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女性アナ、美魔女、韓国料理店経営者、敏腕弁護士…自民総裁選立候補予定者「配偶者と学歴」が味わい深い

プレジデントオンライン / 2024年9月6日 10時15分

9月23日に立憲民主党、27日に自民党の党首選の投開票がある。とりわけ注目されているのは総裁=総理の立場となる自民党。統計データ分析家の本川裕さんが立候補予定者の肩書、年齢、選挙区、当選回数、世襲基盤、学歴、配偶者について整理した――。

■乱立する党首選候補者

早ければこの秋、遅くとも来秋までには、政権選択のかかる衆院選が控える中、今月、国会の第1党と第2党の党首選が、同時並行で行われることになった。自民党が、再選を断念した岸田文雄首相の後任を選ぶ総裁選の日程を9月12日告示、27日投開票と決めた。野党第1党の立憲民主党は、泉健太氏の任期満了に伴う代表選を一足先に9月7日告示、23日投開票で実施する。

自民党の新総裁は次の首相となり、立憲民主党の代表は来たる衆院選で、その首相に挑む「首相候補」になる。また、勝った候補者の掲げた政策が、それぞれの党の軸となり、衆院選の選挙公約につながる可能性も高い。このため、国民の関心はいやでも高まらざるを得ない。

派閥解消の流れの中、同じ旧派閥から2人の候補者も出るなどで、この自民党総裁選ではこれまでになく多くの候補者が名乗りを上げている。

本稿では、現在(9月5日)までに立候補を宣言したり、立候補に意欲を示している候補予定者について、年齢、地域など統計データで追える限りの分析を試みることとしたい。

最初に、各候補者のプロフィールを表のかたちで整理した(図表1、2)。自民党総裁選の候補者については肩書、年齢、選挙区、当選回数、世襲基盤、学歴、配偶者について、立憲民主党代表選については、このうち世襲基盤、配偶者を除いた項目を掲げた。

年齢や選挙区地域については、下で別個にふれるとして、それ以外の項目を概観しておこう。

【図表】立憲民主党代表選立候補予定者のプロフィール

当選回数については、自民は4~12回、立憲は吉田候補を除き7~10回となっており、立憲が基本的にキャリアの長い議員が多いのに対して、自民は4~5回とキャリアが比較的短い議員も複数含まれている。

当選回数を重ねた重鎮議員しか立候補を予定していないという点からは立憲のほうが古色蒼然と言わざるをえないだろう。自民のほうは派閥解消の効果が多かれ少なかれ出ているのかもしれない。

●世襲

自民について親族の地盤を引き継いでいる世襲議員は11人の候補予定者のうち6人と過半数である。4人は父親の地盤を引き継ぎ、父親以外では、野田聖子候補は祖父、加藤勝信候補は妻の父親の地盤を引き継いでいる。

年齢との関係では、世襲議員のほうが年齢の割に当選回数が多いことが分かる。例えば、茂木敏充候補と石破茂候補は1歳違いだが当選回数では父の後を継いだ石破候補が2回多くなっている。小泉進次郎候補が43歳という若さで5回の当選回数を重ねているのは、当然、父親の小泉純一郎元首相の後を継いでいるからである。年齢より当選回数で党内の地位と役職上の出世が決まる側面が大きいので、当然、世襲議員が早く偉くなる可能性が高くなるのである。

■配偶者は女性アナ、美魔女、韓国料理店経営者、敏腕弁護士…

●学歴・配偶者

学歴については、自民の場合、11人中、過半数の6人が東大卒である。学歴的には小泉進次郎候補がやや見劣りがするのはどうしようもない。学歴を自民と立憲で比べると、立憲は野党らしく私学が多く、自民のほうが立憲より高学歴とは言えよう。自民の場合は配偶者についても分かる範囲で記載した(参考資料:『女性セブン』2024年9月12日号ほか)。

