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「頭が働くときにやろう」ではまったくダメ…最優先の重い仕事を1日のどのタイミングに入れるのが正解か

プレジデントオンライン / 2024年8月20日 16時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/BBuilder

大切な仕事をはかどらせるにはどうすればよいのか。タスクシュート協会理事の佐々木正悟さんは「大事なのは、確保する時間ではなくて『タイミング』だ。そのタイミングを逃してしまうと、なかなか取りかかることが難しくなる」という――。

※本稿は、佐々木正悟『「ToDoリスト」は捨てていい。時間も心も消耗しない仕事術』(大和出版)の一部を再編集したものです。

■なによりも先にやるタスク

イギリス人のマーク・フォースターによる『マニャーナの法則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)というビジネス書があります。

「明日できることを今日やるな」をテーゼとした独特の仕事術で、彼は「朝起きてすぐ大事な仕事を5分でいいから手がける」ようすすめています。

なによりも優先し、なによりも先にやるという意味でそれを「ファーストタスク」と名づけたのです。

日本でもよく似た方法論を『思考の整理学』(筑摩書房)で有名な外山滋比古さんが提唱しています。彼はそれを「朝飯前」と名づけ、大事な仕事は「朝食までに片づけてしまう」というわけです。

仕事術コミックライターの岡野純さんは「朝起きてすぐ」漫画を描いて、出勤時の電車の中でネームをまとめるという方法を述べていたことがあります。

これはかなりストイックで、だから会社員をやりながら何冊も漫画を描くといった「離れ技」もできたのでしょう。

現実には、時間としてはそのくらいしかとれないともいえます。

■ファーストタスクの3つのタイミング

私自身はとてもこんなことはやれません。

だから私は、仕事を始めてすぐのタスクを「ファーストタスク」としています。

たとえば4月中はずっと、仕事を始めるならこの原稿から書きました。

これだけでもそれなりに効果が上がります。少なくともメールチェックをする前には、原稿を必ず仕上げます。

こう考えると、ファーストタスクのタイミングは3つあるわけです。

「起床直後」と「出社前」と「仕事開始」のタイミングです。

リモートワークやフリーランスの人は、出社の時間はないかもしれません。それでも二度のタイミングで「大事な仕事を先に進める」ことはできます。

つまり、ファーストタスクで大事なのは、確保する時間ではなくて「タイミング」なのです。そのタイミングを逃してしまうと、なかなかそれに取りかかることが難しくなる貴重な機会というわけです。

私の考えるデイリーリストに「優先順」はありません。しかしファーストタスクは例外です。なにより優先するタスクとしてなによりも上位に置くのです。

■ラストタスクに何をするか

もうひとつ大切な、仕事を進めるのに欠かせないタイミングがあります。

デイリーリストのいちばん下に置く「ラストタスク」です。

もちろんそれは「最後まで残ってしまった仕事」という場合もあるでしょう。

しかし私は、それではもったいないと思います。とくに会社にいて「最後にやるタスク」の選別は大事です。これが終わったら終わりであり、これが終わったら帰れるのです。体力を温存しなくていいし、割り込みの案件も発生しにくいでしょう。

ここに「やりたくないから残ってしまった作業」を置き、それを片づけられるというのも悪くはありません。

しかしここで、大事なプロジェクトを進められると想像以上にはかどります。

とくに締め切りまでの日程が厳しいときには、ファーストタスクとラストタスクを同じタスクにするのがおすすめです。

私でいえば、仕事の最初には原稿を書き、仕事の最後にも同じ原稿の続きを書くのです。これを数日続けるだけで格段に原稿が進むことがあります。通常の2倍の速度が期待できます。もちろん、半年以上もずっとそんなやり方を続けるわけにはいきません。他にも大事な仕事が入ってくるはずです。

