「タンパク質をとるのにこれに勝るものはない」医師・和田秀樹が高齢者に強く勧める食材の種類【2024上半期BEST5】
プレジデントオンライン / 2024年8月14日 16時15分
※本稿は、和田秀樹『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)の一部を再編集したものです。
■配偶者がいる場合の恋愛はストレスになることも
中年以降は道徳観に縛られすぎず、やり残したことを冒険してでも片づける、楽しみ尽くすぐらいの気持ちで暮らすことが大切です。
先が読めるものより、想定外のことに取り組むほうが前頭葉の活性化につながるということを先の記事でお話ししました。
そういう意味では、投資やギャンブルもいい刺激になります。これは勉強につながりますし、勉強しても予想通りにいかないものなので、老後の資金をなくさない程度に楽しみでやるなら、好ましい趣味といえるでしょう。
想定外のことが起こりやすいのは、なんといっても恋愛です。恋愛は男性なら男性ホルモンを、女性なら女性ホルモンを増やしますので、若返りにつながり、おしゃれにも気を遣うようになります。
どんな服装なら好感が持たれるだろうと考えたり、普段着ないような服を着たりすることも、前頭葉に刺激を与えます。
恋をすると若返るとよくいわれますが、それは私の実感と合致しています。
ただ、配偶者がいる場合は、夫または妻の許可を得られないかぎり、恋愛は逆にストレスになることがありますので、気をつけてください。ストレスは免疫機能に悪影響を与えるし、むしろ老化を進めてしまうからです。
配偶者のいる方は、好きなタレントの追っかけをするくらいのほうが無難かもしれません。
■ポルノを観ることが若返りと筋肉につながる
恋愛は無理でも、配偶者が許すならキャバクラやホストクラブを訪れてみるという方法もあります。お店で働いている世代の違う人との会話は前頭葉を刺激しますし、話術も磨かれます。もちろん素敵な異性と話すと性ホルモンの分泌も促されます。
ついでに言うと、アダルトビデオなどのポルノを観ることも男性ホルモンを増やしてくれます。これは意欲にも筋肉にもよいのですが、高齢者の中には年甲斐もなくと言われて遠慮する人も多いでしょう。
私に言わせれば高齢だからこそ、そういうものに価値があるのです。無駄な遠慮や羞恥心という心の枷(かせ)を取っ払ったほうが、若返りが可能なのだと認識してほしいと思います。
余計なタブーで自分に枷をはめるほど、残念ながら老化は進んでしまいます。高齢期とはそういう時期なのです。
西欧はとっくの昔にポルノを解禁しています。高齢者が多い日本こそ取り組むべきことなのに、政治家の頭が固すぎるのは残念なことです。
恋愛、風俗、ポルノはちょっと、という人には、病院に行って男性ホルモンを直接補充する治療が手軽で効果てきめんです。私のクリニックでも最もリピーターの多い治療になっています。
また、外見の若返りもおすすめします。若めのファッションに挑戦したり、ボトックス注射でしわを取ったりすると見た目が若返るので気分も明るくなり、意欲も増します。
日本ではボトックス注射どころかカツラまで「反則」のように捉える人がいますが、鏡で見る自分の姿が若返れば、心理的にも内分泌的にもいい影響を与えることは知っておいてほしいと思います。
■小さな初体験は前頭葉の老化防止に役立つ
私は週に2回、“初体験”をすることを心がけています。中身にはこだわらず、どんな小さなことでも1回にカウントしています。
たとえば、ランチ用の弁当を初めての店で買ってみる。散歩の途中に知らない路地を通り抜けてみるなど、ささやかなことですが、日常生活の中に初めての体験を意識的に取り入れています。
ラーメン好きの私としては、新しく開店したラーメン店は見逃せません。見つけたら必ず入ってみます。期待していたほどの味ではなかったとしても、それもまたよし、とします。新しい体験には変わりありませんし、その店はまずいということを学習できたわけですから。
脳の前頭葉は見知らぬものを見たり、味わったりすると、活発に動き始める性質があります。「新しい体験」や「想定外の出合い」が増えるほど、前頭葉を使う機会が増えていきますので、その分、脳の老化を防ぐことにつながります。
週に2回でも1年間に換算すれば100回になりますから、私の小さな初体験は前頭葉の老化防止に役立っていると信じています。
■人との新たな出会いは前頭葉をフル稼働させる
