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テストで100点とるよりも山で遊ぶ方が将来のためになる…ホリエモン「今の学校教育に決定的に足りないこと」

プレジデントオンライン / 2024年9月10日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ImagineGolf

日本の学校教育の問題は何か。実業家の堀江貴文さんは「実際の社会で生きていく力を育てていない」という。『僕らとビジネスの話をしよう。新時代の働き方』(大和書房)より、登山者用地図アプリを提供するYAMAPの創業者・春山慶彦さんとの対談の一部を紹介する――。(第1回)

■410万人が使う人気アプリはこうして生まれた

――春山さんはアラスカ大学を中退して帰国。雑誌『風の旅人』編集部に勤務し、その後独立。2013年にYAMAPをリリースしました。

【春山】YAMAPをリリースしようと思ったきっかけは、2011年の5月に大分県の九重連山を歩いていた時でした。携帯電話の電波がつながらない場所でしたが、ふと地図アプリ(グーグルマップ)を開いたんです。

すると、真っ白い画面上に青い点が映っていただけで、「やっぱり、電波が届かないとスマホは使えないんだなあ」と思いました。その1時間後くらいにまた地図アプリを開いた時、真っ白な画面は変わらないんだけど、青い点だけは移動していたんです。

そこで「そうか。自分の位置情報は宇宙にある人工衛星から拾っているので、山の中であろうと海外であろうと、受信できるんだ。でも、地図データは携帯の電波が届かないと表示できない。だったら、地図データをスマホに前もって保存していれば、スマホを登山用GPSとして使えるんじゃないか」と気づいたんです。

そしてYAMAPを作り始めました。僕はそれまでウェブサービスとかアプリケーションサービスに関わったことはまったくなかったんですが。

【堀江】でも、そういう人が思いつくんですよ。

■日本人の最大の課題

【春山】YAMAPを作ろうと思ったもうひとつのきっかけは、同じ年の3月11日に起きた東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故です。とんでもない時代に私たちは生きていると思いました。1945年に人類で初めて原爆が落とされたこの国で、66年後、今度は自分たちがつくった仕組みで被曝し、故郷を離れざるを得ない人たちがいる。けれど、起きてしまったことをなかったことにはできない。

この経験を自分なりに咀嚼し、想いを事業に込めて社会に届けることはできないかと考えました。いろいろ考えた末、日本人の最大の課題は身体を使っていないことにあると思うようになりました。

農業や漁業、林業などの第一次産業に従事している人たちは、日本の就労人口の中で200万人を切っています。これはつまり、日常的に自然の中で身体を動かしている人たちが減っているということです。自然から離れがちになってしまったために、自分たちにとって大切な風土や環境に対して鈍感になってしまっている。

では、どうやったら、都市と自然をつなぐことができるか。都市に住む人たちが自然や風土を知るきっかけをつくるにはどうしたらよいのか。そう考えた時、登山やアウトドアという回路だったら、都会にいる人たちが自然に足を運ぶきっかけがつくりやすいし、身体を動かせるし、多くの人が自然を楽しむ機会を今以上につくることができるのではないか。そう思ってYAMAPを立ち上げました。

■なぜ運動嫌いの子どもが生まれてしまうのか

【堀江】日本人って、学校に行っているあいだは体育の時間とかがあって、身体をよく動かしているけれど、社会人になると途端に動かさなくなるんです。僕は、それは運動を詰め込みすぎたせいだと思っているんです。

運動にもいろいろな競技があるじゃないですか。例えば球技。僕は、球技はめちゃくちゃ不得意なんですよ。動体視力があまりよくなくて、ボールが見えないんです。でも、ゴルフはボールが止まっているからできる。格闘技もまあまあできる。あと、持久力を使うアドベンチャーレース(※)なども好きです。だから、持久力系のスポーツだけやりたいと思うんだけど、学校だとやらせてくれない。不得意な球技とかもやらされる。そのせいで運動が嫌いになるんだと思います。

でも、登山だったら歩くだけです。だから、中高年でも趣味にしている人が多い。健康寿命を延ばすためにも、そのきっかけを与えることは重要だと思いますね。

※山、川、海などをトレッキング、マウンテンバイク、カヤックなどのアウトドア種目でゴールを目指す競技

■YAMAPが愛されたふたつの理由

【春山】そうですね。実際、日本の登山人口は600~700万人と言われていて、50代以上が6割くらいを占めています。登山人口の約半数以上に相当する方々にYAMAPをダウンロードいただいています。

なぜ、これだけの登山者の方にYAMAPが受け入れられているのかは、携帯電話の電波が届かない山の中でも自分の位置がわかる、というツール的な利便性に加えて、コミュニティの機能を組み入れていることが大きな理由だと考えています。

例えば堀江さんが山に行った時に「こういう沢を登ってきました」「ここが危ないです」「ここが撮影ポイントです」といった、山を楽しんだ記録をYAMAP上で共有できる機能です。ウィキペディアのように、集合知で山の情報の精度が高まっていく。このコミュニティ機能が、多くの登山者がYAMAPを利用してくださっている大きな理由だと考えています。

