「年利15%をほぼ確実に得られる」最強の金融商品"デパート積立"で最大限得する人がやっている使い方
プレジデントオンライン / 2024年8月9日 10時15分
■12カ月積立をすれば1カ月分のおまけがつく
まだまだ超低金利が続く中、約15%もの高利回りを、確実に得られる商品があります。それは、デパート積立(百貨店友の会積立)。知る人ぞ知る商品で、数字だけを見れば、「最強」の商品と言っても過言ではありません。
しかし、このデパート積立で失敗(後悔)をする人は決して少なくはないのです。
私自身も、デパート積立歴20年以上を誇る愛好家ですが、今回は、そんなデパート積立のカラクリを、そして失敗(後悔)しないためのポイントを書いてみたいと思います。
デパート積立とは、一般的には、毎月一定額を積立、1年後(12カ月後)に、積立額13カ月分の満期金を受け取る商品です。たとえば、毎月1万円の積立なら、1年後には13万円の満期金となります。
積立額は5千円、1万円、3万円など、百貨店によってさまざまですが、つまりは、1カ月分の積立額がおトクとなるわけです。
■デパート積立が年利回り15%のワケ
毎月1万円の積立なら、積立総額12万円に対して1万円の収益だから、約8.3%(1万円÷12万円)ではないか……と思われるかもしれませんが、そうではありません。たしかに、投資額と収益の関係だけを見れば、利回りは約8.3%です。
しかし、この約8.3%は、積立総額12万円を最初に一括で払い込み、1年間預けたときの数字なのです。
実際には、初月の積立額1万円は1年間きっちり預けますが、2カ月目以降の預入期間は1年未満であり、最終月の積立額1万円にいたっては1カ月しか預けていないのです。すなわち、積立の資金効率は非常に良くて、計算の詳細は割愛しますが、この場合、実質の利回りは約15%となるのです。
投資に関心がある人なら、この数字を見逃すはずがありませんよね。しかも、デパート積立のスゴイところは、この数字だけではありません。
■デパート積立の利益には約20%の税金がかからない
通常、預貯金の利子や、株式の配当金・売却益といった収益には、20.315%もの税金がかかります。仮に10万円の収益を得たとしても、約2000円も税金で取られるのは痛いですよね。
しかし、このデパート積立による収益は、なんと非課税(※)なのです。つまり、1カ月分の積立額が、そっくりそのまま収益として、懐に入ってくるわけです。
※正確には雑所得として所得税・住民税の課税対象となるが、その収益が年間20万円以下であれば、一般の会社員・公務員であれば申告不要。
また、デパート積立をしていると、その百貨店独自の特典を受けることができます。
特典の内容は百貨店により異なりますが、例えば、私が積立をしている高島屋での特典は、以下の通りです。
〈高島屋のデパート積立の特典例〉
・特別優待会での特別価格
・ホテルやレストラン等の提携施設での優待サービス
・有料催事での入場無料 など
また、積立の新規申込・増口に際しては、上手くキャンペーン期間中に手続きすることができれば、あわせてキャンペーン特典を受けることもできます。ちなみに私は先日、そんなキャンペーン期間を狙って増口をして、「チョコレート詰合せ」をいただき、大満足しております。
■なぜ、デパート積立で後悔するのか?
さて、そんな素晴らしいデパート積立ではありますが、冒頭でも書いたように、このデパート積立で失敗(後悔)をする人は決して少なくありません。その理由は主に、以下の2つのデメリットにあります。
実際、私もかつてはデパート積立で失敗(後悔)したこともあり、その反省も踏まえて、そのデメリットへの対応策も合わせて、紹介させていただきます。
1つ目のデメリットは、満期金は現金ではないことです。
満期金は、その百貨店の金券や友の会カード(に入金)で受け取ることになり、すなわち、その百貨店でしか使えないのです(※)。
なので、その百貨店で買物をする見込みがなければ、デパート積立の魅力は、一気に下がってしまうのです。
※当該百貨店であれば、積立申込をした店舗以外でもOK。
すなわち、「その百貨店で買物をする見込みがある」ことが、デパート積立を利用するときのマスト条件となるわけです。
一見、それはさほど難しい条件ではないように思えます。しかし実際には、頭では分かっていても、あまりの高利回りに惹かれて、その百貨店で買物をするか否かの見込みを考えずに、積立を始めてしまう人もいます。私もそんな一人でした。
■最初のデパート積立で私が失敗した理由
私が最初にデパート積立をしたのは、阪急百貨店でした。
当時は忙しく、優雅に百貨店に立ち寄る余裕などまったくなかったのですが、そのあまりの高利回りに目を奪われ、「梅田にあるし、いつか利用することもあるだろう」との軽い気持ちで、積立を始めたのでした。
当時は電車移動が多く、関西の巨大ターミナル駅である梅田駅には毎日のように行っており、また、阪急ブランドへの憧れも大きな動機でした(関西では、阪急ブランドの威光は絶大)。
しかし、相変わらず忙しい日々は続き、そして、相変わらず百貨店に立ち寄る余裕などなく、せっかくの満期金は持て余すこととなりました。ムリヤリ何とか消費した記憶が、かすかにある程度です。
■生活スタイルを考慮して高島屋でリベンジ
そんな反省から、デパート積立からはしばらく離れていたのですが、その後、私の生活スタイルは大きく変わり、自宅で仕事をすることが増え、時間にも余裕が出てくるのでした。
また、電車で梅田駅に出ることは減り、自転車での移動が増えてきました。ちなみに、自宅からの自転車圏内には高島屋が2店舗(泉北・堺)あり、野菜や総菜など、普段の買物でよく利用するようになりました(※)。
