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「1日に1回は和式トイレ座りをしてほしい」…整体師が熱弁"きれいな猫背"のすごいリラックス効果

プレジデントオンライン / 2024年8月28日 9時15分

猫背はとてもリラックスした姿勢であって「絶対悪」ではない(出所=『読むと「全自動」で健康になるすごい本』)

体の不調を改善するにはどうすればいいか。整体師の奥中伸さんは「よく『猫背になると体調が悪くなる』と言われるがそれは間違っている。猫背はリラックスしている姿勢のため、オフの状態のときはむしろ猫背になったほうがいい。問題は“きれいな猫背”の姿勢になれていないことだ」という――。(第3回)

※本稿は、奥中伸『読むと「全自動」で健康になるすごい本』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■猫背は「絶対悪」ではない

メディアなどでも、体の不調の原因として大変な悪者になっている猫背さんですが……、ここで重要なことに触れておきましょう。猫背ですが、実は絶対悪ではないのです。さて、猫背にどんなよいことがあるのでしょうか?

まず、猫背はとてもリラックスした姿勢であるということ。つまり、ゆっくり休憩をするときなら、猫背でもよいのです。逆に、「猫背は絶対に悪だ」との思いが強すぎると、その思いがプレッシャーとなり、本当のリラックスを許すことができません。それは、かえって体に悪いのです。

私の整体では、その人の体の充実度を「実力」と表現します。その実力の有無を分ける大きなポイントは、睡眠時など休憩をしているときに、「本当にリラックスできるかどうか」です。きれいな猫背になれる人は、背骨がやわらかい人です。そして、シャキッとするときは骨盤が回転して背骨がスッと立つ、そんなメリハリのある人は、とても「実力のある人」と言えます。

そして猫背は、排便時の上半身でもあります。生物にとって、リラックスした排便が重要なのは言うまでもないでしょう。「猫背は悪だ」との思いがあると、きれいな脱力した体勢になれず、スムーズな排便までをも邪魔します。このように、猫背にも重要な役割があるので、猫背になるのならば遠慮なく猫背になることがポイントなのです。

言ってしまえば、右のS字の人は「オンの状態」。左の猫背の人は「オフの状態」です。

■骨盤を使えないと、良い姿勢にも猫背にもなれない

そのオン・オフを分けるのは、「何らかの仕事をするか、しないか」です。つまり、何かの用事、仕事をするのならば右のS字の状態でないといけない。

左の猫背の人は、何も仕事をせず、ただぼーっと休憩するならば猫背でもなんでもよいということです。オフです。用事、仕事とは、自分の腕を前に出すだけでも仕事です。それをしない本当のリラックス時には、どうぞお好きに猫背でもなんでも休憩してください。私たちはなんとなく「猫背は悪いものだ」という考えが頭にあるので、「本当に猫背になりきる」ことができないのです。どこかで止めてしまっているのです。

加えて「骨盤の回転」という概念がないと、中途半端な「よい姿勢」で生きることになります。猫背にもなれず、本当のS字にもなれない。体を縮ませた「なんとなくよい姿勢」で生きている人が大勢います。

骨盤の回転による本当によい姿勢もつくり、遠慮なく猫背にもなれる。これがよい体です。ただし、S字のよい姿勢と猫背の比率は50対50ではありません。人の生活は用事の連続ですので、起きて用事や仕事をしているときはS字です。ですので、私は「S字のよい姿勢」と「猫背」の比率は、90対10〜80対20ぐらいと言っています。

よい猫背のコツは「お尻を回し下げていく」ように猫背になることです。ここでも出発点は骨盤です。よい姿勢のときの逆方向に回転していきます。猫背にも、骨盤の回転が必要です。お尻を回し下げて猫背になれる人は、骨盤が柔軟な人です。

■意外と重要な「和式トイレ座り」

「猫背になってください」と言うと、頭や肩を下げるだけで、骨盤も背中も動いていないことがほとんどです。それは猫背ではありません。ここでも、「猫背は悪いこと」「悪いことはしてはいけない」という思い込みが無意識に働いています。それぐらい、その人の考え方が体に影響してしまうのです。

先ほども言いましたが、これは排便するときの姿勢でもあります。猫背だと排便がラクになる。このことを最も実感できるのは、和式トイレです。しかし今はほとんど洋式トイレなので、正しい猫背を学習する機会がありません。こんなところに弊害が出てきているのです。

【図表2】和式トイレ座り
「和式トイレ座り」は正しい猫背が学習できる良い姿勢(出所=『読むと「全自動」で健康になるすごい本』)

最近では、和式トイレ座りそのものができない人もいます。この練習も重要な整体の体操となります。この後もまた猫背には悪者になっていただきますが、ここでのお話も忘れずに、読み進めてください。

和式トイレ座りは、一見ただしゃがむだけです。簡単にできる人には、これが一体何の意味があるのかと思うでしょうが……。やれるから意味がない、ではないのです。これをしておかないと体が崩れていくから、やっておくのです。

和式トイレがなくなった今の日本では、和式トイレ座りはとても重要です。洋式トイレが普及した結果、座りながら猫背になれない人、和式トイレ座りができない人が増えてしまいました。正しい猫背を学習する機会がなくなってしまったのです。これは整体的にはかなり悪い現象です。

