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「まだ新聞読んでるの?AIが教えてくれるよ」増殖中のAI万能主義がそのAIに代替されるリスクが高い納得の理由

プレジデントオンライン / 2024年8月11日 9時15分

橋下徹氏(撮影=的野弘路)

■【グループ 考え方に問題がある】学歴誇示タイプ

自慢の最中に会話をぶった切れ

ことあるごとに自分が高学歴であることをアピールして、マウントを取ってくる人がいます。性格が少々悪いくらいならスルーすればいいのですが、厄介なのは本人に実力が伴っておらず、高学歴が看板倒れになっているケースです。

受験戦争を勝ち抜いたくらいですから、学生時代はそれなりに能力が高かったのかもしれません。しかし、あくまでも学歴は過去のもの。テストでいい点を取る能力と仕事を遂行する能力は別物です。その能力の違いに気づかない人は、社会に出てから成長がなく、仕事で成果を出しにくいものです。

テストで得点を取る能力と仕事を遂行する能力をはき違えていても、自己責任として放っておけばいいのですが、成果が出ていないことをごまかすために学歴でマウントを取り始めたら最悪。職場の雰囲気が悪くなり、チームのパフォーマンスにも相当な悪影響を与えます。

実力が伴わないのに自分を過大評価する者に対しては、とにかく仕事の成果だけにフォーカスして話すことが大切です。仕事の成果は、ジョブと期限で評価します。割り当てられた作業や役割をきちんと期限内に達成したか否か。

どんなに学歴が立派でも、ジョブと期限をクリアできていない人はダメ。そういう人が学歴自慢をしてきたら、「そういえば、○○さんのジョブは期日までに達成できそうですか」と真正面から問うていきましょう。学歴自慢の最中に会話の流れをぶった切ってもかまいません。そもそも職場で交わされるべき会話は仕事に関することが原則なので、話を本筋に戻しただけのことです。

大企業にはさまざまなマウントがあります。例えば、大企業から中堅中小企業に転職や出向してきた人が、「前の会社ではこれくらい当然だった」と大企業の基準を持ち出して、今の職場を腐すのです。たしかに平均年収400万円の会社と平均年収1000万円の会社では、社員の能力に差はあるのかもしれません。

しかし組織の基準とは、その組織ごとに見ていくもので、他の組織の基準をそのまま持ち込んでくるのは禁物です。

平均年収400万円の会社に勤める人は、その会社の人事評価基準で3を取っていればよく、平均年収1000万円の会社の人事評価基準を満たさないからといって非難されるいわれはありません。そこをはき違えて過大な成果――その人には達成が困難なジョブと期限――を要求すれば、たとえ乱暴な言葉遣いをしてなくてもパワハラになりえます。

逆にジョブと期限がクリアできているのであれば、学歴でマウントを取られる理由はありません。

学歴やキャリアでマウントを取られて、それを基準にダメ出しをされたら、まずは自分に与えられたジョブと期限を確認しましょう。

ジョブと期限がまわりに比べて過大なものであったり、仮に妥当なものであっても自分自身が組織の人事評価で平均以上という自信があれば、理はこちらにあります。

むしろ過大な要求をしてくる相手のほうが組織の人事評価基準を満たしていない可能性が高い。人事部に対応してもらうべきです。(橋下)

学歴誇示タイプの思考パターン、弱点、対処法
あなたはちっとも劣っていない。仕事の中身で勝負

■【グループ 考え方に問題がある】何でもAIタイプ

バカにせずうまく味方につけたい

AIの能力が進化して、何でもAIに聞けば答えを教えてくれると考える人が増えてきました。

しかし、AIが万能だと思うのは間違いです。ある会合で、ある学者さんが生成AIに「日本に今一番必要な経済政策は何か」というプロンプトを与えました。答えがスラスラと出てきたらしく、この学者さんは「こんな感じで答えが出てくるんですよ」と感心していました。

しかし、その政策を一つ一つ吟味すると実につまらない。なぜかというと、AIは既存のものを整理するだけだからです。例えば「自民党や日本維新の会では考えられないような経済政策は何か」と質問すると、現在のAIは途端に答えられません。過去のことを整理するのは得意でも、新しいことを考えるのが苦手なようです。

人間にあってAIにないのは、「持論」です。持論があるから、未来に対して過去や世間にとらわれない新しいビジョンを描けるのです。そして人間が持論を持つには、ベースとなる知識を蓄えて自分の頭で考え自分軸を構築する必要があります。何でもAIに聞けば済むと考えている人は、自分らしい持論が持てず、それこそAIに代替されていくでしょう。

ただ、僕はAIを積極的に活用する人を非難しません。AIを使うかどうかも、人それぞれの持論だからです。組織には性別や年齢、価値観が異なる多様な人材が必要です。部下が上司と違った考え方を持っていても、心理的安全性が確保されて安心してモノがいえる組織でないとダメです。

実際、僕は首長を務めた際に自分の考え方と違う人材も重要なポジションに登用しました。例えば、僕が大阪府知事のときに要職で起用した人物は、僕が政治生命をかけた大阪都構想(特別区制度)の反対派で、よく議論でぶつかりました。おそらく僕の立ち上げた維新の会のことも嫌いだったでしょう。それでも、副知事として大阪都構想の設計図をつくり、住民投票に持っていくところまで責任を全うしてくれた。僕が政治家を引退した後に彼も退職し、その後、大阪都構想に反対して2019年の大阪府知事選に出馬し、吉村洋文さん(現大阪府知事)と対決しています。

