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性格でも、会話スキルでもない…心理学者が断言する「友達が少ない人」と「友達が多い人」のたった一つの差

プレジデントオンライン / 2024年9月6日 16時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/skynesher

友達をつくるにはどうしたらいいか。心理学者で友情の研究を行うマリサ・G・フランコさんは「友達をつくるのに、話し上手であることや人間的魅力があることはあまり関係ない。人は自分を好いてくれた人を好きになる。相手に愛情表現をすることが大切だ」という――。

※本稿は、マリサ・G・フランコ『FRIENDSHIP 友情のためにすることは体にも心にもいい』(日経BP)の一部を再編集したものです。

■愛情を表現することは友情を深める

「友情の発展と維持」というタイトルがついた研究で、ユタ大学のロバート・ヘイズ教授は、芽生えたばかりの友情における行動を追跡調査しました。

友達になる見込みのあるふたり組を12週間にわたって追跡し、さらに数カ月後にフォローアップの調査を行い、どの組が最終的に友達になるかを予測できるか調べました。

友情が築けたふたりとそうでなかったふたりとの違いは何だったのでしょうか? 友情が築けたふたりは、お互いにたくさんの愛情を表現し合ったのでした(※1)

ヘイズ教授は、友達との距離を縮めるさまざまなことは多くの場合、友情が始まってすぐか、お互いを知った直後という段階でとりわけうまく作用することに気づきました。

しかし、愛情は、どの段階においても距離を縮めました。

たとえばテレビを一緒に見るなど何かを一緒にする行為は、すでに友達である人たちについては距離を縮めましたが、友達になりたての段階ではそこまでの効果はありませんでした。一方で愛情は、その時点での距離にかかわりなく、人を近づける効果があったのです。

愛情は、まだ胎児のような初期段階の友情にも力を発揮しますが、その友情が白髪まじりになり、仕事と生命保険を手にして慎ましく年金を積み立てるくらいの段階になっても変わりません。

相手にどれだけ感謝しているか、大切に思っているか、どれだけよい点があると思っているかを伝えることで、そのときの距離にかかわりなく友情は育ちます。愛情を示せば示すほど、単に新しい友達ができるだけでなく、すでにある友情も深まるのです。

※1 Robert B. Hays, “The Development and Maintenance of Friendship,” Journal of Social and Personal Relationships 1, no. 1 (1984): 75–98.

■愛情表現を豊かにすることは「健康にいい」

別の研究で、大学生にアンケートを2セット渡し、1セットは自分が知っている人で他人への愛情表現が豊かな人、もう1セットはあまり豊かでない人にそれぞれ渡すようお願いしました。

すると、愛情表現が豊かな人の人物像は、あまり表現しない人とはまったく異なることがわかりました。気分の落ち込みが少なく、幸せで、自信があるばかりでなく、人からの愛情も多く受け取り、人づきあいが盛んで、あまり孤立していなかったのです(※2)

愛情を表現することは、単に友情に恩恵をもたらすだけではありません。私たち自身にも恩恵をもたらします。

人間は社会的な生き物であるため、人とつながるように駆り立てるべく、人間の体はあるルールに沿っています。つまり、「人とつながろうとして行うことは何であれ、健康にいい」というルールです。

歴史的な建物の前でハイタッチをする学生たち
写真=iStock.com/RealPeopleGroup
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/RealPeopleGroup

愛情表現が豊かな人は、気分の落ち込みが少なく、自己肯定感が高く、コレステロール、コルチゾール、血圧の数値が低いことが、複数の研究で示されています(※3)。愛情表現は人のためになると思うところですが、これらの研究から、実際には自分の中にポジティブなエネルギーを起こすことがわかります。

人は誰かを批判するときにネガティブなエネルギーに蝕まれますが、愛するときは、温かい感情で内側から豊かになるのです。

自分が人をどう見るかによって、自分の中で何を経験するかが決まります。

※2 Kory Floyd, “Human Affection Exchange: V. Attributes of the Highly Affectionate,”Communication Quarterly 50, no. 2 (2002): 135–52.

※3 Kory Floyd, Colin Hesse, and Mark T. Haynes, “Human Affection Exchange: XV. Metabolic and Cardiovascular Correlates of Trait Expressed Affection,” Communication Quarterly 55, no. 1 (2007): 79–94.
Kory Floyd et al.,“Human Affection Exchange: VIII. Further Evidence of the Benefits of Expressed Affection,”Communication Quarterly 53, no. 3 (2005): 285–303k
Kory Floyd, Alan C. Mikkelson, Colin Hesse, and Perry M. Pauley,“Affectionate Writing Reduces Total Cholesterol: Two Randomized, Controlled Trials,”Human Communication Research 33, no. 2 (2007): 119–42.
Kory Floyd et al., “Human Affection Exchange: XIII. Affectionate Communication Accelerates Neuroendocrine Stress Recovery,” Health Communication 22,no. 2 (2007): 123–32.