ここで学歴は大学のみを掲げた。米国大学の大学院卒も多いが、最初の就職先である財務省や経産省から留学させてもらった学歴である場合もあり、比較するのは適切ではない側面があるからである。なお、茂木候補、上川候補、林候補、小林候補、齋藤候補はいずれもハーバード大ケネディスクール(大学院)卒であり、小林候補、齋藤候補は財務省、経産省からの留学である。小泉候補はコロンビア大大学院卒である。小泉候補については、後述するように「学歴ロンダリング」だと揶揄されているが入学でコネを使ったとしても厳しいとして知られる卒業を果たしているのだからロンダリングは言い過ぎだろう。

政略結婚的な加藤勝信候補、タレント政治的な小泉進次郎候補、及び独身候補者1人を除くと大学同級生が多く、高学歴、高キャリアの才媛・やり手イメージの配偶者が多い。昔ながらの内助の功のイメージからは遠く、候補者本人と共にわが国のトップ・エリート層をなしていると考えられよう。

高度成長期の田中角栄元首相のようなたたき上げの政治家が政権トップに就任するという事態は、社会が安定した現代では望むべくもないのではなかろうか。

■年齢についての選択の幅は広がったが…⁈

●年齢

党首選の候補予定者の年齢については、参考事例を含めて図表3にデータグラフを掲げた。

【図表】自民の方が選択可能な年齢幅の大きなダブル党首選立候補予定者

自民の候補は上川陽子候補の71歳から小泉進次郎候補の43歳まで28歳の幅がある。立憲の候補が江田憲司候補の68歳から泉健太候補の50歳まで18歳の幅であるのと比較すると人数が多い分、選択の幅が広いともいえる。

また、女性候補についても、自民は3人であるのに対して立憲は1人であり、女性候補者の1人も立候補できるかは微妙とされている。こちらでも自民の方が選択の幅は広い。

高齢批判がもしあるとすれば、上川陽子候補の71歳であるが、米国のトランプ候補の78歳と比べればだいぶ若く、先ごろ選挙が終わり当選した東京都知事の小池百合子知事の72歳(選挙時は71歳)も高齢批判の対象とはならなかったので、あまり問題はなかろう。

不明瞭な政治とカネの問題が発覚してから派閥は解消されることとなり、自民党の体質を変えるという大きなテーマを課せられた今回の自民の党首選では、当然、旧態打破がしやすい若い力が求められることとなる。少なくとも次の国政選挙の顔としての役割が今回の党首選で重要であることを考えるとますますそう言えよう。

■「学歴ロンダリング」「進次郎構文」の逆風を「おもてなし」で跳ね返せるか

そういう意味からは小泉進次郎候補が43歳と非常に若く、しかも東京五輪のプレゼンでの「お・も・て・な・し」によって国民に広く知られた元女性アナウンサー滝川クリステルさんを配偶者としていてタレント政治的にも花があるので、次も当選したい自民党の現衆議院議員としては小泉候補を推そうという力学が大きく働くに違いない。

小泉進次郎
小泉進次郎氏〔写真=首相官邸ホームページ(菅内閣)/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons〕

しかし、政権トップ(日本の顔)としての適格性ではクエスチョンマークが付くとの指摘は多い。環境相などを歴任したものの政治家としての実績は十分とまではいえず、最終的にはコロンビア大院卒(2006年5月に修士号取得)となっているのも関東学院大卒(2004年)という学歴をロンダリングしていると揶揄されたり、答弁や会見での独特な表現方法がネット上で「進次郎構文」と呼ばれたり……。

東大卒を筆頭としたエリート層の特色をもつ他の候補を閣僚として多く迎えることになると考えられる内閣ではたして総理大臣として指導力を発揮できるか。右往左往しそうな感じも否めず、党首選ののちすぐ解散総選挙というならまだしも、しばらく時をおくと、たちまち馬脚をあらわし、きたる総選挙で敗北する可能性もある、との厳しい見方もある。

