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"第1の習慣"は30日間これだけをすればいい…永続的な幸福を得られると謳う『7つの習慣』が読み継がれるワケ

プレジデントオンライン / 2024年9月12日 7時15分

『完訳 7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー 著 フランクリン・コヴィー・ジャパン 訳 FCE(キングベアー出版)

スティーブン・R・コヴィー
Stephen R. Covey

1932年、アメリカ出身。国際的に高く評価されるリーダーシップ論の権威。教育者、組織コンサルタントとして活躍。タイム誌が選ぶ世界で最も影響力のあるアメリカ人25人の一人に選出。147の国にサービスを提供するプロフェッショナルサービス企業フランクリン・コヴィー社の共同創設者。ユタ州立大学商経学部終身教授、リーダーシップ学において同大学の名誉職ジョン・M・ハンツマン・プレジデンシャル・チェアに就く。2012年7月、79年の生涯を閉じた。

■最強の習慣を人生に取り入れる

実りのある人生には、それを支える基本的な原則があり、人格に取り入れ内面化させて初めて、真の成功、永続的な幸福を得られる。そのためには、自らの態度と行動の源泉である「パラダイム(物の見方)」を観察し、「原則」を中心軸に据えたパラダイムへシフトしていく必要がある、と著者は語る。

個人の成長、効果的な人間関係を実現するものが「7つの習慣」だ。7つのうち、第1・2・3の習慣は依存から自立へと成長する習慣で、「私的成功」をもたらす。「公的成功」を築くものが、第4・5・6の習慣だ。第7の習慣は「再新再生」の習慣で、成長という上向きの螺旋を生み出す継続的改善を行うことで、第1から第6までの習慣をより高い次元で実践できるようになる。さっそくそれぞれの習慣について解説していこう。

【図表】7つの習慣で自分自身を成長させる

第1の習慣は「主体的である」。主体的な人は自分の行動が、周囲の状況ではなく、自分自身の決定と選択の結果だと知っている。そして、その行動の結果に対しても責任を引き受ける。一方、主体的でない人は、仕事のミスをはじめ何でも他人のせいにし、自分の性格や行動まで、親や社会などに責任転嫁してしまう。主体的になるためには、自発的に率先して行動する「率先力」を発揮する必要がある。その率先力の影響によって相手や周囲も変わるイメージを、著者は「影響の輪」を使って説明する。

世の中のさまざまな事象で自分が関心を持つ「関心の輪」を描き、その中で自分が大きく影響できるものを「影響の輪」でくくる。主体的な人は、まず影響の輪に意識を集中し、自分の力が及ぶ範囲の物事に対して率先力を発揮する。次第に相手や周囲も変わり、影響の輪が広がっていく。著者は30日間、この影響の輪の中にあることだけに取り組むことを勧める。間違いを他者のせいにせず、自分がコントロールできることに率先して取り組む。そうすれば、影響の輪が変化することに気づくからだ。

第2の習慣は「終わりを思い描くことから始める」である。人生のすべての行動を測る尺度・基準として、自分の人生の最後を思い描き、それを念頭に置いて一日を始める。言い換えると、目的地をはっきりさせてから一歩を踏み出すことである。そうすれば正しい方向へ歩みを進め、自分を導くリーダーシップも効果的になりうる。

この第2の習慣を身につけるためには、「個人のミッション・ステートメント」を書くことを勧めている。どのような人間になりたいのか(人格)、何をしたいのか(貢献・功績)、そしてそれらの土台となる価値観と原則を書く。それがあれば、変化に対応しながら生活ができ、予断や偏見を持たずに現実を直視できる。

先の主体的という第1の習慣のベースは「自覚」で、その主体性を広げ、自分を導くリーダーシップを発揮するものが「想像」と「良心」だ。

想像力を働かせると、潜在能力を開花できる。次に良心を働かせると、不変の法則や原則を実践する独自のガイドラインを引ける。自覚という土台に想像と良心を乗せれば、自分自身のミッション・ステートメントを書けるようになるのだ。

第3の習慣は「最優先事項を優先する」。時間管理の本質は、「意志」を活用して優先すべきことを決め、日々の生活の中で自分を律しながら実行していくことだ。時間は自分の意志にかかわらず刻々と進み、管理できない。管理すべきは、最優先事項を優先するという行動の順序なのである。

