「お金が貯まらない家」のキッチンには必ずある…家計アドバイザーが「あって当たり前を見直して」という理由【2024上半期BEST5】
プレジデントオンライン / 2024年8月22日 8時15分
※本稿は、下村志保美『「お金が貯まる家」にはものが少ない』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
■使い捨ての割りばし、フォーク、レジ袋…
ついもらってきては増えていく、使い捨ての割り箸、フォーク、スプーンなど。私が見てきた“貯められない家”では、必ずと言っていいほど、これらがキッチンの引き出しにあふれんばかりに詰め込まれていました。最近はそこに、レジ袋有料化の流れも相まって、無料でもらえるビニール袋なども大量に溜め込むご家庭が増えています。
解決策はまず「使わない分はもらわない」、「もってこない」が大原則なのですが、「ご自由にどうぞ」と言われると、つい多めにもらってきてしまうのが人間というもの。また自分は気をつけていても、一緒に暮らしている家族が持ち込んで増えていくのも、多いパターンです。
収納スペースを決め、「ここに入る分だけ」とルールを作りましょう。あふれそうになったときは「少しお弁当を買いすぎているかも?」と出費を見直すタイミングに。
使えるものを処分するのは心が痛みますが、その“痛み”こそ、自分が必要でないものを持っていた証拠。「もう心が痛まないためには?」と考えると、スーパーで買い物をしたあとの振る舞いも変わってくるのではないでしょうか。
■“黒マジックで日付を書く”を習慣にする
「どれを何本だけ持つか」を決めるのもいいですね。4人家族であれば「割り箸、スプーン、フォークそれぞれ2日分」などです。
これ以上をストックするときは、キッチンには置かずに防災袋へ入れましょう。万が一の時のための食器類としてキープしておくのです。
ただし防災用も、何年も前のものを持ち続けているのは、衛生面でも機能面でも、あまりおすすめできません。ストックする際はひとつの袋にまとめ、黒いマジックペンで“○○年○月”と、日付を書いておくのです。こうしておけば、その後防災袋を整理した際に「うわあ、5年近く前の割り箸が入れっぱなしになっている」と正確な時期を把握でき、処分しやすくなります。
この“黒マジックで日付を書く”テクは、キッチン用品はもちろん、部屋のものの管理のあらゆる場面で使えます。
■保冷剤を常温で溜め込んでもしょうがない
ケーキやアイスを買った時につけてもらう保冷剤。冷凍庫内で収まっていればいいですが、冷やしていない状態のものを溜め込んでいませんか? キッチンの吊り戸棚の中に保冷剤のストック場所を作り、そこに未使用のものを溜め込んでいるお宅もありました。
保冷剤は災害時に使えるため、ある程度の量は持っていてもいいでしょう。電気が止まってしまっても、冷凍庫の中に保冷剤が入っていれば、そのまま食べ物を冷やし続けることができるからです。ただし冷凍庫からはみ出るようならば、明らかに持ちすぎです。
もらってくる保冷剤は、どんどん使い倒してしまいましょう! 特にミニサイズの保冷剤は、使い方によっては冷蔵庫以外の場所でも大活躍してくれる、便利グッズなんです。
■「使い捨ての熱中症対策」として使う
近年、日本の夏は暑くなり、熱さやだるさを感じる期間も長くなってきていますよね。自宅から少し外に出て歩くだけでも、熱中症に注意を払わなければならないレベルです。
小さめの保冷剤が増えてきたなと感じたら、私はハンカチで包み、夏場の外出の際に携帯して、手のひらを冷やしたり、首元に添えるなどしています。外を歩いているわずかな時間で溶けてしまうので、「一度の外出で引退」と決めて、潔く処分しています。キッチンに冷やしていない保冷剤を大量にストックしている方は、ぜひ試してみてください。
ただし「熱中症対策のために」保冷剤を溜め込むのは本末転倒です。これはあくまでも“持ちすぎた分”を、再利用しながらお別れするための、ひとつのテクニック。今はコンビニで凍ったお茶なども売っていますので、保冷剤だけに頼らなくても、夏場の熱中症は、さまざまな方法で回避することができます。
■ストックが多すぎると、お金も場所も無駄に
「あのトマト缶、どこへやったっけ?」。あるはずなのに探しても出てこず、仕方がないから新しいものを買う……。これは片づいていないキッチンあるあるだと思います。
さらに悲しいのは、「もう使いきってしまったのかな」と思ったトマト缶が、別のある日、思ってもみなかった場所の奥からさりげなく出てくること。それも、賞味期限が1年近く過ぎていた……。思い当たる節がある方は、多いのではないでしょうか。