※百貨店は高級なイメージがあるが、地方店舗の食料売場は、意外とリーズナブル。
となると、ふつふつと湧いてくるのは、デパート積立への思いです。かつての失敗(後悔)もあり、躊躇はしましたが、この生活スタイルは今後も変わることはないだろうとの確信から、すなわち、高島屋は「これからも絶対利用し続けるだろう」との確信から、デパート積立を再開し、今に至っております。
そして、満期金はしっかりと日々の生活の中で、役立てております。
■無駄遣いしてしまう心理にどう対抗すればいいか
2つ目のデメリットは、満期金に気が大きくなってしまい、ついつい、ムダ遣いをしてしまうことです。毎月1万円コースであれば満期金は13万円と、そこそこまとまったお金が手に入るわけですから。
もっとも、そこはしっかりと気を引き締めて、ムダ遣いをしないようにすればいいわけですが、それができれば苦労はしませんよね。私も、満期金が入れば、ついついデパ地下に足が向いてしまいます。
ですので、デパート積立が紹介される際には、「満期金が入っても、ムダ遣いには気を付けましょう」「それが本当に必要な買物か、もう一度考えましょう」といったアドバイスを、よく見かけるわけです。
そんなアドバイスを受けて、「満期金だからと言って、ムダ遣いをしないように」と、自身を諫めることになるわけですが、しかしそれでは、せっかくの満期金が、ストレスの原因となってしまいかねませんよね。
■ムダ遣いがムダ遣いでなくなる方法とは
まとまったお金が手に入れば、気が大きくなってしまうことは、自然な心理です。そこで、そんなムダ遣いの衝動を抑え込むのではなく、それを、抗いがたい「人間心理のメカニズム」であると認め、ムダ遣いを肯定的に捉えてはいかがでしょうか?
誤解を恐れずに言えば、デパート積立は「ムダ遣い」のため、と割り切るのです。具体的には、デパート積立の満期金は、普段なら買わない(買えない)ようなものを買うためのお金として、最初から色分けしておくことです。
そうすれば、心置きなく好きに使えるわけですから、とくに、普段から節約のストレスを抱えている人にとっては、絶好のガス抜きともなるでしょう。実際、私も、そのように割り切ってから、気持ちがかなり楽になりました。
また、普段なら買わない(買えない)ようなものを買うことによって、物理的にも精神的にも、日々の生活のクオリティが上がるかもしれません。そうなれば、それはムダ遣いではなく、素晴らしい買物です。
■元本保証なし、百貨店の倒産リスクには要注意
もちろん、単なるムダ遣いとなる可能性もありますが、そんなチャレンジができるのも、「ムダ遣いと割り切る」気持ちの余裕があるからこそですね。先日、私は満期金で(思い切って)高価なワイシャツを買いました。
最初は「ちょっと贅沢だったかな」とも思いましたが、実際に着てみると、それは非常に着心地が良く、また、良いものを身につけているとの自信から、仕事に良い影響が出ております。
ちなみに、デパート積立には元本保証はないので、百貨店が倒産等すれば、全額が戻ってこない可能性があります。その視点からも、いくら資金に余裕があったとしても、そんな万一のリスクを考え、デパート積立への掛金額は「元々はなかったと思える」程度の金額にするべきでしょう。
■デパート積立を、絶対に利用すべき人とは
デパート積立で失敗(後悔)する人は、その高利回りに惹かれて、「おトクだし、とりあえずやってみよう」と、そのデメリットを無視して(もしくは軽く考えて)やってしまう人です。
ですので、そのデメリットである「満期金は、現金ではない(当該百貨店でしか使えない)」「満期金は、ムダ遣いしてしまうもの」をしっかり理解して、そして納得のうえ、心構えができているのであれば、デパート積立で失敗(後悔)することはないでしょう。
約15%もの高利回りを誇るデパート積立は、インフレにも十分対抗しうる商品でもあるわけですから、この物価高の中、ぜひ、大いに活用したいところです。
とくに、「この百貨店で、お目当てのモノがある」と、すでに、百貨店で買いたいものが明確に決まっている人にとっては、デパート積立は、まさに夢の商品と言っても良いでしょう。そんな人にとっては、デパート積立のデメリットは関係ありませんよね。
その百貨店で買うものが決まっているのだから、満期金は現金でなくても関係ないし、もともと欲しかったものだから、ムダ遣いでもありませんので。
なので、「百貨店で、お目当てのモノがある」という人は、デパート積立は、絶対に利用すべきでしょう。私自身も、この冬に向けて欲しいコートがありまして、それ目当てに、頑張って積立をしております。
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ファイナンシャルプランナー
1977年大阪府大阪狭山市生まれ。大阪市立大学文学部哲学科卒業後、尼崎信用金庫を経て、2001年に藤原ファイナンシャルプランナー事務所開設。現在は、主に資産運用に関する講演・執筆等を精力的にこなす。また、大阪経済法科大学経済学部非常勤講師としてファイナンシャルプランニング講座を担当する。著書に『株、投資信託、FX、仮想通貨… ファイナンシャルプランナーが20年投資を続けてみたらこうなった』(彩図社)など。
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(ファイナンシャルプランナー 藤原 久敏)
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