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子供の頃の国語授業が"元凶"だった…誰でも可能な「1冊を15分で読む」を阻む義務教育カリキュラムの罪

プレジデントオンライン / 2024年8月30日 16時15分

角田和将 Kazumasa Tsunoda 速読コーチ。2010年開催「速読甲子園」で準優勝、翌月開催された特別優秀賞決定戦で速読甲子園優勝者を下して日本一に。高校時代、国語の偏差値は40台。著書に『速読日本一が教えるすごい読書術』(ダイヤモンド社)など。

「時間がなくて本を最後まで読めない」「読んでもすぐに忘れてしまう」。そんな悩みを解決しよう。速読日本一の速読コーチが教える「スポーツとしての速読」のコツとは――。

■遅くても速くても「一度で理解」は難しい

本を読むのが遅い人には、2つのクセが見られます。一つは、「本の内容を100%理解しなければいけない」と思い込んでいること。少し読んで、理解できないことがあると、その場で止まってしまいます。私自身も以前はそうでした。「これはどういうことなのかな?」と頭の中で考えているうちに、30分、1時間と経ってしまい、読み進めない時間が長くなってしまうのです。読書が苦手、という人はこの部分でつまずきがちです。

そもそも論として、読むスピードと記憶は関係ありません。速くても遅くても、本を読んで最終的に頭の中に残るのは、1~2割しかないのです。記憶している場所が違うだけです。読むのが遅い人は、理解できるまで先に進まないので、最初の部分だけはしっかり理解できています。反対に読むのが速い人、速読をマスターしている人は、最後まで目を通しているので、章ごとの理解は浅くても、本の全体像を捉えることができています。

これはペンキで壁を塗る作業に似ています。ゆっくり読む人は、一発できれいに仕上げようとして、端から丁寧に壁を塗っていくイメージです。速読する人は、はじめにざっと全体を塗って、少し寝かせます。その後に何度か重ね塗りをして、最終的にきれいに仕上げるイメージです。

読書に話を戻すと、読むのが遅くても速くても、すべてを一度に脳に定着させることは難しいのです。であれば、はじめから「本の内容を“完璧に”理解しよう」と意気込んで読書に取り掛かるのではなく、「1割だけ理解できればいい」と割り切ってしまえばいいのです。読むのに時間がかかり、途中であきらめてしまうのは本末転倒です。速読では、読み進めていって「このページに書かれていたのは最新のAI技術のことだな」「この章で言いたかったことは、投資はインデックスに限るということか」といったように、ざっくりと主旨がわかれば、まずはOKです。理解できない文章は「後で考えよう」と割り切って、どんどん先に進んだほうがいいのです。

速読を阻むもう一つのクセは、1文字ずつ文字を読んでしまうことです。頭の中で、一文字ずつ音読して本を読むと、シンプルに時間がかかります。子どものころの国語の授業で音読をしていたことが原因だと思います。

速読術をマスターすると、1冊15分ほどで読めるようになりますが、そのレベルに到達するには、それなりの訓練が必要です。スポーツに似ています。読む時間を速めていきたいなら、かかった時間を意識するのがポイントです。時間を計って、「今回は30分かかった」「20分で読み終えた」と意識することで、読み進めるペースが上がっていきます。毎回厳密にタイマーで計る必要はありません。通勤時間に「最寄り駅で降りるまでに1冊」などと、自分なりの目標を立てて読むことで、時間を把握できます。こうした日々の取り組みを継続することで、徐々に短い時間で読めるようになっていきます。

さらに速読力を上げるためには、筋トレのようなトレーニングを続けることが効果的です。「読み進め」トレーニングと「内容理解」トレーニングを紹介します。

■1文字ずつ読まずにメニューのように読む

これらのトレーニングで、だんだん速く読めるようになりますが、スポーツと同じように、がんばっても成果が出ない停滞期が、必ずやってきます。「あまり読むスピードが上がらないな」と壁にぶつかったとしても、あきらめないでください。しばらくすればスピードが出てきます。やめずに続けていくことが大事です。疲れてしまったら、普通の読み方で休憩しても構いません。

ビジネス書を1冊15分で読むためには、1分当たり7000~1万字を読む必要があります。読むのが遅い人の特徴として1文字ずつ音読してしまうクセを挙げましたが、これは「なぞり読み」とも呼ばれる方法です。文字をなぞりながら頭の中で音読するので、スピードには限界があります。なぞり読みの場合、平均的な速度は1分当たり600字といわれています。訓練すればスピードアップが可能ですが、どんなにがんばっても、1分当たり3000文字が限界です。このスピードでは、1冊を読むのに1時間ほどかかります。なぞり読みの限界を突破するには、「文字を塊で見て理解する読み方」に変える必要があります。一度に7~11文字単位で読み進める方法です。言い換えると、一文字単位で文字を読まず、単語(文章)単位で文字を見るのです。難しそうに感じるかもしれませんが、実は誰でも普段の生活で、すでに実践している方法なのです。

たとえば、レストランに入って「何を注文しようか」とメニューを見るとき、1文字、1文字なぞり読むでしょうか。塊で見て理解しているはずです。同じことを本を読むときにもやればいいのです。読書でも一度に見て理解できる文字数が多くなると、読むスピードが上がります。

文字を塊で読むためには、「ブロック読み」に挑戦してみてください。やり方は、1行を10文字程度のブロックに分けて見ていきます。ビジネス書では、1行40文字程度になっているケースが多いので、1行を4ブロックに分けて見ていくといいでしょう。1ブロックを0.5秒で見ていきます。1行を見るのに2秒ほどかかる感じです。慣れてきたらハードルを上げて、一度に20文字程度を見ていきましょう。すると、1ブロック0.5秒、1行は1秒程度になります。

「読む」は縦読み、「速読」は横読み

文章を塊で読めるようにするには、「視野拡大トレーニング」「高速間違い探しトレーニング」「雑誌一行読みトレーニング」などが有効です。

「視野拡大トレーニング」は文字通り、見える範囲を拡大するためのトレーニングです(後編で紹介)。トレーニングシートを準備したら、目から20~30センチメートルの位置にセットします。目との距離が離れすぎると、すべての四角形が一度に見えてしまい、効果が薄れます。“すべてが見えるかどうか”のギリギリの距離がベストです。

速読スピードを上げる「視野」トレーニング

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年8月30日号)の一部を再編集したものです。

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角田 和将(つのだ・かずまさ)
Exイントレ協会代表理事
速読を学び始めて8カ月後に、日本速脳速読協会主催の2010年速読甲子園で準優勝。翌月開催された特別優秀賞決定戦で速読甲子園優勝者を下して日本一になる。現在はさまざまな分野において速読を生かした研修、指導を行っている。近著の『速読日本一が教える すごい読書術』(ダイヤモンド社)はベストセラーに。

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(Exイントレ協会代表理事 角田 和将 構成=向山 勇)

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