しかし一時的にペースを大幅に上げたいときに、使える手段だと考えています。

ファーストタスクと同様に、ラストタスクも「特別なタイミング」なのです。

<POINT>「頭が働くときにやろう」と思っても、そんなときはやってこない
木製のテーブルと水色の背景の壁に赤いヴィンテージ目覚まし時計
写真=iStock.com/samritk
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/samritk

■「宣言」してから仕事を始める

私はこの原稿を書くといった、大きめの仕事を始める前には必ず、原稿20:06~というように、「タスク名」と「開始時刻」をタスクシュートに記入してから仕事を始めます。このような「宣言」は、そこかしこで見られます。

食事の前に「いただきます」と宣言し、食事が終わると「ごちそうさま」と言います。朝起きれば「おはよう」と誰とはなくとも挨拶し、「おやすみなさい」と言ってから眠りにつきます。洋の東西を問わず、試合の開始終了時には「合図」がかかります。

私はこの種の挨拶に、あまり濃い意味や深い意味を付けたくない性格ではあります。「とりあえず一礼しておく」以上の意味を、あえてあまり意識しません。

■宣言することで、頭も切り替わる

しかし、「空間への意味づけ」を時間の側からしなければ、やりにくくてしようがないケースも多くあると思います。

佐々木正悟『「ToDoリスト」は捨てていい。時間も心も消耗しない仕事術』(大和出版)
佐々木正悟『「ToDoリスト」は捨てていい。時間も心も消耗しない仕事術』(大和出版)

たとえば、食事においては「食卓」でも、食後には「仕事の机」になるし、来客があれば「お茶のテーブル」にもなる。このような場合、同じ空間の意味が、「時間」によって区切られるわけです。

私も多様な仕事を同じ書斎で行います。

それだけにいちいち「時刻」で、いまからなにをするかを決めざるを得ません。

そうすることで、自分の中で作業と気持ちを切り替えているのです。

タスクシュートがその重要なサポート役を担ってくれているのです。

そういうわけで、「いまから原稿を書く」と誰にとはなく「宣言」します。

終わったら、終了時刻を「打刻」します。

すべての行動について、同じ宣告を繰り返します。まさに、おはようからおやすみまでやるわけです。もちろん、1日中ずっと、タスク名と開始、終了時刻をいちいち宣告するなど、手間といえば手間がかかります。

しかし、なんのトクにもならないのにそんな行為は続きません。

タスクシュートを使っている25000人を超えるユーザーが、かなりの期間ずっと続けているからには、仕事や生活の役には立っているはずなのです。

私自身はもう20年近く、記録が漏れている時間が1分もありません。

しかも私は、記録を残したかったわけではありません。記録が残れば便利ではあります。しかしやはり、仕事が進むからこれを続けているのはまちがいありません。

<POINT>なんとなく続けるより、時刻で切り替えたほうが仕事は捗る

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佐々木 正悟(ささき・しょうご)
タスクシュート協会理事、ビジネス書作家
1973年北海道生まれ。1997年獨協大学外国語学部を卒業。2004年Avila University心理学部卒業。2022年タスク管理・時間管理術であるタスクシュートの普及と、自分らしい時間的豊かさの提唱を目的として「一般社団法人タスクシュート協会」を設立。タスクシュートのユーザー数は、25000人を超える。著書に、ベストセラーとなったハックシリーズ『スピードハックス』『チームハックス』(日本実業出版社)のほか、『iPhone情報整理術』(技術評論社)、『イラスト図解 先送りせず「すぐやる人」になる100の方法』(KADOKAWA)、『クラウド時代のタスク管理の技術』(東洋経済新報社)、『なぜ、仕事が予定どおりに終わらないのか?』(技術評論社)、『やめられなくなる、小さな習慣』(ソーテック社)、『人生100年時代 不安ゼロで生きる技術』(三笠書房)、『先送り0』(技術評論社)など。ポッドキャスト「働く人に贈る精神分析チャット(グッドモーニングボイス)」を平日にSpotifyから配信中。

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(タスクシュート協会理事、ビジネス書作家 佐々木 正悟)

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