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「悠仁さまは東大を受けさえすれば合格する」そう断言する東大出身の教授が語る東大入学の見過ごせないリスク

プレジデントオンライン / 2024年8月30日 9時15分

2024年7月31日、「第48回全国高校総合文化祭」の総合開会式に出席された秋篠宮ご夫妻と長男悠仁さま。岐阜市の長良川国際会議場(代表撮影) - 写真=共同通信社

筑波大学附属高校3年生の秋篠宮家の長男、悠仁さまが東京大学を受験するか注目が集まっている。武蔵大学社会学部教授の千田有紀さんは「公平公正な判断をしても、おそらく悠仁さまは東大を受けさえすれば合格するはずだと私は考えている。ただ、そもそも悠仁さまは東大に行きたいのだろうか」という――。

■東大受験に反対する署名に1万人

悠仁さまの大学受験に注目が集まっている。『週刊文春』が悠仁さまの筑波大附属高校の成績事情を、授業についていくのも難しいほどの「異例の成績」だと報じたかと思えば、『週刊新潮』は、悠仁さまの東大入学は既定路線だという。

またインターネット上では、どうも東大卒の研究者からなると言われている赤門ネットワークなる“団体”が、「悠仁様が東大の推薦入試を悪用し、将来の天皇として『特別扱い』で入学されることは、象徴天皇制を根底から揺るがすこととなるため反対します」という署名を立ちあげている。署名者は1万人を超えたようだ。

悠仁さまの東大推薦入学に反対するオンライン署名
Change.orgより

そうしたタイミングで、今度は悠仁さまのご学友を名乗るアカウントが、SNS上に立ち上がった。まずはお茶の水女子大学附属中学の同級生が、SNSであがっている「悠仁さまが高校の教師に対して『僕が分かるように教えないお前が悪い!』と教室で激昂された」という噂(赤門ネットワークによる署名を募る文章でも言及している)に反論して、「そのようなことをされる方ではない」と悠仁さまを擁護している。

ただ、このアカウントがあげた、本人を証明するためのお茶の水女子大学附属中学校という文字が入った「証拠」写真が、2022年度のものだったため、年齢が合わないのではないかという疑惑が生じた。

またさらに今度は、筑波大附属高校の同級生を名乗るアカウントが現れ、「(悠仁さまは)先生に向かって激昂するどころか、逆に先生に積極的に質問していました」と主張した。これもまたたちまちネットの名物の「特定班」が発動した。学生証とされる書類が、微妙に長方形ではないなどの細かなところを突いてきて、どうも学生証ではなく、学割のための証明のようだということになった。またアカウント名のローマ字が、ヘボン式ではなく訓令式だ。「かなりの高齢者か、省庁関係者ではないか」「いや、たんなるファンのなりすましではないか」などと疑われ始めている。ネットは蜂の巣をつついたような大騒ぎである。

■東大合格には「勉強時間」が必要

高校での成績まで取りざたされたら、さすがに悠仁さまもお気の毒である。

私も地方ののんびりとした公立高校ではあるが進学校に在籍し、東大に入学したからわかる。例えば京大などは問題そのものが難題であることが多いが、東大の入試はそれほど難しくはない「普通」の問題が多い。ただ、各科目でまんべんなく点を取ることを求められ、その科目数がとにかく異様に多い。まれにいる天才的な人はそれほど勉強することもなく、日頃の勉強だけで難なく合格するが、そういう人はほんの一握りの例外である。とにかく科目数が多いために、勉強する時間が必要である。

東京の秀才たちは、中学受験などを通じて小学校の頃から長時間の勉強に慣れていて、学習習慣もあり、体力もある。極端なことをいえば、寝食以外は勉強に充てて、電車の中ですらひたすら勉強している学生もいるような場所で、公務の参加などにお忙しい悠仁さまが華々しい成績を修めていらっしゃるとしたら、相当の離れ業だろう。

もしも同級生から多少遅れをとったとしても、無理もないことではないか。

■筑波大学附属高校入学は「裏口入学」といえるのか

赤門ネットワークのオンライン署名では、署名を集めるに至った経緯や理由が長文で綴られ、署名を呼びかけている。おそらく文章を書いた人は、アカデミアの近くにいるひとだろうとは、私も一読して思った。

その文章で赤門ネットワークは、象徴天皇制は国民から天皇への尊敬の念、それに相応しい天皇の徳の双方が必要であるとして、それを掘り崩すことがあってはならないと主張する。そして、悠仁さまが筑波大学附属高校に入学したことについては「要するに、ロイヤルパワーを使った裏口入学である」と断じ、「万一悠仁親王が東京大学を学校推薦型選抜で受験する場合には、悠仁親王が将来天皇となられるお方だということへの顧慮は一切抜きに、あくまでも公平公正に選抜すること」を要望するのである。

悠仁さまが、提携校制度を使って筑波大附属高校に入学した経緯を「裏口入学」とするのは、いいすぎであろう。確かに、提携校制度は悠仁さまのために作られたのかもしれないが、あくまでも正規に存在する制度を利用して入学したのであるから裏口とはいえない。しかし、国民に「裏口」に近い経緯で入学したという印象を与えているとしたら、悠仁さまにとっても望ましいことではないだろうとも思う。

