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知人の最愛の人の訃報にどんな言葉をかければいいのか…深く悲しんでいる人にかけたい"正解の言葉"

プレジデントオンライン / 2024年7月29日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Marccophoto

相手が深く悲しんでいたり落ち込んでいるときには、どんな言葉をかけるといいか。感情コンサルタントの神谷海帆さんは「『どう言葉をかけていいかわからないけど、何か言葉をかけてあげたい』ときは、無理に言葉を探さなくていい。ピッタリの言葉を探すのではなく、『言葉にならない』をそのまま言葉にして伝えて、『ただ隣にいるだけ』のほうが、下手な言葉をかけられるよりもよっぽど心に響く」という――。

※本稿は、神谷海帆『感情のメッセージに気づくと、人間関係はうまくいく』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■深く悲しんでいる人にかけるべき言葉の種類

肉親や親友、最愛の人が亡くなられたとき。

何年もかけて一生懸命に勉強してきた第一志望の受験に失敗したとき。

負けたら最後の大事な試合に負けてしまったとき。

相手が深く悲しんでいたり、すごく落ち込んでいたりするときに、何と言ってあげたらいいのか、どう言ってあげたらいいのかがわからないことがあるでしょう。

そんな相手に「落ち込むよね」という言葉は、あまりにも軽すぎます。

もし、逆の立場だったらどうでしょうか。「落ち込むよね」と言われて、自分のことを思って声をかけてくれていると頭では理解できても、「あなたにこの気持ちがわかるものか! 頼むからひとりにしてくれ」と思ったとしても当然です。

こんなときに湧き上がってくるのは、「どう言葉をかけていいかわからないけど、何か言葉をかけてあげたい」という気持ちです。

だからこそ、なんとかピッタリと来る言葉はないかと探すのですが、どの言葉もしっくりこなくて困るのです。

ここでお伝えしたいのは、「無理に言葉を探さなくてもいい」ということです。

■「言葉にならない」をそのまま言葉に

とりわけ深いネガティブ感情が出てくる場合、どれだけ探しても、通りいっぺんの言葉しか見つからないものです。

でも、何か言葉はかけたい。

そんなとき、ピッタリの言葉を探すのではなく、「言葉にならない」をそのまま言葉にして伝えればいいのです。

「ごめん。何と言ったらいいか……。ちょっと言葉が見つからない……」

そう言って、一緒に隣で泣く。下手な言葉をかけられるよりも、よっぽど心に響きます。その後の会話が続かずに沈黙が流れても、「ただ隣にいるだけ」でいいのです。

相手の手を握る女性
写真=iStock.com/kokouu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kokouu

自分の五感で感じていることを、シンプルな言葉で伝えるのもひとつの方法です。例えば次のような表現です。

「話を聞いていて、ちょっと……、自分が苦しくなってきた」

軽々しく通りいっぺんの言葉をかけられるよりも、よほど自分の気持ちをわかってもらえたと相手も感じることでしょう。

私は言葉によって、人を勇気づけることも、輝かせることもできると思っています。けれども、気持ちを言葉にできなくて、言葉が無力だと感じるときもあります。

言葉にならない気持ちを、無理に言葉にすると軽々しくなります。

そんなときは、その瞬間に感じていることや感覚を大事にしてください。

言葉にならない気持ちは、きっと相手の心に届きます。

■自分の考えは脇に置いても考え方は存在している

相手とのより良いコミュニケーションのために、共感がとても大切であることはこれまでお話ししてきたとおりです。

しかし、この共感がいつの間にか「相手に合わせること=相手に合わせて自分の価値観を変えること」にすり替わってしまい、苦しくなることがあります。

共感とは、相手の考えや感情をそのとおりに感じることです。

あくまで相手の世界観をそのまま感じるだけであり、自分の価値観や考え方を相手に合わせて変えることではありません。

「自分はこう思うけど」という、自分の考え方は一旦脇に置いて相手の話を聞くのですが、脇に置いておくだけで、自分の考え方はきちんと存在しているのです。

私が会社に勤めていた頃のエピソードで、転職したばかりのときのお話です。

最初の出勤日、職場の上司や先輩がランチに誘ってくれました。

「何が食べたい?」と聞かれましたが、特にこれというものはなかったので「なんでも大丈夫です。お勧めのお店はありますか?」という会話をしながら、カレー屋さんに連れて行ってもらいました。

それぞれがメニューを見ながら注文を決めて、店員さんを呼んで注文します。

■15年以上心の痛みとともに覚えている上司の言葉

「お先にどうぞ」と上司や先輩が先に注文するよう伝えましたが、「いや先に」と言われたので、私が最初に注文することになりました。

「チキンカレー、お願いします」

と、私が言った瞬間、上司が

「君とは仲良くなれそうにないね」

と、たったひと言ピシャリと冷たく言い放つではありませんか! とてもビックリした私は、「自分は何をやらかしてしまったのか? しかも転職初日から! これからこの職場で、うまくやっていけるかしら……」と頭の中で思考がぐるぐるとまわり、「終了!」という言葉が鳴り響きました。

