「いつも計算していることは何?」「あなたの"当たり前"とは?」企業採用相次ぐ"バカを見抜く"質問で判明する事
プレジデントオンライン / 2024年8月10日 9時15分
■偏差値に頼った選抜はもう限界に来ている
私は20歳で塾を創業したのですが、早い時期から偏差値ではなく「目には見えない潜在的な領域」を引き出すことを教育の柱にしてきました。
最近では、企業研修のお手伝いをする機会も増えましたが、その中で今、“採用した人財をどう配置すべきか”という人財のミスマッチが起きています。採用された側から見れば「こんな仕事をやるはずじゃなかった」ということになって、すごく問題になっていますね。私は、これまで企業が個人の特質を無視して、人財の偏差値だけを見て採用してきた結果、このようなことが起きていると思っています。
偏差値だけに頼った選抜方法はもう限界に来ている。卒業後の進路や研究内容、学生の才能など様々な要素を加味した総合的な選抜を行わなければ、有名大学でさえ淘汰される時代が訪れようとしています。企業もまさに同じフェーズに来ていると考えます。みんなが一つの価値に向かって、モノを作れば売れる、大量生産、大量消費の時代には偏差値も機能したかもしれませんが、今はそうではない。オリジナリティ、イノベーションが必要な時代です。
では、どう変えていくべきなのでしょう。これからはIQテストや暗記に頼ったペーパー試験では測れない、「洞察力」「好奇心」「想像力」といった人間の目に見えない個性や資質、つまり「非認知スキル」を人財採用のポイントにするべきだと思います。従来の数値で測れる学力を「認知スキル(認知能力)」と呼ぶのに対し、これまでは数値で測れなかった能力を「非認知スキル(非認知能力)」と呼びます。
言い換えれば、仕事で本当に活躍できる人財は非認知スキルに優れた人なのであり、サマデイグループでは、この非認知スキルを25の項目にまとめ、「25 Soft Skills」として提示しています。そして、まさに「職場を腐らせる人」とは、この25項目の非認知スキルの正反対のスキルを持っている人です。「浅薄な洞察力」「好奇心の欠如」「想像力の不足」など、「マイナスの非認知スキル」を「25 Dis Soft Skills」として上の対照表に提示しました。
■負の非認知スキルを見抜く10の質問
さらに、この負の非認知スキルを見抜くための10の質問を作成しています。暗記に頼る偏差値を測るわけではありませんので、模範解答や正解はありません。以下の質問が、それです。
①あなたは人から信用されていますか? 自分で自分を評価してください。
この問いにより自分に対する自信の有無が暴かれ、自己評価が低ければ《自己不信》が露呈します。《存在感の薄さ》も明らかになります。存在感が薄いと感じる人は、信用も低い傾向にあります。また自分の行動が他者にどのような影響を与えるかを理解できるかが試され《共感力の欠如》も明らかになります。
②あなたは、自分というものが全くわからなくなった瞬間はありますか? また、あるとしたらそれはどのような時ですか?
自分を理解する瞬間やその経験をうまく言葉で表現できなければ《表現力の貧困》が明らかになります。解答の内容が表面的であれば《浅薄な洞察力》が示されます。自分がわからなくなる瞬間が頻繁にある場合、その人が成長や前進を感じていない可能性がある。つまり《停滞》が明らかになります。
③自己の物差しの中で一番当てになるものは何ですか?
深い洞察や具体的な例を挙げられない場合、《浅薄な洞察力》が明らかになります。自己の物差しが経験のみに基づいており、想像力が乏しい場合《想像力の不足》が暴かれます。答えが曖昧で一貫性がなければ《不正直》な態度が露呈し、信頼性に疑問が生じます。
④あなたがここ10年間で一番変化したものは何ですか?
この質問の場合は《好奇心の欠如》《根気のなさ》、その人の中の《停滞》が解答に表れやすいのです。解答が一時的な変化にとどまれば《根気のなさ》が窺えます。10年間に大きな成長を示さなければ前進する意欲に欠ける《停滞》を示すことになります。
⑤あなたの中の「当たり前」とは何ですか? 教えてください。
《狭い視野》の人は自分の経験や視点に固執します。答えが一般的な常識から外れたものになれば《社会的な無知》が露呈します。周囲の状況や他者からの恩恵を当然視する人の場合は、《感謝の欠如》が明らかになります。
⑥あなたがいつも計算していることは何ですか?
リスク回避の計算ばかりしていると《臆病さ》が露呈します。いつも同じような計算ばかりしている人であれば適応への抵抗《修正力の欠如》が見抜けるでしょう。計算と聞いて「お金」や「時間」だけを挙げる場合、本質を見抜く力が乏しく《浅薄な洞察力》が明らかになります。
⑦あなたがよくする、自己との対話を教えてください。
対話の内容が日常の繰り返し、過去の経験に終始するならば《想像力が不足》しています。解答において自己中心的な視点が強ければ《チームワークの欠如》が露呈します。対話で現実を直視せず自己弁護が多い人は《不正直》である可能性が高くなります。
⑧「人間」とは「人の間」と書きます。あなたはこの「間」をどう捉えていますか?
《狭い視野》の人は単一の見方に固執しがちです。解答がこの質問に対する《無関心》な態度を示せば他者との関わりやつながりに対する関心の欠如が窺われます。《絆の欠如》も浮き彫りになります。
⑨あなたの人生において「0の発見」と同じような意味を持つ発見とは何ですか?
「0の発見」は視点を変える新しい捉え方の例です。解答が浅ければ異なる視点を持つ能力の欠如《狭い視野》が窺えます。《好奇心の欠如》も表れやすく、その人が意味ある発見を見逃す可能性があります。解答が《向学心の欠如》を示せば、そのような発見をする可能性が低くなります。
⑩世間一般に「男は度胸、女は愛嬌」と言いますが、ある人は「男は愛嬌、女は度胸」と言いました。これに対するあなたのコメントは、どのようなものでしょうか?
《ユーモアの欠如》が窺える人の場合、解答は硬直的で直線的になります。《自己中心的》な解答をする人は柔軟性や他者の理解に欠けることを示します《不寛容》な人は新しいアイデアや逆転した価値観を受け入れるのに苦労するでしょう。
(後編へ続く)
※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年8月2日号)の一部を再編集したものです。
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サマデイグループCEO、日本アクティブラーニング協会理事長
1958年生まれ。早稲田大学法学部卒業。現役合格の専門塾「早稲田塾」創業者。文科省「トビタテ!留学JAPAN」公式ポートフォリオ「Feelnote」開発者。
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(サマデイグループCEO、日本アクティブラーニング協会理事長 相川 秀希 構成=桑原和久)
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