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これをやれば必ず心を開いてもらえる…どんな人でもうっかり本音を話してしまう「3つの聞き方」

プレジデントオンライン / 2024年7月28日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mapo

相手の気持ちをつかむには何をすればいいか。感情コンサルタントの神谷海帆さんは「相手の気持ちが知りたいのなら、正解を完璧に導き出そうとするのではなく、相手の本音が出やすいことを『聞く』ことだ。具体的には『期間、気持ち、基準』という3つの『き』に注目するといい。例えば、あることにかかった期間を聞くと、相手がどのくらい時間をかけたかがわかり、背景にまでイメージを膨らませることができる」という――。

※本稿は、神谷海帆『感情のメッセージに気づくと、人間関係はうまくいく』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■相手に合わせて、相手が喜ぶことをずっとしてきた

人に好かれるためには、「聞き上手」になることだと言われます。

そう言われても、「具体的にどうやって、人の話を聞けばいいの?」と思ってしまいますね。

私はずっと、「人にどう思われるか」を気にして生きてきました。

女子はよく、グループ単位で動きます。グループの人数が奇数だと、どうしても誰かひとりがあぶれてしまいます。私はいつも、この「あぶれる人」でした。

「みんなでどこかに遊びに行こう!」というとき、いつも存在を忘れられていました。「あっ! あなたも来る?」みたいな感じで、「どちらかというと、声をかけないと気まずいから誘っておこう……」くらいのニュアンスで、最後にやっと声をかけてもらうのがいつものパターンでした。

グループの中心にいる子に、いつも憧れていました。「最初に声をかけてもらう人」になりたくて、人に好かれようと必死だったのです。

「こんなことを言うということは、きっとこんな気持ち」「この態度なら、きっとこう思っているはず」と、相手の言葉や態度から、いつもその人の気持ちを想像していました。

そして自分よりも相手の気持ちを優先し、相手に合わせて、相手が喜ぶことをずっとしてきました。

■相手の気持ちはわからない、だから聞く

何十年も人に合わせて生きてきて、わかったことがあります。

それは、どんなにがんばっても「想像で、人の気持ちを完璧に理解することはできない」ということです。

相手の気持ちを想像することはできても、実際は違っていることもしばしばですし、ちょっとした細かいニュアンスをくみ取ることは至難の業なのです。

そもそも、できないことをやろうとすることに無理があります。

だからこそ、相手の気持ちが知りたいのなら、正解を完璧に導き出そうとしてはいけません。

そうではなく、相手の本音が出やすいことを「聞く」。これがポイントです。

たった1回で「あなたって、本当はこんなこと思っているでしょう?」と、まるで占いのように当てに行くのは間違っています。

「会話をしているうちに、いつの間にか本音を話しちゃいました」という聞き方、コミュニケーションが理想です。

相手がついうっかり本音を話しちゃう聞き方のコツは、3つの「き」に注目することです。具体的に説明しましょう。

■本音が出てくる聞き方3つの「き」

相手がうっかり本音を話してしまう聞き方、3つの「き」を紹介します。

聞き方①――期間

あることにかかった期間を聞くと、相手がどのくらい時間をかけたかがわかります。その時間がわかれば、背景にまでイメージを膨らませることができます。

例えばとても長い時間であれば、「そんなに長い時間を……」と、会話を続けることができます。逆の場合なら「そんなに短い時間で……」と、反応を返せます。

会話の例を、いくつかご紹介しましょう。

私が以前、職場でパワハラにあい、うつ状態だった頃のことです。

友達や同僚など、周りのいろいろな方に声をかけていただきました。みなさん、本当に親身になって相談にのってくれたことを思い出すと、何年も経った今でも感謝の気持ちでいっぱいになります。

落ち込んでいる同僚を慰める女性
写真=iStock.com/santol
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/santol

【私】「何をやっても上司から批判されるばかりで、決裁もしてもらえない。申請書類の印を押してもらえないから、何も仕事ができないの。できないから仕事が遅れる、すると、『なぜやらない』のと怒られる。
別室に呼ばれて、あまりの辛さに泣いてしまったら、『そんな涙が通用すると思うな』と、また怒られて……」(A)
【同僚】「それはあまりにも酷いね。そのパワハラは、どのくらい続いたの?」(B 期間)
【私】「半年くらいかな……」
【同僚】「半年も! よくその状態を、半年も耐えてきたね。本当に辛かったね。よくがんばってきたね」

