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期待1位は「8月11日深夜2時40分」…パリ五輪陸上日本代表 "メダル&入賞"目撃可能なベスト10選手登場日時一覧

プレジデントオンライン / 2024年8月2日 10時15分

画像=「日本陸上競技連盟公式サイト」より

オリンピックの花形のひとつである陸上競技は日本時間の8月1~11日に行われる。チームジャパンは昨夏のブダペスト世界選手権でメダル「2」を含む入賞「9」という過去最高成績を残しており、今夏の期待値も大きい。

陸上をメインに取材している筆者が、是非観てほしいアスリート10人(13競技)をランキング形式で紹介しよう。(※競技スケジュールは日本時間)

■10位 小山直城(28・Honda)男子マラソン

昨年10月のMGCで優勝。真っ先にパリ五輪代表内定を勝ち取ったが、東京農業大学時代は故障が多く、苦労した選手だった。2年時に関東学生連合の一員として箱根駅伝4区(区間10位相当)を走るも、チームでの出場はかなわず、その「悔しい思い」をバネに実業団で成長した。応用生物学部醸造科学科で発酵食品などを学んだ経験から、「試合前のエネルギー対策に役立つ」とレース前日にヤクルトやR-1で乳酸菌類を摂取するのがルーティン。パリ五輪では、「とにかく無駄なエネルギーを使わないようにして、後半は落ちてくる選手を拾っていくようなかたちで入賞ラインを目指していきたい」と意気込んでいる。(10日15:00)

■9位 前田穂南(28・天満屋)女子マラソン

大阪薫英高時代は全国高校駅伝の補欠選手だったが、実業団でマラソンの才能が開花する。2019年のMGCを制して、東京五輪の女子マラソンに出場した。しかし、本番では33位に沈み、2023年のMGCも7位と振るわなかった。シューズを薄底から厚底に変更して、今年1月の大阪国際女子マラソンで日本記録を19年ぶりに塗り替える2時間18分59秒(アジア新記録)をマーク。2度目の五輪でメダルにどこまで近づけるのか。名前の由来はドラマ『東京ラブストーリー』のヒロイン役だった鈴木保奈美。趣味は「美容を追求すること」だけに、パリの街を美しく駆け抜けるだろう。(11日15:00)

■8位 鵜澤飛羽(21・筑波大)男子200m

男子200mで日本選手権を連覇。昨年のブダペスト世界選手権に続いて、世界大会に出場する。高校2年時のインターハイでスプリント2冠を達成。200mでは追い風参考記録ながらサニブラウン・アブデル・ハキームが保持する高校記録(20秒34)に迫る20秒36(+2.1)を叩き出した逸材だ。大学1年時に左ハムストリングスに重度の肉離れを起こしたが、世界と対峙する実力を身につけた。自己ベストは日本歴代8位タイの20秒23。趣味は「漫画とアニメ」という“アニヲタ”でもある。パリ五輪の目標を「最低でも決勝進出」と語っている鵜澤。スタート前のレーン紹介では、お気に入りアニメのポージングを披露するかもしれない。(予選6日02:55/準決勝8日03:02/決勝9日03:30)

■7位 豊田兼(21・慶応義塾大)男子400mハードル

フランス人の父を持ち、195cmの長身。恵まれた体格を生かして、110mハードルと400mハードルをこなす。昨年のユニバーシティゲームズでは110mハードルで金メダル(学生世界一)に輝いた。パリ五輪では急成長中の400mハードルで勝負する。昨秋に48秒47、今年5月に48秒36、同6月の日本選手権で47秒99までタイムを短縮。「ファイナル進出」を狙うパリ五輪には大量の味噌汁を持参して向かった。目標達成には準決勝で日本記録(47秒89)の更新が欠かせない。服装にさほど関心はないが、抜群のスタイルで何を着ていてもカッコよく見えてしまう。パリ五輪での活躍次第ではファンが急増するだろう。(予選5日17:05/準決勝8日02:35/決勝10日04:45)

フランス・パリ
写真=iStock.com/Alexandros Michailidis
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Alexandros Michailidis