その行動の順序を考えるに当たって、著者は「緊急度」と「重要度」の尺度からなる「時間のマトリックス」を用いる。人間の行動は「緊急度が高く重要」「緊急度は低いが重要」「緊急度は高いが重要度は低い」「緊急度も重要度も低い」の4つの領域に分けられる。人生を充実させるためには、「緊急度は低いが重要」に集中することが大切だと説く。ここには人間関係づくりをはじめ、成長に役立つ重要な活動が含まれているからだ。その実践には「緊急度は高いが重要度は低い」「緊急度も重要度も低い」の領域への関与を減らす必要がある。緊急に見えても、原則と照合して重要でなければ「ノー」と言う。緊急度も重要度も低いものについては、人に任せよう。

■継続的な成長は実現可能だ

第4の習慣の「Win-Winを考える」は、「自分も勝ち、相手も勝つ」のWin-Winで、何かを決めるときも、問題を解決するときも、お互いの利益になり、お互いに満足できる結果を目指す。人生を競争の場ではなく、協力の場ととらえる。人間社会においては大半が相互依存関係にあり、長期的にはWin‐Winがベストな人間関係になる。著者は、これを実践するために取り除くべき障害をリストアップし、影響の輪の中でできることの考察を勧める。

第5の習慣は「まず理解に徹し、そして理解される」で、効果的な人間関係でのコミュニケーションの鍵となる。周囲の人とうまく付き合い、影響を与えたいと思うなら、まずその人を理解する必要がある。相手とWin‐Winの関係でありたいのなら、相手の身になって聴く「共感による傾聴」が重要だ。

共感による傾聴のスキルには、4つの段階がある。①相手の言葉をそのまま繰り返す、②相手の言葉を自分の言葉に置き換える、③相手の気持ちを言葉にする、④相手の言葉を自分の言葉に置き換えるのと同時に、相手の気持ちも言葉にする。第4段階まで身につければ大きな効果を得られる。

第6の習慣は、1プラス1が8にも16にもなる「シナジーを創り出す」である。著者はシナジーを、すべての人の人生における最も崇高な活動に位置付ける。本質は違いを尊重することであり、それを生み出す鍵を握っているのがコミュニケーションの高みなのだ。

信頼も協力も低いレベルでのコミュニケーションだと、お互いに守りに回って予防線を張り合う。結果は、Win-Lose(自分が勝ち、相手は負ける)かLose-Win(自分が負けて、相手が勝つ)のどちらか。信頼と協力が中間のレベルに上昇すると、相互に尊重し合うコミュニケーションになる。しかし、創造的な可能性は開かず、妥協点を見つけて終わるだろう。

信頼と協力がさらに高いレベルへ到達したときに初めて、シナジー的なコミュニケーションに昇華する。強い信頼関係から生まれるシナジーによって、最初に示されていた案をはるかに上回る結果に到達する。

最後の第7の習慣が「刃を研ぐ」で、自分の価値を維持して高めていくためのもの。具体的に言うと、自分自身を構成している「肉体」「精神」「知性」「社会・情緒」という4つの側面の刃を研ぎ、再新再生させるための習慣である。「肉体」では、体に良いものを食べ、十分に休養を取り、定期的に運動する。「精神」的側面では、人間の普遍的真理を自分に結び付けてくれる源泉を引き出す。方法は人によって異なり、著者は毎日聖書を読むことで実践している。「知性」では、継続的に学び、知性を磨いて広げていく。「社会・情緒」では、奉仕や共感で他者との関係を強化し、内面の安定を図る。

肉体の健康は精神の健康に影響し、精神の強さは社会・情緒的な強さに影響する。そうした再新再生は成長と変化を繰り返しながら、自分自身を継続的に高めていく原則である。

※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年8月30日号)の一部を再編集したものです。

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スティーブン・リチャーズ・コヴィー(すてぃーぶん・りちゃーず・こゔぃー)
フランクリン・コヴィー・グループ 創設者
世界38カ国に拠点を持つフランクリン・コヴィー・グループの創設者。1952年ユタ大学卒業。57年ハーバード・ビジネス・スクールでMBA 取得。76年ブリガムヤング大学にて博士号取得。『7つの習慣 成功には原則があった!』は世界で3000万部以上を記録。25年間にわたりリーダーシップの原則とマネジメント・スキルについて、ビジネス、政府、教育の現場を通して指導した。近著『第3の案』もベストセラーに。2012年に79歳で死去。

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(フランクリン・コヴィー・グループ 創設者 スティーブン・リチャーズ・コヴィー 構成=伊藤博之 撮影=市来朋久)

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