■SNSで友達を称賛しよう

私はこの研究について知っていたので、悲観的なニュースばかりを追いかけてスマートフォンをスクロールし続ける「ドゥーム・スクロール」ではなく、その逆の「ラブ・スクロール」を、自分の友達に対してするようになりました。SNSでニュースフィードをスクロールしていき、友達にすばらしいとか、誇りに思うとか、嬉しいなどと伝えるのです。

そうすると、自分の中に湧いてくる温かみに気づきます。

どうやら、SNSでの愛情表現は、友達をつくり、維持する戦略として効果があるようです。

ある研究では、フェイスブックで友達のウォールに投稿する行為(悲しい話題で支えたり、嬉しい話題でおめでとうと伝えたり)はすべて、より満足度の高い親密な友情につながることが示されました(※4)

※4 Bree McEwan, “Sharing, Caring, and Surveilling: An Actor–Partner Interdependence Model Examination of Facebook Relational Maintenance Strategies,” Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking 16, no. 12 (2013): 863–69.

■人は自分を好いてくれる人を好きになる

それでは、具体的になぜ愛情が友情を強くするのでしょうか?

好意の返報性や推測される好意といった理論からヒントを得られます。こうした理論でもっとも重要なのは、人は自分を好いてくれる人を好きになるという点です。

1958年に画期的な研究が行われました。お互いに知らない人たちを集めて、授業を改善する方法について議論してもらいました。参加者は、到着前に性格検査を受けており、議論の開始時、実験用に準備された偽りの情報を渡されました。

内容は、性格検査の結果から、参加者のうち3人が、自分に好意を持つ可能性がもっとも高いと予測されると書かれてありました。議論の終了時、研究者らは実験参加者に対し、後でふたり組に分ける可能性があるので、誰と組みたいか教えてほしいと伝えました。

参加者は概して、自分を好きだと思い込まされた人をペアの相手として選びました(※5)

ほかに、見知らぬ人たちをやり取りさせ、お互いにどれだけ好意を持ったか報告してもらう実験や、知っている人についてどのくらい好きか点数を付ける実験などで、同じ結果が出ています。人は、自分を好いてくれると思う人を好きになるのです(※6)

※5 Carl W. Backman and Paul F. Secord, “The Effect of Perceived Liking on Interpersonal Attraction,” Human Relations 12, no. 4 (1959): 379–84.

※6 Susan Sprecher et al., “You Validate Me, You Like Me, You’re Fun, You Expand Me: ‘I’m Yours!,’ ” Current Research in Social Psychology 21, no. 5 (2013): 22–34, ; Adam J. Hampton, Amanda N. Fisher Boyd, and SusanSprecher, “You’re Like Me and I Like You: Mediators of the Similarity–Liking Link Assessed before and after a Getting- Acquainted Social Interaction,” Journal of Social and Personal Relationships 36, no.7 (2018): 2221–44.

■重要なのは相手に自信を持たせること

この結果は、友達づくりの誤解に異論を突きつけるものです。

友達をつくるには、ジェームズ・ボンドのように洗練されていて、ビル・ゲイツのように賢く、クリス・ロックのようにおもしろくなければいけない、と私たちは考えています。抗えないほどの人間性で人を魅了しなければいけないのだと思い込んでいますが、そうではありません。

ある研究では、友達の要素として「楽しませてくれる」や「話し上手」は、もっとも重要でないと報告されています(※7)

一方でもっとも重要な要素は、自分に自信を持たせてくれることでした。

友達づくりが得意な人には共通点がひとつありますが、それはその人自身が何者かというより、人をどう扱うかに関係しています。

サムズアップする若いビジネスウーマン
写真=iStock.com/Yuri_Arcurs
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Yuri_Arcurs

その人たちは、相手に「自分は重要な存在だ」と感じさせるのです。世界屈指の好感度を誇る著名司会者オプラ・ウィンフリーは、番組のゲストが何か深いことを言ったときに、「目から鱗ですね!」や「この話はツイートすべき!」と言うことで、これを実践しています。

しかも「あなたは重要な存在」だと伝えるのに、新車を買ってあげる〔オプラ・ウィンフリーが番組で、観客全員に新車をプレゼントしたエピソードは伝説的な回となっている〕ほど効果的な方法はありません!

