味方をつくる「心理」基本のキ -懐に入る「心理・論理・時間」テクニック【1】
プレジデントオンライン / 2013年2月9日 16時15分
自分に力が100あっても、他者から70にしか見られなければ、70の評価にしかならない。しかし、能力が100あるのなら、100あるように見せたいもの。本来の実力をアピールできる報・連・相の秘訣とは何か。
■印象の93%はボディランゲージが決める
米国のある調査によれば、経営トップ1500人に「なぜ成功できたのか」と質問したところ、「コミュニケーションを勉強したから」との回答が実に72%に上った。
確かにビジネスの場は自分の意思を伝えたり、相手の意見を聴いたりと、コミュニケーション抜きには成り立たない。そして、仕事の評価は他人が決めるものである。自分に能力が100あるなら、100あるように見せたいもの。その力こそ、コミュニケーション=「報・連・相」なのである。言い換えれば、コミュニケーション上手、「報・連・相」上手ほど出世するということだ。
コミュニケーションの基本は対人関係にある。そこで、まずは心理学のセオリーに沿って、良好な人間関係をつくる法則を見てみよう。
まずは、「会わないと合わなくなる」の法則(図・STEP1)。アメリカの心理学者ザイアンスによる、人間関係は接触頻度が多いほどよくなり、少なければ悪化するという法則だ。
挨拶でも気遣いでも日頃の声掛けを続けるだけで、好意を持たれるようになる。逆に、「○○さん、最近、顔出さないけど、なんかマズイことあったんじゃないかな」というように、あまり知らない人に対しては評価を実際よりも下げるのが人間の心理だ。
なぜ好意を持ってもらう必要があるのか。例えば、同じ能力の部下が2人いる場合、上司は好きなほうの部下を高く評価する。好意を持ってもらうことは、おべっかでも何でもない。要は自分の力を100%発揮するための環境づくりであり、自分を応援してくれる味方を確保することだからだ。
例えば報告の場合、中身よりも頻度がものを言う。たった1分でもいいから報告する。すると上司は、「あいつよくやってるな」と捉えるようになる。
見方を変えれば、好意を持たれていないと、せっかく能力があっても実際より低く見られかねない。だから好意を持たれることは、自分の能力を過小評価されないためのテクニックでもあるのだ。
さらに、心理学者のチャルディーニは、自分の弱点をさらけ出せと言っている。悩みを打ち明ける、失敗談を話す……。そういうことを思い切ってやったほうが、上司は「そんなことまで打ち明けてくれたんだな」とか「俺を信用してるんだな」と考える。
次に、好印象を与えるコミュニケーションのポイントを解説する。
コミュニケーションの基本は「何を言うかではなく、どのように言うか」が重要だ。
心理学者メラビアンによれば、コミュニケーションの際に相手に影響を与えるものは、言語情報が7%、声の調子や話し方などの聴覚情報が38%、見た目や態度などの視覚情報が55%だという。
つまり「何を言うか」が7%、「どのように言うか」が93%(38%+55%)だ。ボディランゲージが実に9割以上を占めているのである。
例えばムスッとした顔で視線も合わさずに「あなた、とってもいい人ね」とツッケンドンに言われても、ほめられている気がしないどころか、嫌みを言われているように感じる。
また、蚊の鳴くような声で下を向いたまま、「このプロジェクトは必ず成功すると思います」と言われても、明らかに失敗しそうである。つまり、見た目で評価を下げている可能性が大いにあるのだ。
■「さすが部長」の一言で変わる
どのように言うかのポイントは、「してよニッコリ」の法則と覚えよう(図・STEP2)。
まずは「し=視線」。「目は口ほどにものを言う」のことわざどおり、人柄や心は必ず目に表れる。相手の目をしっかり見つめて、相手に関心を持っているという気持ちを伝えれば、好印象になる。
「て=手の動き」とはジェスチャーをつけることで熱意を示す。
「よ=よい姿勢」。体の姿勢だけでなく、服装や髪形、態度も含まれる。清潔感とマナーを心がける。
最後に「ニッコリ=笑顔」。不快感を与えない爽やかで親しみのある笑顔で臨むことが大切だ。
さらに、報・連・相のやりとりの中に「ほめる」行為を追加すると、大きな効果が期待できる。
例えば、上司に営業の次の一手を相談したとしよう。上司が示した解決策に「はい、わかりました」で帰ってしまっては、印象はよくない。上司の解決策を聞いたら、「いいアイデアをいただきました」とか「さすが部長ですね」などと、ほめるのだ。
人間誰しもほめられればうれしいもの。ほめることは、良好な人間関係をつくる基本でもある。もちろん、上司だけでなく、同僚、友人、家族、子供など誰とコミュニケーションを取るときでも効果がある。
ほめる行為をお世辞やおべっかなどとネガティブに捉える必要はない。下心といっても、しょせんは相手との関係を良好にしたいという下心だ。それがばれて困ることなどない。むしろ、その思いをたっぷり込めてほめればいい。心の底からいい関係をつくりたいと思っていれば、その思いが詰まったメッセージになるはずだ。
しかも、ほめる行為は、相手の意見を前向きに受け入れる姿勢の表れなのだ。
このような、相手の心をグッとつかむ報・連・相のポイントは、「みほこさん」の法則と覚えよう(図・STEP3)。
「み=認める」。相手の存在の大きさを認めること。例えば、「さすが部長、鋭いですね」。
「ほ=ほめる」。特に相手が意識していないような意外なところをほめると効果的だ。「部長の笑顔を見ていると、みんな前向きな気持ちになるんですよ」。
「こ=肯定する」。相手の発言内容をそのまま受け入れる。「○○とは、おもしろいアイデアですね」。
「さん=賛成する」。「まったく同感です」「まさに私も同じことを考えていました」。
こんなほめ言葉で、どれほどの効果があるのかと思う人もいるかもしれないが、人は事実でなく言葉に反応するもの。Iさんという人気スーパーモデルがいる。実名は伏せるが、誰でも知っている長身の美貌の持ち主だ。
彼女が高校時代、通学のバスの中で目の前にいた男が振り返りざまに背の高い彼女に向かって「化け物だ」と言ったそうだ。彼女はその一言で鬱病になり、外に出るのも怖くなってしまったという。
誰もが認める美貌は事実であるが、たった1人が発した「化け物」という言葉が、本人にとっては事実が崩れ去ったかのようなショックを与えてしまったのだ。
だからこそ、報・連・相では言葉を選び、相手を気持ちよくする言葉を使おう。相手が気持ちよくなれば、2人の関係もよくなり、言いたいことが伝わりやすくなる。おまけにこちらの能力も正当に評価してもらえる。いいことずくめなのだ。
(インサイトラーニング代表 箱田 忠昭 構成=斎藤栄一郎)
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