会話のセリフAを聞いて、とても辛い状況であることは想像できます。

これが1回だけなのか、何回も繰り返されていたのかで、辛さの度合いは変わってきます。次のセリフBで期間を聞きました。「半年」という答えから、毎日毎日、辛い状況がずっと続いていたことがわかります。

■部下の承認欲求を満たすための声かけ

もしセリフBで期間を聞いていなかったら、セリフAの後に、「それは辛かったね」と伝えていたことでしょう。それで確かに、相手の辛さに寄り添えます。

しかし期間を聞くことで、それが半年も続き、積み重なった苦しみであることを深く理解できるのです。実際、そのときの私は相手の「半年も!」というたったひと言に、とても救われました。

「逆に期間が短い場合はどうするの?」と、疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれませんので、ひとつご紹介しましょう。

【部下】「先日ご指示をいただいた報告書ができましたので、ご確認お願いします」
【上司】「ありがとう。これ、どのくらいの時間で作成したの?」(期間)
【部下】「時間ですか? 1時間くらいですかね……」
【上司】「この内容を1時間で⁉ どうやって短時間で仕上げたの?」

想定よりも時間が短い場合は、このようにほめることで、部下の承認欲求を満たすことができます。さらに質問をすれば、部下のコツや工夫を聞くことで、他のメンバーにも有益な業務効率化のヒントが共有できるかもしれません。

逆に、課題が見つかる場合もあります。

【部下】「先日ご指示をいただいた報告書ができました。ご確認をお願いします」
【上司】「ありがとう。これ、どのくらいの時間で作成したの?」(期間)
【部下】「時間ですか? 3時間くらいかかりました……」
【上司】「一番時間がかかったところや大変だったのは、どの部分?」

もし想定よりも時間が長い場合は、そこに改善のカギがあります。どこに時間がかかったのか? 何の理解が不足しているのか? その原因を質問することで、課題解決のヒントをつかんで、人材育成へつなげられます。

もしかしたら、「わからないことがあっても、質問しにくかった」という背景が見えてくるかもしれません。そこで「なぜ質問しにくかったのか?」を探ることで、職場の心理的安全性が低いという事実に気づく、という展開もあり得るのです。

このように、期間を聞くことで背景への理解が深まり、次にかけるべき言葉が導かれ、会話がより濃密になります。共感も自然に生まれてくることでしょう。

■気持ちを表す言葉は意外と使われていない

聞き方②――気持ち

先ほど、「想像で、人の気持ちを完璧に理解することはできない」とお伝えしましたが、それにはもうひとつ別の理由もあります。

私たちの会話のほとんどは、「事柄」を伝えることで成り立っています。

意外かもしれませんが、気持ちを表す言葉は使われないまま、コミュニケーションを取っていることが多いのです。

例えば、職場で次のような会話があったとします。

【A】「今日、上司に怒られちゃった」
【B】「そっか……。飲みにでも行く? 付き合うよ」

さて、この会話に気持ちを表す言葉はどれだけ入っているでしょうか?

実は、ひとつも入っていないのです。

Aさんは「怒られた」とは言っています。しかしその結果、落ち込んでいるのか、悔しかったのか、反省しているのか、悲しいのか……気持ちは何も言っていません。

「空気を読む」という言葉があるように、私たちは気持ちを想像して会話をしています。

Bさんは、Aさんがどんな気持ちかはわかっていません。ただ、その様子からして、何かしらネガティブな感情を感じ取り、「きっと話を聞いてもらいたいのだろう」と想像して、飲みに行こうかと誘っているのです。

会話に気持ちを表す言葉が入っていないとき、気持ちは聞いてもいいのです。

先ほどの会話例であれば、もし相手の気持ちが想像できたら、

「そっか、怒られちゃったんだ……。それは落ち込むよね?」

と、最後を疑問形にして相手の気持ちを聞いてみればいいのです。

相手は「落ち込んだよ……」と答えるかもしれないし、「落ち込んだのもあるけど、情けなくって……」と気持ちを伝えてくれるかもしれません。

相手の気持ちが想像できるときはともかく、それが想像できないときはどうしたらいいのかと、疑問に思った方もいらっしゃることでしょう。

相手の気持ちがわからないときは、素直に聞いてみるのが一番です。

相手の気持ちを聞くことに、ためらいを覚えるかもしれません。しかし、

「そっか、怒られちゃったんだ……。そのとき、どう思った?」

と、素直に聞いてみると、相手も案外、嫌な気持ちになることなく素直に気持ちを話してくれるものです。

スマイルマークをつまむ手
写真=iStock.com/SewcreamStudio
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SewcreamStudio