地域のコミュニティや趣味のサークルなどで、新たな出会いを作ることも、もちろん初体験にカウントされます。
しかも、知り合って間もない人は、何を話してくるかわかりませんから、相手の言葉を聞いた瞬間にどう応対するかを考えておく。すると相手がそれに返答し、また応える、というやりとりを繰り返すことになります。
想定外のことの連続で、前頭葉はフル稼働しているに違いありません。
しかも、そこで楽しく会話をすれば脳内でドーパミンという気持ちを明るくしてくれる神経伝達物質が分泌されますので、まさに一石二鳥。脳を鍛えようとして、一人で黙々と数独などしているより、脳の活性化にはるかに効果があります。
日常生活の中に初めてのことをどんどん増やしていきましょう。
高齢者ならではのいい行動として挨拶もおすすめです。若者の場合、すれ違ったときに会釈したり、声をかけるのが照れくさかったり、相手に気を遣うことがあるでしょうが、高齢者が同じことをすると好意的に受け止められることが多く、それをきっかけに仲良くなることもあります。
たとえば犬の散歩に出かけて、犬を連れている人に挨拶すると、何人かに一人とは仲良くなれるでしょう。そして、生きることに前向きになれます。
■「体を動かしていないから、肉は必要ない」は大間違い
ちょっとしたことでイライラしたり、なかなか怒りを鎮めることができなかったりすることは誰にでもあります。それも高齢になるほど増えていきます。
年齢とともに前頭葉が萎縮し、感情のコントロールが悪くなっていくことが原因のひとつですが、加えて、脳内の神経伝達物質であるセロトニンが減少していることも関係しています。
セロトニンは、幸福感と密接に結びついていて、減少してくると気分が沈んだり、イライラしたり、感情の不安定さを招いてしまうのです。
このセロトニンの材料となるのは、トリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸の一種。「必須」とはなくてはならないことで、必須アミノ酸は人間の体では作り出せず、食べものから補給する以外に方法がないもの。つまり、体にとって大切な成分なのです。
トリプトファンは、たんぱく質から作られますので、セロトニンを増やすための手っ取り早い方法が肉を食べてたんぱく質を摂取すること。「いやいや、とくに体を動かしているわけでもないから、肉は必要ない」という人もいますが、その考え方はよろしくありません。
むしろ、肉を食べないことによるたんぱく質不足で、だるさを感じ、体を動かせなくなったともいえるのです。高齢者が元気でいるためには、アミノ酸を多く含むたんぱく質を摂ることが何より大事で、そのための理想的な食べものが肉なのです。
■たんぱく質の摂取量が減れば、衰えはより進んでしまう
高齢になれば若いときに比べ消化吸収の効率が悪くなりますので、摂取できる栄養は減ってしまいます。さらに胃の消化機能も衰えるので量を食べることができません。
するとどうなるか。十分なカロリーや栄養素が摂れずに栄養不足に陥ってしまうのです。そうならないためには、より栄養価が高いものを食べるしかありません。
最近は健康志向の高まりから、肉の代わりになるという大豆ミートなる食品が売られていますが、少量で良質なうえにコレステロールも含めてたんぱく質を摂取するという意味でいえば、肉に勝るものはありません。
高齢になると筋肉がどんどん落ちていきます。若い世代のように鍛えても、一度落ちた筋肉は簡単には元に戻りません。
そんなときにたんぱく質の摂取量が減ると、衰えはより一層進みます。なぜなら、たんぱく質は筋肉や臓器、骨格などを作る材料でもあるからです。足腰の健康を維持したいなら、その原料となるたんぱく質の摂取は欠かせません。
見た目がヨボヨボしている人はたんぱく質不足が考えられます。若々しい見た目を維持するためにも、肉を食べてたんぱく質の摂取を心がけましょう。
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精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」
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(精神科医 和田 秀樹)
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