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「日本特有の企業・世界的に活動・社員は高賃金」85歳現役投資家が選んだ新NISA"賢い投資先"の実名

プレジデントオンライン / 2024年9月2日 8時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/CHUNYIP WONG

新NISAの投資先はどのように選べばいいのか。投資歴45年以上の投資家、石井勝利さんは「いちばん重要なのは、信頼性のある企業の株を買うことだ。長い目で見て成長し、収益を上げている企業に投資するのがいい」という――。

※本稿は、石井勝利『85歳、現役・投資家のお金の哲学』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■ほとんどの人には課税対象となる利益がない

いま、人気の新NISAについて、考えてみましょう。この特徴は、今までよりも、非課税の枠が広がったということです。何について非課税なのかと言えば、「儲け」に対してです。

なので、儲からない、損をしている、この状態では、何の特典もありません。これは要注意です。新NISAで何を運用するかと言えば、株式投資、投資信託が主です。通常の投資では、儲けに対して、国税、地方税、合わせて利益に対して20%の課税がなされています。

国は、非課税枠を広げるということで、従来は、日本人の傾向として、お金は預貯金に入れていますが、これを株式投資などに移動するために、利益に課税しないという「アメ」を用意しているのです。

ただ、現在の株式投資の傾向では、利益を確保する人は、投資家全体の5%程度に過ぎず、あとの95%は「含み損」を抱えているというデータがあります。

株にお金を回し、運用益に対して非課税のメリットを得ようとしても、実際は、ほとんどの人が非課税どころか、課税対象となる利益がないのです。

■新NISAでお金が減っても国は補填してくれない

もちろん、運用に対して、プロ級の人には恩恵がありますが、「新NISAってなんだ」というような初心者には、ほとんどメリットはないのが実情です。

もちろん、投資の基本である「定額投資」であれば、高い時は少なく、安い時は多く買う「ドルコスト平均法」で購入すれば、含み益が出る可能性があります。新NISAが得なのではなく、ここにお金を入れて、賢くお金を増やす方法にメリットがあるのです。

それに気が付かないで、証券会社の口座で新NISA枠を使えば有利である、得をするという考えは甘く、成功はないのです。「新NISAにチャンスがある」というような安易な考え方でお金を移動するのは、逆にお金を減らします。

新NISAでお金が減っても、国が補填してくれるわけではないのです。ここがポイントであり、「新NISAは有利」というお題目に騙されないようにしましょう。

■小型の銘柄より日本の代表的な企業

新NISAは損すると断言するわけではありません。運用法を学び、コツコツと利益を積み上げるスキルを持てば、勝ち組の5%に入り、非課税の恩恵を受けるのは、不可能ではないのです。

そこで、一番重要なのは、信頼性のある企業の株を買うということです。そのためには、小型の銘柄を選ばないで、日本の代表的な企業に投資することです。東証は、海外の投資家向けに、一定の基準を満たした優良企業に「プライム」という枠を設けて、売買できるようにしています。

その企業は、資本金、業績、配当などで、安定的に稼いでいるところです。日本を代表する企業といえば、損保の東京海上、防衛の三菱重工、商社の三菱商事、三井物産、住友商事、銀行の三井住友、三菱UFJというような会社です。

JPX東京証券取引所
写真=iStock.com/VTT Studio
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/VTT Studio

人気優先で、新規上場や小型の人気銘柄を選ぶと、思わぬ悪材料に遭遇し、大きな含み損を抱え込むことになります。その心配がないのが、商社、電機、機械、銀行などです。目先ではなく、長い目で、成長し、収益を上げている企業に投資し、新NISA枠に入れる。

これが成功する新NISAでの資産形成の仕方です。個人投資家の中には、日々の値動きが派手で、思わぬ急騰を見せる新興の銘柄を選ぶ人が多くいますが、この短期売買は安定的に資産を増やし、増えた資産に課税されないという制度の対象として適当ではありません。

■商社は収益が高く、社員の給与もダントツで高賃金

また、安定的に、長期に右肩上がりの日足、週足、月足を描いているトレンドの銘柄を選びましょう。右肩上がりということは、安定的に収益を上げている、それが評価され、株が買われて、時価総額が増えているというしるしです。