つまり、価値観や思想は違っていても、ジョブを共有していれば組織は動き仕事は進むのです。AIについての考え方も同じ。AIを拒否する人、場面によって使い分ける人、何でも頼る人。どんな人であろうとも与えられたジョブを期限内にこなしてくれれば、それぞれに考え方が違っていてもいい。むしろ自分がAIに否定的なら、積極的に使う人をそばに置いたほうがいいくらいです。

大切なのは、リーダーを目指すならAI頼りにならないことです。僕は昔から、毎日5大全国紙を読んで基礎的な知識を蓄え、それをベースに持論を構築してきました。揺るぎない持論を持てれば、AIを恐れたり、嫌悪したりすることなどありません。

自分に持論があれば、むしろ持論に沿ったプロンプトをAIに与えて、持論をさらに膨らませることもできる。

また過去の事実の整理を行うにはAIはもってこいです。AIを使う人をバカにせず、うまく味方につけたいところです。(橋下)

何でもAIタイプの思考パターン、弱点、対処法
その人は持論を持っているか。あるなら文句なし!

■【グループ 考え方に問題がある】陰謀論タイプ

マルチ商法にハマってしまうことも

世の中では、さまざまな陰謀論が、まことしやかに囁かれています。「世界を陰で支配しているのは、ユダヤ資本や秘密結社のフリーメイソンだ」といった古典的なものだけでなく、最近では、「中国で開発中だった生物兵器が流出して、新型コロナのパンデミックが起こった」といったものもあります。皆さんも一度ならず、耳にしたことがあるでしょう。とりわけ、現代社会はITやインターネットの発達によって、フェイクニュースと同じように陰謀論も拡散しやすい環境であることに注意すべきでしょう。

和田秀樹氏
和田秀樹氏(撮影=宇佐美雅浩)

ただし、陰謀論が広がりやすいのは、ネットなどのせいだけではありません。誰が聞いても眉唾な都市伝説やトンデモ論も少なくありませんが、中には、「なるほど」と信じたくなる内容もあって、陰謀論は、質のレベルにも大きな差があります。

陰謀論に潜んでいる、現代人の心をとらえるチャームポイントはどこにあるのか。代表的なのは、政治家や大企業、学会といった、現代の権威に対するアンチテーゼ。現代人の多くは権威に不信や不満を感じているので、陰謀論にもっともらしい根拠を示されると、心が傾いてしまうのです。

職場に陰謀論好きなビジネスパーソンがいたらどうするか。アフターファイブの飲み会などで、みんなが知っている陰謀論を酒の肴に、冗談を言っている程度なら罪はないでしょう。しかし、陰謀論を真に受けて、「中国の政府系ファンドに狙われて、ウチの会社もヤバいんだって!」「会社に残っていると、中国のスパイにされる!」といった、企業の実害につながりかねないデマを信じ込んだり、社内で広めたりするのは問題行動です。

また、「急成長しているベンチャー企業の未公開株への投資」といった投資詐欺まがいのマルチ商法に、知らないうちにハマって、同僚を勧誘しているケースもあります。放置すると、被害者を増やしてしまうので、防ぐ手立てを講じなければなりません。

陰謀論やマルチ商法が厄介なのは、ハマった当の本人が「よかれ」と思って、まわりの人にも広めているケースが多いこと。もっともらしい根拠があって、親しい同僚に熱心に勧められたら、何も知らない社員は、容易に洗脳されてしまうリスクがあります。

被害を防ぐには、社内ではびこる陰謀論やマルチ商法に気づいた社員が、内部監査などを担うセクションに積極的に報告すること。そして、陰謀論やマルチ商法に関する情報を社内に周知することです。そうすれば、もし誰かに、陰謀論やマルチ商法の話を持ちかけられても、話半分に聞いて、やり過ごすことができます。

陰謀論やマルチ商法の危険性を、社員が知っているのと知らないのとでは大違い。例えば最近、有名人の名前を騙(かた)ったSNS上などでの投資詐欺が社会問題になっています。しかし、報道がこれだけ広まった今、同様の手法で騙される人はほとんどいないのではないでしょうか。職場においても同じです。陰謀論やマルチ商法が身近にあり、どのような手法で被害者を増やしているかなどを周知することが、被害を最小限に食い止める一番の方法です。(和田)

陰謀論タイプの思考パターン、弱点、対処法
迷わずにすぐ! 内部監査セクションに駆け込もう

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年8月2日号)の一部を再編集したものです。

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橋下 徹(はしもと・とおる)
元大阪市長・元大阪府知事
1969年生まれ。大阪府立北野高校、早稲田大学政治経済学部卒業。弁護士。2008年から大阪府知事、大阪市長として府市政の改革に尽力。15年12月、政界引退。北野高校時代はラグビー部に所属し、3年生のとき全国大会(花園)に出場。『実行力』『異端のすすめ』『交渉力』『大阪都構想&万博の表とウラ全部話そう』など著書多数。最新の著作は『政権変容論』(講談社)。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」

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(元大阪市長・元大阪府知事 橋下 徹、精神科医 和田 秀樹 構成=村上 敬(橋下徹氏)、野澤正毅(和田秀樹氏))

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