【堀江】僕もコミュニティ機能を使って行く場所をよく探していますよ。この人たちが、このルートをこの時間で行けるなら、僕たちはこれくらいの時間がかかるかな、とか調べられるのが便利です。

森の中でスマートフォンを持つ男性
写真=iStock.com/Vladimir Agapov
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Vladimir Agapov

■忙しいビジネスパーソンこそ山に行くべき

【春山】堀江さんにお聞きしたいことがあるんですが、沢登りや登山を始められた最初のきっかけってなんですか? 最初のきっかけがつらいものだった場合、その後なかなか続かないケースを見てきました。僕らYAMAPは最初の接点やきっかけをどう作っていけばいいのかという課題があるんです。

【堀江】僕はもともと田舎者なので、日本の里山の良さは小さい頃から知っていました。それで、沢登りを始めたきっかけは、サバイバルゲームを一緒にやっている友人が「沢登りは楽しいよ」みたいな話をして、僕が「面白そうだね」って言ったら「明日、行くんで一緒に行こう」と言われ、ノリで始めたんです。

その時に行ったのは神奈川県の丹沢でした。夏だったんですけど、沢登りは水場をバシャバシャ登るので気持ち良かった。それに2、3mの高さから川に飛び込めるポイントがあったり、天然のウォータースライダーみたいな場所もあったりした。とても綺麗な滝もあって楽しかったんです。

今はどんどんバージョンアップしていて、沢登りでキャンプしたり、ヤマメやイワナ釣りをしたりしています。シーズン中に多い時は7、8回行くんじゃないかな。

【春山】忙しいビジネスパーソンこそ、登山や沢登りなどの自然経験は重要です。ストレスも減るし、何より無心になれますから。

■地方にいたほうが楽しい

【堀江】そうですね。僕はスマホで仕事ができるので、どこにいてもいいんです。どこにいてもいいなら、気持ちいい場所にいたほうがいいじゃないですか。人と会うには大都市が便利だけど、人と会う必要がない時は地方にいたほうが楽しいんですよ。だから、何時間か沢登りして、その後はホテルで仕事、みたいなことをやっています。

【春山】今は、そういうことができる環境になってきましたよね。やはり、堀江さんみたいに幼少期に自然経験のある人は「こういう自然の世界があったな」という感覚があるので始めやすいと思うんです。でも、幼少期に自然経験がなく、都会でばかり遊んでいた人たちにはその選択肢すらない。それはもったいないと思います。

僕は学校でスポーツを教えるだけではなく、山を歩いたり、キャンプに行ったりする時間をもっとたくさん作るべきだと思います。それも学校の先生と行くのではなく、山岳ガイドや山に慣れた人と少人数で行く。そうするとかなり充実した自然経験ができるはずです。

■日本の学校教育に足りないこと

【堀江】そういう時間をもっと作ったほうがいいですね。今の学校教育は知識の詰め込み型教育じゃないですか。でも、知識は検索すればわかることが多い。それよりも、問題解決能力のほうが大事だと思うんです。データはある、検索する端末もある。では、それらの道具を使って、どう問題を解決するのか。そっちのほうが実際の社会で生きていくのに大事なことだと思うんです。

でも、そういうことはあまり教えていないですよね。例えば、アドベンチャーレースって、問題解決を迫られることが多いんです。山の中でGPSが使えない状況で、どうやってチェックポイントにたどり着くのか。しかも、4人くらいのチームを組んでいるので、大体ケンカになる。

【春山】ケンカになりますね(笑)。

堀江貴文『僕らとビジネスの話をしよう。新時代の働き方』(大和書房)
堀江貴文『僕らとビジネスの話をしよう。新時代の働き方』(大和書房)

【堀江】すると、リーダーシップが大事になってきて、リーダーがきちんと仕切っているチームは強い。学校ではそういう教育もしてほしいですね。

【春山】そうですね。コロナを経験して、社会全体が外(自然)へ開いていく時代になったと思います。働く場所がビルの中だけでなく、自然の中にも移ってきている。学びも教室の中だけでなく、自然のほうへ拓いていっていいのではないか。さまざまなことを感じ学ぶには、自然は最高の教室だと思うんです。

【堀江】本当にそうですね。

【春山】僕は、悩んでいる時とか、ちょっと疲れているなと感じた時こそ自然の中で身体を動かすようにしています。すると、本当にスッキリする。その後お風呂やサウナに入ると身体がリセットされる感じがあります。山を歩いた後はぐっすり眠ることができるし、翌日、頭がクリアになっています。

ですから、悩んでいる時や大事なことを考えなければいけない時は、騙されたと思って山を歩いてみてください。山を歩いた後の身体や頭の状態をぜひ、皆さんご自身で確かめてほしいです。

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堀江 貴文(ほりえ・たかふみ)
実業家
1972年、福岡県生まれ。ロケットエンジンの開発や、スマホアプリのプロデュース、また予防医療普及協会理事として予防医療を啓蒙するなど、幅広い分野で活動中。また、会員制サロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」では、1500名近い会員とともに多彩なプロジェクトを展開。『ゼロ』『本音で生きる』『多動力』『東京改造計画』『将来の夢なんか、いま叶えろ。』など著書多数。

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(実業家 堀江 貴文、ヤマップ 代表取締役 春山 慶彦)

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