これを使うだけで「夕方の疲れ目」がスッキリする…眼科医が伝授「スマホ老眼を遅らせる100均アイテム」
プレジデントオンライン / 2024年9月4日 8時15分
※本稿は、平松類『名医が教える!目のトラブル解決大全 近視・老眼・白内障・緑内障・斜視・眼瞼下垂 ぜんぶ網羅!』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■若者の間で増えている「スマホ老眼」
白髪や足腰の弱り、耳の聞こえにくさといった老化現象は60〜70代頃に自覚症状が現れることがほとんどですが、目は身体の中でもっとも早く老化を自覚しやすい部位といえます。
目の老化現象の象徴ともいえる老眼ですが、実は見える距離のレンジが狭くなる症状のことを指しているだけなので、「若いからならない」というわけではありません。特にスマホやパソコン、タブレット、ゲーム機器などのデジタルデバイスがなくてはならない現代のライフスタイルは目にかかる負担が非常に大きく、若い世代の間で「スマホ老眼」に悩む人が増えているのです。
スマホ老眼も老眼と同様、目のピント調節機能が低下することで起こります。通常、年齢とともにピントが合う距離は遠くなっていき、20代では15cm、30代では25cmが目安といわれています。スマホやゲーム機器はピントを合わせるのが約20cmと距離が近く、30代ではすでにピント調節がしにくくなっているといえるのです。
実際に、30代どころか20代や10代で中年層以上の人がかけるような老眼鏡が必要になってしまったケースも珍しくありません。
「文字を読むときに思わず腕を伸ばしてしまう」といった症状が出るのは40代以降が多いため、若いうちは老眼じゃないと思い込みがちですが、20代から確実に目の老化は進んでいるのです。デジタルデバイスが手放せない世の中だからこそ、目を労るアクションもセットで習慣にしましょう。
■「近視は遺伝」で諦めない。生活習慣で悪化を止める
「親が糖尿病だったから自分もなるかもしれない」、「うちはガン家系だから」という会話をよく耳にします。確かに、親や祖父母、親戚を見て、同じような病気にかかっているケースを目の当たりにすることも多いでしょう。
ただ、そうした病気の遺伝子をもっている人は、もっていない人に比べて発症リスクが高いというだけで、必ずしもその病気が100%発症するわけではありません。病気の多くは環境要因も大いに関係しているので、後天的な理由で発症することもあります。そのため、遺伝だからと諦めてしまうのは早計です。そこはまず理解しておいてください。
病気同様に、目のほとんどのトラブルにも遺伝が関係しています。遺伝が関係ないと断言できる目のトラブルは外傷のみです。そのくらい遺伝の影響があるものの、親が近視だからといって子どもが必ず近視になるわけではなく、やはり環境要因にも左右されます。
もともと近視の素因があるにもかかわらず、ゲームや漫画ばかり近距離で見たり読んだりしていれば近視を発症しやすくなるのは当然ですよね。
ただし、遺伝的になりやすい不調を知っておくことは、目のトラブルに先回りして効果的に対処できるため、とても大切なことです。たとえ親が近視でも、日常生活を見直すことで近視を悪化させないようにすることも可能だからです。予防することもできるので、遺伝だからと諦めずにいてください。
■今の見えづらさは、「緑内障」「白内障」につながる
「手元が見えにくい」「目の疲れがとれない」「ぼやけて見えるようになった」など、40代以降になると、さまざまな目の不調を自覚しやすくなります。
40代でも近視が進んでしまう人もいますし、老眼を認識し始める人もいるでしょう。また、スマホやパソコンなどのデジタルデバイスの多用により、眼精疲労やドライアイに悩む人も多いはずです。
さらに、40代以降で特筆すべきトラブルに、緑内障や白内障、黄斑変性があります。
緑内障は40代、白内障は50代、黄斑変性は60代頃から特にリスクが高まるといわれており、緑内障の場合は40歳以上の20人に1人がかかるといわれているため、この時期から検診や目のケア、生活習慣の見直しなど、発症リスクを下げる対策をとっておくことがとても大切です。
また、もっとも症状を自覚しやすい老眼は、実は未完成の時期で、70代頃まで進行は止まりません。「夕方になると見えづらい」「週末は見えやすい」など、目を酷使した後に顕著に不調が出やすくなります。
