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これでダラダラ会議とは無縁に…黙っていた参加者が積極的に発言するようになる「100円で買える小道具」

プレジデントオンライン / 2024年8月6日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Drazen Zigic

会議の生産性を上げるには、どうすればいいのか。販売コンサルタントの平山枝美さんは「なかば強制的であっても、参加者に会議で発言させる仕組み作りが必要だ」という――。

※本稿は、平山枝美『「若手と一緒に成果を出したい!」と思ったら。』(大和書房)の一部を再編集したものです。

■どうすれば若手が自ら発言するようになるのか

会議やミーティングで、自分から発言をなかなかしないスタッフはいませんか? そのようなスタッフを前にすると、普段から発言が多い人は不思議に思うものです。

様々に相手の心情を想像して、「(発言に対する)失敗を恐れてはいけないよ」「失敗をすると、こんなに良いことがある」など、熱弁を振るってアドバイスする人もいるでしょう。でも残念ながら、これで心を動かされる人はあまりいないのです。

ではこのようなとき、どうすれば自分から話そうという気持ちになってもらえるのか考えてみましょう。

専門学校で講師をしていたときのことです。発表に向けて、準備をしていたグループから進捗を聞いていました。いくつかあるグループを順番に回っている間、どこも自分たちがやってきたことを饒舌に話してくれました。

しかし、1グループだけ「全然出来ていないんで」の一言だけで押し黙ってしまいました。場が静まり、焦った私は、何とか彼らから発言を引き出そうとしました。

「失敗しても良いから、まずはやってみたらどうだろう」
「失敗が経験になるから、まずは途中までの過程で良いから、話してみよう」

こう言って、さらに自分が失敗した経験も熱く語ったのですが、ますますその場の空気は冷え込むばかりでした。

■発言するに足りる内容かどうか迷っている

しかし、話をしながら、ふと「彼らはなぜ全然出来ていないのだろう」と気がつきました。そこで初めて、事情を聞いてみました。

すると、「色々案が出たけど、グループ内で揉めてしまった」「どれが良いのか、自分たちでは判断出来なくなってしまった」と、正直に答えてくれました。

つまり、彼らは失敗を怖く感じているというよりも、それが発言するに足りる内容かどうかを判断出来ず悩んでいただけだった、とわかったのです。

そこで私は、彼らがボツにした案を聞きながら、そのアイデアを聞きました。こうして次第に、グループ内では、普段発言をしない生徒も話すようになり、状況をしっかり聞くことが出来るようになりました。

■「失敗を恐れずやってみよう」ではダメ

「失敗を恐れず、何でもやってみよう!」と励まされても、言われた側は何から手をつけたら良いのか見当もつかず、戸惑ってしまいます。そもそも若い彼らは、失敗した経験がそこまでないので、失敗したときの自分の姿を想像出来ず、それが怖いのです。

それよりも、相手が「今、出来ること」「話せること」にフォーカスしてみましょう。

先ほどの例ならば、「少しでも良いから、今進めていることがあったら聞きたい」「上手く進められなかった経緯を教えて」などでしょうか。

そうして相手から出てきた発言を全面的に肯定していくと、相手も自信がつき、話しやすくなります。相手が答えやすい話題を振りながら会話を増やしていき、相手の発言を引き出していきましょう。

普段無口な人が発言してくれることで、周囲のメンバーの気持ちもほぐれます。「自分も話して大丈夫かもしれない」と感じ、チームメンバーからの発言がどんどん増えていくでしょう。

いつも発言してくれる人の意見も大事ですが、案外、それを普段から見ているだけの人というのは、冷静に状況を見て、何か面白いことを考えているケースが多いものです。

そのような人から、上手に意見を聞き出せるようになりたいものです。

■相手に質問するときに気をつけること

根本的な原因を洗い出すには、『「若手と一緒に成果を出したい!」と思ったら。』の138ページのような「なぜなぜゲーム」が有効です。その際「なんで?」「どうして?」と聞くと、相手は責められたり、自分を否定されたりしているような気持ちになり、発言しにくくなってしまうでしょう。

スタッフからの正直な気持ちや、正しい現状を引き出して改善するために、先に「なぜこの質問をするのか」理由を話してしまいましょう。

とあるメーカーでの店長会で、売上改善に向けて話し合うことになりました。私としてはなぜ売上が悪いのかという事実だけ確認したかったのですが、「売上が振るわないのは、なぜでしょうか」「どんなことに原因がありそうですか」と質問すると、どの店長も気まずそうな顔になってしまいました。

私は腹を割って話してもらい、改善に向けてのやり取りをしたかったのですが、店長たちは私に対して壁を作ってしまいました。結局、その日は表面的なやり取りばかりで、本質的な問題も出てこないまま会議は終わりました。

■「あなたを責めるつもりはありません」

ものごとがうまくいっていないときは、どんな聞き方をしても、相手は「責められている」と感じ、つい身構えてしまうものです。相手の緊張を解くため「自分はあなたを責めるつもりはありません」と、しっかり前置きした上で会話をしてみましょう。

私が店長だったときのエリアマネージャーは、人から悩みを引き出すのが上手な人でした。彼女は売上が悪い原因を引き出すために、私にあれこれ質問を投げかけてきましたが、その際は必ずこんな言葉を伝えてくれました。

