1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

いくらマッサージに通っても「全身バキバキ」は治らない…首、肩、腰のコリを無尽蔵に生み出す"体の部位"とは

プレジデントオンライン / 2024年8月26日 9時15分

骨盤の角度を変えるだけで、姿勢は見違えるように良くなる(出所=『読むと「全自動」で健康になるすごい本』)

どうすれば体の疲れはとれるのか。整体師の奥中伸さんは「姿勢の起点である骨盤を意識したほうがいい。猫背に悩んでいる場合でも、背筋を伸ばすのではなく骨盤を回転させることで自然と背骨も正しい位置に安定する。背骨が柱のように機能するようになれば、肩や背中のコリも改善していく」という――。(第1回)

※本稿は、奥中伸『読むと「全自動」で健康になるすごい本』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■骨盤が“回転”すれば姿勢は良くなる

まず、このイラストをご覧ください。左の人はすごい猫背で、右の人はシュッと立っていてカッコいいですね。まるで別人ですが、実は同一人物です。同じ人なのにここまで差が出ます。さて、その違いは何でしょうか?

そうです、わざわざ点線を引いて強調しているように、「骨盤」の角度が違うだけです。たったこれだけです。このように、すべての出発点は骨盤にあります。では、骨盤が「どうなれば」この違いが出るのでしょうか?

すでに赤い矢印で書いていますが、私の整体指導では必ずお客様に質問します。「骨盤が前傾している」「骨盤が立っている」など、なかなかいい線をいく答えもあれば、「骨盤がグイッとなっている」みたいに思わず力が入ったイメージで答える人もいます。実は多くの方の頭の中には、この質問の答えであり、大前提とも言える概念が入っていません。だからいい線をいっている答えは出てきても、正解はなかなか出てこないのです。

正解は「回転」です。骨盤は回転するものです。しかし、この「回転」という概念が、みなさんの頭の中にはないのです。確かに360度ぐるっと1回転しているわけではないので、「回転」というイメージがなかなか出てこないのは理解できます。けれども、骨盤の回転力がなければ、次に続く背骨の力が発揮されないのです。

■「正しい姿勢」をイメージすることが重要

人間は自分の体を捉えるときに、今の自分の頭の中にある概念でしか考えられません。知らないことはできないし、起こらない。逆に言えば、「骨盤が回転する」と知っただけで、骨盤は実際に回転してきます。もうあなたは相当な力を得たのと同じです。

まずは骨盤が回転することを知ってください。そして、それがこのイラストのような差をつくってしまうことも知ってください。では次に、この「回転」によってどんな力が発生するのかをご説明します。

【図表2】背骨のスタート位置の違い
骨盤が回転すれば、背骨が「柱」として機能するようになる(出所=『読むと「全自動」で健康になるすごい本』)

図表2を見てみてください。先ほどの「骨盤の回転」によって、背骨のスタート位置が変わったことが分かりますか?

骨盤のすぐ上、腰椎(ようつい)の出発点のことです。このイラストでは、点線を引いて違いを分かりやすくしています。左の人よりも、右の人の背骨の「出発点」が上がっています。当然、背骨には「押し上げられる」力がかかります。そして上半身が、頭と腕の重さが背骨に乗りやすい位置にありますね(左の猫背の人は、頭と腕を乗せる背骨が近くにありません)。

■背骨は「上下からつぶす」と安定する

つまり背骨は、次のようになっています。

・下(骨盤)から押し上げられる
・上に重いパーツ(頭と腕)があるので押し下げられる

この上下それぞれの力によって「背骨は上と下からつぶすもの」ということになります。私たちは子どもの頃から「背筋を伸ばしなさい」と教えられてきたと思います。あれが間違いだったのです。背筋は、骨盤が回転して背骨を押し上げた結果、伸びるのです。背骨だけでよい姿勢をつくろうとすると、逆に体は壊れます。

でもなんだか、背骨をつぶすなんて、負担がかかりそう……と思う人もいるでしょうか? しかし、これが背骨を最も大切に扱う力になります。背骨とは、一つひとつ分かれたバラバラな骨が連続しているものです。これを上下から押さえつければ、しっかり安定することは想像しやすいでしょう。左の猫背の状態では、背骨はどんどん後ろ側に出ていってしまいます。

背骨は上と下から押しつぶして、やっと「柱」として機能するのです。みなさんが健康的な背骨をイメージする際の「S字」も、上と下から押しつぶすから発生するのです。あのきれいなS字カーブは、押しつぶされた結果だったのです。そしてこの押しつぶす力は、先ほどの骨盤の回転による「下からの力」と、頭と腕が重力で押し下げてくる「上からの力」によって実現します。

ここまでを整理すると、骨盤を回転させれば背骨が上がり、上からは重力が勝手に押しつぶしてくれるので安定する……ということです。私の整体では「重力」がポイントとなります。この「全自動」で働いている重力という力こそが、私たちをラクにもするし、苦労もさせます。次に進めましょう。

■頭の真下に背骨があれば猫背にはならない

先ほども触れましたが、背骨は上下から押しつぶさないと安定せず、猫背になっていきます。猫背の状態では、背骨は「柱」として機能せず、それどころかどんどん後ろ側に出ていく力がかかります。

【図表3】後ろに逃げる矢印、前に入る矢印
背骨が安定していないと、自然と猫背になってしまう(出所=『読むと「全自動」で健康になるすごい本』)

