原則クビにできない公務員をクビにできるように…橋下徹が胡坐をかいて働かぬ職員対象にルール変更できた訳
プレジデントオンライン / 2024年8月9日 9時15分
■【グループ 仕事の足を引っ張る】ワンパターンタイプ
仕事の進め方が変わっても何とかなる
企業経営をしていると、部下や組織が同じ仕事のやり方に固執し、ワンパターンになっている状況に直面することがあります。部下に対してもっと柔軟に、新しいやり方を取り入れてほしい、と考えるかたもいるでしょう。
仕事の進め方がワンパターンになることそれ自体は、必ずしも悪いことではありません。大きな事業の中から個別に切り出された業務を担当する会社員は、どうしても創造性を発揮する機会が少ない。特定の業務を担当する以上、仕事がワンパターンになるのは自然なことです。
管理職はむしろ、部下が仕事を同じルーティンでできるようになるまで続けさせることを、基本的な仕事の任せ方として心がけておくといいでしょう。なぜなら、仕事の決まった進め方を持っているということは、その人にとっての成功パターンを持っていること、つまり、仕事で勝てる方法を身につけたということだからです。
しかし、市場も環境も変化する中で、今までの方法ではうまくいっていない、新しいことを取り入れたいと考える場合は、変化を加える必要があります。
ただし、部下本人の仕事の進め方や、考え方を変えようとするのはやめたほうがいいでしょう。ビジネスパーソンは、さまざまな上司や同僚と仕事をする中で、失敗を経験しながら人格や行動を形づくっていきます。「こういう仕事を見習いたい」「ああいう上司にはなりたくない」といった長年の蓄積があるため、これまでのやり方をやめるように伝えても、すぐに変えるのは難しい。
ではどうすればいいか。最も有効なのは、人事異動や組織の構造改革。仕事の進め方やそこから生まれる結果は、その方法を選ぶ個人に紐づいています。同じアウトプットばかり出てくるのなら、違うアウトプットを出してくれそうな人間に担当を代えるのが一番の近道です。
もちろん、人事異動を行っても、前の担当者と同じような人間を連れてきたら意味がありません。違う仕事をしてほしいのなら、前任者とは真逆の人間を連れてくることが重要です。
大組織の場合はどうでしょうか。構成員の隅々まで同じやり方がしみついていて、変化を生み出しにくいこともあります。そのようなときには、部長、副部長など、上層部をまとめて代えるくらいの変革をするのもいいでしょう。
改革を進めようとすると、「過去の仕事を知っている人が、少しは残っていないとまずいのでは」と、これまでの方法を踏襲しようとする意見は必ず出ます。ただ、私はそうは思いません。人がいる限り、仕事の進め方が変わっても大抵は何とかなるものです。むしろ、組織を一新することで、よいほうに転ぶケースが多い。
ほかにも、「営業の人員を外したら、培ってきた人脈がなくなって売り上げが立たなくなる」と懸念を表明する人がいたとしても、営業現場に問題があるなら、迷わず人員を代えるべきです。既存の人脈が失われても、新しく入った人が新しい人脈をつくってくれるので問題ありません。極端に変える必要があるときは、既存のやり方に固執する人を振り切ってでも変革に臨むことが重要です。(川端)
![ワンパターンタイプの思考パターン、弱点、対処法](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/4/0/1200wm/img_40d4445414acb901260d9ab3035f8365141580.jpg)
■【グループ 仕事の足を引っ張る】ゴシップタイプ
“見えない掟”を見破る方法とは
「経費を水増し請求している」
「社内で不倫をしている」
法律上問題がある不正行為から社内政治のゴシップに至るまで、社内で噂話に巻きこまれたとしたらどうすればいいでしょうか。
![橋下徹氏](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/d/b/1200wm/img_dbe601f74aabac12859e5cd2cbc77fc678080.jpg)
僕はメディアで間違ったことを言われると、すぐさまSNSを活用して反論します。「論理立てて説明すれば理解してもらえる」と世間の評価基準を自分なりに意識していてこその行動です。
一方、組織には組織の基準があります。明文化されているルールもあれば、明文化されてはいないが慣行として根づいている“見えない掟”というものもあります。
噂による汚名をそそぎたいなら、まず組織内のルールや慣行を確認しましょう。噂やゴシップを流布することについて、直接的な規定を設けている会社は少ないですが、就業規則や服務規程に定めがある場合もあるので、しっかりチェックしましょう。
明文化されていなくても、過去の類似事例で処分が下されたケースや慣行があれば理想的です。
ルールや慣行、過去事例に照らし合わせてゴシップを流した行為がアウトなら、証拠をそろえて人事部門に掛け合いましょう。とにかく自分の主観ではなく、あくまでも組織の評価軸で考えることが重要です。
とはいえ、人事部門がきちんと動いてくれるとは限りません。かたい職業なら世間の基準を意識して的確に動いてくれても、隠ぺい体質の組織であればあなたの訴えがスルーされる可能性もあります。
このように会社が真摯に対応してくれないなら、組織の外、つまり司法の場で名誉回復を目指すことも選択肢の一つです。法律は社内のルールに優先するので、たとえ人事部からおとがめなしの裁定が下っても対応することが可能です。法的な対応をする場合は、ゴシップが流布された証拠などを集めて弁護士に相談してください。
ただし、組織外で戦うのは諸刃の剣です。組織のことは内々で収めたいと考えるのが組織の論理。それに反して司法による救済を望めば、組織はいい顔をしません。組織内で自分の居場所がなくなる可能性があります。
不正義は許せないが、会社から邪険にされるリスクは取りたくない。それなら、自分が組織のルールをつくり直せるポジションに就いて組織の評価基準を変えるしかないと思います。
僕は大阪市長になったとき、職員基本条例をつくって分限免職を制度化しました。
公務員は原則的にクビになりませんが、それに胡坐をかいて仕事をしない職員もいました。以前からそうした職員に処分を下せる分限免職という仕組みはあったのですが、活用されていなかったため、基準や手順を明確化して実行できるようにしたのです。これは公務員の“見えない掟”に反する改革であり、当然、反発を受けました。しかし自分が市長になり、加えて政党を立ち上げ、選挙で勝って議会で多数を確保したことによって組織の評価基準を改める条例を制定したのです。
民間企業でも同じです。組織内ルールや見えない掟を変えたいなら、自分が出世してルールを変えるという中長期的な戦略も視野に入れましょう。(橋下)
![ゴシップタイプの思考パターン、弱点、対処法](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/d/f/1200wm/img_dfb13f2acaf591a8a5a40c619a15366e102975.jpg)
※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年8月2日号)の一部を再編集したものです。
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アース製薬 社長CEO
1971年、兵庫県生まれ。94年に近畿大学商経学部(現・経営学部)卒業後、アース製薬に入社。広島支店長、大阪支店長、取締役ガーデニング戦略本部本部長などを経て、14年に代表取締役社長就任。21年より現職。
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元大阪市長・元大阪府知事
1969年生まれ。大阪府立北野高校、早稲田大学政治経済学部卒業。弁護士。2008年から大阪府知事、大阪市長として府市政の改革に尽力。15年12月、政界引退。北野高校時代はラグビー部に所属し、3年生のとき全国大会(花園)に出場。『実行力』『異端のすすめ』『交渉力』『大阪都構想&万博の表とウラ全部話そう』など著書多数。最新の著作は『政権変容論』(講談社)。
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(アース製薬 社長CEO 川端 克宜、元大阪市長・元大阪府知事 橋下 徹 構成=村上 敬(橋下徹氏)、渡辺一朗(川端克宜氏))
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