若年層であれば、一時的な「目の疲れ」でやり過ごせていたものが、40代以降ではそれが手元の見えにくさといった症状として現れやすくなり、生活に支障をきたすようになるのです。
老眼は徐々に手元が見えにくくなっていきますが、急激な視力低下は緑内障や黄斑変性といった失明にもつながる深刻な病気のサインである可能性もあるため、「見えにくい=老化現象」と決めつけず、セルフチェックや定期検診を欠かさないことがこの年代にはとても必要なことです。
■「視界がぼやけて歪む…」は食の欧米化も原因
目の病気やトラブルは、70代以降になると発症リスクが一気に増加します。
近年、70代以降の老年層に増えている病気のひとつに緑内障があります。緑内障は40代では20人に1人だったのが、70代になると10人に1人にまで増え、今や日本人の失明原因の第1位となっています。
しかし、緑内障は早期発見・早期治療で症状の進行を食い止めることができるため、年に1回は眼底検査を行い、少しでも早く発見し、リスクを回避することが大切です。眼底検査は、人間ドックのオプション検査としてもつけられることが多いので、一緒に受けるのもよいでしょう。
また、透明な眼球のレンズが白く濁っていく白内障も、80歳以上のほぼ100%が発症する注意したい病気です。70代で白内障の手術を受ける人の割合がもっとも多くなります。
そのほか、視界の中心がぼやけたり物が歪んで見える黄斑変性も、70代以降に起きやすくなります。黄斑変性は目の生活習慣病といわれており、喫煙や飲酒の習慣、緑黄色野菜の摂取が少ない、脂質が多いといった食事で発症リスクが高まることがわかっています。
和食が中心の食事をしてきた日本人の70代〜80代の発症率はそこまで高くありませんでしたが、食の欧米化が進み、日本の70代以降の発症率も増えてきました。
身体のあらゆる組織は栄養でできているため、毎日口にするものに意識を向けることは、深刻な目の病気のリスクを抑える一歩となることをぜひ覚えておいてください。
■「ただの近視」と思っていたら…瞼の痙攣が脳の病気へ
今、あなたの目で起こっているトラブルは、いくつあるでしょうか?
40代以降の中年層ともなると、「疲れ目」「かすみ目」「ドライアイ」「老眼」「瞼の痙攣」「乱視」など、複合的な悩みになっているのではないかと思います。
年齢とともに、目の機能は落ちてきますから致し方ないことといえますが、たいしたことない、仕方ないと放置してしまうと、やがて深刻な目のトラブルに発展しかねません。なぜなら、例えば「最近手元が見えづらくなったから老眼がきたな」と決めつけて老眼鏡を用意するだけで対処してしまうと、もしかしたら白内障などの症状の発端であることも考えられるからです。
そのほかにも、近視は進むと、白内障や緑内障、網膜剝離などの病気の発症リスクが高まるため、「ただの近視」と甘く考えていると、知らぬ間に病気が進行して失明に至ってしまうこともあり得ます。
瞼のピクピクを放っておいたら脳の病気だった、眼瞼下垂だと思ったら脳梗塞だったなど、ひとつの症状だけでは判別がつかないことが実はたくさんあるのです。
「老化のせい」、「目を使いすぎたから」と自己判断で終わらせず、以前よりも見えにくさを感じた時点で、まずは一度眼科で詳しく検査することが大切です。かかりつけの眼科を見つけて、毎年定期検診できるともっといいですね。
■カラコン、外遊びの減少…若年層の目のトラブル原因
目のトラブルというと、40代以降の病気と捉えられがちですが、デジタルデバイスが不可欠な現代では、デジタルネイティブ世代である子どもや若年層の目のトラブルがとても増えています。
10代〜20代に起こりやすい目のトラブルとしては、スマホやパソコン、タブレット、ゲーム機器などで手元を長く見つめすぎることによるドライアイや、眼精疲労、スマホ老眼などが挙げられます。
そのほかにも、詳しくは『名医が教える!目のトラブル解決大全 近視・老眼・白内障・緑内障・斜視・眼瞼下垂 ぜんぶ網羅!』(KADOKAWA)で後述しますが、ファッション性の高いカラーコンタクトレンズや、瞳を大きく見せるタイプのコンタクトレンズによるトラブルも多いのです。
また、小学生の視力低下も深刻な問題になっています。
近年、子どもの近視は右肩上がりで増加傾向にあり、小学生の3人に1人、中学生の2人に1人が視力1.0未満です。
特に小学生の視力低下は顕著で、文部科学省が毎年行っている学校保健統計調査によると、1978年度には視力1.0未満の割合が16.3%だったものが、2019年度では34.6%と倍以上にまで増えています。
