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読解問題の常連「60字以内で述べよ」の正答率がグンと上がる…国語教師が「これ一択」と断言するノートの名前

プレジデントオンライン / 2024年8月10日 8時15分

国語教師が「これ一択」と断言するノート(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/Francesco Marzovillo

どんなノートを使うと学力が伸びるのか。横浜国語研究所代表取締役の福嶋隆史さんの書籍『塾へ行かなくても得点力がぐ~んと上がる!ふくしま式で身につく!国語読解力』(大和書房)より、国語力を伸ばす秘訣をお届けする――。

■国語力を高める「原稿ノート」

私の国語塾では、開塾当初から、生徒が使うノートをすべて統一しています。

国語の勉強をするならこのノートは不可欠、と確信しているノートです。

それは、ライフ株式会社が販売している「原稿ノート」です。

一ページが「1行20マス×10行」となっており、全100ページ(50枚)。1マスの大きさは、9ミリ×9ミリ。見開きがちょうど400字詰め原稿用紙と同じ文字量です。

けっこうな厚みがあり、価格もやや割高ですが、それだけの価値があります。

このノートを子どもに手渡すとき、私は、「これ一冊書いたら力がつきそうでしょ」などと笑顔で伝えます。

子どもは、苦笑しつつも賛同の表情。子どもながらの意欲を感じる瞬間です。

■子どもの学習においては無視できない

さて、このノート、いったい何がよいのでしょうか。

まず、原稿用紙と比較します。原稿用紙は「紙」ですが、これはノートです。紙質も大変よく、消しゴムを少し使っただけで折れたり破れたりするような「紙」のデメリットが、ほとんどありません。

また、ノートですから、「紙」のようにバラバラになりません。そのため、保存もラク、後から見直すのもラクです。新聞紙と本のような差があります。

これらはいずれも機能面にすぎませんが、子どもの学習においては無視できない、大切な部分です。絵を描くときに画用紙の質を無視できないのと同様です。

通常、子どもたちは学校の授業の場で原稿用紙と出会うわけですが、結局はぺらぺらの紙であり機能的に劣るため、普通の罫線ノートに主役の座を奪われるわけです。

■「字数感覚」を育てる

次に、普通のノート(罫線ノート及びただのマス目ノート)との比較をしてみましょう。

1~3年生くらいの子はマス目のノートを使っているかもしれませんが、原稿用紙タイプのマス目とは決定的に異なる点があります。

原稿ノートでは、文字量をひと目で把握できます。

原稿用紙と積まれた本、鉛筆と消しゴム
写真=iStock.com/years
キャプ・原稿ノートでは文字量をひと目で把握できる(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/years

5行書けば100字。1行減らせば80字。逆に、1行増やせば120字。あるいは、1ページ半で300字……といったように、すぐ計算できます。

これが、子どもの「字数感覚」を育てます。

■「60字以内で述べよ」式の設問で大きな差

読解問題では、「60字以内で述べよ」といった類の設問が多々登場します。こういった字数制限が与えられたとき、字数感覚のある子とない子とでは大きな差が出ます。

字数感覚がないと、指定された字数に合わせるために何度も消すハメになります。

単なるマス目ノートだと、1行が18マスだったり、1ページが17行だったりするため、こういった感覚を育てることはできません。罫線タイプは言わずもがなです。

国語では原稿ノートを使う――これを習慣にし、字数感覚を育てましょう。

このようなことに気を配るのも、親・教師の大切な役目ではないでしょうか。

先にも書いたように、私は、国語塾の全生徒に原稿ノートを与え、使わせています。

ただ、忘れ物をする子というのが、当然います。「先生、今日、ノートを忘れました」と言いにくるわけです。

■「罫線ノート」を使うと句読点が消えることがある

この場合、通常は普通の原稿用「紙」を与えますが、それを切らしている場合には普通の罫線ノートを断裁した紙を与えています。

特に後者の場合、その子の書く文章には顕著な変化が生じます。

その最大の変化は、「句読点が消えることがある」ということです。

原稿ノートを使っているときにはいつも律儀に句読点をつけ丁寧な字で書いているような子でさえ、罫線ノートに書かせると、それが乱れるのです。

次の写真をご覧ください。

原稿ノートのほうは句読点がはっきりと書かれていますが、罫線のほうは不明確です。

「罫線ノートでの作文例」と「原稿ノートでの作文例」
出所=『塾へ行かなくても得点力がぐ~んと上がる!ふくしま式で身につく!国語読解力』

この写真は有志生徒に再現してもらったものであり、実際の授業で書いたものではありませんが、おおむねこんなふうに違いが出ます。同じ子が書いても、です。

■句読点を無視してはいけない

途中、小さな点がついていますが、どうやらこれが読点「、」のつもりのようです。

原稿ノートならば、1マス使って書く以上、ある程度はっきりとした読点をつけようという意識が生じます。

ところが、罫線になるととたんに意識が薄れるのです。

写真のように、句点「。」が消えてしまうこともあります。

「たかが句読点くらい、かまわないじゃないか」

そんな声も聞こえます。しかし、たかが句読点、されど句読点です。

とりわけ読点は、その有無によって文意が変わるものであり、決して無視できません。

■読点の有無で意味が変わる

①「赤いランドセルの中の筆箱」
②「赤い、ランドセルの中の筆箱」

①では、赤いものはランドセルですが、②では、赤いものは筆箱です。

読点は、直前直後の言葉の意味のつながりを断ち切る働きを持ちます。②では、「赤い」と「ランドセル」の修飾関係が断ち切られています。

このように、読点の有無は意味に大きな影響を与えます。

原稿ノートは、こういったことがらへの意識を高めるためにも、有益なのです。

■「罫線ノート」は読みづらいノートになる

罫線ノートでは、文字のサイズが大きくなったり小さくなったりしがちであるため、文字のバランスが乱れ、結果的に読みづらいノートになってしまいます。

福嶋隆史『塾へ行かなくても得点力がぐ~んと上がる!ふくしま式で身につく!国語読解力』(大和書房)
福嶋隆史『塾へ行かなくても得点力がぐ~んと上がる!ふくしま式で身につく!国語読解力』(大和書房)

その点、原稿ノートでは、たとえ文字の大きさが変わっても一行の文字数は変わりませんから、バランスのとれた読みやすいノートになります。

計算問題を解く際にも、罫線ノートに乱雑に書いた計算はミスを誘発しやすく、逆にマス目ノートに整理して書いた計算はミスが減ります。

これは国語でも同様です。

読みやすく整理されたノートこそが、子どもの思考を整理してくれるのです。

ノートとは、思考の足跡を残す場です。

自己の思考の足跡を後できちんと確認できるようにするために、原稿ノートは最適なアイテムだと言えるでしょう。

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福嶋 隆史(ふくしま・たかし)
ふくしま国語塾主宰、横浜国語研究所代表取締役
1972年、横浜市生まれ。早稲田大学第二文学部を経て創価大学通信教育部(教育学部)卒業。公立小学校教師を経て、2006年「ふくしま国語塾」を創設(JR東戸塚駅・徒歩2分)。「ふくしま式」問題集シリーズ(大和出版)など著書多数。

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(ふくしま国語塾主宰、横浜国語研究所代表取締役 福嶋 隆史)

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