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入社3カ月にして退職を考えていた社員が、この一言で踏みとどまった…中小企業社長の刺さる声かけ

プレジデントオンライン / 2024年7月27日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Thissatan

ほめ方の上手い人は何が違うのか。感情コンサルタントの神谷海帆さんは「上手にほめるには、『その人しかできない』『その人だけ』の理由を探すことだ。そうでないと、ほめたつもりが相手は逆に腹を立てたり、わざとらしさに嫌悪感を抱いたりする」という――。

※本稿は、神谷海帆『感情のメッセージに気づくと、人間関係はうまくいく』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■「その気持ち、わかる」が成り立つための大切な条件

落ち込んでいるときや失敗してしまったときなど、気持ちがネガティブに傾いていて、「誰かに話を聞いてもらいたい」と思っているときに、相手から

「その気持ち、わかる」

と言われて、

ケース① 「わかってくれる人がいて、救われる。ありがとう!」

と、感謝したくなる人と

ケース② 「お前に何がわかる!」

と、思わず逆ギレしたくなる人がいないでしょうか?

まったく同じ言葉なのに、どうして真逆の感情が生まれるのでしょうか。

この違いは、「心の目線」から生まれます。

ケース①の場合は、相手が本当に心から共感してくれて、相手と自分の心の目線が同じ位置にあるのです。

一方、ケース②の場合は、相手の心の目線が上からになっています。自分より相手が高い位置になっていると、それは共感ではなく、同情になってしまいます。

共感はネガティブな感情を癒やしてくれますが、同情に対しては腹が立ちます。

もしあなたが相手に対して同情すると、相手との心の距離は離れていきます。

■「自分のときはね……」と前もって断っておく

心の目線が同じ位置で、心から本当に共感できれば、相手との心の距離は縮まります。

本当に相手の心に寄り添いたいと思えば思うほど、「その気持ち、わかる」と軽々しくは言えなくなるものです。

なぜなら、仮にあなたが相手と同じような体験をしたとしても、あなたが経験した悩みや苦しみと、相手が経験している悩みや苦しみが、まったく同じとは限らないからです。

とはいえ、例えば仕事上のミス、パートナーとのケンカといった、似たような体験であれば、お互いの共通点は見つかるでしょう。

その場合は、「自分のときはね……」と前もって断っておいて、当時体験した悩みや苦しみ、自分が感じていたことを伝えてみましょう。

それに対して、相手が「そうそう」「私も同じです」と言ってくれてはじめて、「その気持ち、わかる」が成り立つのです。

相手から、自分と似ているけど、少し違う気持ちが出てきたら、その気持ちに寄り添ってみましょう。それが相手の心の傷を癒やして、相手とさらに深くつながるきっかけになることでしょう。

■ほめるポイントは、その人しかできないところ

「承認欲求」が丸出しで、「ほめてもらいたいオーラ」が全開、さらにほめないと機嫌が悪くなる人は、扱いがちょっとやっかいですね。

そんな相手から嫌われたり、場の雰囲気が気まずくなったりするのも嫌なので、適当にほめてしまうと、相手から「わざとらしい」と思われて、さらに面倒です。

「目についたもの、耳に入ってきたものを、なんでもほめておけばいいや」程度の考えでほめてしまうと、相手からは「わざとらしい」と思われてしまいます。

上手にほめるには、次のコツを忘れないでください。

「その人しかできない」「その人だけ」の理由を探して、ほめるのです。

高価なブランド品など、所持品や身に着けているものをほめて欲しいと思っている人には、目についたものをそのままほめておけば大丈夫です。

しかし、そうではない人に同じほめ方をすると「時計だけ?」「バックだけ?」と、見ているのはモノだけで、人柄や気持ちはスルーしていると思われてしまいます。

こちらに笑顔を向ける女性
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/recep-bg

同じ洋服をほめるにしても「そのコーディネート、素敵です!」というほめ方なら、相手のセンスをほめたことになって効果的です。

何かの行動をほめるなら、「そこまで続けるなんて、なかなかできない」「こんなに細かいところまで気づいてくれて、ありがとう」というように、「自分ではとてもできない(気づかない)ことをしていて、すごいです」という気持ち、つまり「あなたにしかできないこと」をセットで伝えるといいのです。

