「やらないより、やったほうがいい」-河合純一
プレジデントオンライン / 2013年2月8日 11時0分
かわい・じゅんいち 1975年、静岡県生まれ。1998年、早稲田大学教育学部教育学科卒。同年、舞阪町立舞阪中学校に社会科教師として着任。2003年、早稲田大学大学院教育学研究科で学ぶ。パラリンピックでの獲得メダルは、1992年のバルセロナが銀2と銅3。96年のアトランタが金2、銀1、銅1。2000年のシドニーが金2、銀3。04年のアテネが金1、銀2、銅2。08年の北京が銀1、銅1。
■河合純一(日本パラリンピアンズ協会会長)
名刺をみれば、「全盲の鉄人」と書かれている。パラリンピック水泳競技に1992年バルセロナ大会から昨年のロンドン大会まで6大会連続で出場し、日本選手最多の21個のメダルを獲得してきた。
障害を乗り越え、自身の境遇に最善を尽くす37歳。「夢追いかけて」がモットー。ただいま2020年東京五輪パラリンピック招致を全力で応援する。
1月下旬のイベントのスピーチでも、同五輪パラリンピック招致に触れた。
「支持率がどうのこうのと言われていますけれど、ちょっと視点を変えて、パラリンピックを東京で行う価値を共有できたらいいなあ、と思っております。高齢者や障害者も、だれもが豊かにスポーツを楽しめるようにしたい。そのメッセージを東京から世界に発信したいのです」
平坦ではない、波乱の人生を歩んできた。静岡県浜名郡の舞阪(まいさか)町出身。生まれつき左目は見えず、15歳で右目の光も失った。それでも水泳を続け、「世界」を目指し続けてきた。早大卒業後、中学教師を経て、静岡県教育委員会にも勤務していた。
だから、パラリンピックの価値をよくわかっている。「毎回、楽しかったですね」と、顔をほころばす。
「パラリンピックは、お祭りみたいなものです。基本的には、4年に一度のお祭りだから、楽しまなきゃ損なんです。そのステージで泳ぐオモシロさがあるけれど、他の選手をみたりするオモシロさもあるんです」
ロンドンのパラリンピック大会ではかつての英国人ライバルと再会した。その選手は現役を引退し、表彰式のプレゼンターを務めていた。
「東京の時、自分が選手で出たいという気持ちがゼロではないけれど、どういったカタチでも大会を盛り上げたいな、と思います。それぞれの(五輪パラリンピックへの)関わり方があるのです」
ロンドン五輪パラリンピックのあとの日本と英国でのパレードは大きな違いがあった。日本は五輪メダリストだけだったけれど、英国では五輪選手、パラリンピック全選手だった。もうひとつ、「銀座の人々は五輪で活躍した選手を見にきた。ロンドンではイベントを一緒に成功させたことを、共に喜んでいた。実はロンドンでは、カメラで選手を撮っている人がほとんどいなかったのです」という。
「東京がそうなれるかどうかが、大会成功のカギなんです。それこそ意識改革です」
もちろん、その前に9月7日の国際オリンピック委員会(IOC)の総会で東京は勝たなければいけない。4年前の2016年五輪パラリンピック開催地(リオデジャナイロ)決定の際は、IOC総会で東京応援者としてプレゼンをした。夢は叶わなかった。
でも「夢追いかけて」と繰り返す。「みんなで夢の東京パラリンピックを追いかけよう」と、声を張り上げた。
「みんなで、夢を、追いかけよう。難しく考える必要はない。やれることをやればいいんです。できることはたくさんあります。招致委員会のフェースブックの“いいね”を押すだけでもいい。何でも、やらないより、やったほうがいい。それぞれが、今やれることをやるしかないんです」
(ノンフィクションライター 松瀬 学 松瀬 学=撮影)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
選手支える立場で力尽くす 荒木田裕子さん、大きな足跡
共同通信 / 2024年9月19日 18時42分
-
白井貴子さん、荒木田裕子さんは「困った時のピンチヒッターだった」 女子バレー五輪でともに金
スポーツ報知 / 2024年9月19日 5時35分
-
バレーを愛した荒木田裕子さん死去前に「パリ五輪みんなで真鍋ジャパンを応援してください」
スポーツ報知 / 2024年9月19日 5時30分
-
1988年ソウルオリンピックを開催させた「花畑を買い占めた奇策」…下馬評は名古屋有利も奇跡の勝利、その裏には現代グループ創業者がいた!
集英社オンライン / 2024年9月11日 8時0分
-
「フェアネス」「原初の魅力」「自分を超える!」WOWOWがドキュメンタリー番組で伝えたいパラスポーツの真髄とは
集英社オンライン / 2024年9月6日 11時0分
ランキング
-
1あの「ポーター」が人気商品を大胆に変えた裏側 価格2倍にしても素材変えた吉田カバンの挑戦
東洋経済オンライン / 2024年9月20日 13時0分
-
2「令和のコメ騒動」不足解消でも楽観できない事情 人口減少社会で「農地改革」が進まない本当の理由
東洋経済オンライン / 2024年9月20日 8時0分
-
36時間睡眠を続けた人の脳は「ワインを2~3杯飲んだ状態」と同じ…「昼休みも仕事する人は危険」といえる理由
プレジデントオンライン / 2024年9月20日 10時15分
-
4バフェットの次を行く投資術 長年の積み重ねで業態転換成功の「富士フイルムHD」急速な時代の変化への対応は「お手本」 かつて「世界の巨人」コダックは破綻も
zakzak by夕刊フジ / 2024年9月20日 11時0分
-
5東京メトロは「郵政IPOの悲劇」二の舞を防げるか? 求められる戦略は
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月20日 14時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください