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「しくじった話」に少し味付けするだけでいい…一流の雑談上手がこぞって使う「人に好かれる雑談」の鉄板ネタ

プレジデントオンライン / 2024年8月6日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Masafumi_Nakanishi

雑談で相手にいい印象を残すにはどうしたらいいのか。『雑談が上手い人が話す前にやっていること』(アスコム)を書いたコミュニケーション・コンサルタントのひきたよしあきさんは「雑談の中で『自分語り』は相手から嫌がられることが多く、自慢話は絶対にやめたほうがいい。ただし、自分の「しくじった話」は雑談のネタに最適だ」という――。

■印象に残らないダメな自己紹介の共通点

こんな自己紹介していませんか。

「小幡物産デジタルマーケティング局の山下弓でございます。現在は、マーケティング部で、食品企業様を対象に、さらなるDX化、特にChatGPTの活用について研究しております」

商談ならば、ギリギリこれでいいのかもしれません。でも、もっといい自己紹介の方法があります。ちなみに、プライベートの場では、この自己紹介はNGです。

雑談でこういう自己紹介をしてしまっている人は、もったいないと思います。雑談では、あなたの肩書きではなく、人となりや、「最新のあなた情報」を凝縮したものが自己紹介であるべきです。

自己紹介は、新しく出会った人とするものです。久々に会った人とは、2度目の自己紹介をするかもしれません。フォーマットに当てはめたような、ありきたりな自己紹介をしてしまうと、最低1回は損をしていることになります。

だって、前述のような自己紹介をしても、印象に残らないですから。でも、いざ自分の肩書を外すと、自己紹介できない人がけっこういます。

自分は、どこの誰なのか、どんな人間なのか、意外にうまく説明できる要素が思い浮かばないのです。そんなときに、とっておきの方法があります。

それが、「○○しばり」で自己紹介を考えるというやり方です。

■「自分が商品」という発想を持ったほうがいい

これは、私が会社員時代に見出した方法です。この方法は、私が広告会社に入社した際、イヤというほど自己紹介をさせられた経験から生まれました。

自己紹介は頻繁にあり、毎回新しい内容を要求されるのです(遠い目)。そのたびに、「趣味」「座右の銘」「学生時代の活動」と語っていくと、すぐにネタがつきてしまいました。

あるとき、先輩に、「なぜ、自己紹介ばかりさせるのですか?」と尋ねたところ、こんな答えが返ってきました。

「うちは、広告会社だ。まず『自分』という商品を魅力的に伝えられなくて、得意先の商品を売ることができると思うか?」

言われてから、ハッとしました。

「自分が商品」という発想が、私にはありませんでした。

こうした環境の中で編み出した方法が、「○○しばり」で自己紹介するというものです。やり方は簡単です。たとえば、「数字しばり」。

「私は次男坊で、5つ上の兄がいます。父が転勤族だったもので、小学校は3回転校しました。変わるたびに友だちがゼロになり、悲しい思いをしたものです」といった具合に、数字に特徴がある話を中心に、なるべくたくさんの数字を入れて語っていく。

■色しばり、料理しばり、スポーツしばり、歌しばり、お金しばり…

「色しばり」ならば、色について話せそうなことをトピックにします。こんな感じに。

「ピンクが、私のラッキーカラーです。モチベを上げるために、必ず毎日ピンクのものを身につけています。入社のときから使っているこのボールペンも、もちろんピンクです」

そのほか、おすすめのしばりは、「料理しばり」「スポーツしばり」「歌しばり」「お金しばり」などがあります。

ちょっとした暇つぶし、遊びのつもりで「○○しばり」に挑戦してみてください。いろいろな「しばり」を加えて自己紹介を考えていくと、今までの発想にはない自分を表現する言葉が見つかります。

上達すれば、とっさに自己紹介を求められたときも、その場に適した形で自己紹介できるようになっていくでしょう。

人は、意外に自分のことをハッキリと説明できないものです。わかった気になっていますが、言葉にして表現しようとすると、うまく自分を説明できない。

でも、「しばり」を入れて、焦点を当てる部分を変えれば、いくらでも新しい自分が発見できるのです。

「しばり」を入れて自己紹介しましょう。これによって、あなたは的確に、自分のことを相手に印象づけられるはずです。

最後にひとつアドバイスを。誰しも、興味や関心事は移ろいゆくので、自己紹介は常にアップデートしてください。あなたという人物を、アピールする最初の機会を大事に生かしましょう!

【ポイント】
「○○しばり」で、自分らしい自己紹介をする。
名刺交換
写真=iStock.com/Ababsolutum
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Ababsolutum

■自慢話は、雑談の中で最も嫌われる

人から嫌われがちな話のひとつに「自分語り」があります。

代表的なものが自慢話ですが、自慢でなくても、「自分エピソード」を延々と話されると、聞き手を疲れさせてしまうことがあるので注意が必要です。

ただ、人から好かれる「自分語り」もあります。しかも、2つもあります。それは、失敗談とV字回復の物語です。

「しくじり先生 俺みたいになるな‼」というテレビ番組を知っているでしょう。有名人が、自らの失敗について語るトークショーです。

成功したあと有頂天になって、転落していく。いい気になって、人を軽んじていたら、痛い目に会った。そんな手痛い話を語っているのに、ついつい面白おかしくて観てしまう。

人は、人の成功談を「自慢話」として嫌う傾向にあります。おじさんの自慢話なんて、雑談の中で最も嫌われます。ところが、失敗談になると、面白がってもらえる。

残念ながら、人間は、人の失敗を見聞きすると快感が生まれる生き物だそうです。だから、「失敗した、俺のようになるな!」というメッセージは、人をひきつける力があるのです。

■人から嫌われない「自分語り」の方法

あなたにも、何かしら失敗した経験があるはず。人に話すには、ちょっと恥ずかしいかもしれませんが、思い出してみてください。

● 道に迷って、大事なプレゼンに遅刻した
● パートナーの誕生日をうっかり忘れていて、激怒された
● 電車を乗り過ごして、隣の県まで行ってしまった

というようなことが、ありませんでしたか。

自分では面白くないと思うようなちょっとした失敗談でも、十分ネタになる可能性があります。

私にもたくさんの失敗談があります。

● プレゼンの朝、緊張で胃が痛い。焦った私は、間違えて下剤を飲んでしまった
● 結婚式。ホテルオークラとニューオータニを間違えているのに気づかず会場を探していた
● 得意先の名前は、上原さん。私は交渉の間、ずっと上田さんと呼んでいた

これらの失敗談は、私の雑談の持ちネタになっています。

会議室で握手を交わすビジネスチーム
写真=iStock.com/Martin Barraud
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Martin Barraud

■失敗談を「いい話」にするコツ

失敗談を、単に「失敗した話のまま」で終わらせないで、さらに話を広げ、「いい話」にする方法があります。

失敗談を話すだけでももちろんいいのですが、さらにいい話に広げることができると、雑談を盛り上げることができます。たとえば、「寝坊して、約束をすっぽかしちゃってさ」という話で、「それは、大変だったね」で終わってしまってはちょっともったいないですよね。

じゃあどうするか。失敗談+その失敗から学んだことをセットにして話す、のがポイントです。

たとえば、こんな失敗談があったとします。入社した当時、人に甘えるのが嫌いで、なんでも自分で抱えてしまっていた。ところが、だんだんと1人では仕事がさばききれなくなってしまい、ある日、会社に行くのが怖くなり、無断欠勤したことがあった。

それで仕事に大きな穴をあけてしまい、上司から厳しく叱責された。これに、その失敗から学んだこと、たとえば、「仕事には、人に甘える強さも必要」ということをつけ足すのです。

そのプラスαがあると、聞き手は、いい話を聞いて得した気分になるものです。失敗談には、「学んだこと」をプラスする。ぜひ、活用してみてください。

■雑談上手はエピソードを常に考えている

もちろん、上手に話を持っていけば、たとえ単に失敗したことを伝えただけでも、聞き手が興味を持ってくれて「それでそれで?」と話が盛り上がることもあるでしょう。

最後には、「なんと! それは大変だったねぇ」などと、共感を生むこともあるかもしれません。

ただ、たったひとつ「学び」の情報を加えるだけで、共感よりさらに上、「いい話」「得した話」に昇華させることができるのです。やらない手はないですね。雑談が上手い人は、こうしたエピソードをしょっちゅう考えています。

