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"ヨボヨボ歩き"は15歳も寿命が短い…秒速1.6mの人の寿命は95歳、では寿命が短い80歳の人の歩行速度とは

プレジデントオンライン / 2024年9月5日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/sibway

健康維持のために効果的といわれているウォーキング。そのペースはどれくらいがいいのか。和田秀樹さんは「早歩きと寿命の関連性についての研究調査によると、自己申告で歩くのが速い人とゆっくりの人の寿命は男性で20歳以上、女性は15歳ほど違うという結果になった」という――。

※和田秀樹『老けない習慣ベスト100』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。

■運動習慣ならやはりウォーキングがおすすめ。まず500歩を継続目標に

健康維持のために効果的といわれているのがウォーキングです。基本的には“歩く”だけで、簡単かつ心拍数が上がって血流が良くなり、血糖値も下がり、内臓脂肪の燃焼や下半身の筋肉を鍛えられる等々の多くのメリットがあります。

「1日1万歩」という目標が知られていますが、これをクリアするのは至難のワザでしょう。そこでお伝えしたいのが、無理をして1万歩を目指す必要はないということです。それほど歩かなくても健康効果は十分得られるという研究が近年出ています。

アメリカの研究では、8000歩くらいまでは、歩けば歩くほど寿命が延びる傾向にあり、それ以上ではあまり変わらないという報告が出されています。

日本では、群馬県中之条町の高齢者5000人を対象に、15年にわたって生活行動データを集めた「中之条研究」が知られています。この研究によると、1日に20分間の早歩きウォーキングを数回行い、そのトータルを8000歩にするのがベストだと結論づけられています。

しかし、結局1日に8000歩も歩くのは難しそうと思う人もいるでしょう。

ポーランドのウッチ医科大学の研究では、1日に1000歩多く歩くだけで、何らかの原因で死亡するリスクが15%低下することが明らかになったそうです。1000歩が難しい場合は、500歩でも歩くと、心疾患の死亡リスクが7%下がるとのこと。まずは500歩、そして1000歩増やすことから始めてみてはいかがでしょうか。健康長寿を手に入れた人は、早死にする人と比べると、毎日歩いていることは確かなようです。

■早歩きの人はゆっくり歩く人よりも長生き⁉

歩くことの健康効果をいくつか紹介していますが、早歩きと寿命の関連性についての研究調査があるので紹介しましょう。

47万人以上を調べたという大規模な調査研究では、「歩くのが速い」と自己申告した男性の推定寿命は85.2〜86.8歳、女性は86.7〜87.8歳とされたそうです。

これに対して、「ゆっくり歩く」と答えた男性の推定寿命は64.8歳で、女性は72.4歳。男性では20歳以上、女性は15歳ほど寿命が違うという結果になっています。

別の研究で、65歳以上の男女約3万5000人を対象にした大規模な調査でも、同じような傾向が報告されています。男性の場合、秒速1.6m(時速5.76キロ)で歩く人の平均寿命は95歳以上と非常に長い。

一方、秒速0.8m(時速2.88キロ)なら平均寿命は約80歳と、15歳以上も短くなりました。速く歩く人は長く生き、ゆっくり歩く人は早死にするという傾向なのです。

杖を持って歩いている老人の足元
写真=iStock.com/seb_ra
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/seb_ra

お茶の水女子大学の研究では、歩く習慣はコレステロールの数値にも影響を与えることがわかっています。1日30分以上、週に計2時間以上、早歩きウォーキングをしている人は、動脈硬化を抑える働きのあるHDL(善玉)コレステロールが増加したという結果が出ました。つまり、早歩きは心臓病や脳卒中のリスクが低下するということですが、寿命は長くなるかどうかはわかりません。

こうした早歩きと寿命の研究結果は数多く発表されています。ちょっと汗をかくくらいの早歩きウォーキングを習慣にすれば、健康効果を得られて、寿命が延びる傾向になるというわけです。

