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黒板を書き写しても成績は伸びない…現役東大生が断言「デキる東大生が授業中にノートをとらない本当の理由」

プレジデントオンライン / 2024年8月3日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/smolaw11

どうすれば「頭のいい人」になれるのか。現役東大生の西岡壱誠さんは「授業中に一生懸命ノートをとったり、人の話をメモしたりしても頭はよくならない。東大生の多くは授業中ではなく、『授業後』にノートをとっている。頭のいい人になるヒントはここにある」という――。

■ノートやメモを一生懸命取っても、頭がよくならない

授業・講座の最中や相手の話をメモやノートを取りながら聞く人は、勤勉でとても成績が上がりそうなイメージがありますよね。でも実は、東大生の多くは、人の話を聞いている時にはあまりメモやノートを取らないのです。

なぜ取らないのか? それは、ノートやメモを一生懸命取っても、頭がよくならないからです。

おそらく多くの人は、すべての情報をノートに取ろうとすると思います。先生が黒板に書いたことはすべて書き、先生が言ったことは一言一句ノートやメモを取ろうとする場合が多いでしょう。

しかし、そうやってすべての情報をまとめようとすると、メモやノートを取ることに時間がかかってしまって、頭の中には何も残っていない場合があります。

メモやノートを取ることに必死になって、「さっきはどんな授業だったのか?」と聞かれても、メモやノートには残っているけれど、まるでメモやノートに情報が吸い出されたかのように、頭の中からは綺麗さっぱり無くなっているということが多発してしまうのです。

■「自分の言葉で言い換えたノート」が効果的

この状態をもう少し詳しく説明しましょう。例えば、「日本では少子高齢化が深刻化している」ということを先生が話をしていたり、黒板に書いていたとします。それをノートにそのまま「日本では少子高齢化が深刻化している」と書き写したとします。この時、頭を使っていると言えるでしょうか?

おそらくこれって、YouTubeの音声を聞きながらでも、全然違うことを考えながらでも、ノートに書き写すことが簡単にできてしまいますよね。ということは、当たり前ですが、この状況だと「脳を全く使っていない」のです。ただ写真を撮っているのと同じ、録音しているのと同じなのです。

では、どうすればいいのか? まず、授業や相手の話を聞く時には、しっかりと「何が重要なのか」を見極めましょう。

例えば、子供が先生から「きちんと担任の先生には挨拶するのよ?」と言われて、「わかった! 担任の○○先生には挨拶するけど、他の先生には挨拶しなくていいんだね!」と考えるのは間違っていますよね。「担任の先生をはじめとする『目上の人』には挨拶をするべきだ」と言いたいのではないか、ということを解釈しなければならないのです。

具体的な例を聞きながらも、抽象的な部分のメモを取って、相手の言いたいことを理解できるように、「本当に何が言いたいのか」を考える習慣を身につける必要があります。

その上で、授業が終わった後に、「自分の言葉で言い換えたノート」を作ると頭の中に残りやすくなります。

■他人の言葉は頭に残りにくい

「自分の言葉で言い換えたノート」というのは、その講義で使われた言葉や本に書いてあった文言と、あえて全然違う言い方に直して説明するというものです。具体的な説明をしたり、記号を使ったり、別の類義語を使って説明をするのです。

例えば、「最近、円安の傾向が顕著」という情報があったとしましょう。これをみなさんならどのように言い換えますか?

「円安」=「円の価値が下がること」
「傾向が顕著」=「そういう状況が続いてしまっていること」

と言い換えて、「円の価値が下がってしまう状況が続いてしまっている」というように、「円安」「傾向」「顕著」という言葉をそれぞれ言い換えるのです。

言い換えた言葉や説明は、稚拙な言い回しになってしまったり、最初よりもわかりにくくなってしまうかもしれません。でも、コピーアンドペーストして、そのまま書くよりも頭を使うことになります。言い換えを考えるという行為自体が、自分の頭で考えてアウトプットすることに繋がっていくのです。

ですから、授業や講座・相手の話が終わった後に、「全部を言い換えたノート」を作り直していくと、すごく頭に残りやすくなるのです。すべての分野で言い換えを行うのは難しいと思いますが、自分が学びたい分野・ここは重点的に頭に入れたいと思う部分だけでも作ってみるといいのです。

ノートに書く学生
写真=iStock.com/D76MasahiroIKEDA
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/D76MasahiroIKEDA

■東大生が授業「後」にノートを取る理由

実は、東大生のノートの取り方は目的の部分から特殊です。

西岡壱誠『「思考」が整う 東大ノート。』(ダイヤモンド社)
西岡壱誠『「思考」が整う 東大ノート。』(ダイヤモンド社)

通常、ノートは「あとから見返したときに復習できるように取るもの」と思いがちです。おそらく、多くの人のノートやメモを取る目的は「1回で覚えきることができないから、あとからチェックできるようにするため」だと思います。

しかし、それだけがノートやメモを取る目的なのだとしたら、今の時代、もう必要がありません。なぜなら、スマホで写真を撮ることもできますし、相手の話をボイスメモで録音して文字起こしアプリで文字にすることもできるからです。

ノートを取るのに10分かかったとして、写真を撮るのには1秒もかかりません。ボイスメモだって、いまはとても精度のいいものがあります。それにノートやメモなら何かを間違えて記述してしまうことがあるかもしれませんが、写真やボイスメモならそんなことは起こりません。

東大生は「あとからチェックする」目的でノートやメモを取らないのです。ふつうは授業中にノートやメモを取って、終わったら教室を出ると思うのですが、東大生は授業中は写真やボイスメモを使い、授業後になってノートやメモを取っている人が多いのです。

■手に入れた情報を説明できる状態に変換する

彼らは授業が終わってから、どんなノートやメモを取っているのでしょうか?

それは「咀嚼」です。

手に入れた情報を、整理して、理解して、説明できる状態に変換する行為をしているのです。それこそが知識を自分のものにするための手法なのです。ノートやメモを取ること自体が頭をよくする行為なのです。

実は東大生は、インプットだけではなく、アウトプットを意識してノートを取っています。ここでのアウトプットとは、試験問題を解いたり、誰かに説明したりすることです。

例えば、試験の直しをしているときに、「この問題の解答はこれだったのか、やったはずなのに」と思った経験はありませんか? インプットした知識は、試験や人への説明の場など、必ずアウトプットする機会が訪れます。

そのようなタイミングで、完璧にその知識を使いこなすことができなければ、インプットの意味はありませんよね。覚えた知識を自由自在に頭の中から取り出して使える状態を意識して、ノートを取ることが大事なのです。

■3つのノートが頭をよくしてくれる

ノートやメモを取る行為に関しては次の3つの手法があります。

1.メモノート
これは分解・整理を目的としたノートのつくり方です。
2.インプットノート
これは記憶・暗記を目的としたノートのつくり方です。
3.アウトプットノート
これは理解・定着を目的としたノートのつくり方です。

議事録などのちょっとした軽いものをメモする時には1つ目のメモノート、いろいろなものを覚えなければならないときのノートならば2つ目のインプットノート、自分の中でしっかりと定着させたいと思っているのであれば3つ目のアウトプットノートを活用することがおすすめです。

■①メモノート:情報を分解・整理する

情報が整理できていないときに作るのがメモノートです。そして、情報を整理する時に必要なのが分解という工程です。

分解することで、整理できてわかりやすくなるのです。「分かる」とは「分ける」ことでもあります。何かを理解するためには、分解することが必要だから「分かる」という字には「分ける」の「分」という感じが使われているという説もあります。

これが真実かどうかはわかりませんが、たしかに「分かる」と「分ける」は本質的には同じものです。自分が理解できる大きさになるまで分解することで、物事を理解できるようになります。

どれだけ大きな情報であっても、長ったらしい文章であっても分解すればいつかはわかるようになります。そういう意味で整理とは分解のことである、分解できれば頭も整理されるのです。

情報をわかりやすい大きさまで分解し、頭を整理することで理解できるようなノートの取り方をするのがメモノートなのです。

メモノートの例
筆者提供
メモノートの例。化学の用語を整理して書いている。色分けしているところも見やすく覚えやすい。 - 筆者提供

■②インプットノート:記憶と暗記で、頭に残りやすいようにする

ノートに整理する時に覚えやすくするための工夫をすることで、物事は覚えやすくなります。頭に残りやすいように、そして忘れないように物事を整理できるようになるのです。

記憶力がいいから物事を覚えられるのではなく、基本的には整理の仕方がうまいから記憶することができるのです。

情報をうまく整理することで記憶量を増やすノートの取り方をするのがインプットノートです。

「Q&A」への言い換えは、有効なインプットノート術です。教えられた情報に対して「なんで?」と思うのは、その情報の裏側にあるもの、あるいは意図が分からないから。

「Q」を作ることで、「そういう意図だったのか」「そういう背景があったのか」と理解が深まり、「A」の情報がより覚えやすくなります。また「A」を忘れてしまっても、「Q」を覚えていれば「A」を思い出しやすい、という利点もあります。

インプットノートの例
筆者提供
「Q&A」に書き換えるのは非常に有効なインプットノート術。「Q」を作ることで理解が深まり、「A」の情報がより覚えやすくなる。 - 筆者提供

■③アウトプットノート:理解と定着を促し、情報を自分のものにする

これはインプット、つまり情報を覚えたり暗記したりすることの一歩先に進んで、自分なりに解釈して、深く理解することを差します。

たとえば本の内容を自分も使えるようになりたいと思ったら、どうしますか? 重要なのは「要約」することです。要約とは、いろいろな情報を削ぎ落して、本当に重要な部分のみを抜き出して「一言で言いまとめる」行為のことです。

それが文章であれば相手が一体何を言いたいのかを考えてひとつにまとめていく作業のことを指します。このとき重要なのは「自分にとって」重要だと思ったポイントを抜き出さなければならないことです。

他人ではなく、自分自身がここで重要である、と思ったポイントを抜き出さないと結局あとから自分で整理することはできないのです。

自分なりに要約して、理解し、その情報を自分の中で定着させていくノートの取り方をするのがアウトプットノートなのです。

アウトプットノート例
筆者提供
勉強したことを自分の言葉で「再現」する、自分の言葉でまとめているのがポイント。単語の意味を書くだけでなく、対義語を書くことで両方頭に入る。 - 筆者提供

■黒板を書き写すだけが勉強ではない

「分解して整理するメモノート」「覚えやすい形にするインプットノート」「自分なりに解釈して深く理解していくアウトプットノート」。この3種類の使い分けをしっかりと理解してノートをとっていくことで情報を「咀嚼」するためのノート術が活用できます。

ノートを上手に作ることができれば、頭の中を整理して、あとから見直すときにもきっと効果が出るようになる。ノートこそが、頭のよさの源泉なのです。

夏休み中に、学校の授業を「咀嚼」するためのノート術を、ぜひ実践してみてください。

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西岡 壱誠(にしおか・いっせい)
現役東大生 カルペ・ディエム代表
1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すものの、2年連続で不合格に。二浪中に開発した独自の勉強術を駆使して東大合格を果たす。2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教え、教師に指導法のコンサルティングを行っている。日曜劇場「ドラゴン桜」の監修や漫画「ドラゴン桜2」の編集も担当。著書はシリーズ45万部となる『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大算数』(いずれも東洋経済新報社)ほか多数。

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(現役東大生 カルペ・ディエム代表 西岡 壱誠)

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