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「買い占め」や「陰謀論」にはしる人には共通点がある…思考をマヒさせ、判断力を低下させる「悪魔の4つの言葉」

プレジデントオンライン / 2024年9月21日 17時15分

どの情報を信じていいのかわからない(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/SPmemory

ネット上には根拠のない情報があふれているが、正しい情報を見分ける方法はあるのか。スタンフォード大学オンラインハイスクール校長の星友啓さんの書籍『スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長が教える 脳が一生忘れないインプット術』(あさ出版)より、「信憑性の高い情報の見分け方」をお届けする――。

■どの情報を信じていいのかわからない

「科学者グループによると、地球温暖化は誤りで、極地の氷帽は拡大している」
「NASAの最新衛星データが、地球温暖化に伴う極地の氷帽の急激な融解を示す」

斎藤ヒカルさんは、職場で新商品のマーケティングの企画チームに入りました。

さっそく来週までに、エコ商品に関連する情報の収集をしなくてはなりません。

企画リーダーからの要望の1つに、「地球温暖化の現状を生々しくあぶり出すような例をいくつか集めてほしい」とあるので、北極や南極などの大きな氷(氷帽)に目をつけて情報収集を始めました。

そこですぐに、冒頭の2つの記事の見出しに出くわします。

(えっ、一体どっちを信じたらいいの?)

わからないので、とりあえず砂漠化や異常気象の頻度など、違うトピックに当たりをつけますが、どれも同じように相反する主張が出てきてしまいます。

これでは指示された情報収集が進みません。

さあ、どうしたものでしょうか?

■信頼できる情報を見分ける「4つのチェックポイント」

自分が見つけた情報を実際にどのように判断したらいいかを見ていきましょう。

まずは、【基本チェックリスト】です。次の4点をチェックしましょう。

・書いた人物:その情報を書いたのは誰なのか?
そのトピックをしっかりと語れる専門家と言えるような経歴はあるか?

・文献:数字や主張の出どころが明記されているか?
参考文献や他の資料はリストアップされているか?

・日付:いつ書かれた記事なのか?
タイムリーな情報を提供しているか?

・発信元:どんな会社や団体が発表したものなのか?
内容との利害関係はないか?

■既存の情報メディアは一定のチェックのプロセスを経ている

4つ目の「発信元」については、もう少し解説を加えておきましょう。

まず、その情報が出版社、新聞社、テレビ局など既存の情報メディアから発信されているものであれば、一定の情報チェックのプロセスを経ていると想定することができます。

リモコンを手にテレビを見る女性
写真=iStock.com/west
「出版社、新聞社、テレビ局」などが発信した情報は信頼できる(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/west

もちろんそれだけでは完全に信憑性のある情報であるとは限りませんが、特定の個人の全くの思い込みによる発信ではないことがわかるので、ある程度の情報の質を担保するための基準にはなります。

■「利害関係」を意識する

また、利害関係についても意識しておくことが重要です。

例えば、高血圧の薬を認可しようとする製薬会社が、薬の作用に関する研究をバックアップしていたとしましょう。

その研究の結果、その薬を飲んだ人は血圧が下がりやすいという結論が出たという情報が発信されていたとします。

きちんとした研究の成果かもしれませんが、利害関係があることは明らかなので、情報の信憑性という観点からは、他よりも疑ってかかったほうがいいでしょう。

このように、インプットを行う際には、ニュース記事や情報源を【基本チェックリスト】を使って評価する習慣をつけることが大切です。

クリアできた点がなかったり、1つか2つだけの場合には、いつもよりさらに疑ってかかる必要があります。

とはいえ、短い時間でリサーチをしなくてはいけないときなど、いつも【基本チェックリスト】をクリアした情報だけをインプットできるとは限りません。

自分の目的に合わせて、どの程度の項目をクリアすべきかを判断することが大切です。

■ニセ情報がよく使う「4つの過激表現」

次に、インプットを始めてから意識すべき点についてです。

実際に情報をインプットし始めると、さらに多くの手がかりを参考に、信憑性を判断することができます。

次のような言葉や、似たような「過激表現」が出てきたら、注意が必要です。

・「絶対に、○○○」
・「知らないと危険!」
・「みんなが思っている」
・「ジョブズによると、○○○」

■「断言する情報」には注意が必要

まず、「絶対に、○○○」は「断言」してしまう表現です。しかし、世の中は期待するほどシンプルではなく、何事につけても「絶対」と断言することはなかなか容易ではありません。

しっかりとした文献や参考資料を提示した上で、結論を強調する目的ならばまだしも、根拠のない断言がいくつも見え隠れする情報源には注意が必要です。

指をさして怒鳴るビジネスマン
写真=iStock.com/kuppa_rock
「断言する情報」には注意が必要(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/kuppa_rock

次に、「知らないと危険!」の類いです。こちらは、「脅し」や「煽(あお)り」の表現です。「○○しないと、△△になってしまう!」なども同様です。

何かを目的に、読者を脅したり、不安や恐怖を煽って情報を信じさせたりしようとしているのかもしれないので、気をつける必要があります。

■煽りに使われる「みんなが思っている」

「みんなが思っている」も、「脅し」や「煽り」に使われることがあります。そもそも「みんな」が同じように思っていることなどなかなかありません。

また、「脅し」や「煽り」でなかったとしても、「誇張」になっていることがしばしばあります。

知り合いの数人がそう思っているだけなのに、そこから誇張して「みんなが思っている」と展開する、そんな論法を使っているような記事は疑ってかからなくてはいけません。

■「ネームドロップ」を見たら怪しいと思うべき

最後に、「ジョブズによると、○○○」などの頻発にも要注意です。

これは少し意外かもしれません。「ジョブズによると」とくれば、情報源を明らかにしているようにも見えるからです。

しかし、ポイントは「ネームドロップ」。関連した研究や資料を提示するのではなく、有名人の名前をやたらと出して、それらしく語っているようなものは、怪しんでかかったほうがいいでしょう。