■心や脳がリフレッシュ「のんびりお散歩」の長寿効果はあなどれない

前項まではウォーキング、そして早歩きについて紹介してきました。それとはほぼ逆ですが、より高齢の方へは、「のんびりお散歩」もおすすめしたいところです。

のんびりといっても、散歩は足腰を鍛えるだけでなく、心肺機能や代謝機能を高めるなど適度な運動になりますし、とくに晴れた日は、日光を浴びることができます。

高齢の方はカルシウム不足になりがちで骨がもろくなる“骨粗鬆症”などよく聞かれると思いますが、日光を浴びるとカルシウムの吸収率を上げるビタミンDが体内で生成されます。

散歩帰りにカルシウム豊富な食品を食べたりすると、よりカルシウム不足を解消でき、骨を強化しやすくなるわけです。散歩という運動も骨の強化には欠かせません。ビタミンDは脳の認知機能にも影響するので、日光を浴びる習慣は老後の生活でより重要になっていくでしょう。

またもうひとつ、日光を浴びると幸せホルモンのセロトニンが体内に分泌されます。

ウォーキングや話をするカップル
写真=iStock.com/filadendron
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/filadendron

お肉を食べる(たんぱく質を摂取する)と豊富になるセロトニンです。歳を重ねるごとにセロトニンの分泌量は減っていきますが、その対策として効果的なのが「たんぱく質の摂取量を増やすこと」と「日光を浴びること」なのです。セロトニンが分泌されると幸福感が増して、気持ちも晴れて明るくなるでしょう。そんな気持ちで、散歩道や公園などのさまざまな草木や花々を見て、季節の変化を楽しんだり、昨日までとは違う小さな変化など発見できれば楽しいものです。のんびり考え事をしながら歩いているうちに活性化された脳から素晴らしいアイデアが浮かんでくるかもしれませんよ。

■自然の力で、ストレスを解消し老化も防止。気力と若々しさが復活

散歩をしながら日光を浴びると幸せホルモンのセロトニンが分泌されると紹介しました。太陽の光には、心身を活性化させる力があるといわれています。セロトニンの分泌もその一つですが、日の光はアンチエイジングに効果的です。

北欧では、冬の間の日照時間が4時間ほどと極端に短くなるのですが、この時期に、うつ状態に陥る人が続出します。やがて春が訪れて日照時間が長くなると、元気を取り戻す人が増えていくそうです。

また、日の光を浴びると体内でビタミンDの合成が進みます。ビタミンDは「カルシウムの運び屋」とも呼ばれるビタミンです。カルシウムは骨を強化し、骨粗鬆症のリスクが低くなりますが、そのカルシウムには精神を安定させる働きもあり、その意味でも高齢の方の健康維持やメンタルの安定に効果があるわけです。

日の光とともに、自然の働きで身体やメンタルに効果的なのが「森林浴」です。森や林には、確実に人の心を落ちつかせる効果があります。

和田秀樹『老けない習慣ベスト100』(総合法令出版)
和田秀樹『老けない習慣ベスト100』(総合法令出版)

森林浴の効用が発見されたのは、19世紀のドイツで、森に囲まれたサナトリウム(結核などの療養所)でしばらく過ごすと、軽い精神疾患が治癒するケースが多いことがわかったのです。

その後、「フィトンチッド」と呼ばれる香気成分が、副交感神経を刺激し、精神を安定させることがわかってきました。森の香りには、アロマテラピー以上に、メンタルを鎮静化させる作用があるのです。

森まで出かける時間や体力がないという人は、家庭菜園やガーデニングに取り組むといいでしょう。精神的に落ち込んでいるときでも、土いじりをすると、気持ちが和み、穏やかになれるものです。家庭菜園は、前頭葉を鍛え、感情の老化を予防することにも役立ちます。

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和田 秀樹(わだ・ひでき)
精神科医
1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」

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(精神科医 和田 秀樹)

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