小林鷹之
小林鷹之氏(写真=首相官邸ホームページ/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons)

同じ40代の若手の小林鷹之候補(49歳)は国民の中では知名度は高くなく、実績も不足しているものの、選挙の顔としての刷新イメージに期待して選択肢となる可能性もある。

河野太郎候補が次に若いが、すでに61歳とその次に若い林芳正候補の63歳と大差ない。やはりせめて50代でないと若さというポジティブなイメージを得られず、選択肢から外れるのではなかろうか。なお、米国大統領選のトランプ候補を高齢として批判するカマラ・ハリス候補はなお50代なので若さイメージをぎりぎり残している。

女性候補でも旧態依然の体制打破への期待はかけられるが、今回の候補3人の顔ぶれからは現状刷新イメージは得にくく、女性初の首相という掛け声が大きくなるということはないのではなかろうか。

第2次岸田改造内閣にて、デジタル大臣、内閣府特命担当大臣(デジタル改革、消費者及び食品安全)、国家公務員制度担当大臣に就任した河野太郎
第2次岸田改造内閣にて、デジタル大臣、内閣府特命担当大臣(デジタル改革、消費者及び食品安全)、国家公務員制度担当大臣に就任した河野太郎氏(写真右=首相官邸ホームページ/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons)

■首都圏に多い党首選立候補予定者

年齢に特に注目して、ずいぶんと勝手な分析を行ってきたが、最後に、候補予定者らの選挙区地域について概観してみよう。

候補予定者の選挙区については図表1~2に掲げたが、図表4には、それを都道府県別に割りふったグラフを掲げ、これでの出身県別の歴代首相人数データとともに図解した。

【図表】首都圏に多い党首選立候補予定者。 自民3人、立憲1人は総理非輩出県から

選挙区はすべて衆議院のものである。すなわち候補予定者はすべて衆議院議員である。これは、首相のみが行うことのできる国会の解散が衆議院にのみ認められることから、首相は衆議院議員でなければならないという政治慣行(不文律)があるためである。林芳正候補のみは参議院での当選が多かったが、首相を目指し前回選挙で衆議院に鞍替えした。

今回、自民党党首選の候補予定者11人のうち、首都圏(関東圏)に選挙区をもつ候補が5人と約半数を占め、多くなっている。立憲民主党の代表選立候補予定者の場合は5人のうち4人は首都圏であり、より集中度が高くなっている。

明治維新が薩長など西南雄藩によって実現したこともあって、戦前の歴代首相は西日本に片寄っていたが、戦後の歴代首相では関東圏の躍進が著しい。今回の候補予定者の出身についても基本的にはこの流れに沿ったものといえよう。

それでも自民の場合は西日本にも候補者が多く、多数の候補者を抱える全国政党としての強みをうかがわせている。

なお、自民の野田聖子候補、高市早苗候補、石破茂候補のいずれか総裁に選ばれ、次の総理になるとしたら、それぞれ、岐阜、奈良、鳥取という総理大臣非輩出県からのはじめての総理になる。

渋沢栄一を輩出した埼玉県から総理大臣が出ていないのは寂しいが、今回、立憲の代表として枝野幸男候補が選ばれ、さらに次期衆院選で政権交代が起こるという状況が来なければ実現しないので、かなり可能性の低い将来予測だと言えよう。

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本川 裕(ほんかわ・ゆたか)
統計探偵/統計データ分析家
東京大学農学部卒。国民経済研究協会研究部長、常務理事を経て現在、アルファ社会科学主席研究員。暮らしから国際問題まで幅広いデータ満載のサイト「社会実情データ図録」を運営しながらネット連載や書籍を執筆。近著は『なぜ、男子は突然、草食化したのか』(日本経済新聞出版社)。

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(統計探偵/統計データ分析家 本川 裕)

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