■東大を受ければ合格するだろう

署名を呼び掛ける文章の中で、赤門ネットワークは「公正公平な選抜」を求めている。大学教員としては、多くの週刊誌が報じている通り、「公平公正な選抜」をしたとしても、悠仁さまを不合格にはできないだろうと感じる。

赤門ネットワークも書いている通り、いまの時点で自分が筆頭著者の論文を持っている高校生など、他にはめったにいないだろうからだ。また悠仁さまは、親王としての国際的な経験をされていると思うが、そのような高校生も他にはいない。悠仁さまの置かれている状況が、人一倍恵まれていることは事実ではあるが、その結果として悠仁さまが持っている学問的成果や、国際的な経験については、誰一人否定することはできないのではないかと思われる。

東大に合格するには、大学入学共通テストで8割の得点をすることが求められるが、これもまた簡単なことではない。ただ、過去に8割に届かなかった学生が入学しているとしたら、「共通テストで8割得点できなかったのに入学できた」ことをもって、「特別扱い」ということはできないだろう。

実際、もし悠仁さまが東大を受けて不合格になった場合、その根拠を責任をもって説明できる大学教員はいるのだろうか。署名の呼びかけ人がいうように、もし論文に瑕疵(かし)があったとしても、まったく瑕疵のないレベルの高い水準の論文を高校生に求めるべきなのかという批判もあがるだろう。

というわけで、「公正公平」に判断したとしても、おそらく悠仁さまは東大を受けさえすれば合格するはずだと私は考えている。

赤門
写真=iStock.com/ranmaru_
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ranmaru_

■本人は本当に東大を希望しているのか

しかしここまで話を進めてきて思うが、そもそも悠仁さまは東大に行きたいのだろうか。また、本当に東大を受験されるおつもりなのだろうか。ご本人の意向を無視して、周囲だけが盛り上がっているようにもみえる。

東大は日本でも有数の大規模な大学である。東大は、文系であるならば官僚志望、理系であるならば実験装置を使うような学部の研究者になりたい場合には、メリットがあると思われる。もしくは、NHKや政府系機関など、東大生を多く採用する企業に就職を希望している場合も、東大を目指す価値はあるだろう。ちなみに私の入っていたサークルでは、卒業後に弁護士と官僚になる人の割合が非常に高かった。こうした職に就く人たちは、大学時代に培った人間関係が、就職したのちに役に立つことは間違いないだろう。

また理系でも、予算などでは、東大は他の大学を圧倒している。大規模な実験装置があるところとないところでは、研究の進展が異なるのは当然である。

しかし悠仁さまは、農学部志望であるという。ここで挙げたどのメリットにも無関係であるように思われる。

むしろ将来天皇になり、政治的には中立でいなければならないお立場では、多くの官僚と知り合いになるということ自体が、「天皇の政治利用」を避けるうえではリスクになるのではないかという心配もある。また、起業を志す東大学生たちに、悠仁さまが「広告塔」として利用されかねないリスクもある。

■悠仁さまに合う大学とは

ひょっとしたらいまは多少変わっているのかもしれないが、そもそも東大は、基本的には面倒見もよくはなく、何事も学生の自主性に任せている大学である。自分が教員になってみて初めて、世の中にはこれほど学生の面倒を丁寧に見て、ニーズにこたえようとする大学があるのかと、びっくりしたものだ。

その意味ではおそらく学習院大学は、皇族の入学を前提としてできた官立大学だけあって、規模からしてもカルチャーからしても、絶妙であるように感じる。秋篠宮夫妻のような「キャンパスの恋」が実ったのも、そうした穏やかな環境を抜きにしては考えられないのではないだろうか。

さて、悠仁さまはどの大学に進学されるのだろうか。悠仁さまが東大に合格したとしても、「不正」や「裏口」ではない。既存の制度を利用して、合格するだけのことになるだろう。

ただその場合の国民感情としては、「本来合格するかもしれなかった、努力を重ねてきた受験生」を、1人押しのけて東大に入ったと考えるひとが一定数いる。

愛子さまは、東大に一般入試で合格できる実力があるという噂もありながら、そうはなさらなかった。そしてそれは、愛子さまへの敬愛へとつながっている。

天皇としての適格性と、東大に入ったという栄光と、どちらをとるのかが問われるようなかたちになってしまい、悠仁さまには非常に気の毒である。

大学は、得難い経験をし、生涯の友を得る場所でもあることを考えれば、教員としては専門性が高く、こぢんまりとした穏やかな大学をお薦めしたい気がする。

しかしいずれにせよ、悠仁さまが選択なさるしかないのだろう。

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千田 有紀(せんだ・ゆき)
武蔵大学社会学部教授
1968年生まれ。東京大学文学部社会学科卒業。東京外国語大学外国語学部准教授、コロンビア大学の客員研究員などを経て、武蔵大学社会学部教授。専門は現代社会学。家族、ジェンダー、セクシュアリティ、格差、サブカルチャーなど対象は多岐にわたる。著作は『日本型近代家族―どこから来てどこへ行くのか』、『女性学/男性学』、共著に『ジェンダー論をつかむ』など多数。ヤフー個人

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(武蔵大学社会学部教授 千田 有紀)

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