「共通の話題ゼロ」の初対面でもなんとかなる…雑談上手が使う「気まずい沈黙」を防ぐ"とっておきのフレーズ"
プレジデントオンライン / 2024年8月5日 8時15分
■「はじめましての人」とそつなく話すコツ
もし、「あなたは人見知りですか?」という質問をしたら、たぶんほとんどの人が「自分は人見知りです」と答えるんじゃないでしょうか。そうなんです。人見知りは圧倒的多数派です。
私の周りも、右を見ても、左を見ても、人見知りだらけ。中には、私から見たら上手にコミュニケーションできていそうな人でも、「自称・人見知り」と言っていたりします。初対面の人との会話は、なかなかハードルが高いですよね。
「ヤバい、何も思いつかない。ちょっと逃げ出したいかも」
「こっちから話しかけたほうがいいかな、でも話しかけられたくないかな」
「共通の話題があればいいんだけど、お互いないよねぇ」
あの、気まずい空気。お互いのことをよく知らない段階での雑談は、できれば避けたいと思ってしまう行為です。
仕事で懇親会やパーティーに行くと、知らない人と隣り合わせになることがあります。多いのがビュッフェ形式で、たまたまテーブルに集まった人と語らなければならない。強制的に、そんな状況に追い込まれてしまいます。
■名刺を交換した後の「地獄の沈黙タイム」を避けるには…
もちろん、ほぼ全員が「はじめまして」の状態。お互いに、相手のことを知らない。そもそも、どこのどなたなのかすら知らないくらいの、浅~い関係の人と話さなければいけない場合、軽いパニックに陥ってしまいますよね。
名刺交換をして、ひとしきりお互いの仕事のことなんかを話したら、ネタ切れはすぐにやってきます。そうしたら、地獄の沈黙タイム……これは、なんとしても避けたい。
素性もわからない人と話す。長く私もこれが苦手で、料理を手にしてもテーブルに近づきませんでした。
「君子、危うきには近寄らず」なんて、自分を納得させながら。あまりにつらくて、どうにかしたくて、解決策を編み出しました。「はじめましての人」とそつなく話せるコツです。
■「観察+感情」で話しはじめる
「はじめまして」の人としゃべるのがつらいのは、共通点がないからです。どんな話をしたらいいか、まるでわからない状態です。でも、実は、共通点はつくれるのです。
私は、次の2つのステップで、共通点を発見しています。
1 観察 一緒にいる空間を観察して、共有できるネタを探す
2 感情 その観察についての、「自分の感想」を述べる
というものです。
ポイントは「空間」です。たとえば、飲み会で同じテーブルについたなら、こんなふうに……
観察 隣の席で注文した焼きそば、おいしそうですよ
感情 あ~、急にお腹減ってきたなぁ
という感じ。
そのあとに、「中華、よく来るんですか?」とか「注文、もう決めましたか?」などと、相手に質問して、相手にも口を開いてもらいます。
この方法が編み出せたのは、ある人の言葉がきっかけでした。それを教えてくれたのは、若き政治家です。政治家は、とにかく人とよく会います。
はじめましての人とも頻繁に会い、コミュニケーションを図らないといけません。だから、初対面の人に慣れていると思い、質問しました。
「どうすれば、知らない人と仲良く話すことができるのですか?」
すると、彼はこう教えてくれました。
「同じ釜の飯を食ってる感、を出すことです」
![オフィスで挨拶を交わす若いビジネスパーソンたち](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/9/e/1200wm/img_9e3dac2da5687e7afc3a010585f9ac3f405071.jpg)
■ネタは観察次第でいくらでも出てくる
相手も自分も、今この瞬間は、同じ時間と空間を共有しています。これこそ、話のタネにしやすいですよね。たとえば、「このレストランは内装がおしゃれですね。こういうレストランにはよく行かれますか?」とか、「このスープ、すごく味が深いですね。スープはお好きですか?」とか。
同じ時間と空間で、同じように五感を動かしていることを強調します。そうすれば、持っている話題がなくても、観察次第でいくらでもネタが出てくるそうです。
「あぁ、話すネタがない。話が続かなくなったらどうしよう」と悩んだら、深呼吸して周囲を見回してみましょう。五感のすべてをはたらかせて、周りを観察します。そして、今、自分がどんなことを感じているかを考える。
観察し、感情をつぶやいたあとに、相手に話をふってみる。話題に行き詰まったら、再び観察して、次の話題を見つける。雑談はそのくり返しで成り立っていきます。
大事なのは、ライブ感です。今、この瞬間、自分たちが何を共有していて、どう感じているか。まずは、自分が感じたことを口に出して共有してみてください。
そこを、上手く共有して乗り越えられれば、相手と仲良くなれる。最低でも、お互いの印象がよくなることは間違いありません。
「はじめまして」の人とは、周りを観察して、感じたことを話題にする。
■相手のポジティブポイントを発見する
雑談上手な知人が、雑談の秘けつとして、こんなことを言っていました。
「相手のいいところを3つ以上見つけると、話はうまく回り出す」
おぉー、名言!
「自分から話しかけたい。でも、とっかかりに何を言ったらいいかわからない」
そんなふうに考えているあなたにお届けしたい言葉です。
雑談が上手くできないと悩んでいる人の中には、「上手に話せなかったらどうしよう?」「相手に嫌われたらどうしよう?」という不安な気持ちが大きくなり、積極的に話しかけられない人も多いと思います。
もしかしたら、相手を不快にさせてしまうのではないか。つまんないから、早く話を切り上げたいとか思われないか。なんて、マイナスな思いがふつふつと湧いてきます。
また、ネット上で知り合って、スマホで会話を交わしたあとで、リアルに会う機会も増えていることで、新しい悩みも発生しているようです。ネット上で形成されたイメージと、リアルの自分のギャップで、相手が失望したらどうしようと不安になるという話をよく聞きます。
■相手からのマイナス評価を恐れてはいけない
「相手に嫌われたくない」
「相手を失望させたくない」
こういった悩みを、なぜ抱えてしまうのか。
そのひとつの原因が、相手から自分にマイナス評価がくだされることを前提に考えてしまっているからです。その考えの根っこには、人間関係を「減点法」で考えてしまっていることがあるかもしれません。
自分に対しても相手に対しても、よいところよりも悪いところに目がいっていませんか。これで人間関係をつくっていくと、つらいと思います。相手と会えば会うほど、相手の嫌なところに目がいき、心の距離はかえって広がるばかりです。
しかし、自分ではダメダメだと思っていても、向き合っている相手は、そう思っていないかもしれません。そもそも人は、強みだけでなく、弱みに対しても、共感や好意を抱くことも多々あります。
自分が相手を見るときも、その人と仲良くなりたい、いい関係を築きたいと思ったら、減点法では難しいですよね。
![若手女性管理職によるオフィスミーティング](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/8/7/1200wm/img_87ee2c15e8d057a7d420c932e393221d406341.jpg)
■対人関係は「加点法」で見てほしい
出会ったときは、相手に対しては「ゼロ」の印象。そこから、どんどん相手のよいところを見つけてあげてください。たとえば、こんなふうに。
●「おはようございます」と言ったら答えてくれた
●深々とお辞儀をしてくれた
●会釈するときの笑顔が素敵!
●シャツの襟をビシッとアイロンがけしている
小さなこと、細かいことでもいいので、たくさんのポジティブポイントを見つけていき、話す相手を加点評価していきましょう。すると、どんどんその人のことを好きになれるはずです。
■相手の「魅力」に気づいて、ネタにする
では、具体的にどうやってポジティブポイントを見つければよいでしょうか。人の魅力、それは、他の人と違っている部分に潜んでいます。まずは、相手を「観察」することなんですが、その際、コツがあります。それは、相手の「特徴」と「魅力」とを、セットで観察するということです。たとえば、こんなふうに考えます。
(特徴)高級なボールペンを持っている→(魅力)文具好きでこだわりの人
(特徴)大きなカバンを持っている→(魅力)いざというときの備えがある慎重派
(特徴)薄着だ→(魅力)体が強くて風邪をひかない
(特徴)派手なメガネをかけている→(魅力)自己アピールが上手
「魅力」の部分は、あなたにとっての魅力なので、想像でかまいません。話の上手い人は、相手をよく観察し、ほかの人との違いを的確に把握する力に長けています。そして、見つけた魅力を、最初のひと言に表現して話しかけているのです。
たとえば、相手が明らかに個性的なメガネをかけていた場合。「素敵なメガネですねぇ。そういうの、どこで買うんですか? 私もそろそろ、メガネフレームを変えようと思っていて……」と、特徴的なメガネをネタにして、質問にまでもっていく。相手はメガネにはこだわりがあるはずですから、悪い気はしないはず。買ったお店を教えてくれるはずです。
■電車やお店の中で「観察グセ」をつける
しかし、最初のうちは、メガネに気づいても、関連する質問までもっていくのは、ハードルが高いかもしれません。まずは、「人の魅力に敏感になる」練習をしましょう。
電車に乗ったときや、お店の中で、周りの人を見て、
「この人と、ほかの人との違いはなんだろう」
「この人の、こだわりポイントはどこだろう」
と考えてみてください。正解はありませんから、あなたの気づいたままでよいし、むしろ、想像を交えてでかまいません。
![ひきたよしあき『雑談が上手い人が話す前にやっていること』(アスコム)](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/f/d/1200wm/img_fd8ba773c567bb460cc3f7e0280b579a182520.jpg)
「ほかの人に比べて薄着だな。新しい季節に敏感なんだろうな」
「グリーンの手帳、そういえばシャツもグリーン。好きな色なんだろうな」
と、あれこれ思い巡らす。
人を観察する力をつけると、人に興味を持てるようになる。くり返し練習していけば、自然と人の個性やこだわりが見えてくるはずです。
この経験を積むと、相手が「あ、そこを突いてきてくれたんだ。うれしいな。そう、そこにこだわってるのよ」と言ってくれるポジティブポイントを、すばやく見つけることができるようになります。
ファッションや持ち物など、相手がほかの人と違うところを見つけて、話題にする。
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コミュニケーション・コンサルタント スピーチライター
大阪芸術大学芸術学部放送学科客員教授。早稲田大学法学部卒業。博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCM を手がける。スピーチライターとしても活動。著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『大勢の中のあなたへ』(朝日学生新聞社)、『トイレでハッピーになる366の言葉』(主婦の友社)などがある。
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(コミュニケーション・コンサルタント スピーチライター ひきた よしあき)
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