これぞ、ものがものを隠す悪循環です。せっかく買い置きをしていたのに、多すぎるものによって見えなくなってしまって有効活用できず、結果的にお金も、食材自体も、そして置かなければ空いたはずの場所もロスしてしまうのです。これは食べ物を大切にする、というエコな考え方からも、離れていってしまいます。
■種類や品数の「ベーシック」を決める
私がおすすめしたいのは、ストック食材は種類や品数をあらかじめ絞っておき、1個のストッカーや引き出しに同じ食品を入れておくようにする、というテクニックです。
保存期間が長いうえに、開けてすぐ食べられる缶詰は便利なストック品。スーパーへ行けば、さまざまなものが売られています。貯められない人ほど、ツナ缶、鮭缶、サバ缶、ホタテの水煮缶にカニ缶……と、たくさんの種類を買いそろえがちですが、ちょっと待って。そんなにたくさんの缶詰、本当に必要でしょうか。
ご自身や家族が気に入っていたり、他の食材とアレンジしやすい缶詰は、たいてい2~3種類ぐらいだと思います。だとしたらその種類ごとにひとつのケースに入れておき、少なくなったら買い足すという仕組みを作ってしまえば、ムダな買い物も減りますし、ストックも余すことなく使いきることができます。
そう、この“自分がラクになれる仕組み作り”が、キッチンはもちろん、部屋の中のいたるところで、そして家計をラクに管理するためにも欠かせないと知っておきましょう。
■冷蔵庫のドレッシングは1種類で十分
キッチンの中で、この“仕組み作り”を上手に活かせる具体的な場所とものがあります。それは、冷蔵庫のドレッシングです。
自宅の冷蔵庫のポケットの部分を確認してみてください。青じそ、中華、ごま、ノンオイルなど、多種多様なドレッシングが並べられていないでしょうか。そして恐らくすべてが「中途半端に開封された状態」になっているはずです。
「今日は中華ドレッシングにしようかな~」と思った時は、すでに消費期限切れ。もしくは「中身がほとんど入っていなかったにもかかわらず、冷蔵庫の中に入れっぱなしだった」などの事態もありそうです。
ドレッシングは思いきって1種類に絞りましょう。「でも家族の好みがあるし……」、「買い物の時に『お母さん、コレ』と、買い物カゴに入れられていることも多い」という人は、家族が好きな味つけのものをまず1本。そして「この青じそを使いきったら、次は中華にしよう!」と家庭内で決めてしまいましょう。
「そのほうが冷蔵庫の中がスッキリして節約になるよ」、「ドレッシングを探して冷蔵庫を開け閉めする手間や、電気代も浮く」など、理論的に話してもいいですね。
■あって当たり前のものを一度見直す
家族がいる場合、いきなり「5本あるドレッシングを1本に減らします!」となると、反発されることもあるでしょうから、理論的に伝えるようにしましょう。“心地よく暮らすための仕組み作りなんだよ”と、みんなで目的を共有できるといいですね。
さらにもう一段階進んでみたいという方は、市販のドレッシングを買うこと自体をやめてしまうのもテです。ドレッシングはオイル、塩、お酢を混ぜれば簡単に手作りできます。
お好みでマヨネーズやスパイスを足したり、オリーブオイルをごま油に替えてみたりしてもいいですね。それこそ、「いただいたものの、酸っぱくて食べきれずにいた梅干し」など、余らせがちな食材を加えてみたり……。工夫次第で食生活にも彩りが増えそうです。
しつこいようですが、片づけと節約の基本は「今あるものを工夫して使いながら、極力不要なものを増やさないこと」です。缶詰、レトルト、ドレッシング、パスタソースなどあって当たり前のものを一度見直し、自分や家族にとってのベーシックを検討してみてください。買いすぎていたものと、必要なものの区別がつけられると、キッチン自体の使い勝手もよくなっていくでしょう。
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家計アドバイザー
1968年、愛媛県松山市生まれ。「空間・お金・心」の3つを整えることで、忙しい女性をサポートする「PRECIOUS DAYS」を主宰。2014年に片づけのプロとして起業。訪問やオンラインでの整理収納レッスンをはじめ、各種講演やコンサルティング、ESSE onlineでの記事執筆、家計アドバイザーとしての活動など、多岐にわたって活躍する。著書に『『「お金が貯まる家」にはものが少ない』(扶桑社刊)、『片づけのプロが教える心地いい暮らしの整え方』(三笠書房刊)がある。
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(家計アドバイザー 下村 志保美)
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