オプラの言葉を借りれば、「誰だって、自分の意見に耳を傾けてほしいし、自分が重要な存在だとか、自分の発言には意味があったと思いたいものなのです」

※7 Brant R. Burleson, Adrianne W. Kunkel, Wendy Samter, and Kathy J. Working, “Men’s and Women’s Evaluations of Communication Skills in Personal Relationships: When Sex Differences Make a Difference and When They Don’t,” Journal of Social and Personal Relationships 13, no 2. (1996): 201–24.

■愛情表現は思うほど難しくない

友達への愛情表現を避けてしまう理由のひとつに、愛情を表現したら妙な感じになってしまうのではないかという不安があります。

私はこれを、「手助けのスキル」という履修科目を教えたときに気づきました。大学生がセラピストになるために基本的なツールを学ぶ授業です。

学生たちは概してこの授業を気に入ってくれてはいましたが、全員が確実に、不快な思いをする週がありました。人間関係の中で自分がどう考えるか、どう感じるかを直接的に表現する「直接性」というスキルを練習するときです。

「みなさんには今日、お互いに相手の好きな点を伝え合ってもらいます」――その日のアクティビティの説明として、クラスのみんなにこう伝えます。すると必ず、沈黙が広がり、学生たちは目を丸くしたり、椅子の上でお尻をもぞもぞ動かしたり、消しゴムを激しくいじったりするものでした。

そしてこんな恐れを口にします。

「相手を怖がらせてしまったら?」「必死だとか粘着しているとか思われたら?」

私は、学生たちがこうした思いを吐き出すのに耳を傾け、そのうち勇気あるひとりがアクティビティのために前に出て来るまで、クラスが静かになるのを待ちました。

「あなたの言葉はどれも賢明。いつもは静かなのに、いったん口を開くと鋭い言葉がほとばしる」「何気なくすごくかっこいいし、自信に満ちているから尊敬している」「毎日教室に入るたびに挨拶してくれて、とっても温かい気分になる」

学生たちはみんな、称賛の言葉を次から次へと口にしました。長年この授業をしましたが、最初の恐怖にもよらず、嫌な思いでこの週を終わらせる人は誰ひとりとしていませんでした。

大学の講堂で学生に講義をする女性
写真=iStock.com/FG Trade
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/FG Trade

■称賛を伝えると人間関係は永続的に変化する

アクティビティが終わると、クラス内の人間関係は永続的な変化を遂げました。この授業は変革をもたらすものだったのです。

学生たちは授業に積極的に参加するようになり、よく笑うようになり、廊下で会うと互いに挨拶するようになりました。まるで、クラス全体がそれまでずっとはめていたコルセットを、ついに外したかのようでした。

最後の授業ではコース全体を振り返りますが、学生たちはそこで、ほかでもない「直接性ウィーク」がみんなの距離感を縮めたと言っていました。ある学生はこう言いました。

「人間関係はこうやって強くなるんですね。相手が重要な存在だって、意図的に伝えるときに」

■愛情を受け取って気まずく感じる人は少ない

本書ではここまで、人はなぜ友達に愛情表現をしないのか、詳しく見てきました。

愛情表現をしないばかりでなく、相手に愛情を伝えないといかに多くを失うかを、私たちは過小評価しています。

ある実験では、実験参加者に感謝の手紙を書いてもらい、受け取った人がどれだけ喜ぶか、あるいは気まずく感じるかを、書いた本人に予想してもらいました。そして手紙を受け取った人たちは、実際に自分がどれだけ喜んだか、あるいは気まずく感じたかを報告しました。

結果はもちろん、実験参加者は、手紙の受け手が感じる気まずさの程度を実際よりも高く予測し、喜びの程度を実際よりも低く予測していました。

マリサ・G・フランコ『FRIENDSHIP 友情のためにすることは体にも心にもいい』(日経BP)
マリサ・G・フランコ『FRIENDSHIP 友情のためにすることは体にも心にもいい』(日経BP)

同じ論文で取り上げられている、この後に行われた別の実験では、自分の愛情が受け手にどれだけ影響があるかを軽視する人ほど、愛情を表現しない傾向にありました。

このバイアスは本当に困った問題です。

研究者は次のように記しています。

「感謝に対して受け手がどれほどポジティブに反応するかを誤解しているせいで、人は実際よりも感謝の頻度を減らすかもしれず、これがポジティブなやり取りに対する見当違いな障壁となる可能性がある」

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マリサ・G・フランコ 心理学者、フレンドシップ専門家
メリーランド大学でカウンセリング心理学の博士号を取得。現在、同大学で教授として勤務するかたわら、心理学に特化したメディアPsychology Today(サイコロジートゥデイ)に寄稿している。また、心理学者としてNew York Times紙、NPR(アメリカ公共ラジオ放送)などへのメディア出演や、全米の企業や大学、非営利団体での人間関係に関する講演なども行っている。

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(心理学者、フレンドシップ専門家 マリサ・G・フランコ)

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