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周囲から認められても「どうせ私なんて」という人は要注意…産業医「謙遜グセを放置すると生じる深刻な症状」

プレジデントオンライン / 2024年8月27日 16時15分

出典=『「どうせ私なんて……」がなくなる「謙遜さん」の本』(飛鳥新社)

仕事も友人関係もダメダメだ……と落ち込んだどきはどう立ち直ればいいか。医師の田中遥氏は「本当はよく頑張っているのに『私なんて』と思ってしまう人はインポスター症候群かもしれない。放置するとうつ病や適応障害の原因になりかねない」という――。

※本稿は、田中遥・加藤紘織『「どうせ私なんて……」がなくなる「謙遜さん」の本』(飛鳥新社)の一部を再編集したものです。

■一日に一度も自分をほめられないのはなぜ?

あなたは今日、自分を何回ほめましたか?

「あれ、1回もほめてないな」と思ったでしょうか。

それとも「自分をほめるなんて、とんでもない」と感じたでしょうか。

ああ、もっと自分を認めてあげられたらなあ……。

もしそう思ったなら、あなたは「謙遜さん」かもしれません。

落ち込んでいる「私」は典型的な謙遜さんです
出典=『「どうせ私なんて……」がなくなる「謙遜さん」の本』(飛鳥新社)
落ち込んでいる「私」は典型的な謙遜さんです
出典=『「どうせ私なんて……」がなくなる「謙遜さん」の本』(飛鳥新社)
落ち込んでいる「私」は典型的な謙遜さんです
出典=『「どうせ私なんて……」がなくなる「謙遜さん」の本』(飛鳥新社)

■謙遜が行きすぎるとストレスになる

謙遜さんとは、自分を低く見積もって、必要以上にへりくだってしまう人。

いつも他人を優先して、自分はあと回しにしてしまう人。

自分の嫌なところやダメなところならいくらでも挙げられるのに、いい面や好きな部分はほとんど思い浮かばない。そんな人を指します。

謙遜さんのもとになっているのは、「インポスター症候群(Impostor Syndrome)」という海外で話題になっている症状です。

インポスターとは英語で、「詐欺師」や「ペテン師」のこと。

優秀で社会的にも成功しているのに自信がもてない。実力や実績は周囲から認められているにもかかわらず、自分の能力のなさがいつかバレるのではないかと常に恐れている。そんな一連の症状を指し、「周りの人をだます」という意味で使われている言葉です。

この「インポスター症候群」をベースにその気質がある方も含めて、本稿では謙遜さんとお呼びしています。

「えぇ⁉ 謙遜さんってパッとしないイメージだなあ」「損な役回りじゃない⁉」と思ったでしょうか。

でも、謙遜さんはとても客観的で、判断力や思いやりがある人。

いつも周囲を気遣っているので、みんなから「あの人がいてくれるとありがたいな」「謙虚で素敵な人だな」と思われています。

とはいえ謙遜が行きすぎると、本心を抑えて毎日が息苦しくなったり、自分のあら探しばかりして疲れてしまうことも……。

自分を認められず、ストレスを感じるのはつらいですよね。

■謙遜さんから卒業すべきタイミングは

もし今あなたが、そんなふうに感じているとしたら、それは「謙遜さんから卒業するときですよ」と教えるサイン。その方法をお伝えして、謙遜さんが自分のもち味を活かしながら、力を発揮できるようお手伝いするのが、この本です。

謙遜さんは人を優先するとお話ししましたが、決して控えめなだけではありません。

自分なりの目標があり、「よりよい自分になりたい」という向上心をもっています。その分、自分を成長させたいと願い、「がんばらなければ」と思う気持ちも強い。それが「今の自分」を否定する姿勢や、謙遜的な態度につながっているだけなのです。

だから、自分のいいところに気づいて、自分自身をそのまま認められるようになれば、世界はガラッと変わります。すでにもっている能力を発揮していきいきと仕事をしたり、いい人間関係を築いたりできるようになります。