■6位 佐藤拳太郎(29・富士通)男子400m、男子4×400mリレー

高校時代は天文部に入部。リレー要員を探していた陸上部の友人から誘われて、競技を始めた。400mの選手として頭角を現すと、城西大3年時(15年)に45秒58の自己ベストをマークした。その後は、4×400mリレーのメンバーとして何度も世界と戦った。2022年は早大大学院スポーツ科学研究科エリートコーチングコースで学び、400mのレースパターンを分析。「200~300m区間の速度を上げる」というレーススタイルを確立した。昨年5月に自己ベストを8年ぶりに更新すると、8月のブダペスト世界選手権で44秒77をマーク。日本記録を32年ぶりに塗り替えた。パリ五輪では「決勝進出」を目標に掲げており、日本記録の更新も期待される。加えて、男子4×400mリレーの「メダル」をかけた戦いにも注目だ。(400m予選5日02:05/準決勝7日02:35/決勝8日04:20)(リレー 予選9日18:05/決勝11日04:12)

■5位 三浦龍司(22・SUBARU)男子3000m障害

3000m障害で各世代の記録を塗り替えてきた。順天堂大時代はエースとして駅伝でも活躍した。2021年の東京五輪で7位、昨年のブダペスト世界陸上で6位入賞を果たしている。小中学時代に所属していたクラブチームがハードル練習を積極的に取り組んでいたこともあり、障害や水濠を越えるのが非常にうまい。加えて、ラストのキック力で海外勢に引けをとらないのが特徴だ。特にラスト1周は障害をハードリングで越えて、スピードを上げていく。障害のミスでペースダウンする選手もいるだけに、ラスト勝負から目が離せない。自身が持つ日本記録(8分09秒92)の更新だけでなく、上位勢が崩れれば、メダルも見えてくる。ちなみに好きな食べ物は「ピスタチオ」だ。(予選6日02:04/決勝8日04:40)

■4位 田中希実(24・New Balance)女子1500m、女子5000m

中学時代から全国トップの実力を誇りながら、順調に成長。実業団選手の経験がある父・健智氏がコーチを務めるようになってから一段と強くなった。そして世界大会での走りが圧巻だ。東京五輪は1500mで日本記録を2度塗り替えて、8位入賞。ブダペスト世界陸上は5000mの予選で日本記録を更新して、同決勝でも8位に食い込んだ。昨季からニューバランスと契約してプロに転向。それまでは父娘マン・ツー・マンでの練習が中心だったが、さまざまなグループの練習に参加して、ケニアでは現地の選手と走り込んできた。趣味は「読書」で同志社大進学以降は、練習日誌と日記を書き続けている。パリ五輪では2種目に出場。5000m決勝の約13時間後に1500m予選を迎える過密スケジュールが待っているが、今回も日本のファンを驚かせる快走を見せてくれるに違いない。(予選6日17:05/準決勝9日02:35/決勝11日03:25)、女子5000m(予選3日01:10/決勝6日04:10)

■3位 サニブラウン・アブデル・ハキーム(25・東レ)男子100m、男子4×100mリレー

2017年のロンドン世界選手権200mで史上最年少(18歳5カ月)の決勝進出を果たした稀有な才能を持つ。2019年5月に100mで9秒台に突入すると、翌月には9秒97の日本記録(当時)を樹立。東京五輪はヘルニアによる腰痛に苦しんだが、一昨年のオレゴン世界選手権100mで日本人初の決勝に進出して7位入賞、昨年のブダペスト世界選手権100mは日本勢最高順位を更新する6位に入った。パリ五輪で決勝進出を果たせば五輪の日本人では92年ぶりの快挙となる。日本記録(9秒95)は「ただの通過点」という認識で、本人は真剣に「メダル」を狙っている。今季は課題にしていたスタート部分が大きく進化。もともと後半に強さを発揮してきただけに、遅れ気味だった前半でスムーズな加速ができれば面白い。それから4×100mリレーの走りにも注目だ。「ラーメン」が大好物で、睡眠時間は長いタイプ。「マイペース」な性格は世界の舞台でも物怖じしない強さがある。男子100m(予選3日18:45/準決勝5日03:00/決勝5日04:50)、男子4×100mリレー(予選8日18:35/決勝10日02:45)