「今日は、一緒に問題を解決したいと思っているんだよね」
「私が質問をするのは、平山さんが悪いと言いたいわけじゃなくて、純粋に自分の疑問として聞きたいことだから、遠慮なく話して欲しい」

このエリアマネージャーは、たとえ聞いた側が眉間に皺を寄せてしまうような話に対しても、決して責めませんでした。

目的は相手から本音を引き出すことなので、そうしやすいよう、丁寧に言葉を添えてくれていたのです。

質問は、話し方を間違えると途端に「詰問」になりがちです。そうではなく、お互いの前進のために話して欲しいと伝えた上で、経緯ややり方を聞いてみましょう。また、聞き方のテクニックとして、「きっかけ」ではなく「経緯」を聞くようにしましょう。

「なぜ?」ではなく「どのように考えたかを教えてください」と伝えると、相手は話しやすくなります。質問を目的にするのではなく、相手がうまくいっていない理由を聞き出し一緒に解決出来るよう、聞き方も工夫してみましょう。

■こうすれば「会議の場」でみなが発言する

ディスカッションやグループワークを行うと、必ず、意見が活発な人と、そうではない人に分かれがちです。近年では、率先して発言するのが気まずいと感じ、意見が出ずに終わってしまう場合もあるでしょう。そのような場合は、まんべんなく発言してもらう仕組みを作ってみましょう。

とある専門学校でグループワークを行った後、発表の場を設けました。そのクラスでは、グループごとにリーダーがいて、発表の担当とされています。リーダーがみんなを引っ張って行動出来るのでワークがスムーズに進む反面、自分は発表しないから、とワークに消極的な生徒もいました。そこで、私はサイコロを使うことにしました。

赤いサイコロを掴もうとする指
写真=iStock.com/pjjones
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/pjjones

グループと、そのグループのメンバーに数字を割り振り、発表順も、発表する人もサイコロで決めました。当然、サイコロで決めるとなれば、私でも誰が発表することになるか、わかりません。

今まで「自分は発表しないから大丈夫」と悠長に構えていた生徒たちは、慌ててワークに参加するようになりました。

すると、半ば強制的ではありますが、ワークに参加してみたら意外と自分でも出来る、楽しい、と感じてくれたようです。普段は黙っていた生徒の発言も聞けるようになりました。

■サイコロを使ったワケ

時代の移り変わりと共に「指名される」「目立つ」ことに抵抗を感じる人も増えました。しかし、それぞれ意見を持っていますので、どんな人も発言しやすくする環境作りは必要です。

サイコロを用いたのは、全てが運に託されるからです。講師が指名するようになると、なぜあの人が当てられたのだろう、何らかの意図があるのではないだろうか、と勘ぐってしまう人も出てきます。

これがサイコロであれば「当たってしまったのだから仕方がない」ということ、加えて「自分から発言しようとしたわけではないことを、周りもわかっているはずだ」と安心出来るので、みんなの前での発言もしやすくなります。

サイコロの代わりにあみだくじなどもおすすめです。それではあまりにも主体性がないと感じるなら、グループの中で発表する人を決めてもらいましょう。

平山枝美『「若手と一緒に成果を出したい!」と思ったら。』(大和書房)
平山枝美『「若手と一緒に成果を出したい!」と思ったら。』(大和書房)

ただ、そうなるといつも同じ人に発言してもらうことになるので、私は「全員当たります。一度当たった人は、もう発言は出来ません」と伝えています。すると、「いずれ当たるのであれば」と、自分から手が上がるようになります。

その過程で、最初は引っ込み思案だった人も、段々と周りの空気を読みすぎずに発言出来るようになってきます。リーダーにグループをまとめてもらうことで、物事が進みやすくなる一方、リーダーに任せ切りになってしまうメンバーも出てしまいます。

そんなときは、サイコロなどのツールを使って、まんべんなく発言してもらえる機会を作って話しやすい場を作ってみましょう。

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平山 枝美(ひらやま・えみ)
販売コンサルタント
アパレル企業で販売員、店長、エリアマネージャーを経て、顧客戦略のコンサルタントとして独立。顧客作りのための接客や、店舗マネジメントへのアドバイスを行っている。文化服装学院・非常勤講師。店長時代は、厳しい指導のために1カ月でスタッフが全員退職。チーム作りが全くうまく行かず落ち込む日々を過ごしたが、スタッフの立場で指導方法を一新。チーム力で売上をV字回復させた。その結果、社内最速でエリアマネージャーに昇格。不採算店舗を次々と立て直し、スタッフを店長やエリアマネージャーに続々と昇格させた。現在は、無印良品(良品計画)、ビームス、ルミネ横浜や丸の内商店会といった大型商業施設のほか、美容室、インテリアショップなど、アパレルに留まらず、顧客視点のチーム作りについて研修を行っている。現場の状況を踏まえた上でのアドバイスは大好評で、満足度アンケートで最高評価98%を誇る。これまでの著書にベストセラー『売れる販売員が絶対言わない接客の言葉』(日本実業出版社)の他、『あの人だけがなぜ売れるんだろう?』(幻冬舎)、『イラストでひと目でわかる お客様に嫌がられる接客 喜ばれる接客』(日本実業出版社)がある。

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(販売コンサルタント 平山 枝美)

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