チキンカレー
写真=iStock.com/Promo_Link
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Promo_Link

かなりの衝撃で、15年以上経った今でも心の痛みとともに覚えています。

実は、その上司はチキンが大嫌いだったのです。子どもの頃に鶏が食用にされる作業を見てしまって以来、食べられなくなったそうです。

さて、話を共感の話題に戻しましょう。

この上司の話を共感しながら聞くのであれば、

「チキンが嫌いなのですね。子どもの頃に見てしまったら、相当ショックな光景ですよね」

という会話になるかと思います。

この上司と一緒になって自分がチキンを嫌いになり、今後一生、自分もチキンを食べないということではないのです。

■「安心、受容、共感」の3つがコツ

人はそれぞれ、異なった価値観や考え方を持っています。自分と一致するとは限りません。

しかし自分にとって、自分の価値観の中でも、とりわけ大切にしているもの、大きなウエイトを占めているものについて、相手との違いが大きければ大きいほど、相手とのコミュニケーションが複雑になってしまうのです。

もしあなたが、誰かとのコミュニケーションにおいて、自分とは違う価値観や考え方に遭遇した場合、自分を犠牲にして相手に合わせる必要はないのです。

そんなときは、私のこのチキンカレーのエピソードを思い出してください。

「あっ! これ、チキンカレーね」くらいに思えば、気持ちが楽になるでしょう。

相手に共感しながら話を聞くときでも、自分の価値観を変えなくていい。

しかし自分の考えを持ちながら聞いていると、相手に反論したり、アドバイスしたりしたくなる自分が出てきてしまいます。だから一旦、脇に置いておくのです。

自分の考えは、そのまま持っていていい。自分を大事にしながら、相手も大事にするのには、3つのコツがあります。

3つのコツとは「安心、受容、共感」です。

まずは「何を言っても大丈夫」という、安心した空気感や雰囲気を作ること。

心理的安全性を確保するには、相手の話を否定せず、反論せず、アドバイスせず、まずは聴くことが大切なのです。

この「まずは聴く」というのが受容です。

相手の考え、価値観、世界観をそのまま受け止めることです。

■「聞く」というよりも「聴かせていただく」

ところで、「聞く」と「聴く」では、漢字が異なりますね。

「聞く」は、門の中に耳があります。門は開けたり閉めたりができるものです。

つまり「聞く」は、自分の興味関心によって聞きたいことは聞くけれども、聞きたくないことには門を閉じてしまって、聞いているようで実は聞いていないこともあるというわけです。

「聴く」の由来は諸説ありますが、「耳+目(目が横になっている)+心」という説と、「耳+十四の心」という説があります。

どちらにしても、耳だけでなく、相手の表情や心理面などの非言語の部分にも注目しつつ、心を傾けて聴くわけです。これが「傾聴」と言われるものです。

傾聴しながら、相手の世界観をあたかも「他人事ではなく自分事」のように感じる、これが共感的な聴き方です。

「安心、受容、共感」を心がけていると、「聞く」というよりも「聴かせていただく」という姿勢に変化していきます。

「あなたの気持ちを聴かせてくれて、ありがとう」
「言いにくいことを話してくれて、ありがとう」
「この話を、私にしてくれてありがとう」

そんな感謝の気持ちが湧いてくると思います。

神谷海帆『感情のメッセージに気づくと、人間関係はうまくいく』(三笠書房)
神谷海帆『感情のメッセージに気づくと、人間関係はうまくいく』(三笠書房)

自己犠牲を強いて相手に合わせる会話ではなく、感謝の気持ちを抱きつつ、相手を本当に理解しようとする姿勢で話を聴かせていただく。

これができてくると、相手の話を聴きながら、相手の感情が動くのと同じように、自分の感情が動くのが理解できるでしょう。

それは相手にも伝わります。「自分の話をちゃんと聴いてくれる。自分の気持ちをわかってくれる」と思ってもらえるのです。

うれしいこと、楽しいこと、悲しいことや辛いこと、話題がポジティブでもネガティブでも、相手の世界観に共感できると、お互いの心の距離感がグッと縮まります。

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神谷 海帆(かみや・みほ)
感情コンサルタント
株式会社ライフファシリ代表取締役。産業カウンセラー。2級キャリアコンサルティング技能士。1974年生まれ。大手教育事業会社にて営業成績女性全国トップで表彰され、管理職も経験。転職した会社で上司によるパワハラでうつ状態になり、完全に自分を見失う。この経験を契機に「自分とは何か?」に向き合い、人生が激変する。何十年も他人に合わせ、自分の感情を殺してきたことに気づき、感情の活かし方をマスターする。

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(感情コンサルタント 神谷 海帆)

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