■愛しているからこそ「優先する」「後回しにする」ですれ違う

聞き方③――基準

最後に注目するのは「基準」です。

人にはそれぞれの価値観があり、基準があります。この基準が人それぞれで違うため、同じ出来事に対する考え方や湧いてくる感情が異なってきます。

実はこの基準は、ありとあらゆることに関わってきています。

例えば、「がんばる」の基準を考えてみましょう。

何時間仕事をしたら、がんばったと言えますか?

8時間でがんばったという基準の人は、6時間しか仕事をしていない人に対して、「そんなの、がんばったうちに入らない」と思うかもしれません。

6時間でがんばったという基準の人が、8時間仕事をしている人を見ると、「そんなの、やりすぎだ」と思うかもしれません。

ある会社で、定時退社の時刻が夕方5時だとします。「5時までは就業時間」という基準を持っていれば、帰り支度は5時を過ぎてから、という考え方になります。

だからこそ5時5分前から机の上を片づけはじめ、5時ぴったりにタイムカードを押す人を、「こんなのおかしい。理解できない」となるのです。

パートナーシップでよくあるのが、「愛され基準」です。

相手のために、自分の時間や労力を使うことが愛情表現だと思っている人は、「相手が自分のためにどれだけ時間を使ってくれているか」を基準に愛されているかどうかを判断します。

神谷海帆『感情のメッセージに気づくと、人間関係はうまくいく』(三笠書房)
神谷海帆『感情のメッセージに気づくと、人間関係はうまくいく』(三笠書房)

すると「最近なかなか会えない。もしかして私は愛されていないのかも?」と不安になるのです。

一方で、相手を信頼することが愛情表現だと思っている人もいます。愛しているからこそ、信頼しているからこそ、相手もきっと理解してくれる。すると、大事な人との時間を後回しにすることもあるでしょう。

愛しているからこそ優先する。愛しているからこそ後回しにする。

この真逆の基準が原因で、ケンカが起きるのです。しかし、お互いの基準が違うことがわかれば、本当はふたりの間に愛はあったんだという、大事なことに気づくことができるでしょう。

■聞くことを通して、相手の気持ちへの理解を深める

子どもがテストで、100点を取ったときの会話を想像してみましょう。

【子ども】「テスト100点だったよ!」
【親】「わ~! すごいね! がんばったね!」

この会話でも、子どものがんばりをほめてはいます。

ここに3つの「き」を加えてみます。

【子ども】「テストで100点取ったよ」
【親】「すごいね! 今回はどのくらい勉強したの?」(期間)
【子ども】「今回は授業中も集中してがんばったし、家でも毎日2時間勉強したんだ」
【親】「今までの勉強時間を考えたら、毎日2時間はものすごくがんばったね! 点数を見たときは、うれしかったんじゃない?」(気持ち)
【子ども】「今回は本当にがんばったから、本当にうれしい!」
【親】「ちなみに、平均点ってどのくらいだったの?」(基準)
【子ども】「平均点は70点くらいかな」
【親】「平均点が70点で、100点って、めちゃめちゃすごいよね!」

このように3つの「き」(期間、気持ち、基準)を入れることで会話が深まり、背景までつかむことができます。相手の気持ちにもより深く寄り添うことができるのです。

相手の気持ちの「正解」を当てに行こうとしない。

聞くことを通して、相手の気持ちへの理解を深める。

相手の気持ちへの理解が深まれば、相手のあなたへの気持ちも同じように深まることは、言うまでもないでしょう。

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神谷 海帆(かみや・みほ)
感情コンサルタント
株式会社ライフファシリ代表取締役。産業カウンセラー。2級キャリアコンサルティング技能士。1974年生まれ。大手教育事業会社にて営業成績女性全国トップで表彰され、管理職も経験。転職した会社で上司によるパワハラでうつ状態になり、完全に自分を見失う。この経験を契機に「自分とは何か?」に向き合い、人生が激変する。何十年も他人に合わせ、自分の感情を殺してきたことに気づき、感情の活かし方をマスターする。

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(感情コンサルタント 神谷 海帆)

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