日本の代表的な企業である商社は、日本特有の企業ですが、世界的に活動をしており、可能性があり、将来性のあるビジネスに目ざとく事業展開しています。その結果、収益が高く、社員の給与もダントツで高賃金です。

この会社の社員にはなれませんが、株主という形で、成長の恩恵を受けることは可能です。毎日の上げ下げで売買するのではなく、中長期的な展望で、稼いでいる商社などの企業に自分の資金を投じて、その見返りを求めましょう。

このような安定的な投資で、急激ではないにしても、ジワリと資産を増やす投資の方法が新NISAの望ましい投資先の選び方です。新NISAだから何でもよいというのではなく、投資先の企業を厳選し、安定的な収益性を評価できる銘柄に資金を投じるようにしましょう。それが、この制度でのメリットを賢く活用する、成果が上がる方法です。

■100万円の投資信託が50万円相当に

新NISAでは、銀行などが、この資金を取り込もうと躍起になっています。そのために、投資初心者に対して、丁寧なセミナーなどを盛んに行っています。

石井勝利『85歳、現役・投資家のお金の哲学』(SBクリエイティブ)
石井勝利『85歳、現役・投資家のお金の哲学』(SBクリエイティブ)

「新NISAってなんだ」

このような初心者、貯蓄しか考えていない人には、「投資のお勉強」ということで、この勉強はマイナスではありませんが、実際にお金を定期的に預けて問題がないかと言えば、別問題です。

昔の話ですが、私の知人は、大手の不動産会社に勤めていて、銀行の窓口のレディの笑顔に誘われて、100万円を投資信託に預けましたが、やがては50万円相当になったようです。なぜ、このようなことが起きるのか。それは、投資信託の仕組みに、問題があります。

一度、投資信託の商品を買うと、定期的な手数料を仲介の銀行や証券会社に支払いますが、手数料以上の値上がりが出ないと、評価はどんどん下がります。

銀行では、成績を上げるために、手数料が取れる外貨預金や投資信託を「投資相談」に来た人に積極的に教えますが、それは危険です。新NISAでは、株式にせよ、投資信託でも、それが値上がりし、資産が増えるのか、減るのかをしっかりと調べ、研究して、預けなければなりません。

■金融機関は結果に対して責任を取ってくれない

銀行などが売りたい投資信託は、昔から「ゴミ箱」という隠語があり、運用者が失敗したものを投資信託に入れるという過去がありました。今のようなネット時代では、その様な悪手はすぐに広まりますので、証券会社、銀行は用心していますが、新NISAについては、仲介するだけで、利益を保証するわけではありません。

これは昔の話ですが、ネット証券が盛んではない時に、中堅の証券会社の支店長が私の自宅まで来て、「これは必ず上がりますから」と言って買うように勧めて、妻が、150万円で一単位を買いました。

それで、証券会社には売買手数料が入りましたが、「上がる」と断言した銘柄は、やがて急落し、3分の1になりました。私の知り合いの社長は、昔は大手証券会社のトップセールスマンでしたが、やることは、鎌倉の金持ちのシモベになることで、億のお金を動かし、儲けは度外視。

とにかく、お金を多く動かしたセールスが、認められていました。このように、あなたの味方と思いがちな金融機関は、笑顔で投資信託を勧めますが、その結果は「リスク商品です」ということで、結果に対して責任を取ることは皆無です。これは用心しなければなりません。

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石井 勝利(いしい・かつとし)
経済評論家
早稲田大学政治経済学部卒。1939年生まれ。宇都宮工業高校から、高卒で文化放送に就職。働きながら夜学独力で大学を出た苦労人。政党機関紙の記者を23年務めた後、住宅、金融等の著作、評論活動で独立。『日本経済新聞を120%読みこなす法』(10万部)、『マンガ版 生まれてはじめて株をやる人の本』(20万部)等で、ベストセラーを連発。最近はデイトレ対応、チャートの読み方、5分足チャート、仕手株本などを手がけ、ヒットを飛ばす。投資生活45年超、著作は400を超え、安定したファンがある。

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(経済評論家 石井 勝利)

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