心優しい謙遜さんは人と調和しながら、個性を活かして活躍できるでしょう。

おじぎをしている人たち
写真=iStock.com/DavorLovincic
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/DavorLovincic

■「小さな工夫」であなたの苦しみはなくなる

それは、決してむずかしいことではありません。

・自分や周囲をみる「視点」をちょっと変えてみる
・毎日の中で「生活習慣」を少しだけ見直してみる
・自分の発する「言葉」を新しくしてみる

そんな小さな工夫の積み重ねで、私たちは結構、簡単に変われるのです。

自分を認められるようになると、いつも胸の中にある「私なんて」という気持ちが減り、ラクに生きられるようになります。「自分を変えなきゃ」と焦らなくなるので「今」に集中でき、パフォーマンスが上がります。

実は、私自身も謙遜さんでした。だから実感をもって、そうお伝えできます。

後ほどくわしくお話ししますが、私は20代でクリニックの院長になりました。

他院はベテラン院長ばかり。その中で「未熟者ですから」とへり下っているうちに、自分を卑下する癖がついてしまったのです。

しかし、精神医学の知見や心理学の研究に基づいたさまざまな手法を取り入れ、生き方を変えることができました。それも無理に変わろうとするのではなく、できる範囲で小さな工夫を続けるうちに。

気がつくと、「今の私で大丈夫!」と心から思えるようになっていました。

この本では、私や患者さんが実践したテクニックも交えて、日常で取り組んでいけるさまざまな方法をお伝えしていきます。

■自分を認められると世界が変わってくる

もしかすると、今あなたは「こんな私が、自分をほめるなんてできるのかな」と半信半疑かもしれませんね。

また、「変われなかったら嫌だな」と不安を感じているかもしれません。

どうぞ、その思いを大切にしながら読み進めていってください。

無理矢理、自分を変えようとする必要はありません。

これからご紹介するテクニックや考え方の中で、「これならできそうだな」「この視点はいいな」と感じるものを選んで実践していただければ十分です。

そうするだけで少しずつ変化し、自然なペースで進んでいけます。

いつのまにか、自分を責めたり自己卑下したりする回数が減り、「まあ、こんなこともあるよね」とおおらかに現状を受け入れられるようになります。

あるいは、新しい自分の一面をみつけて嬉しくなったり、嫌なことから早く立ち直れたりします。

それだけではありません。周囲の人のいいところにも気づきやすくなり、人間関係がスムーズになります。

田中遥・加藤紘織『「どうせ私なんて……」がなくなる「謙遜さん」の本』(飛鳥新社)
田中遥・加藤紘織『「どうせ私なんて……」がなくなる「謙遜さん」の本』(飛鳥新社)

ありのままの自分を認め、ほめられるようになると、毎日が晴れやか。

曇りや雨の日、時には嵐の日があっても、自分を信じ、前を向いて進んでいけます。

人一倍優しい謙遜さんに、そんな毎日が訪れるように。

願いを込めて、これまでの臨床経験や研究に基づきながらお話ししていきます。

あなたは今まで、十分がんばってきました。

だから気楽に、肩の力を抜いてページをめくっていってくださいね。

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田中 遥(たなか・はるか)
ベスリクリニック院長・心療内科医・産業医
福島県立会津高等学校、東京慈恵会医科大学医学部卒業。ベスリクリニック、ベスリTMS横浜醫院にて勤務。医師、産業医としてビジネスパーソンのメンタルヘルスに従事している。単に病気がよくなる医療ではなく、どのように生きるかを追求する医療を目指している。医療法人ベスリ会理事長。

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加藤 紘織(かとう・ひろお)
保健師・看護師
1996年、茨城県古河市生まれ。高校卒業後、家族が病気を患い入院したことをきっかけに、人々の健康を支える看護師を志す。また保健師の資格を取得。現在、ベスリTMS横浜醫院にて、保健師、看護師として勤務。睡眠外来、PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)などのケアに従事している。

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(ベスリクリニック院長・心療内科医・産業医 田中 遥、保健師・看護師 加藤 紘織)

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