■1日1回以上、「和式トイレ座り」を習慣づけるべき

まず、和式トイレ座りは排泄の格好です。これができないとなるとウンコができないことを意味します。

動物で言えば生命の危機です。本当ですよ、それぐらい重いこと。では、和式トイレ座りができない人はどうすればよいでしょうか? 程度にもよりますが、手すりや頑丈な家具などを支えにして、和式トイレ座りを試してください。ひざが痛いなど、何か差し障りのある人は痛みが出ない範囲で試してください。

まずは「和式トイレ座りに向かうこと」を実行してください。ただしゃがむだけです。とにかくしゃがむ。まずその形になる。必ず必要な力がついてきます。これは特に小さいお子さんも一緒にやってほしいです。私からのお願いに近いです。1日に1回以上、和式トイレ座りをしてください。悪い格好、ダサい格好と思い込まずにやってみてください。

【図表3】和式トイレ座りの状態で猫背をつくる
骨盤を起点にして「きれいな猫背」を作る(出所=『読むと「全自動」で健康になるすごい本』)

続いて、しゃがんだ状態でさらに「きれいな猫背」をつくってください。どうですか? 和式トイレ座りそのものは簡単にできる人でも、この状態で「きれいな猫背」と言われるとどうでしょうか?

背中がきれいに丸まった猫背をつくってください。実際の現場でこれを言うと、かなりの割合で「顔を落として猫背っぽくする」人が続出します。これが思い込みです。顔を動かすとそれっぽい形をつくりやすいですし、普段から顔を動かす習慣がしみついているので、ついそうしてしまうのです。すべての起点は骨盤なので、猫背でも骨盤が起点です。お尻を回し下ろす感覚で、猫背を強調します。

■きれいな猫背ができなければ、身体はリラックスできない

その結果、顔が下がって視線も下がります。視線が動くのは、あくまで骨盤が下がった結果であるべきなのです。顔から動かそうとする人は結果だけつくろうとすることになり、原因と結果がつながらない体になります。

まず和式トイレ座りになり、さらに猫背を強調する。この動作が骨盤を起点にして行えるなら、原因と結果がつながった「実力のある」きれいな体です。動かす量はほんのわずかです。思いっきりやってやろう、なんて思わないでください。ほんの少し猫背が強調されればOKです。

和式トイレ座りの状態で猫背になれないなら、あなたはリラックスできていません。排泄のときにリラックスできないと、体にはさまざまなストレスがかかります。きれいな猫背で和式トイレ座りをすると、直腸が立ち、肛門が地面に近づき、腸に血液を集中できます。これは気持ちのよい排泄の条件を多く揃(そろ)えてくれます。

しゃがんで猫背になるには、足首のやわらかさも求められます。きっちりしゃがめて、さらにグチャッと猫背にもなれる。これは、かなり体が整っている証しなのです。

■「骨盤→背骨→胸→顔」の連動を意識する

さて、次に猫背をやめて、前方を見るように体勢を整えます。

【図表4】和式トイレ座りの状態で前方を見る
骨盤を回転させることで、背骨、胸、顔を同時に動かし、背筋のよい姿勢を作れる(出所=『読むと「全自動」で健康になるすごい本』)
奥中伸『読むと「全自動」で健康になるすごい本』(KADOKAWA)
奥中伸『読むと「全自動」で健康になるすごい本』(KADOKAWA)

すべての根拠は、骨盤にあり。猫背の起点は骨盤が後ろに回り落ちる動きでしたよね。今度はその逆に、骨盤は前傾方向に回転していきます。骨盤が回転する力によって背骨が押し上げられ、胸を反らせる力となり、その結果顔を上げることになって視線も上に移動する……ことになります。やはり、すべての起点は骨盤です。

目的は「前の壁を見るため」に猫背を解除することです。この「前の壁を見る」は、今後重要になりますので覚えておいてください。すべての起点は骨盤です。骨盤が動いた瞬間に背骨に力がかかり、胸を反らせ、顔が前を向きます。ほぼ同時です。骨が力を伝えますからね。これが順々に遅れてくる人は骨が使えていない人です。

最初はこの骨の連動が弱いので、意識して背骨、胸、顔が同時に動くようにしてください。そこがコツです。どうでしょうか? 和式トイレ座りなのに、やけに整った背筋のよい体勢になれます。

■やりにくい姿勢だからこそ、いい練習になる

この一連の動作には、3つの目的があります。

・和式トイレ座りができないといけない理由を理解してもらう
・猫背(排泄の姿勢)になるには、しっかりお尻を落とすことが必要と理解してもらう
・その起点が骨盤にあることの実感を得てもらう

この和式トイレ座りでの骨盤の回転は「やりにくい」ものです。

だから行う。やりにくいのですが、本来は排泄の格好ですので、やりにくくてもできないといけないのです。だから行う。このやりにくい体勢で骨盤を動かそうとすると、さまざまな要求が入るので、いい練習になります。その結果、他の体勢でも骨盤をコントロールする力がつくのです。

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奥中 伸(おくなか・しん)
整体師
奥中整体主宰。1975年生まれ。会社員を経て、2003年より奈良県で整体を開始。当初は、一般的な「コリをもみほぐす施術」を行うも、それが対症療法でしかないことに限界を感じ、より本質的な整体を探求する道へと入っていく。まず「人体は物質であり、構造である」という点に着目し、「体の正しい矢印」を知ってもらうことで、物理的・人体力学的に理にかなった体に導いていく教育的アプローチを実践。中でも、骨こそが力を伝える最重要パーツと捉え、日常動作から見直し、指導する整体に行き着く。フォロワーは4万人(2024年7月現在)。

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(整体師 奥中 伸)

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