ちょっとしたミスでさえ、学んだことを交えて話すことを習慣にしているのです。すぐにできなくてもかまいません。こうやって話のネタはつくるものなのだと覚えるだけで、力になるはずです。

練習方法は簡単。お風呂に入っているときや就寝前に、「今日の失敗」プラス「学んだこと」を思い浮かべてみましょう。たったそれだけですが、明日のあなたは、今日のあなたよりも成長しているはずです。

毎日1ミリでも、成長することができると思います。この1ミリが、積み重なると大きな成長につながります。

■「V字回復物語」で人の心を動かす

ここからは、人が好きな話のもうひとつのパターン「V字回復物語」についてお話しします。

失敗し、どん底に追いやられたあと、何かのきっかけでV字回復する物語……一発逆転劇が嫌いな人はいないんじゃないでしょうか。

一発逆転劇で、人は何に心を動かされるか。映画で考えるとわかりやすくなります。

努力しても報われず、どんどん不幸になっていく主人公。不幸になって、さらにまた、どん底に突き落とされて……でも、ふとかけられた言葉をきっかけに名案が浮かび、ものすごい発明をする。それをきっかけに、人やお金が主人公に集まってくる……ハッピーエンド!

こういう話で、どこがミソか。不幸状態から幸福に切り替わるそのターニングポイント、つまり、V字の最も下の部分が印象に残るのではないでしょうか。

そのきっかけは、ある人の言葉かもしれません。たまたま見た、CMのワンシーンかもしれません。それをきっかけに、「もう、ダメだ!」と思っていた事態が、どんどんよい方向に向かっていく。

人は、その瞬間を共有して、「いいこと聞いた」「感動した!」と思ってくれるのです。

■日常の中の「プチV字回復地点」を探してみるといい

日常生活の中に、映画のような、劇的な変化はないかもしれません。でも、「自分が変わった瞬間」であれば、いつもの生活の中にも見出すことはできます。身近な「プチV字回復」の瞬間を探すのです。

変化といっても、大きな変化である必要はありません。

● 先輩のアドバイスのおかげで、仕事が30分早く終わるようになった
● 好きなYouTuberの動画を見て、早起きするようになり自分の時間が増えた
● この本を読んで、雑談することが急に楽しくなってきた

など、日常の中の「プチV字回復地点」を探してみてください。

成長前の自分と成長後の自分、そしてその分岐点となったこと(もの)を思い返しながら、セットで考えるようにしてみてください。

ひきたよしあき『雑談が上手い人が話す前にやっていること』(アスコム)
ひきたよしあき『雑談が上手い人が話す前にやっていること』(アスコム)

たとえば、

● 商品発送の際は、商品と納品書と請求書を送っていた(成長前の自分)

● 尊敬する先輩から、「それでユーザーに感謝の気持ちが伝えられているのか?」と言われた(分岐点)

● 納品書に手書きでひと言、ユーザーへの感謝の気持ちを書くようになった(成長後の自分)

● 購入者からお礼の手紙をいただいた(プチ成功体験)

自分の成長のきっかけ、秘けつを共有された人は、きっと、「いい話が聞けた!」と思うに違いありません。

【ポイント】
失敗談に、失敗から学んだことや、立ち直ったきっかけをつけ足して、「いい話」に昇華させる。

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ひきた よしあき(ひきた・よしあき)
コミュニケーション・コンサルタント スピーチライター
大阪芸術大学芸術学部放送学科客員教授。早稲田大学法学部卒業。博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCM を手がける。スピーチライターとしても活動。著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『大勢の中のあなたへ』(朝日学生新聞社)、『トイレでハッピーになる366の言葉』(主婦の友社)などがある。

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(コミュニケーション・コンサルタント スピーチライター ひきた よしあき)

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