■2位 泉谷駿介(24・住友電工)男子110mハードル

男子のトラック種目で最もメダルに近い選手だ。高校時代はインターハイの八種競技で優勝。順大時代は跳躍ブロックで練習を重ねながら、110mハードルで独自の進化を遂げた(※走幅跳びと三段跳びでも日本トップクラスの記録を持つ)。東京五輪は日本勢で57年ぶりの準決勝に進出すると、ブダペスト世界選手権で5位。この種目の日本勢では初入賞だったが、スタート前に脚がつりかけており、本人は納得していない。決勝で最高のパフォーマンスを発揮できれば、歴史を塗り替えることになるだろう。大学の後輩に当たる村竹ラシッド(JAL)も上位候補。昨年9月に泉谷が保持する日本記録(13秒04)に並んでおり、複数の日本人選手が決勝の舞台に立つのも夢ではない。なお泉谷は幼少期の「野菜嫌い」を克服。その都度、「好きな種目」を楽しくやってきたことで、五輪のメダルを狙えるアスリートに成長した。(予選4日18:50/準決勝8日02:05/決勝9日04:45)

■1位 北口榛花(26・JAL)女子やり投

高校時代から異次元のパフォーマンスを披露。2019年からチェコ人コーチの指導を受けるようになると、課題だった助走が大きく成長した。2021年の東京五輪は日本勢として57年ぶりに決勝進出を果たして、翌年のオレゴン世界選手権は銅メダルを獲得。昨年はブダペスト世界選手権で最終6回目の大逆転で金メダルに輝いた。さらに自身が持つ日本記録を67m04まで伸ばして、日本人初となるダイヤモンドリーグの優勝も経験した。今季も5月のセイコーゴールデングランプリで逆転Vを飾るなど、勝負強さは健在だ。とにかく最終投てきが強く、笑顔がチャーミング。日本勢は女子のフィールド種目で五輪のメダルは一度もないが、金メダルを期待せずにはいられない。チェコ人コーチが試合中に「ハイチュウ」を食べて緊張をほぐした姿が話題になったこともあり、森永製菓とサポート契約を締結。『inゼリー』や『inバープロテイン』だけでなく、『ハイチュウ』を含む菓子の提供を受けている。決勝は日本時間11日(日)の2時40分から。夜食用の『ハイチュウ』を用意して、応援しよう!(予選7日A17:25、B18:50/決勝11日02:40)

なお、ランキング圏外だが、東京五輪で入賞を果たしている男子走り幅跳び(8月4日18時)の橋岡優輝(25・富士通)、男子マラソン(8月10日15時)の大迫傑(33・Nike)、女子マラソン(8月11日15時)の一山麻緒(27・資生堂)らも期待十分。金メダルを目指す 男子4×100mリレー(8月8日18時35分)の2走候補に挙がる栁田大輝(21・東洋大)、同3走候補の桐生祥秀(28・日本生命)の激走にも要注目だ。

また、日本が誇る美しい女性アスリートとして、女子走り幅跳び(8月6日18時15分)の秦澄美鈴(28・住友電工)、女子100mハードル(8月7日17時15分)の福部真子(28・日本建設工業)と田中佑美(25・富士通)らの雄姿も見逃せない。

日の丸を掲げる北口榛花
写真提供=共同通信社
陸上の世界選手権女子やり投げで金メダルを獲得し、日の丸を掲げる北口榛花=2023年8月25日、ブダペスト - 写真提供=共同通信社

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酒井 政人(さかい・まさと)
スポーツライター
1977年、愛知県生まれ。箱根駅伝に出場した経験を生かして、陸上競技・ランニングを中心に取材。現在は、『月刊陸上競技』をはじめ様々なメディアに執筆中。著書に『新・箱根駅伝 5区短縮で変わる勢力図』『東京五輪マラソンで日本がメダルを取るために必要なこと』など。最新刊に『箱根駅伝ノート』(ベストセラーズ)

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(スポーツライター 酒井 政人)

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