FAと書かれた木製ブロックに続く「CT」「KE」と書かれた木製ブロック
写真=iStock.com/marchmeena29
「ネームドロップ」を見たら怪しいと思うべき(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/marchmeena29

「ジョブズは」「大谷翔平は」「エジソンは」「ガンジーは」などと、「有名人の名前」を連発しているような内容には、十分に注意を払いましょう。

インプット中は、意外にもこれらの過激表現に気づきにくかったりします。

【過激表現チェック】は、情報の信憑性を判断するための基準として、日頃からしっかりと意識しておきましょう。

■「根拠を示さない記事」に注意

また、「過激表現」でなくても、根拠のない「言ったきり」の主張が多いものにも注意が必要です。

まずは「鍵となる主張に根拠は提示されているかどうか」、根拠が提示されているならば、「どんな根拠が示されているか」、この2点をしっかりと見極める必要があります。

例えば、「携帯電話の電波は脳細胞を壊す」という主張だけ「言ったきり」にして、その根拠はまったく示さないような記事があったりします。このような記事には注意しなくてはいけません。

そうした主張であれば、もとになる文献を引用していたり、少なくとも、どのようにして携帯の電波が脳細胞を壊すのかのメカニズムを説明したりしていなければ、インプットの情報源として信憑性があるとは言えないと判断していいでしょう。

特に、常識をくつがえす主張に根拠がない場合は厳重に警戒する必要があります。

■「文献を載せているかどうか」も物差しになる

また、主張の根拠についても良し悪しがあります。

文献が示されている場合、【基本チェックリスト】でもお伝えしましたが、文献がしっかり引用されているか否かだけでも、その主張の信憑性を判断する1つの大きな物差しとなります。

ステンレス定規
写真=iStock.com/hidef
「文献を載せているかどうか」も物差しになる(※写真はイメージです) - 写真=iStock.com/hidef

もちろん、より確実にチェックするためには、その文献自体の評価が必要にはなりますが、その情報を発信している人が、文献を載せるという手続きを踏んだということだけでも、その情報の信憑性の大きな手がかりになってきます。

それから、文献がはっきりと示されていない場合でも、主張の根拠がどこから来ているかについて触れている場合もあります。その場合には、示されている根拠の出どころが特定しやすいかどうかで、その主張の信憑性を判断しましょう。

■根拠となる情報源を特定しやすいほうが信憑性が高い

冒頭の例を詳しく見てみましょう。

星友啓『スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長が教える 脳が一生忘れないインプット術』(あさ出版)
星友啓『スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長が教える 脳が一生忘れないインプット術』(あさ出版)

「科学者グループによると、地球温暖化は誤りで、極地の氷帽は拡大している」
「NASAの最新衛星データが、地球温暖化に伴う極地の氷帽の急激な融解を示す」

前者は「温暖化は誤り」ということですが、「科学者グループ」が誰のことを指すのかさっぱりわからず、極地の氷が増えているという主張のもとになる研究などを特定するのは難しいでしょう。

一方、後者は研究機関が「NASA」で、「最新衛星データ」による情報であると具体的に述べているので、前者と比べて根拠となる情報源を特定しやすいはずです。

つまり、この2つの見出しを見るだけでも、後者のほうが信憑性が高いと推測できるのです。

■「それらしい説明」こそ疑ってかかるべき

また、主張の根拠は説明されているけれども、その出どころが全く示されていないパターンもあります。

いかに根拠の説明がそれらしいものであっても、出どころが示されていない場合は、さらなるチェックが必要です。

主張だけがあって、その理由も根拠も全く示されていない場合よりはいいかもしれませんが、それらしいものこそ疑ってかからなくてはいけません。

このように、根拠の出どころの有無とその特定のしやすさによって、記事や主張の信憑性を判断することができます。

信憑性は次の順番で下がっていくので注意しましょう。

1.文献が出ている

2.根拠の出どころが特定しやすい

3.根拠の出どころが特定しにくい

4.根拠の出どころがなく説明だけ

【出どころ特定】の基準として、インプットするときには常に意識しておきましょう。

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星 友啓(ほし・ともひろ)
スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長
哲学博士、EdTechコンサルタント。1977年東京生まれ。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。その後渡米し、Texas A&M大学哲学修士、スタンフォード大学哲学博士を修了。同大学哲学部の講師として教鞭をとりながらオンラインハイスクールのスタートアップに参加。2016年より校長に就任。現職の傍ら、哲学、論理学、リーダーシップの講義活動や、米国、アジアにむけて教育及び教育関連テクノロジー(EdTech)のコンサルティングにも取り組む。全米や世界各地で教育に関する講演を多数行う。著書に『スタンフォード式生き抜く力』(ダイヤモンド社)、『全米トップ校が教える 自己肯定感の育て方』『脳を活かすスマホ術 スタンフォード哲学博士が教える知的活用法』(共に朝日新書)がある。

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(スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長 星 友啓)

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