図表3の左の人の通りです。重力が常に上から下へとかかっていますので、頭の重みでどんどん猫背になり背骨が後ろに出ていきます。腕も下にどんどん落ちていきます。右の人は、頭が落ちようとしても、その下に背骨があるので、背骨が「つっかえ棒」のようになり頭は下がりません。

下がらないどころか、その力がそのまま背骨を安定させる「柱」の力に変換されています。腕も背骨に近い後ろの位置にあるので、背骨に「引っかけやすく」なって、落ちていきません。

右の人と左の人とでは、まるで逆の力がかかります。骨盤の回転で背骨を上げないと、左の人のように背骨はどんどん後ろへ逃げていき、胸やお腹側はつぶれていきます。逆に、右の人は背骨がつぶれたことで、胸やお腹側は開放的です。赤い矢印で書くとよく分かりますね。どちらが健康的かは誰でも分かるでしょう。

■柱は「ど真ん中」に置かないと力を発揮しない

そしてこれは、肉体の物理面だけでなく精神面にも大きく影響します。見た印象の通りです。左の人は矢印が後ろに出ていきます。これはあらゆる物事に対しても同じ「後ろ向き」の矢印が働きます。「どうせ私なんて」とか「それを引き受けるのは怖い」「もう逃げたい」みたいなネガティブで消極的な矢印です。

一方、右の人はどんどん進んでいくイメージですよね。ポジティブで積極的でありながら、オープンな感じがします。見た印象そのままです。私の整体は、このような考えで体も診(み)ます。実際の肉体にかかる矢印が、すべての事象にそのまま出る。自分の体の矢印を知ることは、自分の状況や心持ちも変えていく可能性を秘めているのです。

背骨の「柱としての機能」の重要性は、建物で考えるとよく分かります。普通の建物は、四隅の柱で屋根の重みを支えています。人間も複数の柱が体を支えてくれればよいのですが、誰が決めたのか、私たちには背骨は1本しかありません。柱が1本しか使えないならば、どこに配置したいでしょうか? 当たり前ですが、柱は「ど真ん中」に置きたいですよね。

人体においても同じで、できるだけ体の中心に柱を置きたいところです。ところが、人の背骨は背中側にあります。この背骨を少しでも真ん中に持っていきたいのです。

■背骨で支えられないから「コリ」が生まれる

では、どうすればいいのか。骨盤を回転させればいいのです。骨盤を回転させて、背骨を押し上げれば、「S字の背骨」は少し中心方向に、つまり前に移動します。

奥中伸『読むと「全自動」で健康になるすごい本』(KADOKAWA)
奥中伸『読むと「全自動」で健康になるすごい本』(KADOKAWA)

反対に、猫背の人は背骨がどんどん後ろ側に出ていきます。ただでさえ後ろにあった背骨が、より後ろに移動してしまう。これはとても不安定な状態で、建物ならいつ屋根が落ちてもおかしくありません。柱が外側に1本しかない状態では、補強をしたくなります。これが「コリ」です。人体では頭が落ちてくるし、腕も落ちてくる。これを落とさないように、首や肩がかたくなって踏ん張るのです。

そんな状態でも、私たちはあれこれ動き回らなければなりません。建物で言うなら、柱が外側に1本しかない状態なのに、そこに地震や台風が来るようなものです。思わず補強をさらに増やしたくなるでしょう。それに柱自体がどんどん傷みます。人間で言うと、背骨が痛んだり、動かなくなったりします。しっかりした柱になったうえで、時には動いて体を補助していく。

そんな理想の背骨にするには、普段から背骨を体の中心に置くことが重要です。そのためには、背骨をしっかりと上と下からつぶすことです。

■骨盤が定まれば、全自動で姿勢が良くなる

柱を体の中心に置くと、その柱に真っ直ぐ力がかかります。もし柱の位置がズレると、柱を折ろうとするよけいな力がかかります。建物の柱なら、強度の限界が来たときに折れるだけですが、人体の場合は、背骨を守ろうとして周囲の筋肉がかたくなり、背骨が動かなくなっていきます。

すると、特に「胸椎(きょうつい)」を動かすことを忘れていきます。それはもう、背骨の機能を一つ失ったのと同じです。これらは知らず知らずに進行しますので、柱は柱として適切な位置に置いておくことが本当に重要になります。

逆に言うと、柱を適切な位置に置いておけば、それこそ「全自動」でよいことが勝手に起こってくるのです。よけいな補強も必要ありません。そしてこれらを実現する出発点は、「骨盤の回転」だと思い出してください。

----------

奥中 伸(おくなか・しん)
整体師
奥中整体主宰。1975年生まれ。会社員を経て、2003年より奈良県で整体を開始。当初は、一般的な「コリをもみほぐす施術」を行うも、それが対症療法でしかないことに限界を感じ、より本質的な整体を探求する道へと入っていく。まず「人体は物質であり、構造である」という点に着目し、「体の正しい矢印」を知ってもらうことで、物理的・人体力学的に理にかなった体に導いていく教育的アプローチを実践。中でも、骨こそが力を伝える最重要パーツと捉え、日常動作から見直し、指導する整体に行き着く。フォロワーは4万人(2024年7月現在)。

----------

(整体師 奥中 伸)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください