの苗を玉石の間に植えたことがそのきっかけです。以来、久能では玉石を決まった角度で重ね、いちごの苗を植える石垣栽培でいちごを育て続けています。

この方法だと、太陽光が直角に当たるのでいちごの成長が早くなるのです。久能でメジャーな品種は「章姫」。一般的ないちごは横広な円錐形ですが、章姫は縦長円錐形と見た目が違います。

自然と歴史を感じ、ユニークないちごを味わう旅はいかがでしょうか。

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東大カルペ・ディエム 東大生集団
2020年6月、西岡壱誠が代表として株式会社カルペ・ディエムを設立。西岡を中心に、貧困家庭で週3日バイトしながら合格した東大生や地方公立高校で東大模試1位になった東大生など、多くの「逆転合格」をした現役東大生が集い、日々教育業界の革新のために活動している。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)の編集、TBSドラマ日曜劇場『ドラゴン桜』の監修などを務めるほか、東大生300人以上を調査し、多くの画期的な勉強法を創出した。そのほか「リアルドラゴン桜プロジェクト」と題した教育プログラムを中心に、全国20校以上でワークショップや講演会を実施。年間1000人以上の学生に勉強法を教えている。

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(東大生集団 東大カルペ・ディエム)

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