■自分が相手にどれだけ興味を持っているか

「その人ならでは」のオリジナル要素が伝わらないと、「なんでもいいのか!」「(私でなくても)誰でもいいのか!」と、ほめたつもりが相手は逆に腹を立てたり、わざとらしさに嫌悪感を抱いたりします。

「ほめられて、嫌な気はしない」とよく言われますが、ほめ方の上手・下手によって嫌な気持ちにもなれば、うれしい気持ちにもなるのが難しいところです。

「相手にしかできない理由」がすぐ見つかるかどうかは、自分が相手にどれだけ興味を持っているかによって変わってきます。あまり興味がない人を観察するのも、正直苦痛ですね。

「この人、きっとほめて欲しいのだろうな」と気づいていても、心の距離を置きたい人であれば、会話に入らずに、トイレなどを理由にそっとその場を離れるのもひとつの選択肢です。

興味がある人や、好意を持っている人ならば、ぜひ「相手にしかできないこと」を探してください。

ちょっとした仕草、さりげない雰囲気、何気ない言葉遣いや態度など、一見些細なことであればあるほど、「そんなところまで見てくれていたの?」と、あなたが気づいてくれたことがうれしくて、相手の気分は上がります。

■「そこに気づいてくれていたの?」が生む感動

ある中小企業で、入社3カ月なのにもう退職を考えていた社員が、社長のあるひと言がきっかけで退職を思いとどまったケースがあります。

その社長のひと言は、次のものです。

「毎回シュレッダーのゴミを捨ててくれているよね。いつもありがとう」

このゴミとは、シュレッダーで細かくなった紙くずのことです。

シュレッダーのゴミ
写真=iStock.com/QShot
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/QShot

このゴミを捨てるとき、紙くずが入ったビニール袋を箱から取り外す際に、細かい紙くずが袋から漏れてしまいます。落ちた小さい紙くずを集めるという、忍耐のいる作業が必要なのです。

季節が冬だと静電気でくっついて取れなくなったりして、かなりやっかいです。正直これが面倒で、ゴミ袋の交換を伝えるランプが点滅しても、紙くずをぎゅうぎゅうと押しつぶして、あと何回かもたせることで、自分がゴミを捨てなくていいようにしたことが私自身、何回もあります。

この面倒な作業を毎回やってくれていることを、社長はちゃんと見ていました。そして、その社員に感謝の言葉をかけたのです。

退職を考えていた社員は、社長がこんな「小さなこと」を見ていてくれたことがうれしかったのです。「この社長がいる会社なら、もう少しがんばってみよう」と、退職を思いとどまったのだそうです。

■泣きそうになるほど嬉しかった私の本質への褒め言葉

私は、言葉にとても敏感だと自覚しています。

それは、言葉が人を傷つけることもあれば、逆に輝かせることもあることを知っているからです。

だからこそ、普段当たり前のように使う言葉には気をつけています。

クライアントさんから、

「神谷さんは、とても言葉を選んで話しているよね。だからなのか、スッと心に入ってくる」

と言われたときは、泣きそうになります。

神谷海帆『感情のメッセージに気づくと、人間関係はうまくいく』(三笠書房)
神谷海帆『感情のメッセージに気づくと、人間関係はうまくいく』(三笠書房)

言葉に気を配るのは、私のこだわりです。こだわりといっても、意識してというよりも、今では無意識のうちに自然とやっている状態です。私の「本質」であり、「私そのもの」といっても良いくらいです。

その点をほめてもらえると「そんなところを見ていてくれたの?」と本当にうれしい気持ちになりますし、「そこに気づいてくれるの?」と心から感動してしまうのです。

相手にしかできない理由を探して伝えることは、ほんわりとした温かい気持ちやうれしさ、驚きが混じった喜びと幸せをもたらしてくれるのです。

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神谷 海帆(かみや・みほ)
感情コンサルタント
株式会社ライフファシリ代表取締役。産業カウンセラー。2級キャリアコンサルティング技能士。1974年生まれ。大手教育事業会社にて営業成績女性全国トップで表彰され、管理職も経験。転職した会社で上司によるパワハラでうつ状態になり、完全に自分を見失う。この経験を契機に「自分とは何か?」に向き合い、人生が激変する。何十年も他人に合わせ、自分の感情を殺してきたことに気づき、感情の活かし方をマスターする。

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(感情コンサルタント 神谷 海帆)

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