なぜここまで近視が増えているのか明らかな原因はわかっていませんが、外遊びが減って近くを見る時間が増えたことが影響していると考えられています。このように、若い、幼いからといって目のトラブルとは無縁ではありません。小さい頃から気にかけていくことが大切です。
■スマホの見過ぎは老眼を加速させる
□ 本やスマホなどの小さい文字が読みづらくなった
□ 遠くから急に近くを見ると、ピントが合いにくい
□ 夕方になると見えにくくなる
□ 本は読めるが、スマホが見えづらい
「老眼」とは、目に備わるピント調節機能が低下した状態です。ピント調節に重要な役割を果たす水晶体や毛様体などの働きが加齢とともに衰え、近点(もっとも近くを見て網膜に像を結ぶ点)がだんだん遠くなっていき、手元が見えにくくなります。
「目が老いる」と書くため誤解されがちですが、加齢以外にも要因があり、若い世代では「スマホ老眼」が増えています。
若いときは、5m先が見え、30cmの手元も見える状態が一般的です。ですが、だんだんとピントの合う幅が狭くなっていき、老眼が始まります。
この目のピント調節機能の低下を招く要因は加齢だけではありません。
加齢によって水晶体や毛様体などピント調節に関わる組織の機能が加齢で衰えることをはじめ、疲労、風邪や発熱による体調不良、ガン、炎症性の病気などに罹患(りかん)した場合もピント調節機能が低下することがあります。
また、近年ではスマホの見すぎによって、ピント調節機能が固まってしまうことが原因のスマホ老眼も増えています。
■100均の「老眼鏡」でピント機能を回復させよう
「以前は遠くも近くも同じように見えていたのに、最近は手元だけが見えにくくなってきた――これが老眼のサインです。
健康診断などで受ける一般的な視力検査は、どれくらい遠くを見ることができるかという「遠見視力」を調べる検査のため、手元が見えづらくなる老眼はなかなかジャッジできません。
手元を見る視力がどれくらいかを調べる「近見視力検査」を受けるようにするとよいでしょう。
スマホ老眼によるピント調節機能の低下を回復させるなら、100円均一ショップなどで購入できる、「+2.0」程度の軽度の老眼鏡を使ったトレーニングを行うのがおすすめです。
老眼鏡をかけた状態で5分ほど遠くを見たり、少し離れた場所からテレビを見ることで、ピント調節機能がリセットされるため、手元が見えやすくなります。
眼科で治療する場合はレーシックが選択肢として挙げられます。近視の治療法として知られていますが、目の表面の角膜をレーザーで削って光の屈折率を調整して視力を回復させるため、老眼治療にも応用できます。
また、目の中に小さなレンズを挿入し視力を矯正する眼内コンタクトレンズ(ICL)治療には老眼用の眼内コンタクトレンズもあるため、こちらも老眼改善に用いられる治療法です。レーシックのように角膜を削る必要がないのがメリットです。レーシックもICLも保険適用外のため治療費が高額になることがあります。
そのほか、白内障手術を行い、多焦点レンズというレンズを入れると、手元も見やすくなります。
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眼科医 医学博士
愛知県田原市生まれ。二本松眼科病院副院長。「あさイチ」、「ジョブチューン」、「バイキング」、「林修の今でしょ! 講座」、「主治医が見つかる診療所」、「生島ヒロシのおはよう一直線」、「読売新聞」、「日本経済新聞」、「毎日新聞」、「週刊文春」、「週刊現代」、「文藝春秋」、「女性セブン」などでコメント・出演・執筆等を行う。Yahoo!ニュースの眼科医としては唯一の公式コメンテーター。YouTubeチャンネル「眼科医平松類」は20万人以上の登録者数で、最新情報を発信中。著書は『1日3分見るだけでぐんぐん目がよくなる! ガボール・アイ』『老人の取扱説明書』『認知症の取扱説明書』(SBクリエイティブ)、『老眼のウソ』『その白内障手術、待った!』(時事通信出版局)、『自分でできる!人生が変わる緑内障の新常識』(ライフサイエンス出版)など多数。
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(眼科医 医学博士 平松 類)
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