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「どうしたらいい?」より「どうしたい?」が効果的…子供の才能をぐんぐん伸ばす"魔法のフレーズ"を解説する

プレジデントオンライン / 2024年9月11日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

子供の成長のために、親はどんな声をかければいいのか。『子どもを否定しない習慣』(フォレスト出版)を書いた林健太郎さんは「親は子どもに対して『どうしたい?』と意思を尋ねると良い。どんな答えが返ってきても否定せず、承認することが重要だ」という――。(第1回)

■「どうしたい?」と意見を聞いたほうがいい理由

本稿では、ご家庭の心理的安全性を確保したうえでの、「子どもの自己肯定感を伸ばす声かけ」についてお伝えします。

コーチング技術の中に、自己肯定感を高めるための魔法のフレーズがあります。それが、「あなたはどうしたい?」という問いかけです。これは相手の心の欲求に光を当てる、コーチングでは基本的かつ究極的な問いかけです。

私が日常的にサポートしている企業のリーダーの方々にこのフレーズをお伝えすると、こんな反論をしてくる方がたくさんいます。「林さん、部下に『どうしたい?』なんて聞いたら、あいつら勝手なことしか言わなくて、大変なことになっちゃいますよ!」

いえいえ、そんなことはありません。部下たちだって聞かれれば、ちゃんと「やりたいこと」を持っていますし、それは決して好き勝手なことではなく、さまざまな要因を検討して、その人なりにベストな選択肢を答えていることが多いのです。

また、それが、あなただけでは考えもしなかったような、斬新なやり方であることも少なくありません。

大事なのは、本人に自己決定権を一度渡すことです。なんでもかんでも、上の立場の人(会社なら上司、家庭なら親)が指示や命令をするのではなく、まず先に、相手の意見を発してもらう場を与えることです。そして、その中で出てきた「答え」に対して、否定せずに承認することです。

この質問と承認はセットです。この声かけと受け止め方で、相手は自分が尊重してもらえていると感じ、自己肯定感が高まっていきます。

親と娘
写真=iStock.com/miya227
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/miya227

■子どもが「こうしたい」と即答できなくても良い

「あなたはどうしたい?」と上司が部下に聞くことで、人間関係の距離が縮まるというメリットもあります。それは子どもに対しても同じです。

以前、あるお母さんから、「子どもに『あなたはどうしたいの?』なんて聞いたって、わかるわけないじゃないですか!」と言われたことがあります。でも、そんなことはありません。

子どもにだって「こうしたい」という意思はあります。ただ、残念なことに、子どもたちはまだまだ「自分の考えを言葉にして伝える能力」が未熟で、即答が難しい場合がほとんどだと思っています。

ですので、時に「どうしたい?」と子どもに問いかけても、明確な答えが出ない場合もあるでしょう。それでもOKと考えてみてください。

問いかけに対して即答を求めるのは私たち大人の悪いクセ。一度問いかけた問いは、子どもの中で何時間も、あるいは何日もの間、自問自答の形で問われ続けます。

そして、あるとき、子どもの中で、「どうしたい?」に対する明確な意思や言葉が芽生えたりします。その瞬間が訪れるまで、大人が待つ。これができると、心理的安全性が極めて高い家庭環境が生まれていきます。

子どもの自己肯定感を上げるためには、

1.「あなたはどうしたい?」と聞く
2.子どもが考えをまとめるまで待つ
3.言葉が出てきても、出てこなくても否定せず承認する

これを日々行うだけで、自己肯定感は少しずつ、かつ着実に高まっていきます。

■日本は“自分の意思”を聞かれることに不慣れ

ちなみに、欧米の多くの国は、「君はどうしたい?」「あなたの考えは?」と、常に自分の意見を聞かれる文化なので、子どもも、そう聞かれることに慣れています。

ところが日本では、子どもはおろか、大人でも自分の意思を聞かれることに慣れていません。

なぜなら、職場でも家庭でも、「目先の課題解決」に追われると、ついそちらを優先させてしまい、「どうしたい?」と意思を聞く余裕がなくなってしまうからだと考えられます。

また、多くの人が「こうすべき」「こうしなければ」という、いわゆる「べき・ねば」の思考や、社会通念に縛られていて、自由な意思を語り合う文化がないことも理由のひとつでしょう。

結果、「自分が本当はどうしたいのかがわからない大人」が量産されているのです。時間に追われ、成果を出さなければならない仕事なら、課題解決を優先するのも仕方ないかもしれません。

しかし、子育てでは、子どもが成長する機会を与えることを優先し、ぜひ、「どうしたい?」と問いかけてほしいと思います。

娘を抱きしめる母親
写真=iStock.com/Deepak Sethi
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Deepak Sethi

■「どうしたらいいと思う?」と聞いてはいけない理由

そしてもうひとつ。課題解決のほうに頭がいっていると、「どうしたい?」ではなく、「どうするのが正しいと思う?」と聞いてしまうかもしれません。そのほうが、会話が手っ取り早く解決策に向かうからです。

微妙な違いですが、「どうするのが正しいと思う?」と聞くと、その回答がハウツー(課題解決)に向かってしまいがちで、子どもの自由な発想の妨げになってしまいます。

勘のいい子なら、「こんな答えを期待されているな」と考えて最適解を答えるかもしれません。

「自分はこうしたい」と、「自分はこうするのが正しいと思う」は、似て非なるもの。正確な答えより、自己肯定感を上げる自由な発想へつなげるために、ぜひ、「どうしたらいいと思う?」ではなく、「どうしたい?」という問いかけを使ってください。

親が子どもの意見を丁寧に聞く姿勢を持ち、その答えを尊重することで、子どもは「自分のこと・考えを受け止めてくれている」と感じ、それが愛情確認につながり、自己肯定感や自律スイッチが育っていくのです。

■どんな答えでも否定せずに「承認する」

子どもに、魔法のフレーズ「どうしたい?」を投げかけて、子どもから答えが返ってきたとき。その答えが、こちらが期待している答えと違うと、つい、否定したり、親として望んでいる方向に誘導したりしてしまいがちです。

しかし、これでは、子どもは「どうしたいか聞いてきたから答えたのに、答えなければよかった!」と思って、以降は答えてくれないか、あるいは「親が期待していると思われる答え」を選んで答える(いわゆる忖度)ようになってしまいます。

そんな子どもの答えが意に反するときに使えるのが、「承認する」という方法です。

次のような会話の流れをイメージしてください。

「自分ではどうしたいの?」
「○○○○したい」
「へえ、そうなんだ。○○○○したいんだ! 教えてくれてありがとう」

これでOK。「えっ? 子どもがどんな答えを返してきても賛成するんですか?」と思ったかもしれませんね。

いや、実はこの会話の中で、親は賛成していません。「子どもがそう思っている」ということを承認しただけ。そして、答えてくれたことにお礼を言っただけです。

■“正確な答え”かどうかは二の次でいい

やってはいけないのは、子どもが「答えたくない」と感じ心を閉ざしてしまうこと。

目指したいのは、子どもが親の働きかけに対して「答えたい」と思わせることです。ですから、子どもの答えが、たとえ突飛なものであっても、実現の可能性を問わずに承認をすることが必要なのです。

この「どうしたい?」というフレーズは、問いかけること自体が大切であって、正確な答えが返ってくるかどうかは二の次だと思ってください。

機会があるごとに「どうしたい?」と聞くことで、子どもが、「聞かれる」→「答える」というパターンを学びます。そして、頭の中で「自分で考える」という回路がつながり、それが習慣になることが重要なのです。

「うちの親は『どうしたい?』と必ず聞いてくる」となれば、子どもは「会話の中で意思を伝えることは特殊なことではなく、当たり前の習慣だ」と感じるようになります。

それが子どもの自律性を育てるのです。そんな会話の習慣は、親であるあなたがきっかけをつくる必要があると覚えておいてください。

【図表1】魔法の言葉「どうしたい?」
『子どもを否定しない習慣』より

■「ごめんなさい」が言える子に育てるには

親が使うだけで、子どもの自己肯定感を上げる言葉があります。それは、たとえば次のような言葉です。

「ありがとう」
「嬉しい」
「楽しい」
「さすがだね」
「ごめんなさい」

親としては反対に、「こんな言葉を子どもが使ってくれたらな」と思うようなフレーズばかりかもしれませんね。

ここで発想の転換が必要になってきます。こんな言葉たちを、まずは親が使うことです。すると、子どもがそれを真似て使うようになり、自己肯定感も上がるというポジティブな循環が生まれます。

つまり、相手にしてほしいことがあれば、それを自分からやりましょう、という考え方ですね。

この中で、とくにハードルが高いフレーズを挙げるとしたら、それは「ごめんなさい」なのではないでしょうか? 子どもには、「悪いことをしたらちゃんと謝りなさい」と言っているのに、親が間違えたときには謝らない……。ありがちですよね。

「さっきは強く言いすぎたね。ごめんね」

親からこんな言葉をかけられた子どもは、自分から謝ることができる子に育ちます。お釈迦様は、対人の基本について、「相手が嫌がることはやらない」「与えれば与えられる」と説いています。

■子どもは親の言葉づかいを真似る

例に挙げた5つのフレーズは、相手に感謝し相手を認める言葉ばかりですね。普段「謝ること」はハードルが高いかもしれません。それは自分のプライドの問題だったり、非を認めることへの抵抗感があったりするのでしょう。

林健太郎『子どもを否定しない習慣』(フォレスト出版)
林健太郎『子どもを否定しない習慣』(フォレスト出版)

でも家庭の中ぐらい、自分の可愛い子どもに対してくらい、そのハードルは下げてもいいのではないかと思います。

親が素直に謝れるなら、子どもも素直に学校や社会で謝れるようになるのだと思います。「ちゃんと謝れるようになってほしい」と親が願うのであれば、親自身も悪いところがあったら「ごめんね」と言えるようにしておきましょう。

自分で自分の機嫌を取って、言葉を口にできる親の姿を見た子どもは、それを真似て、自分の機嫌を自分で取り、肯定的な言葉を使うようになっていきます。

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林 健太郎(はやし・けんたろう)
否定しない専門家/コーチ
合同会社ナンバーツー エグゼクティブ・コーチ。リーダー育成家。一般社団法人 国際コーチ連盟日本支部(当時)創設者。1973年、東京都生まれ。バンダイ、NTTコミュニケーションズなどに勤務後、エグゼクティブ・コーチングの草分け的存在であるアンソニー・クルカス氏との出会いを契機に、プロコーチを目指して海外修行に出る。帰国後、2010年にコーチとして独立。これまでに大手企業などで2万人以上のリーダーに指導してきた。否定しないコミュニケーション術をまとめた『否定しない習慣』(フォレスト出版)が14万部を超えるベストセラーになる。このほか『できる上司は会話が9割』『優れたリーダーは、なぜ「傾聴力」を磨くのか?』『できるリーダーになれる人は、どっち?』(いずれも三笠書房)、『いまを抜け出す「すごい問いかけ」』(青春出版社)など著書多数。

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(否定しない専門家/コーチ 林 健太郎)

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